non title.22

いきまっする(・ω・)!
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「本当に、良いの……?」


今さらな私のその言葉に皆が頷く。アリサに関しては「何よ今さら」なんて小突いてきた。着替え終わった私は、皆に協力してもらって、良く分からないけれど転移魔法と言うものを展開してもらっている。この魔法は凄く魔力を使用するらしくて、リンディさんとクロノと、それからユーノが3人がかりで協力してくれた。そして、なのは達が見送ってくれる形になっている。


「フェイトちゃん、気を付けてね。」


目の前に展開された魔方陣の中に入るように私の背中を押しながら、優しくそう微笑むなのはにとても胸が締め付けられた。本当に、最後の最後まで私は我儘を言いっぱなしだ。結局守られてばかりで何も返せてない。


「ごめんね。……私、皆に何も返せてないのに…」


悔しさに、手を強く握る。何が悔しいかって、それは自分の弱さだ。そんな私の手を、暖かく落ち着く温もりが包んでくれた。包んだのは、なのはの手。


「良いんだよ。フェイトちゃんは私にたくさんの物をくれたもん。」
「ぇ?」


なのはの言葉に顔を上げると、私の周りを淡い光が囲む。それと同時に3人の魔力流を感じた。


「フェイト、良く聞け。僕たちが君を送り返す。到着地点は君の自宅予定だ。」
「う、うん。」
「一応君には護衛がつく事は了承してくれ。……すまないが。」
「分かった…。」


クロノの言葉に首を縦に振る。


「フェイトちゃん、何や…とりあえず向こうでも元気でな。」
「ありがとうはやて…。」


いつも冗談っぽい事しか言わないはやてだけど、この時だけは少し悲しそうに眉を寄せてそれからひらりと手を振る。何だかんだで、とても頼りになる存在だった。


「魔法の使い方に気を付けてね?あと風邪ひかないように。」
「すずかも、ね。」


それからすずかが、微笑んだ。すずかは忙しいせいか中々一緒にいる機会も少なかったけれどいつだって私を案じてくれてた。あと、アルハザードの王様の話をしてくれた事が凄く印象に残ってる。理想のお姉さんで、凄く優しい人だった。


「フェイト。あんたは本当に大馬鹿だったわ。」
「今度会ったら殴って良いよ。」


それから最後の最後に悪態を吐いたアリサに苦笑した。アリサは最後まできついことを言ってきたけど、それも私やなのはの為だって分かってる。アリサはいつだってなのはの事を気遣ってた。それから本当に私の事を思ってくれてた。アリサになら殴られても良いなって思える。


「………フェイトちゃん。」


最後に、もう一度なのはに向き合った。亜麻色の綺麗な髪。済んだ、大空のような蒼い瞳。きっと私は空を見上げる度に、なのはのことを思い出してしまうだろう。そしてきっと、切ない気持ちになるんだろう。


「なのは……元気で…ね。」


触れようと伸ばした手を、なのはがやんわりと押し留めるように戻す。相変わらず暖かい手。触れるのはこれが最後なんだろうか。私はもうこっちの世界に来ることはないと思う。なのはもまた、私の世界には………来ないのかな。なのはは本当は私と同じ世界出身だと言っていたけれど、それでも会う事はないんだろう。私の手を押し戻したなのはは困ったように微笑んだ。


「フェイトちゃん、ちゃんとこの中に入らないとダメだよ。」
「ぁ、…うん。」


魔方陣への魔力の注入(というのかな?)が強くなるのを感じて、少し身を引く。と、「行くぞ」というクロノの掛け声とともに魔力光が激しくなった。変な不安感と、それと同時に胸が熱くなる。───本当にこれで良いの?という疑問が、ぐるぐると渦巻いていた。俯いていた顔を上げれば、4人が心配そうに見つめていてなのはに関して言えば唇が震えているような何かを言いたそうなそんな表情だ。


────本当にこれで、良いの?私は。


側に居たい。離れたくない。守られるばかりじゃなくて、守る存在になりたい。留め金が外れたように溢れる気持ちに、ぐっと唇を噛んだ。今さらそんな事言っても仕方がない。これがお互いの為なのだと、意固地になって手を固く握った。……もう、自分がどうしたかったのか良く分からなくなってきた。頭の中がぐちゃぐちゃで、息が苦しくて眉を寄せる。


「─────と、ちゃ…ん」


なのはの唇から零れ落ちた、その私を呼ぶ声。切なく紡がれた名前が私の名前なのかはたまたあの墓に刻まれた「フェイト・T・H」の名前なのか分からなかったけれどどうでも良くなったんだ。ただ、触れたかった。



