メディカルチェックを選択

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ソファーから立ち上がって、なのはの顔を見ないまま。


「シャマルのところに行ってメディカルチェックして貰ってくるね。」


そう紡いだ。


「ふぇ?あっ……」
「ちょっとだけ、待ってて。」


何となくこんな姿を見られたくなくて、なのはから逃げるようにその格好のまま部屋を出る。折角2人でゆっくりできる時間なのに、それでも格好悪くて。なのははそんなこと思わないだろうけど、それでも私は恥かしい。上手く言えないけど恋人の前で格好悪い所を見せたくないと言うのは万人共通の話だろう。

私の気持ちを察したのか「早く帰って来てね」とちょっとだけ寂しそうな顔を見せたなのはに、私は「話だけ聞いてすぐ戻ってくるよ」と返したのだった。



何となく居た堪れなくて。別に、あんな見つかり方をしたからとかそう言うわけじゃない。体が少しだけ若化して心までそれに伴ったわけではないと思うけど。本当に何となく、こんな姿を見られて嫌われたりしたらどうしよう、と少しだけ負の感情を抱いた。

別に今までも自分に自信があったわけじゃないけど自信がなくなった。





医務室に来るとはやてとシャマルさんが居て。2人ともとても申し訳なさそうな顔をしている。何だか最初は少し怒ろうとか思ってたけど、もういまはそんな気分じゃないや。


「フェイトちゃん、大丈夫か?ほんま、ごめん。」
「ごめんなさいね、まさかこんなことになるなんて…」
「あ、大丈夫、だよ。時間が経てば治るんだよね?」


その事に間違いはないらしく、私の言葉に2人とも頷いた。


「本当は直ぐにでも戻りたいんだけど。」


それから苦笑気味にそう言うとはやてが「なのはちゃんと何かあった?」と神妙な面持ちで聞いてきて、私は乾いた笑みを浮かべた。


「いや、何か格好悪くて……逃げるように出て来ちゃった。」


折角久々に2人になれたのに悪いことしちゃったな、なんて零すと。はやてはまじまじと私の顔を覗き込んでから。


「なんやそんな顔してるといつぞや片思いだと思い込んでた時期のフェイトちゃん思い出すなぁ。」


なんて微笑を浮かべて、ぽんぽんと私の頭を撫でる。


「確か中学校の頃だったか?」
「………うん。」
「結局いつまでも告白出来んでなのはちゃんからの告白で2人は晴れて恋人同士に。」
「う、ん。」


当時の事を良く覚えてる。いつまでもうじうじして勝手に片思いだと思ってた頃の私。丁度今の私のような気分だったかな。


「今のフェイトちゃんと一緒やなー?」


なんて。そう思ってる矢先に、はやてが苦笑した。後ろにいるシャマルさんは私のカルテの様なものを取り出して眺めていて「特に異状ないわね」と教えてくれて。その後にはやてに視線を戻す。


「むしろなのはちゃんの事やと、年下のフェイトちゃん可愛いー♪とか言いそうなもんやけどな。何も格好悪い事あらへんやろ?」
「それは………そうだけど。」
「なんや?さては航行中に何かあったな?」
「…………。」


はやては相変わらず鋭い。その言葉に、ほんの少し心に圧し掛かっていたしこりを思い出した。なんてことはない良くあることなのだけど。

一緒に航行に出た執務官である部下がたまたまなのはのことを噂していただけ。まぁ、私のところになのはが良く来るから目に付いたりしていたんだろうけど。ただ言っていたのだ。「あんな恋人が欲しい」と。もちろん私となのはが恋人同士であることを知らずに言ったのだろうけど。

それがまるで宣戦布告のように聞こえてしまって、ほんの少しだけ神経が尖った。


なんていう、ただそれだけの話。


「────…って事が、あって。」


少し情けなくも思いながらそう言うとはやては苦笑とも取れる笑いを漏らした。いや瞳に涙が浮かんでいる所から本気で笑ってるみたいだ。


「は、なんやろ?随分気弱になったなー?その格好の所為で加速したんかな?」
「もとはと言ったらはやての所為じゃないか!」
「そ、それはそうやけど。」


思い出したようにまた申し訳なさそうな顔をしたはやてに息を吐いて、私は椅子から立ち上がる。


「ともかく、明日には戻れるんだよね?」
「えぇ、服用から24時間で戻れるわ。」
「なら。部屋になのはを待たせてるから行くね。」
「はいはい。フェイトちゃん、今日の事はほんまごめん。」
「……いいよ。その代り明日は私もなのはもオフシフトね。」


