Tell a lie.(前

ごめんなさい、1話に留まらないオワタw

web拍手 by FC2













「うわぁ……4年ぶりかぁー…。」


私、高町なのはは4年間の留学を終えて生まれ育ったこの故郷、海鳴へと帰ってきた。色々な事情で留学に出たのが高校生の時。当時の事を振り返っても、つい最近みたいに思い出せる。あの頃の友達たちは今は大学生。──私も皆と同じ所に通うつもりなんだけどね。もう編入試験も受けてるし。


「なのは、お帰りなさい。」
「あ、お母さん…ただいま。」
「どう?4年ぶりの故郷は。」


呼ばれて振り返るとお母さんが空港に迎えに来てくれていた。私の家族は留学中に何度か私のところに来てくれたから「久しぶり」と言いかけて「ただいま」という言葉を選択した。家族に久しぶり、なんて少し変だもんね。


「うーん、思ったより変わってなくて安心したかも。でも懐かしいな。」
「そうでしょう?車、こっちよ。」


そう言って手招きされるまま車に乗り込んで、発進してから車の通り道をきょろきょろと見る私に、お母さんは運転席で苦笑しながら「そういえば」なんて口を開く。


「そういえば、この間アリサさん達が来たのよ。」
「お店に?」
「そうそう。っていっても常連さんだからいつも来てるけど。」
「そうなんだ。皆変わってなさそう。」


お店と言うのは私の実家でやっている喫茶店でアリサちゃん達、というのは私のお友達のこと。4年ぶりの再会なのに、どうしてか皆の様子が想像できちゃうのはなんでだろう、なんて笑みを浮かべる私にお母さんは「なのはが帰ってくること教えておいたわよ」なんて微笑んだ。


「皆なのはが帰ってくるの楽しみにしてたわ。」
「私も皆に会うの楽しみだなー。……皆は相変わらず?」
「えぇ、でもやっぱり大学に行き始めてから皆大人っぽくなったわね。」


「もちろん、貴女も大人っぽくなったけどね」と付け足して。


「はやてさんは相変わらずだけどね?」


それからそう言ってクスっと笑う。私はそんな話を聞きながら車の窓の外を眺めている途中で、不意に視界の端に触れた薄金色の後ろ姿に、心臓が強烈に跳ねた。風に靡いた長い薄金色は、4年ぶりに見る色で。だけど車の進みに乗じて、直ぐに視界から逸れた。視界に入ったのはほんの一瞬。────彼女じゃ、ないよね。未だにトクントクンと激しい運動を繰り返す心臓をひと撫でした。


「………なのは?どうかしたの?」
「ぇっ?何でもないよ。ちょっと外の景色に見入ってた。」
「そう?帰ってきて早々学校なんて良かったの?少しゆっくりして街を見ても良いのに。」
「良いよ、早くこっちの学校も行きたいし。」
「まぁ、体に疲れも残ってるだろうから無理しちゃだめよ?」
「うん。」


そうしてしばらくして、4年ぶりの実家に帰ってきた。懐かしいなぁ、と見上げて何だか本当に「帰ってきた」って気分なの。


「なのはー、お帰りっ!少し背伸びた?」
「お姉ちゃんっ。ただいまー!」


久々に帰った私を出迎えてくれたのはお姉ちゃんで、お父さんとお兄ちゃんはお店にいるみたいだった。それから他愛もない話とか最近の話を聞いたり。


「あ、そう言えば帰ってきたらアリサちゃん達に連絡する約束だったんだ!お店に居るって言ってたような。」
「あらまぁ。それじゃあ早く連絡してあげた方が良いわよ。ついでにお父さんにも顔見せてあげたら?」
「うん、今から行ってくる!」
「送って行こうか?」
「すぐそこだから平気!行ってきますっ!」


慌てて思い出して家を出る。帰って来たばかりなのに慌ただしくて、私は申し訳ない気持ちで玄関を出て4年ぶりの道を歩いたのでした。








「───なのは、こっちよ。」


それからお店に顔を出してお父さんたちに挨拶を済ませてから席を見渡す私に、やや控えめな呼び声。向いた先には3人のお客さんが座っていて、久々のその面子に私は笑みを浮かべる。