「っ!…なのは────!!」







ギリギリのこのタイミングで私は力いっぱい叫んで、魔方陣から飛び出した。手を伸ばして、抱きしめたくて。目の前で驚いたような顔をしたなのはの表情が私の網膜に貼り付いて、だけど私の手は彼女を掴む事はなく、私の声が彼女の耳に届いたかも怪しい。正確には魔方陣の中から飛び出そうとして、途端に視界が真っ白になった。最初にこの世界に来た時とは違うルートだったようで、空に落ちるような感覚はなくて。私が動いたというよりは、周りが動いたような感じだ。切り替わったというか、そういう感じ。そういえば私が叫ぶと同時にクロノが何か言ってたな………。良く聞こえなかったけれど、



目の前にはテレビと、テレビボードに飾られた写真。真っ暗くブラックアウトされたテレビの画面には、片手にかばんをぶら下げて、もう片手を目の前に伸ばしている何とも間抜けな私が映っていた。外は夕暮れ時のようで、「あっちでは朝だったのに」とかぼんやり音がない部屋で呟く。


「本当に、一瞬だった……な。」


もう少し余韻に浸らせてくれても良かったのに、と心の中で毒づく。外では住宅マンションでおなじみの子供の声や、車の音が響いていた。


「帰って、来ちゃったのか。」


自分で望んだことなのに、胸にぽっかりと穴が開いたような空虚感が残る。時計はそのまま動いてるし、冷蔵庫を覗けば特に悪くなるようなものは入っていなかった。寧ろ心遣いなのか、封の空いていない真新しいボトルの水が数本。電気も、テレビも点く。日付は少し進んでいるけれど、何も変わらない「私の世界」が広がっていた。何だか、あっちの世界に居たことが夢だったみたいだ。


ドカッと部屋のソファに腰を掛けて背中を背もたれに投げ出して天井を見上げる。久しぶりに自分の部屋に帰ってこれたというのに、全然嬉しくない。嬉しくないはずがないのに。ここは私の生まれた世界だ。クローンとかそんなじゃなくて、魔法もない、月も1つしかない平凡な世界。テレビボードの上の写真には両親と幼い私の姿が映っているし。何もおかしくない、ごくごく普通の高校生に戻れるんだ。どうして素直に喜べないんだろう。


「今日は何曜日かな……?」


テレビをつけてみる。なるほど今日は日曜日らしかった。明日普通に学校に行ったら皆に驚かれるだろうか?「久しぶり」なんて適当に挨拶する自分を想像して少し苦笑した。本当に「普通」だったから。この世界には魔法も、クローンなんてものも存在しない。私は、やっぱり平凡な高校生じゃないか。この世界は私の世界で、この世界には─────……この世界には、彼女が居ない。


私は、どうしてこっちに帰りたかったんだっけ…?


こうすることが、私の望みだったんだっけ?




────良く、分からない。




ただこの世界で安心したかった。私は「普通」なのだと。クローンだとか魔法だとかそういうおかしなものは存在しない私の「常識の範疇」である世界に身を置いて安心したかった。




なのに、どうしてこんなに虚無感が膨らむんだろう。


きっと疲れてるせいかもしれない。





眠ればきっと落ち着くのだろう。そうあることを願って、私は瞳を閉じた。








































「っ!…なの──────」



転移のその瞬間に名前を呼んで伸ばされた手を。掴んでしまえば、良かったのだろうか。目の前で瞬く間に消え去った彼女は、最後に何を思って私の名前を呼んだんだろう?一瞬で転移された彼女の姿はもう無い。


我慢に我慢を重ねてきた感情がゆらりと揺れて、膝から力が抜けた。


「ふ、ぇっ………、…」


我慢した分、勢いよく頬を伝って涙が零れる。瞬間だったけれど手を伸ばせば彼女に届いたのに、だけど私はそれをしなかった。泣いていた彼女を思い出したらそんなこと出来なかった。もしかしたら彼女自身迷っていたのかもしれない。だから私はすぐに彼女を元の世界へと送り出した。


「あっと言う間やった、ね。」
「なのはも決断が早かったわね。」


ふわりと私の頭を撫でるアリサちゃんの言葉に頷く。立ち上がるのにすずかちゃんが手を貸してくれて、私はふらつく足で立ち上がる。


「…………決着を、つけよう。」


涙で濡れた頬を、痛いくらいに擦って呟いた。今は辛さも何も忘れて戦うと決めたから。「助けて」と私に縋った彼女を守るために、全てを終わらせる。














フェイトちゃんには、全てを忘れて幸せになって欲しいの。


例えその世界に私が居なくても。




─────ねぇ神様。そのくらい願っても良いよね?











愛しい貴女が、幸せでありますように。




































そろそろ…ね…













テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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