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あーなんとか更新できた。(内容はどうであれ←

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「これ、お願いしても良いかな?」


不意に 優しい声で後ろから話しかけられて、ほんの少し甘い香りがした気がした。

視線だけ動かして見るとさらりとした金髪が視界の中に流れ落ちて来て、それから写るのは悪戯っぽく微笑む人物。


「……良いですよ。」


腰を少しだけ折って覗き込むように顔を寄せた彼女に、私はぶっきらぼうにそう答えた。


「ありがとう。」


彼女はぶっきらぼうな返事にも関わらずそう微笑んだ。彼女の名前はフェイト・T・ハラオウン。つい先日、本社からやって来た同僚だ。


「ねぇ、高町さん。」


そんな彼女は用件が済んだはずなのにも関わらず。書類を何枚か確認しながら私の斜め後ろに立ったまま、ほんの少しだけ悪戯っぽく小さく紡いだ。まだ用件があるのかと息を吐く私に、彼女は微笑んだまま。


「今晩ご飯でもどう?」


と。全く仕事に関係ない話を切り出した。

その瞬間に、少しだけささめくオフィス内。主に女子社員の視線が、こちらを見つめていた。ほんの少しの羨望を孕んで。


異動してきて数日。

彼女は本社から来たという事だけあって優秀で、特に容姿の所為もあってかとても人目を惹く。高い身長に長くて綺麗な髪。整った顔立ち、優しい声。異動して来てからというもの 女子社員から何かとしょっちゅう誘われたりしているみたいだった。


「……今、仕事中ですから。」


少しだけ間を置いて、私は手短にそう答えた。

注目されたりしたくないので、人前で誘ったりしないでと以前注意したはずなのに。優秀な彼女に限ってその事を忘れるはずがない。なのにまたわざわざオフィス内で誘ったのはわざととしか思えない。その事に、少しだけ眉を寄せた。

彼女のこういう所が嫌い。


「…残念。つれないなぁ。」


困ったように微笑んで。書類を閉じて「また今度誘うね」と言い残して、彼女は自分の席へと戻って行ったのだった。

彼女が去ったすぐ後、背後の少し離れた場所で 彼女が他の女子社員が食事に誘われているのを耳にした。
















「さて、と。帰ろうかな……」


そうして定時からやや遅れたその日の夜。私は仕事を終えて、誰も居なくなったオフィス内で大きく伸びをして、それから小さくそう呟いた。

今日はずっとパソコンに向かっていた所為で肩が凝った気がする。明日が休みで良かった、なんて思いながらコートを着て、それから会社を後にした。

外はもうすっかり暗くて、まだ肌寒い。疲れの所為か正直夕飯を作る気にもならなくて、いっそのことお弁当でも買って帰ろうかなと迷って歩き始めた矢先に。


「高町さん。」


またか。と、呼ばれた声に溜息を吐く。

振り向いた先に金髪。そして相変わらず悪戯っぽい微笑み。お調子者宜しくひらひらと手を降る彼女がいた。


「フェイトちゃん……」


会社にいる時とは違う呼び方で、彼女の名前を呼んだ。どうやら待ち伏せされていたらしく、その事に眉を寄せた私に「怒らないでよ」と笑う彼女。


「何でここにいるの?帰ったんじゃなかったの?」
「なのはのこと、 待ってたんだけど。」


黒いロングコートに身を包んで、モデルのような風貌で歩み寄る彼女はその姿とは対照的に「明日休みだし」と子供っぽく微笑む。


「……良いけど、会社ではあんまり誘わないでよ。前も言ったでしょ。」


そんな彼女に対して、先ほどの件を注意した。けど、怒られたにも関わらず彼女はなぜか嬉しそうで、少しだけ眉を寄せた。


「良いじゃない。幼馴染なんだし。」


そう。彼女と私は小さい頃からの幼馴染。もはや腐れ縁とも言える関係で、会社に入って、私はそれを周囲には隠しているわけで。


「良くない。私フェイトちゃんの所為で散々だったんだからね?今まで。」


何を隠そうフェイトちゃんはモテる。学生の頃からそう。幼馴染である私に仲を取り持つように願ってくる人が後を立たなくて、それを理由に会社では他人を装って居るわけで。


「私巻き込まれたりしたくないの。」


はぁ、と息を吐いて そうぶっきらぼうに呟いた。それになにより私だって(自分で言うのもなんだけど)それなりに告白されたりしている。なのにそれをことごとく潰すのはフェイトちゃん。


