SS

何となく、とりとめのないSSの要素に近い話です(^ω^≡^ω^)

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「はぁ………。」


数週間という長い期間の航行を終えて、私フェイト・T・Hは久々に自分の執務室へと戻って来た。帰港したのが夜の22時を回った時刻で、それから書類をまとめたりなんだりしている間にあっという間に今の時間は深夜を回っていて。溜まりきった疲れに、私は深く溜息を吐いた。


時間が時間だけにそのまま執務室で寝てしまおうかとも思ったのだけど、何となくいつかそんな事をして怒られた記憶が蘇って、その事に苦笑して仕方なく自分の借りているマンションへと帰路を急ぐ。車を使うまでもない距離に借りたそのマンションは、そんなに遠くはない距離で、局を出て、ものの十数分で到着するくらい。


「───ただいま。」


それから明りの点らない部屋に到着してそう小さく呟いて。執務官の制服の上着を脱いだ。本当に疲れているみたいで、いつもより制服が重く感じてソファーの上に投げ出す。家に帰って来たから一気に疲れが押し寄せてきたんだろうか?もう何もしないで寝てしまいたかった。幸いにも明日の仕事は午後からだ。このまま寝ちゃおうかな。

そんな風に思って、少し乱暴に服を脱いで。部屋着に着替えてから、冷蔵庫にあったボトルの水を流し込んで、それから寝室へと進んだ。

そんなところで、音のない部屋で突如として響く電子音。その音にビクッとして、それからそんな自分に苦笑して私はその端末を拾い上げた。着信の相手は私の良く知る人物で、幼馴染で親友で、それから片思いを続けている相手だった。


「───…なのは。」


着信の相手の名を紡いで。なんとなく、その電話に出たくないなって。そう思った。




















『なのはちゃんお見合いさせられてまうよー?』
「えっ?」


そんな、私を地獄に突き落すような言葉を吐いたのは親友であるはやてだった。昨日の事だ。仕事を全部まとめ上げて、「明日には帰港だね」って同僚と言い合っていた矢先。思わず持っていた書類を全部滑り落としそうになったくらいだ。


「な、なん……誰と?いつ?」


滅多にないくらい取り乱した私の姿は正直みっともなかっただろう。でもそんなの無理もないはず。長年想い続けてきた親友が、自分の居ぬ間にお見合いさせられるだなんて。しかもそんな話を、私はなのはから一言もされていなかったのだ。


『明日やって、言ってたかな…?フェイトちゃん明日帰ってくるんやろ?』
「あ、明日帰るけど……ぇっ?な、なのはは何て?」


妙に口が渇いて、少しだけ早口になった。こんな事ならもっと早く想いを伝えておけばよかっただろうか。そんなこと出来るはずもないのに思ってみたり。


『さぁ。何や最初は断ってたみたいやけどな。──…フェイトちゃんが早く動かへんから。』
「だ、……でも………そんな…」
『いつまでうじうじしてるん?まぁ、なのはちゃんも困ったような感じではあったから、断るんやろうけど。好きな人居るっぽいしな。』
「えっ!?」
『とにかくそういう事やから。……って本題忘れてた。フェイトちゃん、クロノ君から伝言やけど、明後日は仕事午後からでえぇらしいよ。ほな、またね。』
「え?待ってはやて、今、なのはに好きな──…ぁ、ちょ」


肝心な、私が最も聞きたかった部分を曖昧にしたまま。はやてはわざとらしく通話を一方的に切った。きっと私が慌てふためくのを楽しんでいるんだろう。だけどなのはのお見合いの話に続けて放たれた「好きな人云々」の方が気になって、もはやそれどころではなかったのだった。

なのはは真っ直ぐな性格で、自分の意思を強く持っている人だけれど。それでも生活の中には断れない頼みというものも出てくるわけで。特になのはは優しいから。きっと今回も、少しだけ苦笑しながら渋々受けた話なんだろう。そう考えると妙に不安だった。

もしもなのはに、心に決めた人間が居るならば。それはそれで大問題だけど、それだったらお見合い相手には見向きもしないだろう。断れずにお見合いには行くだろうけれど。だけど心に決めた人間が居なかったなら。そしてそのお見合いの相手が良い人だったなら。もしかして、もしかしなくとも多少心が揺らいだりするんじゃないだろうか?


