恋とはなんぞや(∫°ਊ°)∫

お久し(^^)追記から

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「恋がしたい。」


ぽつりと、ぼんやり頬杖をついたまま。放課後の教室でそう小さく呟いた私に向けられたのは「は?」という疑問の言葉。

その言葉に、私は机の上に広げたノートの上にシャーペンを転がして「だから」ともう一度言葉を紡ぐ。


「だから、……恋したいなって。」


何かおかしいこと言ってる?と言うと私へと視線を向けたままの友人たちは「おかしくはないけど」とか面倒くさそうに眉間に皺を寄せたのだった。

私、高町なのはは今年高校1年せいになるにも関わらず、生まれてこの方恋愛というものをした事がない。

ただ単に今まで出会いがなかったせいもあるけれど、興味がなかったっていうのが一番の原因だと思う。最近になって、恋愛に興味が出てきたところ。……とはいえそれは「憧れ」の範囲だけど。


「なのはちゃん、その気になったらいくらでも相手おるやろ。」
「そんな事ないもん。」


私の言葉に、少しだけ呆れたように言ったのはお友達のはやてちゃん。はやてちゃんは少しだけ苦笑して、それから手元の参考書のページを1枚だけ捲った。


「……てゆーかフェイトは?」
「フェイトちゃんがなぁに?」


はやてちゃんに続いて口を開いたのはアリサちゃん。アリサちゃんも私のお友達で、その隣でもう1人、すずかちゃんが「フェイトちゃんのことはどう思ってるの?」と少しだけ遠慮がちに笑ってそう聞いたのでした。


「どうって…幼馴染だけど?」


フェイトちゃんと言うのは私の幼馴染の女の子で、幼稚園からずっと一緒に居る子の事。小学校から高校生になる今までクラスも一緒で家も隣同士これってほとんど腐れ縁なの。


「あ、そう。」
「なんでここでフェイトちゃんが出てくるの?」


今関係ないじゃない、と言って唇を尖らせる私にちょっとだけ苦笑を漏らしながら口を開いたのはすずかちゃん。そういえば良くそういう質問をされるけど私とフェイトちゃんは幼馴染でそれ以上でも以下でもないのに。


「2人とも仲良いからもしかしたらって思ってたんだけど…」
「むぅ。他の人にも聞かれるけど、そんな事ないのに。」


ただフェイトちゃんが過保護だからずっと私の傍に居て、その所為でそういう誤解を招いたかなって思うこともあるけど。


「んで?何で急にそんな事言い出したん?」
「なんでって…何となく。」


昨日のドラマに少し感化された、とは言わず。


「どーせ乙女チックな恋愛ドラマでも見たんでしょ。」
「ふぐっ…」


はいはい、なんて適当に手をしっしと払ってアリサちゃんはそう言うわけで。


「だって…高校生になったのに恋愛経験ゼロなんて」
「あ、フェイトちゃんおかえり。」


そう言う私の話なんてあんまり聞いてないような素振りで、教室にやって来た幼馴染であるフェイトちゃんを見て「おかえり」と言ったのははやてちゃんだった。見れば教室の扉を開けて「お待たせ」と微笑むフェイトちゃんが居た。

走って来たのか長い金髪を少しだけ乱れさせて、そんな前髪をちょっとだけ指先で直しながら「何の話してたの?」と私たちの方へとやって来た。


「なのはちゃんが恋したいんやって。」
「恋?ふぅん……なのは好きな人いたんだ?」
「好きな人はいないけど…。」


きょとんとして、何だか珍しい事でも聞いたみたいに瞳を瞬いて。それから少しだけ苦笑して、フェイトちゃんはそう言った。別に好きな人がいるわけじゃなくて恋がしたいだけ。フェイトちゃんに言っても分からないと思うけど。


「なのははモテるんだからその気になれば恋人なんてすぐ出来るんじゃない?」
「………意外だわー。」
「何が?」
「フェイトはなのはの事に関しては事過保護だからてっきり反対するかと思ってた。」


っていうか本当に2人とも付き合ってるわけじゃないのね、なんて。だからさっき言ったじゃない、と小さくアリサちゃんに呟いた言葉は聞こえたのか聞こえないのか無視されて、代わりにフェイトちゃんが口を開く。


