一人で行くを選択

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「あー、なのは。私は本当に大丈夫だから……少しだけ待っててくれる?」
「ふぇー?」
「すぐ戻ってくるから。ね?」
「うー…1人で大丈夫?」


心配そうにそんな風に言うなのはに苦笑して頷くと渋々承知してくれたので、私はその格好のまま部屋を出た。この格好でうろつくんだったらバリアジャケットでうろつきたかったな、なんて思いながら。

それから誰にも合わないように慎重に歩きながら通路を抜けて医務室にやって来る。医務室にははやてとシャマルさんしか居なくて一安心しながら医務室の中に入った。


「おぉ、フェイトちゃん……何や偉い可愛らしい格好して。」
「あら本当。狼さんかしら?」
「……なのはがどうしてか持ってて。それよりこの姿、早く何とかならない?」


そろそろ我慢の限界なんだけど、と付け加えて助けを乞う。なのはは少しだけ嬉しそうだったけど私は恥かしさとかそういった気持ちで気が気じゃない。

そんな私にはやてとシャマルさんは一度目配せをして。それから私の目の前に小瓶を出した。あの時と同じサイズの小瓶。だけどあのふざけたラベルは貼ってない。


「ラベルは間に合わなかったんやけどね?」


いや、ラベル要らないし。


「これは………?」
「連絡を受けてから急いで作った解毒薬よ。」
「………私が飲んだ奴って毒だったの?」
「いや、それは言葉の綾やけど。とにかくフェイトちゃんの体を治す薬や。」


目の前に出されたその小瓶の中にはまたしても謎の液体がなみなみと入っていて。液体をまじまじと見つめた後に、2人の顔を見る。2人とも満面の笑みだ。とても怪しい。実験したくて仕方ない、っていう心の声まで聞こえてきそうなくらい。


「や、やっぱりいいよ……。時間が経てば治るんでしょう?」
「そ、そんな!折角作ったのに……」


私が少し遠慮がちにそう言うとオーバーアクションを交えつつシャマルさんが「酷いわ」なんて泣き始めた。私には分かる、絶対嘘泣きだ。


「いや、だって明日までの我慢ならそんな危険な橋渡らなくても……」
「フェイトちゃんは私らの苦労を無駄にするつもりか?あんなに頑張った私らの……」
「そんな事言ってないけど…。大体私の事実験台にするつもりでしょ。」


そうはいかないよ、と小さく息を吐く私に。


「フェイトちゃん、なんだかんだ言ってその格好気に入ってるんちゃうの?」
「は?」
「そんな可愛らしい狼さんルックのお洋服なんて着て。」
「だから、これはなのはが…………はぁ、分かったよ。飲むよ、それ。」


結局私ははやてには勝てないんだった。それなら潔く飲んだ方が早いだろう。どうせこれ以上は悪くならないんだし。もし戻れたらラッキーじゃないか。

カチカチ、と金属音を鳴らして小瓶の封を開ける。


「あ、フェイトちゃん。」
「今度は何?」
「服…着替えてから飲んだ方がえぇと思うけど。」


そう言われて自分の恰好をもう一度見る。なるほど確かにこの格好のまま大人の体に戻ったら大変な事になりそうだ。という事は本当に戻れる薬なのかな?私も結構疑い深いなぁ、なんて苦笑して。


「これ、シグナムのやけど。」
「ありがとう。」


飲む前にぶかぶかなシャマルの服を借りて着替えた。多分元に戻ったら丁度良くなるはずだから。それにしても本当に服が大きい。腕を何回もまくり上げて、私は小瓶を手に取った。


「……本当に大丈夫なんだよね?」
「もちろん。はやてちゃんと私が保証するわ。」


正直はやてにもシャマルさんにも不安が大きいんだけど。


「…頂きます。」


神様悪い事が起きませんように、と念じてその液体を流し込む。最初に飲んだ液体は甘かったのに対して今度のは凄く苦かった。


「んぐっ……」


その辺の草でもすり潰して入れたような味だ。これは酷い。一気に飲み干した後、私はその小瓶を投げ捨ててそのまま床にへたりこむ。心臓が酷く激しく鼓動して、またあの時同様骨が軋むような痛みが走った。


「フェイトちゃん、ちょっとの辛抱や。」
「っ……ぁ、く…」


そう言えば縮んだ時もこんな風だったな、なんて思いながら。じっと目を閉じて待つ。体が熱くてじわじわと汗が滲んだ。遠くではやてやシャマルさんが呼ぶ声が聞こえる気がして、だけど返事が出来ずに首だけ動かして聞こえていると伝えた。






それからしばらくして。


「─────… フェイトちゃん」
「……う。」


どのくらい経ったのか分からないけど恐らく数分だろう。混濁していたような意識がクリアになって、ゆっくりと体を起き上がらせた。


「大丈夫か?」
「なんとか……」


そう言って頭を抑えようと手を額に持ってくる途中で視界に自分の手が入った。さっきよりも大きい手。そういえばシャツがぶかぶかじゃあない。


「あれ?」


ゆっくりと立ち上がって。


「はやてが、小さい……」
「放っとけ!」


そんなやりとりを交わした私の前にシャマルさんが鏡を持ってきてくれて。その鏡に写った自分を確認して、安堵の息を漏らした。

いつも通りの自分がそこに写っていたから。


「良かった……戻れた、んだ。」
「せやから言うたやろ?大丈夫やって。」
「もとはと言えば大丈夫じゃなかったからあんな姿になってたんだけど?」
「え?や、まぁ……それはそれ、みたいな?」