そこまで考えたらもう仕事は何も手につかなくて。正直、昨日の私は同僚の皆の邪魔ばかりしているような感じだった。









そうして、ばたばたとした中で仕事を終えて帰って来て現在に至るというわけ。

なんとなく、手の中で鳴り響くその電話に出るのが怖かったのだけど、私がなのはからのアクションを無視できるはずなんてなくて。


「も、もしもし。」


ほんの少しだけ上ずったような何とも情けない声で、電話に出た。


『あ、フェイトちゃん?ごめんね、寝てた?』


電話越しのなのはの声はいつもどおり可愛らしくて優しさを孕んでいて、さっきまで電話に出ることを躊躇ってたことが嘘みたいに思えた。端末を片手にベッドに腰かけて、それから「丁度今帰って来たところだよ」と苦笑して返すと「お疲れ様」という声。


「こんな時間に、どうしたの?なのは。」


珍しいね、というと少しだけ言い淀んだような声がして。一瞬お見合いの席での話をされるんじゃないだろうかとヒヤッとしたけれど。


『ちょっとフェイトちゃんの事が心配になってね。』
「えっ?」


受話器の向こうから、少しだけ困ったように笑う声がして心臓が跳ねた。なのはが私の事をいつも心配してくれるのは分かっているけど、やっぱり真っ直ぐにそう言われると素直に嬉しい。


『はやてちゃんが、フェイトちゃんが元気なかったって言ってたから。』


どうやらはやてが何か余計な手回しをしたらしい。嬉しいような、嬉しくないような。


「大丈夫だよ、ただ──…ちょっと疲れが溜まってるの、かな?」


そう言いながら。寝室のカーテンが開けっ放しになっている事に気がついて、閉めに行こうと座っていたベッドから立ち上がる。


「ぁ」


立ち上がろうとして。急に立ち上がったせいだろうか、立ちくらみのような目眩がして、思わず床に膝をついた。冷たい床に膝をついたせいか背筋がぞくぞくして、瞼が重く感じて。


『───フェイトちゃん?』
「ん、平気。ごめん……なんでもないよ。」
『どうしたの?』
「いや、ちょっと………」


こんな事言ったら絶対に心配かけるに決まってる。なのはは優しいから。もしかしたら、自分の隊舎から私のところまで様子を見になんて来てしまうかもしれない。会えるものなら会いたいけれど。………なんて我儘考えている場合じゃないや。


「立ちくらみが」


とか言って、少しだけごにょごにょと。言い誤魔化してから、何となく思い立って寝室にある薬箱から体温計を取ってみた。


『フェイトちゃん、もしかして体調悪いの?』
「いや……そんなことはないんだけど。」


そう言いながら、ピッとボタンを押して脇へと差し込んだ。最初の一瞬ひんやりと感じたそれは直ぐに体温に同化して。そういえばと思い当たる節がたくさんある事に気が付いて、息を吐いた。


もしかしたら風邪を引いたかもしれない。


『フェイトちゃん?』
「なのは、もしかして何処かに出かけてる……?」


ふと、電話越しになのはの声を聞いて一つの疑問が浮かんだ。何となくだけど、なのはの声の後ろの音が少しだけ騒がしい事に気付いた。ざわざわしているような。なのはが普段掛けて来るときは自分の隊舎からだからもっと静かなはず。

もしかして。今までお見合い相手の人と居たんだろうか?そんな妄想をして、急激に心臓が痛くなる。気付かないうちにぐっ、と歯を食いしばっていて、端末を握る手に汗が滲んだ。


『にゃはは、実は───…』


ピピピピピピ……


なのはがそこまで言った瞬間に電子音が響いた。慌てて手を差し込んで、それから体温計が差す数値を見て溜息を電話の向こう側のなのはには聞こえないように吐いて。


『はやてちゃんに頼まれてね?』
「え?」


と少しだけ苦笑気味に電話越しに紡ぐなのはの声の少し後に。ピンポン、と遠慮がちに押されたインターホン。


『……っていうかはやてちゃんから連絡行ってない?』
「え?」




どうやらこういう訳らしい。これもはやてなりの心遣いで。なのはがここに来るようにれこれ都合を付けてくれた、と。インターホンの相手はなのはで、私は部屋着のままで片手に体温計を握ったまま慌てて扉を開けた。時刻は既に12時を回っていて、少しだけまだ肌寒い。


「ご、ごめん……はやてからメール来てたの、知らなくて。」
「私こそごめんねー。急に来ちゃって…迷惑」
「そんなことないよ!」


迷惑くだったかな、なんて言いそうななのはの言葉を遮って頭をブンと振った。そもそも私がはやてからのメールを確認しなかったのが悪い。良かった、今までお見合いの人と一緒にいたわけじゃなくて私のところに向かってくれていたんだ。本当、良かった。

