なんてことないSS

ようやく更新できたにゃー(∫°ਊ°)∫

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「────えっ?なのはが?」


2週間に渡る長期航行から帰港して。航行の間に溜まった事務仕事をこなしていた、そんな私の耳に入った話。思わず口を付けていたコーヒーを零しそうになって、唇を拭った。


「せや。……フェイトちゃんにも相談したろ思ってな。」


ふぅ、と溜息を吐いて。私の部屋にやって来たはやては腕を組んで、それから「困った」と2回続けて呟いたのだった。はやての隣に座るなのはは、はやてとは少し違った表情で、困ったように笑って「私は大丈夫なんだけど…」と言いながら頬をひと掻きした。


「だ、大丈夫じゃないよ!!」


書類仕事をしながら聞いていた私だけど思わず立ち上がって書類を手放して、それから2人の対面にのソファーに移動して座り直した。航行に出ていた所為で知らなかったなのはの心配事。大切な親友であるなのは危機が迫っていることを知って、今まで自分に知らされなかった事に少しだけ憤った。


「ふぇ、フェイトちゃん……てゆーかはやてちゃんも大げさだよ?」


もしかしたら勘違いかも知れないじゃない、と。なのはは少しだけ居心地悪そうにもじもじ言って、誤魔化すみたいに目の前に置かれたコーヒーに口を付ける。


「……せやけど、何かあってからやと遅いんよ?」
「そうだよ、なのは。」


魔法戦ではなのはに敵う人なんて早々居ないだろうけれど私生活ではなのはは少しガードが甘いんだから、というと「それはフェイトちゃんもでしょ」と返ってきた。いや、今は私の話なんてしていないのに。


「と、とにかく!ストーカーなんて危ないよ!もっと危機感持って、なのはは!」


そう。帰港して早々私の部屋にやって来たはやてとなのはの話。

それは最近なのはを悩ませているストーカーとやらの話だった。どうやら私が航行に出てからすぐの事らしいけれど、尾行されているような気配があったり、なのはを色々と悩ませているらしい。

なのはは私の親友だ。なのはを悩ませているならそれは直ぐにでも何とかしたい。というか何となく知らなかった事を詫びたい気持ちになった。


「だ、だからはやてちゃんの説明が大げさなの!ストーカーだなんて…大体、気配がするだけだし……」


そう言うなのはは少しだけ困ったように笑う。けど、なのはは気配とか予想だけじゃそういう事を口にしないタイプだから、なのはがはやてに相談したって事は余程困ってるからだと思うわけで。


「なのはは溜めこむタイプだから心配だよ──…撃退までしなくても、ストーカーを辞めさせる方法とか、あれば良いんだけど……」
「にゃはは……なんだか、忙しいのに変な心配させてごめんね、フェイトちゃん。」


はやてちゃんも、と付け足して。


「私は本当に大丈夫だから、あんまり気にしないで?」
「そんならこういうのはどう?」


この話はここで終わり、と言わんばかりのなのはに被せるように。その提案をしたのははやてだった。顎に指を当てて、いつになく真剣な顔。はやては普段はふざけた事言う時もあるけど、その実凄く頼りになる親友だ。その提案に少しだけ期待して耳を傾ける。


「恋人が居るふりをするのとか。誰かに恋人の振りして貰って。」


一瞬の沈黙。のち、なるほどと思った。


「………それって結構良い案かも。」
「ふぇっ?良いよそんなの!//」


ちょっとだけ嫌そうな顔をしたなのはに苦笑した。───なんとなくその気持ちも分かるような。


「何で?えぇ案やと思うけど……。確たる証拠がない以上、なぁ?」
「うん。なのはには悪いけど、私もそう思う。だって、その人はなのはに想いを伝えようともしてないんでしょう?」


だとしたらこちらからわざわざ出向いてその人をふる、という事も出来ないし。その点、はやての提案なら自然と辞めさせられる事も出来るかもしれないし。一番無難な解決策……少し浅はかなような気もするけど。