「わっ、皆久しぶりっ!」


そこに居たのは昔からのお友達で。


「なによ、あんまり変わってないわね。」
「久しぶりだね、なのはちゃん。」
「なのはちゃん、ちょぉ美人さんになったんちゃう?」


4年ぶりだというのに相変わらずな皆の反応にわいわいと声を上げたのでした。とちゅうでちょっと周りにお客さんが居ることを思い出して声のトーンを少し控えて。


「皆元気してた?」


それから運ばれてきた紅茶を飲みながら、そんな風に話を始める。目の前に座っているのがアリサちゃん。その隣がすずかちゃんで、私の隣にいるのがはやてちゃんだった。


「元気もなにも、見ての通りよ?」
「なのはちゃんも、なんや大人っぽくなったなー。」


昔話から今までの話とか。特に学校の話とか色々聞きながら明日から通う学校に思いを馳せる。やっぱりまた皆と同じ大学に通えるのは嬉しいもんね。


「フェイトも今日来れれば良かったんだけどねー」


と、そこで出た名前に再び先ほど同様、胸が騒ぎだした。


「ふぇ、フェイトちゃんは元気?」


平静を装ってそう尋ねると、肩を竦ませたアリサちゃんが「相変わらずよー」と答えたのでした。私はそのまま紅茶に口を付ける。


「フェイトちゃんもなのはちゃんに会いたがってたんやけど、どうしても外せない予定があるとかでな?───まぁ、明日には学校で会えるから予定優先するよう言うたんやけど。」
「………そ、そっか。」


そう言いながら紅茶をテーブルに置いた私に、すずかちゃんが困ったような表情を浮かべて首を傾げた。


「もしかして4年間連絡取ってなかった?」
「う。………だって、もう付き合ってるわけじゃないし。何話して良いか分からなかったんだもん。」


言い訳するみたいに小さい声で言うと、目の前に座るアリサちゃんが小さく溜息を吐いた。


「別に喧嘩別れしたわけでもないんだから普通にしてれば良いじゃない。」
「そ、それは…!……そうだけど。」


居た堪れなくなって再び紅茶に口を付ける。それから溜息を吐いて、「だって」と付け加えた。


「だって、振られたの私だもん。」


なんて連絡とって良いか分からないじゃない、と愚痴を零す。「フェイトちゃん」というのは私が昔(といっても4年前までだけど。)付き合っていた人。留学間際に振られてしまったのだけど。


「振られた言うても、アレやろ?白紙に戻そう、みたいな。」
「…………何で知ってるの?」
「なのはちゃん自分で言うてたやん。泣きながら。」


最初は「留学期間中も待ってる」って言ってくれてただけに、「関係を白紙に戻したい」と言われた時はそれはもう泣いたけど。───あれ、当時は結構混乱してたのかあんまり自分で言ったこと覚えてないや。


「でもフェイトちゃん、なのはちゃんの見送りには来てたよね?」
「うん。……特に、何かあって別れたとかじゃ……ないんだけど、さ。」
「なら帰ってきたらヨリを戻すつもりだったんじゃないの?」


それから本人を目の前に、なんていうか無遠慮なお話が展開されるわけで。あれ?帰ってきて早々こんな話なの?別れたのは4年も前でそれ以来連絡も取っていないような相手だけど、やっぱり若干傷つくわけで。他に話題ないのかな。


「もう、この話は良いじゃない。昔の話だもん。」


はいはい、と手を叩いて無理やり終わらせようとする私に3人の視線が集中する。


「なによ、4年の間に新しい恋人でもできたわけ?」
「そんなのいないよっ!///」
「力いっぱい否定したから安心したわ。」
「ふぇ?」
「やっぱり私はなのはちゃんの隣にはフェイトちゃんが一番合ってると思うな。」
「す、すずかちゃん!?///」
「私かて同じ気持ちややよ?あんだけ目の前でイチャこらされてたの見てたら、ほかの人とか想像できへんし。」
「それもそうだわね。フェイトにしたって連続更新守り切ってるものね。」
「ぁ、アリサちゃんまで……?連続更新ってなぁに?」


皆してそんな勝手な…。私が訪ねた言葉に3人が目を見合わせて、「告白者なぎ倒し記録」と3人とも声を揃えたように答えたのでした。


「なのはちゃんが留学に行って、フェイトちゃんと別れたっていうのが広まってから凄かったんだよ?」
「そ、そうなの?」
「そうよ。一時期フェイトもげんなりしてたもの。」
「結局誰とも付き合わへんかったから、なのはちゃんのこと知っとる人はフェイトちゃんは未だになのはちゃんの事が好きなんやないか、って言ってるくらいや。」


