non title.19


追記からnon。病んでますうへへw
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「私だけが、君の苦しみを知っている。───私だけが君を救ってやれる。」


局のあちこちから反響する嫌な声。そんな声を聴きながら、私はひたすら疾走していた。途中で魔法を使用して臨戦態勢に入る。走るより早いから、飛んだ。



『フェイトちゃんの苦しみ。』


そんな言葉に息が詰まりそうになる。私が居るそばで苦しんでいたのだとしたら。───違う、こんなのはこの男の虚言だと、首を強く振った。フェイトちゃんを惑わさないで。不安を抱かせるような事を言わないで。


「………っ…」


悔しさに奥歯を噛みしめる。彼女にこんな奴の話を、聞かないで欲しかった。クロノ君たちが早くこの通信を遮断してくれることを祈っていると、話の途中でその男の通信は途絶えた。残ったのはアラーム音だけ。その通信が途絶えてから、医務室の前でクロノ君や皆と合流した。


「──フェイトちゃんっ!」


扉を開けた先で見つけたのは、床に崩れるように座っているフェイトちゃん。どこからどう見ても精神面に何かがあったとしか思えないような彼女の表情に呼吸を忘れかけて、慌てて駆け寄ったけれど。


────キィン…


「ふぇ、フェイト…ちゃ…ん?」


瞬時に展開されたバリアに阻まれて近付けない。その魔力光は鮮やかな金色。私を魅了してやまない金色の。………バリアを張るのが上手くなったね。錯乱状態の最中、ゆっくり立ち上がる彼女は。



「私を、元の世界に帰して。」



冷ややかで、だけど泣きそうな声でそう紡ぐ。それと同時にバリアを消して、バルディッシュを私の喉元に突き立てた。真っ直ぐに。






ずっと前に守られてばかりは嫌と泣いた。
だから守ると誓った。





──────そんな顔、して欲しいわけじゃないの。
























『non title.19』























「聞こえないの……?」


私の言葉に唖然としたまま反応しない他の人を除いてなのはだけが真っ直ぐに私を見つめていた。肩で息をする私を気遣いながら、だけど寂しそうに。悲しそうに。


───やめてよ、そんな顔。


ギリッと奥歯を噛んで、バルディッシュを強く握る。何もかも嫌だった。例えば私に向かられる皆の心配そうな視線も、悲しそうに眉を寄せるなのはの表情を見るのも。私がそうさせているっていう事実も。


「私は、地球へ帰る。」


だけど、私はもうここには居られない。どんなに危険だと言われようと、もうどうでも良かった。元の世界に帰れば、私はまた「私」でいられると信じたかった。幼い頃の記憶がある事だけが、育ててくれた両親がいたという事だけが救い。もう一度明確に言葉にした私に、なのはがゆっくりと足を進めた。喉元にバルディッシュが突き刺さるのも構わずに。だから少しだけ、杖を突き立てる力を弱める。相変わらずなのはの動向を見守る面々は少しだけ眉を寄せた。


「……それ以上、来ないでよ。」


少しだけ後ずさって壁に背を付けた私の声は少しだけ震えていた。


「良いよ。刺しても。」


それからあまりにも穏やかにそう微笑んだなのはの声にビクリと震えた。私の不安を、全て包み込んで忘れさせてくれる存在があるとしたら、それはきっとなのはなのだろう。慈しむようにそう微笑んだなのはに、だけど私は止まれなかった。ここで私が観念して、過去も真実も何もかも受け入れて、なのはを愛しているという事実にだけ忠実に目を向けたなら、この私と言う物語は変わったのかもしれない。


だけど。


「…………狡いね。なのはは。」


あんなに泣いたのに、涙って無限なのかな…?昨日、枯れ果てるくらい泣いたと思っていたのに、頬を伝って流れた涙。涙を拭う事もなく、我慢することもなくただ呟く。


「フェイト、ちゃ…ん…」
「私がそんなの出来るはずないって、知ってるんでしょう?」


泣きながらそう言う私に、なのはが顔を歪めた。今まで見たどの表情よりも酷く悲しそうに。周りの皆は俯いたり、眉を寄せたり。この人数を突破するなんて私には無理。それに元の世界に帰るには、どうしてもこの世界の人にお願いしないと帰れないんだ。


「お願いだよ。」


ゆっくりと、バルディッシュの形態を戻す。それから、どうしようもなくて。足を進めてなのはに至近距離まで近づいた。なのはは悲しそうに私を見ていて、蒼い瞳にはほんの少し涙が滲んでいた。青い瞳に映る私は、これ以上ないくらい酷い顔だ。こんなことをするのは狡いって分かってる。きっとこの世界に来てからの私の待遇とかを考えると、私は本当に重要なサンプルとして扱われてるんだろう。クローンの。だから、きっと偉い人たちが帰らせてくれないってわかってる。


「助けてよ、………なのは…」


動けないでいるなのはの肩に額を当てて、小さく。本当に小さく呟いた。途端になのはの方がピクリと震える。ごめんね、なのは。こんな風に言ったら、きっと優しいなのはは私を帰らせてくれるでしょう?


こんなに好きなのに、傷つけることしか出来ない私は、もうここには居られない。


無理をしすぎたせいか、足の力が抜けて、次いでに貧血のような状態に襲われて、私はそのままなのはに寄り掛かるように倒れ込んだ。薄れゆく意識の中で、アリサと視線が合う。アリサの表情には見覚えがある。だけどいつそんな風に怒ったような悲しいような表情で睨まれたのかは覚えてない。

意識が途絶える直前に、











フェイト、やっぱりアンタは正真正銘の、大馬鹿よ。











アリサがそんな風に言った気がした。


私に言ってるのか、それとも──────?私には、もはやどちらでも良かった。




そんなことよりもただ、この世界から逃げたかったんだ。





─────ごめんね。
































テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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