「一応過保護にはするけど、皆が言うような関係じゃないよ?私たち。」


ね?と私にやや苦笑気味の笑顔を浮かべてそう言うと「確かに良く聞かれるけど」なんて付け足して、それから机に置かれた鞄を持ち上げて。


「そろそろ先生回ってきちゃうから帰ろう?」


そうしてこの話を終わりにするように。フェイトちゃんの言葉で皆が動き出す。まぁ、待っていたフェイトちゃんが戻ってきたからこれ以上教室にいる必要はないんだけど、そういえば。


「そういえばフェイトちゃん何処行ってたの?」
「ん?」


教室を出ながら、何気なくフェイトちゃんの制服の裾を掴む。私とフェイトちゃんを後方に残して、はやてちゃんとすずかちゃん、それからアリサちゃんは先に廊下へと出ていた。制服の裾を掴まれて、その質問に瞳を瞬いたフェイトちゃんは。


「秘密。」


なんて、瞳を細めて意地悪く笑った。


「フェイトちゃんが私に隠し事なんて生意気。」
「大した用事じゃないよ、先生に呼ばれただけ。」
「なーんだ。」


つまんないの、なんて言う私に「置いていくよ」と笑うフェイトちゃん。私は慌ててフェイトちゃんの隣に並んで、学校の校舎を後にしたのでした。




















「───ふぇ?」



それから学校の校門へ差し掛かった時。急に私の名前を呼ばれて振り返った。校門に立っていたのは隣の学校の男子生徒。知らない顔で特に記憶にもないそんな人に名前を呼ばれるような覚えはないんだけど、「なのはにお客さんよ」なんてアリサちゃんが言う事だし間違いはないんだと思うけど。


「えっと……?」


後ろで待っているフェイトちゃんやはやてちゃん、アリサちゃんとすずかちゃんの事を気にしながら首を傾げる。もしかしたら人違いかなって思ったり、してるんだけど。


「あのっ」


その男子生徒はすごく緊張した面持ちで両手を差し出した。正確には両手に持った何かを。


「貰ってあげたら?」
「えと」


戸惑う私にさり気なく。ちょっとだけ優しい声で言ったのはフェイトちゃん。フェイトちゃんの言葉に促されるように、その男子生徒も「読んでください」と言って私にその手紙を手渡して、逃げるように駆けていったのでした。


「……良かったわね、なのは。」
「えっ?」


出来るわよ、恋。なんて。


「えっと…」


どうすれば良いのか分からなくて、その男子生徒が去った後で助けを求めるように皆の顔を見る私。そりゃあ「恋がしたい」とか言ったけどこういう状況に慣れてるわけじゃないわけで。


「読んで、それから返事をしたら?」


そんな状況の私にいつでも助け船をくれるのはフェイトちゃん。何だかんだで文句を言いつつ実は結構頼りにしている面もあって、私はフェイトちゃんにそう言われると安心する。


「……そうする。」


確かに恋がしたいって言ったけど、何だか腑に落ちない。ドラマや何かでみたそれとは少し違っててもやもや。恋をするチャンスなのにこんなだからだめなのかな。うーん…

そうして途中の道で私を冷やかす様なはやてちゃんやアリサちゃん、それからすずかちゃんと別れてフェイトちゃんと私の2人の帰り道。


「フェイトちゃん、どうしよう。」
「うん?」
「だから──…」


ちょっとだけ縋るようにそう聞いた私にフェイトちゃんは笑う。


「少しだけ話してみたら?」


それで合わないようだったら「ごめんなさい」って言えばいい。そうアドバイスするように微笑むフェイトちゃんに小さく頷いて。それから家について、私はフェイトちゃんと別れたのでした。

家に帰って手渡された封を開けてもあんまりドキドキはしなくて、なんだかもやもや。ちょっと消化不良みたいなそんな感じなの。結局その人とどうするとかそんな結論は当然出なくて、考えるのを後回しにして、私はそのままその日を過ごした。
