「こ、恋人の振りって…誰に……?」


相変わらず眉をちょっとだけ潜めたままそう言ったなのはは、やっぱりその提案に不満みたい。騙すみたいで、多分ちょっと気が引けるんだと思うけど。


「ユーノとか?……クロノ?」


なのはの言葉に、手近な人物の名前を上げてみた。


「クロノ君はまずいんじゃない?」
「うん。そうだね…てことは……」


消去法で自然とユーノの顔が浮かぶ。まぁ、なのはと仲の良い異性と言ったらユーノくらいかなぁ。あとは幼馴染ということもあって、長年の絆みたいなのも諦めさせるには重要だし。


「もしも、や。」
「…………え?」


うーん、なんて考えている私となのはに何か言いたげに。口を挟んだのは提案者でもあるはやて。もっと違う考えでも浮かんだんだろうか?


「もしもそのストーカーが逆上して襲ってきたとして。」
「は?」


はやての言葉の続きを促す私となのは。


「ユーノ君やと、なんか心配や。」


どうやらはやての言いたい事はこういう事らしい。仮にそのストーカーが逆上して恋人の振りをしている相手に襲いかかって来たとして。咄嗟に反応できるのかとか、或いは躊躇いなく反撃できるかとか。さすがにそこまでする必要あるかどうかは分からないけど…。


「ユーノ、優しいからね……。」
「そうしたらこの案はなしだよね?もう2人とも気にしなくて良いから……」


どこかホッとしたような表情のなのはに「そんなのダメ」と言おうとして。


「私フェイトちゃんが一番適任やと思うんやけど。」


私が言葉を発する前にはやてが言った言葉に私もなのはも目を丸くする。「真っ先にフェイトちゃんの名前が出てくるかと思ったんやけど」とか言いながら、冷めたコーヒーに口を付けた。


「え?私?」


あまりにも予想外なその言葉。なのはと目を合わせて、もう一度はやてを見る。


「だって、フェイトちゃん相手やと敵う気せんやろ?」
「そりゃフェイトちゃんは前線で戦う魔導師だけど……。」
「いやそれ以外にも。」


それ以外、という言葉にもう一度視線を合わせる私となのは。


「なのはちゃんの大親友で幼馴染。ついでに言えばエリート執務官。その上美人でスタイル抜群。こら敵わんやろ。」
「そ、それはそうかも。」
「………なのはまで?」
「自分で言うのもなんだけど、フェイトちゃんが相手だったら敵う人が居ないような気がするもん。」


ちょっと困ったように笑ってそう言ったなのはに、はやては「じゃあ決まり」と手を叩いた。ちょっとだけ楽しんでいるようにも見えたけど、これでもはやては戦略とか計算とか、実はとても優れてるから今回もいう通りにしていれば間違いないんだろうな。


「でも、フェイトちゃんはそんな事しなくて良いよ?」


忙しいんだし、と付け加えてカップのコーヒーを飲み干して。


「この件は私一人で何とかするから。……そもそも私の勘違いだと思うし。」


なのははごめんね、と苦笑交じりにそう言う。多分私の仕事の忙しさだとか、そういうのを考慮して遠慮してそう言ったんだろう。なのはは私の友達で、命の恩人で、大切な人だ。正直言えば仕事よりも大切。


「なのはが嫌じゃなかったら、私やるよ?」
「ふぇ?……でも」
「っていっても具体的にどんなことすれば良いか分からないけど。あ、でも私が相手じゃ嫌かな……やっぱり誰か他の……」
「えっ?うぅん、嫌じゃないよ?──…え、えっと…本当に良いの?」


こんな事に付き合わせて。なんて言うなのはに少しだけ息を吐く。


「友達なんだから、困ったときは頼って貰わないと。」
「えと…フェイトちゃんもはやてちゃんもありがとう。」
「……早く解決するとえぇなぁ。」


こうして、なのはの恋人の振りをして過ごすというほんの少し奇妙な生活が始まったのだった。












































「あっ!フェイトちゃんっ!」
「なのは、お疲れ様。」
「フェイトちゃん今日はもうお仕事終わったの?」


教導隊の仕事が終わって、通路を歩く私の視線の先。壁に寄り掛かるようにして立っているフェイトちゃんを見つけた。遠目から見ても綺麗な立ち姿勢にちょっとだけ見惚れそうになって、それから駆け寄る。


