non title.20

もうだいぶ引っ張ったのでそろそろ次くらいで真実編に入りたいですね。
なんか気が荒ぶっててもう一個くらい更新できるかしら(゚∀゚)←無理でしたw

追記から!20話。
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「貴女の好きな人はどんな人ですか」と、そう問われたら私はきっとこう答えたと思う。




強くて格好良くて、優しい人だったと。

それから少しだけ自信家で、でも大抵の事を難なくやってのけてしまうからだれも文句が言えなくて。


だから私は気付かなかった。強さの後ろに隠された弱さに。



そして、目の前で泣きながら私に「助けて」と紡ぐフェイトちゃんに、心臓を鷲掴みにされたようなそんな感覚を覚えた。元の世界。それはつまり、ここに来る前の生活に戻りたいってこと。

彼女を手放すなんて出来るはずがない。だけど、私はフェイトちゃんの願いを拒めない。いっそ無理矢理にでも、このままこの世界に閉じ込めて大切に守る事が出来たなら良かったのに。貴女の気持ちなんて考えず、ずっと抱きしめていられたなら良かった。だけど私には、そんな事出来ないんだよ……フェイトちゃん。





私の中で、答えはもう出ていた。


























『non title.20』





















「本気なの……?」


微かに、遠くの方で少し怒ったような諦めたようなアリサの声がした。まだ体がだるくて起き上がれない。遠くの方で今度は「もう決めたの」という声が聞こえた。なのはの声。静かで、落ち着いた声だった。私が身じろぎするとその話はそこで終わったみたいで、足音が一つ部屋から出て行った。


「目ぇ、覚めたか?フェイトちゃん。」
「…………うん。」


目を開くとベッド脇にはやてが座っていて、少しだけ困ったような顔でこっちを見ていた。その後ろの、丁度声がした方ではアリサが腕を組んで立っていて、その隣ですずかが何とも言えないような表情をしていた。悲しそうな、そんな感じ。部屋を出て行ったのはなのはだったみたい。


「少しは落ち着いた?」


アリサのやや怒り気味の声が私に向けられて、どうやらあの時の事を怒っているのかと少し悲しい気持ちになった。ゆっくり起き上がるとはやてが手を添えて私の体を支えてくれた。


「うん。さっきは取り乱してごめんなさい。……私、どのくらい寝てたの?」
「そんなに長い時間やないよ。3時間くらい。」


外は少し明るくなっていて、明け方くらいの時間なんだろうと悟った。それから部屋にはちょっとだけ重たい空気が流れていて、なんだか申し訳ない気持ちになった。さっきまでの混乱した気持ちはなくて、頭ははっきりしていた。それから「もとの世界に帰る」という気持ちはもう揺るがない願いになっていた。私の正体が何であろうと、私があの世界で過ごしていたのは事実。自分の正体なんてなんでも良かった。ただあの世界に帰れば不安も何もなくなると思ったから。自暴自棄とも言えるかもしれない。危険だと言われても、譲る気はない。


「……………なぁ、フェイトちゃん。」
「ん?」
「何かあったん?」


はやての真っ直ぐな視線に、私は瞳を閉じた。


「何かって?」
「ここ最近、フェイトちゃんおかしかったやろ?」


「プロジェクト・F」の事を知ってからの事だろう。私は静かに、穏やかに「そうかもね」とだけ答えた。さっきはあんなに取り乱していたのが馬鹿みたく思える。


「さっきの言葉は…本気か?フェイトちゃんの本気の願い?」
「………帰りたいって、言ったこと?」


閉じていた目を開く。今度は私が真っ直ぐに見据える番だった。私の意思に揺るぎがないこと。私の目を見れば分かると思ったから。


「そうよ。」


だけどその言葉に返してきたのは奥で傍観していたアリサだった。怒りを露わにしたような表情で私を見つめるアリサに、いつもなら気後れしてしまうのだけど今日の私は一歩も引かなかった。