その翌日、午後の授業の体育で。


「高町さんとハラオウンさんって本当に付き合ってないの?」
「えっ?」


そんな風に聞かれた質問に、「またその質問?」と肩を竦ませた。もう高校に入学して何度目の質問か分からないけど、聞かれる度に丁寧に答える。


「ただの幼馴染だよ。」


ほとんど家族とか、姉妹みたいなもの。


「良いなぁ、仲良くて。」
「そーかなぁ」


そんなことないけど、なんて言いながら視線を渦中のフェイトちゃんの方へ向ける。

ちょうど高跳びを選択したフェイトちゃんの番で、ピィッという高音の笛の音に合わせてフェイトちゃんが走り出した所だった。綺麗に跳躍して、他の人よりも少しばかり高く設定したバーを難なく越える姿。フェイトちゃんは頭も良いけどスポーツも凄く得意。そんな姿を見て、隣にいた同じクラスの子が感嘆の声を上げる。


「あーぁ。高町さんと付き合ってないなら、好きな人って誰なんだろう。」
「………ふぇ?」


隣で漏れるように呟かれた言葉に、今しがたフェイトちゃんへと向けていた視線をその友達に向ける。


「ハラオウンさん。」


好きな人居るんだって。誰だか知らない?なんて。「高町さんなら知ってるかなって思ったんだけどなぁ」なんて顎に指を当てて言うその子に、何だか胸がざわついた。昨日のもやもやよりもっと複雑。


「………フェイトちゃん、好きな人居たんだ。」


私とフェイトちゃんの仲なんだから教えてくれても良いのに。教えてくれなかったことが何だか嫌で。その後ちょっとだけ不機嫌になったのは内緒。






「何か機嫌悪い?」
「別に。」


そうして放課後、ちょっとだけ困ったようにそう聞いたフェイトちゃんに素っ気なくそう答える。そんな私に対して、フェイトちゃんは少しだけ苦笑した。


「……今日、私ちょっと先に帰るね?」
「どっか行くの?」
「ちょっとね。」


あの道暗いから気を付けてね、なんて言うフェイトちゃん。


「フェイトちゃんも気を付けてね。」


はいはい、なんて言いながら。皆に挨拶をして教室を出ていったフェイトちゃんを見送ったのでした。


「珍しいわね、フェイトが用事なんて。」
「ん。」
「なのはちゃん、何か聞いてる?」
「うぅん。」
「なんやフェイトちゃんおらんと寂しそうやなぁ。」
「そ、そんなこと……」


ないもん。と言いながら校舎を出て校門へと差し掛かる途中で。


「あ。」


校門前に立っていた昨日の男子生徒と目が合った。そういえば忘れてた。昨日の今日で返事なんて全然考えてなかった。


「おー、待ち伏せかぁ。」


やるなぁ、なんてからかうように言ったのははやてちゃんで。


「まぁ良い機会だし一緒に帰ったら?」
「ふぇぇっ?」


知らない人なのに?と問う私に。アリサちゃんが呆れたように溜息を吐いた。


「そんなんじゃいつまで経っても恋愛出来ないわよ?」
「…………。」


結局その言葉で、私ははやてちゃんたちと別れてその男子生徒と一緒に帰ることに。っていっても普通に帰るのも何なので、ちょっとだけ街中を通ってだけど。
















「……高町さんは、好きな人とか居ないの?」
「えっ」


その人と2人で街の中を通りながら聞かれた質問に、ちょっとだけ曖昧に笑ってみせる。その後に「僕としてはいない方がいいけど」なんていう言葉が続いて苦笑で返した。


『合わないようなら───』


結論から言うと、そうなんだろうな。なんてフェイトちゃんの言っていた言葉を思い出す。なんていうか他愛のない話をしていても、全然楽しくない。恋ってもっとドキドキして楽しいと思ってたんだけど…。この人の事は好きになれそうになかった。


「好きな人っていうか───…」


今は誰とも付き合う気はない、って。そう言おうとして、視界の端に捉えた金髪に、眉を寄せる。見覚えのある色で、というか私がそれを見間違えるはずなんてないんだけど。


「………。」


視線の先の、知らない人と一緒に歩くフェイトちゃんは何だかとても楽しげで、ちょっとだけ…嘘、凄く。胸が痛いような、悲しい気持ちになった。もやもやがチクチクに。それが何だか分からないんだけど。