そう言って医務室を出た。


それから廊下を真っ直ぐに歩いて部屋までの最短距離を行く。………と、廊下に見知った人物の姿を見つけて眉間に皺が寄った。

そこで目にしたのはなのはと、それから一緒に航行に行った部下。なのはの様な恋人が欲しいと、そうぼやいていた部下だ。

どうやら通路で見つけて話しかけたのだろう。なのはは私の方を向いて立っているので私の存在に気付いたみたいだった。少し困ったような顔をしてる。

本当に、こんな風になってしまったからか余計に余裕がない。


「何してるの?」


そう声を掛けた私の声はいつもよりちょっとだけ低かった。


「えっ、フェイトさん…お疲れ様です。」
「お疲れ様。」
「フェイトさ…?」
「ちょっと、高町教導官に用があるんだけど良い?」


私の姿を見て一瞬何かを言いかけた所に被せるようにそう言うと、ピシッと姿勢を正したその部下は一礼してからその場所を去る。

なのはは何処かほっとしたような表情を浮かべていて、私はそんななのはの手を取って通路を進みだした。


「ふぇ、フェイトちゃん?検査もう終わったの?」
「うん。もしかして迎えに…?」
「そうなんだけど途中で話しかけられちゃって。」
「ふぅん。」
「フェイトちゃんは異常なかった?」
「うん。なかったよ。」


そう返す私に「よかった」と微笑を浮かべたなのはの手を引いたまま。部屋へと戻って来た。なのはは私の様子を伺うようにそわそわと視線をこちらに向けて来て、何だか私が不機嫌なのだと勘違いしているみたいだった。


「フェイトちゃん、怒って…る?」


それから、無言のままでいる私に恐る恐る向けられたのはそんな言葉。何だか情けないような気がして少しだけ苦笑を漏らした。


「怒ってなんてないよ。………ただ。」


苦笑しながら、なのはに情けない顔を向けながら。


「ただ?」
「うん、こんな姿になったら急に余裕がなくなったっていうか。」
「ふぇ?」
「………その。」


言い淀む私に黙って視線を向けるなのはは不思議そうに首を捻る。


「嫌われちゃったら、どうしようかなって。」


それから情けなくぽそりと呟いた私に。なのはは可笑しそうに口元を抑えて笑ったのだった。瞳に薄ら涙が滲むくらい。それこそ笑い過ぎなのでは?とも思ったけれど。


「フェイトちゃん、本気で言ってる?」
「ほ、本気……だけど。」


そんな私にさらに笑いを漏らすなのははひとしきり笑った後、目尻に浮かんだ涙を拭いて。


「もう、そんなはずないじゃない。」


とまた苦しそうに笑う。余程ツボに入ったのか、そんなに笑われるとますます情けなくなるわけで。ソファーに座ったままのなのはは目の前に立っている私を見上げて、それから微笑んだ。


「私はどんなフェイトちゃんでも好きだよ?」
「余裕なくて情けなくても?」


苦笑しながらそう返す私に、なのははまた微笑を浮かべて。


「それはそれで愛されてるって実感できるし。」


それからほんの少しだけ頬を赤くして、そう呟く。はにかんだように微笑んで。


「じゃあ……。」
「ふぇ?」


私はそんななのはが背もたれるソファーの横に手をついて体重を掛けた。逃げられないように追いつめるように、なのはを捕えて。

徐々に距離を詰めて、鼻先が触れる距離まで接近して。


「私もなのはに愛されてるって、実感させてよ。」
「ふぇ、フェイトちゃん?」


ずるいよなのはは。


「私、いつだって余裕ないよ。………なのはのことに関しては。」


私ばかりが好きでいる気がして仕方ない。ちゃんと私の気持ちが伝わっているのか知りたい。もっともっと愛していると分かって欲しい。愛されたい。

溢れるような切ない感情を唇に乗せて、耳に口付けて。
徐々になのはの体を倒すようにして追いつめる。

───と、ここでなのはの顔が真っ赤な事に気が付いた。泣きそうな顔で、とても恥ずかしそうで。


「………なのは?」


そんななのはの様子に拒絶されるのかと思って少し恐る恐る伺った私に、もごもごと言い淀む。


「や、その……フェイトちゃんが相手だと年下も悪くないっていうか、その。えっと。」


少しだけ言い淀んで、考えて、それから観念したかのように両手で私の頬を包み込んでから。少しだけ強く私を引き寄せて。


「私だって結構余裕ないって、分かって欲しいんだけど。」


それから恥ずかしそうにそう苦笑した。ソファーの上。寝そべる体勢のなのはに覆いかぶさるような体勢の私。

自然と距離が近づいて、唇が重なった。



それから覚えているのは、なのはの切なく漏れた声と熱い吐息。縋るように私の背中に伸ばされたなのはの、爪の感覚だけだった。








そうして翌日の夕方にはすっかり元の姿に戻った私。


「あーん、あの時のフェイトちゃんの写真か何か保存しておけばよかったーっ」
「べ、別に昔の写真があるじゃない。」
「違うの、こう……余裕ないってフェイトちゃんの表情とかが……」
「……………。」


そんなやり取りがあったのはまた別のお話で。ついでに言えば、なのはがこっそりはやてにその薬がもうないのかなんて確認してたのも別の話だ。


戻れて良かった……。











FIN






Ep2.ですた。お疲れ様でした\(^o^)/
一応拍手内に後書きというかそんなもの載せています。






テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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