そんなはやてちゃんの言葉に胸がトクン、と跳ねる。4年間。私だって誰かに想いを告げられたことはある。だけどその度に思い出してしまうのは彼女の事だった。優しかった瞳だとか、香りだとか声だとか…温もりだとか。4年経った今でもまだ彼女の事を好きでいる自分が居る。


「てゆーかこの話はもうおしまい!!!」


机を強めにバン、と叩くとあちこちの机からちょっとだけ視線が集まる。ついでにいうとお父さんとかの視線も感じる。


「まぁ、そうね。どうせ明日学校で会うんだし上手くやんなさいよ。」
「てゆーかフェイトちゃんも普通に会いたい言うてたしな!」
「普通に放っておいて!//」
「頑張ってね、なのはちゃん。」


そんな風に4年ぶりの友達との再会は、何て言うか散々なのでした。それから他愛もない話をして、明日学校を案内してもらう約束をして私は家へと帰ったのでした。薄暗くなった空に浮いている白い月を見上げて「何処となく彼女に似ている」と何度も違う国で彼女の事を想ったっけ。なんて苦笑しながら。























「何だか久々に見たからかもしれないんだけど、この学校大きいよね。」
「そう?私たちはもう慣れたから何とも思わないけど。」


4年以上前にも何度か見学に来た事はあるけど、いざ通うとなると凄く大きい。大学だから皆私服だし、なんか迷いそう。皆に案内して貰えて良かった……


「あ、あんた先にフェイトのとこに行きなさいよ。」
「ぇえっ!?なんで急に?///」
「そやな、昨日会えへんかったんやし、フェイトちゃんも会いたがってるやろ。」
「フェイトちゃんならこの時間講堂にいるんじゃないかな?」
「はやてちゃんにすずかちゃんまで…!?///」


まだ心の準備が出来てないのに!なんて言いながらずるずる腕を引かれて学校内を歩く私、多分凄く目立ってると思う。


「多分ここね。」
「ちょ、ちょっと待っ───///」


勢いよくガラガラッと扉を開けたアリサちゃん。せめてもう少し控えめに開けてよ、とか涙目で思いつつ私も講堂内に視線を向ける。4年ぶりに元恋人に会うって、凄く勇気のいる事なのに。


「なによ、まだ来てないのかしら?」


だけど生憎、というかなんというかフェイトちゃんはまだ講堂には来てなかったみたい。アリサちゃんに続いて扉の中を覗き込んだはやてちゃんとすずかちゃんが「本当だ」とか言っている。───嬉しいような、悲しいような。


「何してるの?皆。」


だけど、引きずられた体勢のままの私の後ろ。聞きなれた懐かしい声が聞こえた。その声は若干呆れ気味な声で、だけど優しい落ち着いた声。


「フェイト!?後ろから急に話しかけるのやめなさいよ!」
「だって入り口に皆が溜まってるから……。」


前からは話しかけられないじゃないか、なんて続ける。私はというと動けずに石になったように硬直していた。だって、今振り向いたらフェイトちゃんが居るわけで。


「ほら、なのは!ちゃんと立ちなさいよ。」


引っ張ったのはそっちなのに理不尽な。というか私の気持ち読んでよ。そんなアリサちゃんの声に「ぇ?」と小さく声を漏らしたのはフェイトちゃんだった。そこからゆっくりと顔を上げた私の視界に映ったのは紅くて懐かしい、優しい瞳。4年ぶりに見たその人は何処か大人びていて、4年前は掛けていなかった黒縁の眼鏡が大人っぽさと知的さを醸し出していた。


「ひ、久しぶり……。だね。」


辛うじて、ちゃんと言えたその言葉に。


「お帰り、なのは。久しぶりだね。」


フェイトちゃんはふわりと柔らかに微笑を浮かべたのでした。昔のまま優しい笑顔を浮かべる彼女に胸が高鳴って、私も「ただいま」と答える。


「元気だった?えっと、4年ぶり、かな?」


とりとめのない会話。別れてから私が出発するまでもそうだったけど、普通に接してくれてることが嬉しくて私もちょっとだけほっと胸を撫で下ろす。4年前と何も変わってないことが嬉しかった。