「うん。なのはももう終わり?」
「もしかして待っててくれたの?」
「いつも待たせてるからね。」


あれから数日。ストーカーを追い払うためにフェイトちゃんに恋人の振りをしてもらっている日々が続いている。恋人の振りと言っても、その実いつも通りの生活のようなものだった。

ただちょっと変わったのは一緒にいる時間が長くなったことくらい。心配性なフェイトちゃんが「護衛」とか冗談めかしてそばにくっついてるから。


「何だか迷惑かけちゃってごめんね?」
「なのは、それもう聞き飽きたよ?」
「でもフェイトちゃんだって忙しいのに……」
「今はそんなに忙しくないから平気だよ。」


なのはは気にし過ぎ、って笑って横を歩き始めたフェイトちゃんは隣を歩きながら「寧ろいつもご飯とか作って貰っちゃってごめんね」とか言う始末。フェイトちゃんの食生活の酷さにはさすがの私もちょっとだけ怒ったり。


「でもさ。」
「なぁに?」


局の外に出て歩き出してから少しして、フェイトちゃんが何処か可笑しげに笑った。


「こんなに長く一緒に居るのってなんだか久しぶりだよね。」
「本当だね。フェイトちゃんの家に泊めてもらうのも、何だかお泊まり会みたいで懐かしい。」


寝起きのフェイトちゃんも久しぶりに見たし、なんて笑うとフェイトちゃんはからかわれた事にちょっとだけ苦笑して頬を掻く。それから言い訳するみたいに「なのはが目覚め良すぎるんだよ」と一言。それにしたってフェイトちゃんは寝起きが弱すぎるよね。


────なんてちょっと冗談めいた話をしながら歩いている時。


私が気付くと同時に恐らくフェイトちゃんも気付いたんだろう、私とフェイトちゃんの少し後ろで足音。距離を縮めるわけではなく、かといって離れるわけでもない一定の距離。フェイトちゃんに恋人のふり(というかそんなに恋人っぽい事をしてるわけじゃないからこの場合一緒に行動することが多くなっただけだけど)をしてもらうようになってからは全然なかったのに。1人で歩いているときよりは不思議と恐怖心とかそういうのはなくて、隣を歩くフェイトちゃんに感謝の気持ちが募る。フェイトちゃんが親友で、本当に良かったなぁと改めて。


「────…ッふぇ!?///」


思ったと同時に、ちょっとだけ強く引っ張られる感覚と、それからすっぽり包まれる感覚。ちなみに包んでいるのはフェイトちゃんの腕と、身体。


「なのは、ちょっとだけじっとしてて。……ご、ごめん。」
「う…ん。」


ひそひそ声で小さく謝罪するフェイトちゃんはちょっとだけたどたどしく私を抱き寄せた。多分端から見たらそれは恋人同士の抱擁で。

華奢なつくりなのに力強い腕とか、それからフェイトちゃんの香り。とかこの状況の所為で私は正直気が気じゃなくて、でも折角恋人っぽくしてくれてるフェイトちゃんに悪いと思ってとりあえず合わせるように腰に手を当てた。当てた瞬間フェイトちゃんの身体が震えたけれど、あんまり気にせず。というか自分のことでいっぱいいっぱいでそれどころじゃなかったんだけど。




それからしばらくして、後ろにいた気配が完全になくなって、ゆっくりと体を離した。


「……急に、ごめん。」
「うぅん、大丈夫……。」


少しだけ申し訳なさそうに謝罪するフェイトちゃんの顔を見ないようにして、自分も見られないようにしてそう返す。とりあえず、ストーカーを追い払うことは出来たけど、私には別の問題が浮上しつつあるの。

きっと今凄く顔赤くなってるんだろうな、と両手で頬を覆って隠した。

その後はしばらく私もフェイトちゃんも無言でどこかぎこちなく会話しながら帰宅して。無言で隣を歩くフェイトちゃんの顔が私以上に真っ赤だったことには気付かなかったのでした。
























FIN



みたいな。





テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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