「えー。」
「フェイトちゃんと居るとロクな事がないんだから。」


はぁ、と少しだけ溜息を吐いて、それからフェイトちゃんに背を向けて歩き出した。少しは反省して欲しい。フェイトちゃんのせいで、私はこの年にして恋愛経験も皆無だし。


「相変わらずつれないなぁ、なのはは。」


小さい頃は優しかったのに、と背中で小さな笑い声。


「フェイトちゃんだって小さい頃は素直で可愛かったのに。」


泣き虫で可愛かったのに今では計算高くて腹黒いよね、と息を吐くと、フェイトちゃんはまたしても可笑しそうに笑ったのだった。


「今だって素直だよ?少なくともなのはよりは。」
「はいはい。……ところでどうして待ち伏せしてたの?」
「なのはにご飯御馳走になろうと思って。」
「………。」


さも当たり前のように言うフェイトちゃんに無言で睨みを利かせると相変わらず楽しそうな笑みを浮かべたまま。


「じゃあ私が何か作ってあげるから。」


ねっ?と、そんな風に言うわけで。………それはありがたいけれど。


「フェイトちゃん、恋人とか居ないの?」


毎週私の家に来てるし。今日だって社内で誘われてたはずなのに。モテるくせに。そんな皮肉を綯交ぜにしてそう言った私に、フェイトちゃんは少しだけ笑った。


「そんなの居ないよ。」
「ふぅん。」


まぁ、居たらそっちに行くよね。と1人納得した。


「なのはは?」


それから、知ってるくせにわざとらしく確認するフェイトちゃんに視線を向けて。


「いないよ。」


そうとだけ返した。そんな返事に相変わらず楽しそうな笑みで。


「じゃあ私と付き合う?」
「………はい?」


それから突拍子もない事を言うわけで、思わず持っている鞄を落としそうになった。昔から何度か「2人は付き合ってるの?」とか聞かれたことはあったけれど。いやそうじゃなくて。些か動揺して視線を巡らせて、それからフェイトちゃんに視線を向ける。


「言っておくけど冗談じゃないからね?」
「えっ…」
「なのは、気付くのが遅いからさ。」
「ちょっ───…///」


そう言って距離が近づいて。ほんの少しだけ、唇が触れた。温かくて柔らかい感触。触れたのはほんの一瞬で、驚いて身動き出来ない私に「限界だった」とちょっとだけ苦笑したのはフェイトちゃん。


「ふぇぃ───…」


フェイトちゃん、と言おうとした拍子に、後ろで聞こえたざわめき。「え?」と思って振り向いた先に職場の同僚の子達が居て。聞き慣れた声で「やっぱり付き合ってたんだ」とか、とにかくそんな声。

それも当然、道端でキスしてるところを見られたのだから、そう思うのも無理はない。たとえそれが突然されたものだったとしても。


「ち、ちが──…」
「あーぁ、見られちゃったね?」


否定しようと口を開いた瞬間に、フェイトちゃんが悪戯っぽく笑う。そういえばフェイトちゃんの位置からは彼女たちの姿が見えたはず。一瞬考えを巡らせて、眉を寄せた。


「………フェイトちゃん。」
「ん?」
「知ってたでしょ。」
「なにが?」
「皆がこっちに向かって歩いてきてた事。」


知ってて。見られちゃうって分かってて。わざとキスしたんでしょ。と視線で問うと「ばれた?」と微笑を浮かべたフェイトちゃんに。


「そういう所が嫌いなの!///」


ぶん、と振りかぶった拳は。


「おっと」


華麗に空振りして、虚しく空を切っただけだった。




そんな風にして曖昧なまま。その次の週にはすでに社内に誤解が広まってしまっていて。

………けど、不思議と不意打ちのキスが嫌じゃなかったのは、悔しいから内緒にしておく事にした。





















「ぐすっ…」
「あぁ、もう。ふぇいとちゃんのなきむし。」
「だって…」
「あんまりないてるとけっこんしてあげないよ?」
「…ッ!!!けっこんしてくれるの?//」
「んー、わかんない。あっ、もうすぐおやつのじかんだよ、ふぇいとちゃんっ」





それから 幼い頃、そんなやりとりをした事を暫くして思い出したりもした。








FIN.









小さい頃、実は結構フェイトちゃんを振り回してたなのはちゃん。





テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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