「……ごめんなさい。」
「──えっ?」


その後どんな風に何を話したのか覚えてないけれど。フェイトちゃんを見失って、胸のムカムカがなくならなくて、私はその人の申し出にはっきりと断りを入れて、家へと帰って来た。正確には帰る途中。道端の小石を蹴飛ばして、街中で見たフェイトちゃんの事を思い出していた。

デートだったのかな。随分楽しそうだったな。




「────…。」


一緒に居た人は誰だったんだろ。



「─────…は。」


フェイトちゃんの好きな人、なのかな。ずっと一緒に居る私でも知らないなんて、好きな人って誰なんだろう。あぁ、何だかもやもやして気分が悪い。


「───なのはってば!」
「ひゃっ!?」


悶々と考えていた私の肩を。名前を呼ぶと同時に叩かれて、思わず悲鳴染みた声が漏れた。振り返れば見慣れた姿。ちょっとだけ息を切らしたフェイトちゃんがいて、どうやらさっきからずっと呼ばれていたみたい。


「もう。ずっと呼んでたのに。」


無視するなんて酷いよ、なんてフェイトちゃんは少し眉を寄せた。


「ごめん、考え事してて……」
「はやてからメール来てたけど、何か嫌なことあった?」
「え?」
「昨日の子と一緒に帰ったんでしょう?」


電話しても出ないし、とちょっとだけ心配そうな顔。そう言われて携帯を見ればフェイトちゃんからの着信が入っていた。


「あ…ごめん。」
「何もなかったなら、良いんだけど。」


ふぅ、と息を吐いて困ったように言うフェイトちゃんにまたちょっとだけもやもやが沸いた。


「ごめんね、デート中だったのに。」
「は?」
「今日、フェイトちゃん見たよ。」


何だか少しだけ刺々しい言い方になった。フェイトちゃんはいつも私に過保護で、何だかんだで面倒見がよくて、それから頼りになって。何だか私が子供みたいだ。


「あー…」


少しだけ苦笑してから。


「違う違う、ちょっと…いやだいぶ違うかな。」
「なにが?」
「買い物付き合って欲しいって、言われただけ。」


デートじゃないよ、と苦笑して。


「私、そういうの興味ないから。」


それからそう言って少しだけ楽しそうに笑った。


「フェイトちゃん、好きな人が居るって聞いたけど。」


やっぱりちょっとだけ刺々しくなった言い方の言葉にフェイトちゃんは「えー」と頬をひと掻きして、何だかちょっとだけ恥ずかしそうに口を開いた。


「告白されてなんて返していいか分からなくて言っただけだよ。」


ほら、そう言っておけば他の人もあんまり迂闊には告白してきたりしないでしょう?なんて。


「ちょっと狡いかも知れないけどさ。」
「ふぅん……。」


それから少しだけ無言で歩いて家の前について何となく。小さく口を開いた。


「フェイトちゃん家行ってもいい?」
「え?今日?……良いけど、散らかってるよ?部屋。」
「いつもそう言って綺麗になってるじゃん。」
「なのはよりはね。」


そう言って意地悪く笑ったフェイトちゃんの足に鞄をぶつけようとスイングさせて、フェイトちゃんが華麗に避ける。

それからフェイトちゃんの部屋に上がって、慣れたその部屋を見渡す。小さい頃からの写真とかがいっぱい飾ってあってちょっとだけ懐かしかったり。もちろん私の部屋にも同じような写真が飾ってあるんだけど。