「うん。私は、元の世界に帰る。もうここには居たくないんだ。」


はっきり明確に告げた私に怒り心頭なアリサがつかつかと寄ってくる。諌めるようなすずかをどかして、はやてをどかして、ぐいっと、私の寝間着の襟を掴みあげた。胸元が大きく乱れるけれどこの時ばかりははやても変な事を言わなくて、私も気にはしなかった。視線を逸らさずに真っ直ぐアリサに向ける。


「そんなの許せるはずないでしょ!」
「どうして許可が要るの?私は、私の意思で帰るって言ってるのに。」
「あっちじゃ満足に守れないって言ってんのよ!」
「守って貰わなくていい。私は…………」


捕まれたままの胸ぐらを、さらに引っ張られてちょっとだけ息が苦しくなる。


「そんな我儘許すはずがないでしょ!」
「────じゃあ、一つだけ質問に答えてくれる?」


パンッ、とアリサの腕を払うとアリサが少し驚いたように手を押さえて怪訝な顔をした。はやてもすずかも、はらはらしたような表情でこっちを見ている。乱れた襟元を戻す途中ではやてがちょっとだけ悲しそうな声で私の鎖骨を指差した。


「その傷。どうしたん?」


この流れの中には全く関係のない私の傷の話。なのはにも聞かれたから二回も言うのは少し気が引けたけれど、「小さい頃に転んだ」と手短に答えた。この傷がなんだというのか、少し苛立っていたのかもしれないけれど。そんな私のそっけない答えにそれぞれ微妙な反応を返すけれど、私はすこし首を捻っただけだった。


「それで?答えてくれるの?」
「私たちが知る範囲の話なら答えるわ。言っておくけどあの時あの画面の男の言った事気にしてるんだったら───」


「考えるだけ無駄よ」とアリサが言うのと同時に。


「プロジェクト・FATE。」


一言だけ言い切った。途端3人の顔色が変わる。驚いたような焦ったような表情に。その瞬間に、質問も質問の答えもどうでも良くなった。皆の反応で「何かを隠してるか」どうかと言うのは分かっちゃったから。


「フェイト…」


それが何よ、と言いかけたアリサに少しだけ悲しく微笑む。皆の事は大好きだ。命の恩人だし、何だかんだで怒ったりするけど優しくて、2歳も年が離れてるけど親しい友達みたいに思ってた。なのはへの想いとは違った気持ちで、大好きだ。


「アリサ。それにはやて、すずかも。………皆には本当に感謝してる。」


皆が私の事をどういう風に思っていたかは知らないけれど、それでも感謝してる。私の事を騙していたのか、それとも「事実」は言えない事だったかなんてどっちだって良い。事実がなんだって良い。


「でも、それでもやっぱり……私は帰りたい。」


何が本当で何が嘘でも。あの世界に帰ったなら、私はここに来る前の私に戻れると思うんだ。今の私は、少し辛いから。「私がクローンだ」っていう事実が私の思い違いだったとしても。それでも、思い違いじゃないという確信があった。それが、私の元がなのはの元恋人だというのなら尚更苦しい。


「───なのはの事は、良いの?」
「なのはの事は、今でも好きだよ。とても。」
「じゃあ……」


そう言って私の肩を掴んだアリサ。少し泣きそうな顔をしてるアリサに苦笑した。


「だから辛いんだ。だから苦しい。………だから、帰るんだ。」
「何でよ!好きなら側に居たら良いじゃない!」
「いられない!」


ギリッと私の肩に爪を立てたアリサに、叫ぶ。途端に、部屋には静寂が戻ってきた。


「────好きだから、もうここには居られないんだ。」


誰も、誰かの代わりにはなれないから。そう言って立ち上がった私に。


「フェイト。あんた……」


「何か勘違いしてない?」とアリサが言い終わる前に。部屋の扉が開く。部屋に入ってきたのはクロノとユーノ。それからリンディさんと、なのはだった。

私がここに来た時に居た面々。なのはの手には小さな手荷物。どうやら私の荷物をまとめてくれたんだろう。私の前にその荷物を置くと、なのはは少しだけ困ったように微笑んだ。