相変わらず調子の良い笑みを浮かべるはやてに苦笑して。


「残った薬の方で変な事企まないようにね?」
「え?あぁ、せやな…フェイトちゃんにあげなかった方の赤いの飲んだら子供料金で映画とか見放題なわけやし、いざとなったらさっきの薬で戻れるし……」


これは面白い予感しかせぇへん、とか言ってるはやてを無視して。


「シャマルさんも、ありがとうございました。」
「いいえ、もともとは私のせいなんだもの。次は前もってシグナムで実験しておくわね。」
「そうして頂けるとありがたいです。」


なんて苦笑して。


「それじゃあ、私自分の部屋に戻るね。」


赤い小瓶どこやったかなぁ、なんて首を捻っているはやてとシャマルさんにそう告げて私は医務室を出た。

ようやく元の姿に戻れたこの解放感と言ったらとても気持ち良い。たったの数時間だけどあの姿の時は恥かしさとかでいっぱいいっぱいだったし。

元の姿に戻ったことを早くなのはに伝えたいな、なんて思いながら足早に部屋へと向かう。






「ただいま。なのは、戻れたよ!」


それから勢いよくそう言いながら部屋に戻った私に、どうしてか返事はなくて。もしかして遅くなったことを怒ってるんだろうかと不安になりながらなのはの姿を探す。と、キッチンにへたり込んでいるなのはの姿を見つけた。


「……なのは?どうかしたの?」


声を掛けると少しだけ泣きそうな顔でこっちを振り返る。


「ふぇ、フェイトちゃ……」
「んん?」


見ればなんだかなのはがほんの少し幼いような。泣き顔のせいかな、とかおもったんだけどどうやらそう言うわけでもなさそうだ。全体的に少し小さくなったような気もする。

そうして、私はなのはの手元に衝撃的な物を見つけた。小瓶だ。しかもドクロが描かれている赤いラベルの小瓶。


「は、はやて………」


残った赤い小瓶を忘れて行ったな。


「ふぇ、フェイトちゃんこれって………」
「えっと私が飲んだのと同じやつかな…?でも、なのはは何だか中学校の時くらいの、姿だよね?」
「ふぇっ…///」


私も戻れるかな、なんて泣きそうな顔で言うなのはがなんだか可愛かった。少しだけシャツが大きくて指先が出るくらいのそんな姿で。


「なのは、24時間経てば戻れるらしいから。」
「ふぇ?フェイトちゃん戻ってるのに?」
「仕方ないよ、元に戻る方法もないし、24時間待とう?はやてには連絡しておくから。」
「そ、そうじゃなくて!フェイトちゃんが戻れたなら私も戻れるよね?」


満面の笑みで。そんななのはの言葉をスルーした。


「そもそもどうしてあれ飲んだの?」


明らかに危険なラベルなのに。見なかったんだろうか?


「フェイトちゃんが……9歳の姿で辛そうだったから。」


私も一緒にそんな姿になったらフェイトちゃんも少し元気出してくれるかと思って、と。やや恥ずかしそうにぽそぽそ言うなのはが可愛くて抱き寄せる。


「なのは、可愛い……。」
「ふにゃっ///」


なるほど小さくなった私を見てなのはが興奮した気持ちが分かる気がする。


「ねぇなのは。」
「な、なぁに?」
「元に戻る薬なんだけど、さっき私が飲んじゃって……多分ないと思うんだ。」


あるかもしれないけど。無いってことにしておこう。


「そ、そうなんだ…。」
「だから今日はこのままでいよう?」
「う……フェイトちゃんは戻ったのにずるい。///」


その後、なのはは幼くなったことが恥ずかしいのか視線をそわそわさせていた。もっともその気持ちも分かるけど。これはそうなった人にしか分からない気持ちだろう。


「ねぇ、なのは。」
「うん?」
「見た感じ今のなのはは中学校の時くらいの姿だよね?」
「う、うん。……多分。」


ソファーの上、私の隣でそうもじもじと答えたなのはに。


「私中学校の制服持ってるんだ。」
「はい?///」


満面の笑みを向けて囁いた。狼のあの服を着せられた時の仕返しってわけではないけれど。


「どうせなら先生と生徒ごっこでもしようよ。」
「フェイトちゃんの変態!!!///」


顔を真っ赤にしたなのはの抵抗は虚しく、なのはは最終的に中学校の制服を着るはめになったのだった。ついでに、なのはに「先生」と呼ばせるのが少し快感になったなんていうのはまた別のお話。








FIN





Ep4.です。お疲れ様でした\(^o^)/
一応拍手内に後書きというかそんなもの載せています。






テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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