「なのは、紅茶で良かった?」
「うん。」


それから温かい紅茶を淹れてくれたフェイトちゃんがやって来て、特に何をするでもなく過ごす。フェイトちゃんは雑誌を読んでいて、私は写真を眺めていて。


「ねぇフェイトちゃん。」
「ん?」
「この写真の時さぁ?」
「どれ?」


パラリとアルバムを捲って、そこに出てきた幼いころの私たちの写真を指差して。遥か昔の記憶を呼び起こす。その写真のフェイトちゃんはどうしてか泣きそうな顔をしていた。


「これ。……この時、フェイトちゃんってどうして泣いてたんだっけ?」
「泣いてた時なんてあったっけ?…忘れちゃった。」


だって幼稚園だよ?なんて言いながら。フェイトちゃんは何事もなかったようにまた雑誌へと視線を戻す。私は何だか思い出せないことが気持ち悪くてもやもやしたまま。


「ねぇ、本当になんで泣いてたんだっけ?」
「んー?だから、泣いてないったら。」


結局何度聞いてもまともに取り合ってくれなくて、私は一人でもやもやしたままだった。


「フェイトちゃん、今日泊まってても良い?」
「良いよ。夕飯大した物作れないけど。」
「どうせいつも私が作ってるじゃん!」


そんなやり取りをして、私はフェイトちゃんの家に泊まることにしたのでした。
























「ねぇなのはちゃん。」
「なぁに?すずかちゃん、そっち少し持とうか?」
「大丈夫だよ。」


その翌日、学校で委員会のお仕事を任されて。私とすずかちゃんは少しだけ重い荷物を持ちながら放課後の廊下を歩いていた。それからすずかちゃんは何かを思いついたように少しだけ考えるような表情をして、それから言葉を続けた。


「なのはちゃん、結局この間の男の子とは……?」
「にゃ、にゃはは…実は───…」


苦笑を交えてお断りしたっていう、昨日の出来事を話す。


「途中でフェイトちゃんを見つけて?」
「ふぇ?うん。」
「………それで、どう思ったの?」
「どうって…なんていうか、ドラマで見るようなドキドキとかしなくて、恋できそうもないなって──…」
「そうじゃなくて、フェイトちゃんを見つけてってこと。」


真顔でまっすぐそう聞くすずかちゃんにちょっとだけ委縮しながら思い出す。思い出せば出すほど鮮明にもやもやが蘇ってきて、ほんのちょっとだけ眉間に皺が寄った。


「む……」
「ねぇ、なのはちゃんっ」
「ぅえ?」


ボン、と運んできた荷物を適当な場所に置いて、なぜか私の荷物も奪い取って。


「それってやきもちじゃないかな?」
「ふぇっ」


両手を握って、なんでか瞳を輝かせてそういうすずかちゃんが少しだけ怖かった。やきもちって、誰が…?なんて首を傾げる。


「フェイトちゃんが他の子とデートしてるのが嫌だったんでしょう?」
「で、デートじゃないって言ってたもん」


それに、フェイトちゃんにドキドキした事なんてないし。と続ける私に、すずかちゃんはちょっとだけ微笑んで。


「本当に?」


本当にドキドキした事ないの?なんて言うわけで。その疑うような視線に、何だか恥ずかしくなって顔が熱くなった。


「ほっ、本当だってば!」


誰がフェイトちゃんなんかに。あんなの唯の腐れ縁なんだから!なんて口を開いて。


「───あ、いたいた。なのは。」
「ひぁっ!?」


そんな中。


「ぅわ、何?急に………」
「きゅ、急に出てこないでよ!」


すずかちゃんと話している私のすぐ後ろに、廊下の角を曲がって出てきたフェイトちゃん。思わず変な声が出て、誤魔化すように少し声を荒げた。


「人の事虫みたいに言わないでよ。」


苦笑してそう言うフェイトちゃん。フェイトちゃんはどうやらはやてちゃんと一緒に歩いていたみたい。


「フェイトちゃん、どうしたの?なのはちゃんに用事?」
「うん、用事って言っても大した事じゃないんだけど──…」


“本当にドキドキした事ないの?” 


ぼんやりと、すずかちゃんの言葉を思い出しながら。ぼんやりとフェイトちゃんを見ていると、フェイトちゃんがそう言いながらこっちに視線を向けて。それから何かに気が付いたみたいに私の髪に手を伸ばす。


「なのは。葉っぱついてるよ。」


何処でつけてきたの?なんて微笑して私の頬を少しだけ掠めて、冷たい指が髪に触れた。不意打ちだったせいか、思わず心臓が跳ねた。


「風で飛んできたのかな?」


フェイトちゃんがそういって目を細めて笑う。その顔を見て、またしても心臓が跳ねた。そういえば今更だけどフェイトちゃんって美人だ。格好良いし。


“本当にドキドキした事ないの?” 