「……私の、荷物?」
「着替えもね?」


そう言ってなのはは微笑むと、他の面々をいったん部屋の外へと退出させる。


「フェイトちゃん、今のうちに着替えちゃって。」
「ぇ?」
「その格好で帰るつもり?」


それから私の恰好を指差して、クスッと微笑んだ。そしてちゃっちゃと私の服を目の前に広げて「手伝って欲しいの?」冗談めかして笑う。自分で言いだした事だけどまさかこんなに早く帰れるとは思っていなくて、私は目を瞬いていた。


「帰…れるの?……良いの?」


私のそんな言葉に、さっきまで笑っていたなのはは少しだけ切なそうに眉を潜めてそれから私の額にコツンと額を付ける。


「良いよ。………私はフェイトちゃんに笑ってて欲しいの。どんな時も。」


私に額を付けて瞳を閉じるなのはは、それから呟く。


「私はフェイトちゃんの望みを叶えてあげたいの。」


私を諭すように優しく、穏やかにそう言うなのはは「とは言っても隠れて護衛とかついちゃうんだけどね」とおどけて見せる。その護衛の中にはなのは達は入れないらしかった。


「最後まで我儘言って、ごめん。」


結局なのはは私の着替えを手伝ってくれて、私は為すがままにシャツに袖を通しているところ。ぽそりと呟いた私の謝罪の言葉になのはは優しく微笑んだ。


「フェイトちゃんは何も気にしなくて良いんだよ。」
「でも………」
「もともと無理やり連れてきちゃったようなものだし。」
「それは私を危険から守ってくれる為に……」
「その危険も、私たちが責任もって排除するから大丈夫だよ。」
「ぇ?」


聞き返した私に、なのはは微笑むだけ。それから、私の背中をポンと叩いて「着替え終わり」と言う。その拍子に、なのはの喉元に小さな傷を見つけて胸がちくりと痛んだ。その傷は私が付けたものだ。


「なのは……」
「うん?そろそろみんな呼ぼうか。」


なんて言いながら私に背を向けたなのはを引き寄せる。いきなりで、少し強引に引っ張ったせいかバランスを崩したなのはを抱きとめて、強く抱きしめる。きっとこう出来るのもこれが最後だと思うから。



「なのはが…好きだったよ……。」


矛盾。好きなら元の世界に帰らずただずっとなのはの側に居れば良いのに。だけどやっぱり出来ない。ここに来てから私はずっとなのはに守られてばかりで、優しくしてもらってる。なのに、私はなのはを傷つけてばかり。ごめんね。


「私も、フェイトちゃんが大好きだよ。───誰よりも、何よりも。」




そっと腕に添えられたなのはの手は、少しだけ震えていた。



















































「なのはの奴、本気なのね。」


医務室の外。アリサが仕方なさそうに呟いた言葉に、そこに射居た面々が小さく溜息を吐く。今も昔も何もしてやることが出来ない自分に、そこに居た皆が重苦しい空気の中佇んでいた。


「なのはちゃんの気持ち考えると辛いな。」
「フェイトちゃんも辛そうだったけど…」


はやての言葉にそう返したすずかはとある人物を思い出して、続けた。


「こうなる事もありえるって、あのフェイトちゃんは分かってたのかな…?」
「知らないわよあんな馬鹿。」




『なのはを傷付けるなら、私は誰であれ許さない。それが私でもね。』




アリサはぼんやり思い出していた。自分と同じ年なのに優秀で自信家で、頭が良かったその親友が最後に言った「私は賭けに出てる」という言葉を。


その言葉に期待を抱いても良いのだろうかと、アリサは一人瞳を閉じた。

























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