と。急に動いたからか、ずしんと体に重石を乗せたような感覚が沸いた。


「フェイト、ちゃん……?」


それからなのはは私の手に握られている体温計を見て。数値を見て。


「───…ちょっと!!」


少しだけ怒ったのだった。ちなみに数値は38度を越えた数値だった。
































「駄目だよフェイトちゃん、無理しちゃ!」
「………いや、私もさっき気が付いて…」
「もう!来て良かった。」


それから私を布団に寝せた後。やや怒り気味のなのははタオルを冷たく冷やして私の額に乗せてくれたり、薬を飲ませてくれたりあれやこれやと色々面倒を見てくれたのだった。


「───…ごめんね、なのは。」


ほどなくして。熱と疲れにもうろうとした中でぽつりと呟く。


「んー?何が?」


なのはは何だか楽しそうに微笑して。手元の雑誌を読みながら私の額に乗ったタオルを返して、それから子供にするみたいに優しく布団を掛けなおす。昔リンディ母さんも、風邪を引いた私にそうやってくれたことを思い出した。


「迷惑かけて。」


それから小さくそう言うと、なのはは笑って「全然」と言った。


「もとはと言えば私が勝手に押しかけたんだよ?」


忘れちゃったの?なんて言いながら。「それに私明日はオフだから」なんて言って、「当然フェイトちゃんは風邪が治るまでお休みね」なんて。じゃあ明日はなのはと一緒にいられるんだろうか?熱の所為か、浮かぶのはそんな子供染みた考え。


「───…なのは。」


それからこんな情けない自分が少しだけ嫌だとも思えた。よりによって久しぶりに会ってこんな様を見せてしまうなんて。情けない。なのはは今日のお見合い、どうだった?なんてそれすらも聞けなくて。意気地がなくて勇気がなくて。


「なぁに?」
「………ありがとう。」
「どういたしまして。明日には熱下がると良いんだけどね。」


あ、今日は泊まらせてもらうからね?なんて笑うなのははどうしてか楽しそうで。熱と薬の所為で朦朧としていた私は、力なく小さく頷いた。もしかしたらこの時点で帰られてしまったら泣いてしまったかもしれない。そういえば風邪を引いた時っていうのはどうしても弱気になるきがする。───あぁ、頭が重い。それに眠い…。


明日には少しはマシなところを見せられるだろうか。なのはにはどうしても格好悪い所を見せてばかりだ。もっと格好良い所を見せて、なのはに好きになってもらいたいのに。これじゃ告白なんてできやしない。だけど今回みたいに、なのはがお見合いに付き合わされている話を聞くと凄く嫌で。


そういえば今日は、結局どうだったんだろう。話を聞く勇気もない。


「フェイトちゃん、寝て良いんだよ?」
「───…ん……」



優しくそう紡がれて。私はそのまま重たい瞼を閉じた。


「──────…」


それからすぐ、眠りにつく中で微かに囁かれた言葉と頬に触れる感触。温かくて優しい感触。ちゅ、という音を立てて触れたその感触に何となく予想がついたけれど、熱に浮かされた私はそれが「都合の良い夢だ」と判断してそのまま意識を手放した。




































すやすやと、少しだけ息苦しそうな寝息を立て始めた彼女に少しだけ息を吐く。どうしても今日会いたかった。それがお見合いに無理矢理行かされた所為か、彼女が久しぶりに帰って来たからかは分からないけれど。好きな人に会いたいと思う事に理由なんてないけれど。

少しだけ強引に理由を付けて会いに来て。それから来てみればフェイトちゃんは体調が悪そうで、来て良かったと本当にそう思った。

とても申し訳なさそうに「ごめん」と言ったフェイトちゃん。少しくらい休んだ方が良いんだから、今回は丁度良いとも思える。……まぁ、風邪を引いたのはあんまり良くないけれど、このくらいじゃないと彼女は休んだりしないから。息を吐いて、それから浮かんだのは仕事中の凛々しい姿。

通路を歩けば誰もが振り向くくらい。そのくせ自分ではその魅力に気づいていないんだから困る。もう少し自分に自信を持っても良いと思うんだけどな。


「───…あんまり遅いと焦れちゃうよ?」


眠りについたフェイトちゃんの耳元でそう囁いて、熱の所為で少しだけ紅潮した頬にキスをした。一体いつになったら告白してくれるのかな。


















FIN

















なのフェイ好き(^o^≡^o^)好き



テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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