「ぅ…ぁ。///」
「なのは?顔赤いけど風邪でも引いた?」


フェイトちゃんは手の甲で額に触れて、「うーん」なんて唸りながらそう言うわけで。


「引いてない!」
「わっ」
「私仕事なの!!」


思わずフェイトちゃんを両腕で突き飛ばして、荷物を両腕に抱えて。


「話なら後にして!!」
「─── ぁ」


一目散に走り出す。すずかちゃんが変なことを言ったせいで何だか調子が狂ったの。こんな事あるはずがない。私がフェイトちゃんに恋をするなんて、それはない。絶対。だって幼稚園からずっとほとんど隣にいた人間に今更恋をするなんて、そんなの絶対変。

もっと、ある日突然素敵な人が現れる、みたいな恋がしたいのに。



「なのはちゃん、フェイトちゃんの事────」


追いかけてきたすずかちゃんの「好きなんじゃないかなぁ?」なんて言葉に恥ずかしさが募って首を横に振る。


「そんなの絶対ないもん。」


絶対に絶対、ない。今まで散々誤解されてきて、何度も否定してきたんだから。


「フェイトちゃんに恋なんてそんなの絶対変だもん。」


だてフェイトちゃんは唯の幼馴染で腐れ縁。自分に言い聞かせるように。


「そんなの認めない!///」


少し大きめの声で、そう叫んだのでした。































「なぁ、フェイトちゃん?」
「ん?」


逃げるようにその場を去ったなのはとすずかの背中を見送って、静かに紡いだのははやてだった。ずっと思ってたんやけど、なんていう言葉に続けて。


「なのはちゃんって、フェイトちゃんの事好きなんちゃうかな?」


フェイトちゃんはどう思ってん?なんて。


「そうだなぁ…。」


ちょっとだけ苦笑して、両腕を伸ばして大きく伸びをした。


「全人類の中で多分1番好き、かな。」
「なんやそれ。」


好きじゃないはずがない。好きじゃなかったらあんなに甲斐甲斐しくなんてしないよ。と笑う私に少し意外そうな顔をして、はやては眉を寄せた。


「だったらなんでこの間の告白にせよ、反対しなかったん?」


もしかしたらなのはちゃん、付き合ってしまったかもしれんよ?ただでさえ「恋したい」とか言うてたんやから、なんて最もな意見を言って歩き出す。確かにもっともな意見ではあるけれど、私は少しだけ微笑した。


「なのはは多分、恋なんて出来ないよ。」


私が居るから。なのはにとって私以上の人は多分現れない。ずっと小さいころから一緒に過ごしてきたせいで、基準は私以上くらいに設定されてるはず。無意識に。なんて、そう言うとはやては若干引いたような顔をして「恐ろしいなぁ」なんて冗談めかして言った。冗談かどうかは知らないが。


「そんなら早ぅ告白でもなんでもしたらえぇのに。」


わざわざ他の人進めんでも、なんてまたしても訝しげな顔をして。はやてはそう呟いた。他の人を進める意味がないやろ、なんて。


「他の人を介さないと、私を意識したりなんてしないだろうし。」
「はー…フェイトちゃん、結構陰険やなぁ」


陰険、という言葉には少しだけ心外だ。


「それに私からは告白しないよ。」


絶対に。それだけは決めている。


「なんで?」
「なのはからさせることに意味があるんだ。」
「は?」


遥か昔の記憶。思い出したくもないような幼少期の記憶。


『なのは、わたしのこいびとになってくださいっ!』
『えー、ふぇいとちゃんじゃやだー』


私に背を向けて砂の城を作りながら、視線も向けずぞんざいに返された返事。その日私は人生で一番泣いたと思う。なのはには「覚えてない」と言った。なのははすっかり忘れてるみたいだったけれど。その日以来私はずっとなのはに好かれるようにひっそりと努力を重ねてきた。

そんな話をすると、はやてはますます引き気味で、若干気持ち悪いものを見るような目つき。


「フェイトちゃん、ねちっこいな。」


それから放課後の学校の廊下に。



ぽつりとだけはやてのそんな言葉が木霊した。












\(^^)/

▼このフェイトちゃんは一生ねちっこくて陰険になのはちゃんを攻める。
▼優しそうでいて結構なドSである。
▼爽やかでいて結構えろい。
▼なのはちゃんを泣かせる(主にえろいことで)事が好き。










テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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