「眼鏡、掛けるんだね。」
「ぇ?………あぁ、少し視力が落ちてね。…変かな?」
「うぅん!似合ってる!!」
「ふふっ、ありがとう。」


眼鏡のせいか久々に会ったせいか凄く格好良く見えるフェイトちゃんに顔が赤くなってないか心配になってきた。


「………あんたらさっそく私たちの存在忘れてるわね。」
「アリサ?」
「目の前で勝手にイチャつくのやめてくれるかしら?」
「ぁ、アリサちゃん!そんな───///」
「アリサ、私となのははもうそういうのじゃないんだから、冷やかしはダメだよ。」
「そ、……そうだよ。」


不意にフェイトちゃんが何気なく言い放ったその言葉にツキン、と胸が痛む。「そういうのじゃない」それは分かってるけど何処か昔のままなのかと錯覚してしまった。アリサちゃんもそのフェイトちゃんの言葉に予想外だったのか目を見開いてから、「悪かったわね」と小さく呟いた。そんな何処となく気まずくなりそうな雰囲気の中。


「フェイトさん!探しましたよ!」
「……ティアナ。」


駆け寄ってくる、やや怒り気味の女の子が1人。見るからにフェイトちゃんに怒りの視線を向けている子だった。私たちより少し年が下に見えるかな?


「もう、約束の時間過ぎてるじゃないですか。」


そう言いながら、私と視線が合ってお辞儀をする。私も慌てて頭を下げた。


「ごめん、少し用事があるから行くね。なのは、また後で話そう。色々聞かせてよ。」
「ぁ、うん。またね!」


慌ただしく私にそう叫ぶフェイトちゃんに、私もそう答えたのでした。怒ったようなその子に困ったように引き連れて行かれるフェイトちゃんの姿が見えなくなるまで見て、それから皆に聞いてみる。


「さっきの子って、同じ学年の子?」
「違うわね。確か2個くらい下だったはずよ。」
「付き合っ───」
「それはないで。だってあっちの子ぉが付き合ってる子居てるし。」
「そっか………。」
「最近一緒に居るのよく見るけど、フェイトちゃんもそういうのじゃないって言ってたよ。」


恋人ではない、というのを聞いてどこか安心している自分が居た。それから皆に学内を案内して貰って、午後にはフェイトちゃんもやって来て皆で懐かしい話をしたり。それから「付き合ってる時はこうだった」とか、過去の事を思い出と割り切ったような話し方をするフェイトちゃんにほんの少し胸が痛んだりしたのでした。































4年ぶりに帰ってきた彼女はとても可憐で可愛かった。あの場で平静を保って切り抜けられたのは、多分心の根本に「とある事」が根付いているからだ。時間を守らなかった私に、若干怒り気味に先を歩くティアナの後を追いながらそんな事を考えていた。


「フェイトさん、さっきの方って………」


それからずんずんと進んでいたはずのティアナが足を止めたので私も合わせるように足を止めて、ティアナの言葉に疼痛を感じながら、だけどさらりと答える。


「元、恋人だよ。」
「前に言ってた方ですよね?」
「そう…だね。」


それからこちらに振り返って、相変わらず怒ったような悲しいような表情で紡いだ。ティアナにしては低く、だけど良く響く声で。


「あの事、言わないんですか?」


ティアナの言葉に一瞬だけ眉を寄せて、だけどすぐに私は小さく微笑した。


「言わないよ。そう決めたことだから。」
「………でもまだ好きなんですよね?」


そう無遠慮に、少し感情的になっているティアナには何も答えなかった。


「好きなら、ちゃんと言うべきです。」


何も答えない私に「すいません」と俯きながら絞り出したようなその指摘に、私は一歩足を踏み出してティアナの先に進み出る。それから自分でもびっくりするような優しい声音で答えを一言だけ述べた。ずっと待ってると言った約束を撤回した日に、決めたこと。




「……好きだから、言えない事もあるよ。」







そんな私の声はその通路に恐ろしいほど静かに、だけど強く木霊したのだった。





















next


たぶん続く…かな…








テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

コメント

非公開コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
プロフィール

92

Author:92
なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2拍手記事別ランキング
FC2拍手記事別ランキング
FC2拍手記事別ランキング
twitter
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR