わん

_(」∠ 、ン、)_ つらいよう

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ピリピリピリ、と部屋の静寂を破るデジタル音。頭のすぐ近く、枕元にあるその音の原因ともいえる目覚まし時計を手探りで大人しくさせて、私はもぞもぞと温かな布団に包まった。

───と同時にパタパタパタと近付いてくる足音が聞こえて、私はさらに身を縮込ませてガードを強める。私、フェイト・T・Hは今年から高校に通う高校1年生。


「フェイトちゃんっ!朝だよー!」


そんな私の2歳年上の姉であるなのはと、故あって2人暮らしだ。私と違ってしっかり者のなのはは既に朝ごはんの準備とかそう言った事をしていたらしい、扉が開いた拍子にほのかに香る良い匂い。


「………ん…」
「ほらほた、起きないと遅刻しちゃうよ?」


仕方ないなぁ、なんてちょっとだけ頭上で困ったような笑い声が聞こえてそれからなのはは私の背中辺りをゆさゆさと揺らす。ほとんど毎朝の日課みたいなもので、朝の日常風景。その後暫く揺らされて、私はようやくベッドと別れを告げたのだった。









「フェイトちゃん、今日は課外授業とかあるんだっけ?」
「ん、と。今日は出ない予定。」


なのはが焼いてくれたパンを咀嚼して、今日の授業予定を思い出す。確か今日は少し早めに帰れる日のはず。そんなふうにして言う私になのははそっかーとちょっとだけ微笑んで、それからじゃあ今夜は何作ろうかな、なんてまだ朝ご飯を食べてる時点なのにすでに夕飯のメニューを考えているみたいだった。

私はとある事情でなのはの家に幼い頃に預けられた。多分、8歳とかそのくらいの時だったと思う。それからずっと一緒にこの家に暮らしていて数年前に家族が海外に赴任してしまった際に2人暮らしになった。だから私となのはは血がつながっているわけではないのだけどなのはは年上だからなのかそういう性格だからなのかしっかり「お姉ちゃん」をしてくれるわけで。


「忘れ物ない?」
「ん。」


そんな風にしながら朝食を終えて、私となのはは家を出たのだった。


























「フェイトちゃん、まだ告白出来てないの?」
「───出来るはずないじゃん…。」


だってお姉ちゃんだよ?と机に突っ伏す私の頭上でちょっとだけ笑う声がした。現在は昼休み。同級生で友達のすずかの一言に私は息を吐いた。告白、という言葉に、ほんのちょっと頭痛がした。


「でも血は繋がってないんだよね?」
「それはそうだけど…」


血の繋がらない、姉妹のような存在のなのはに。私はずっと恋心という物を抱いてるわけで、そんな気持ちを抱いたままずっと過ごしていて。密かに抱いていたこの気持ちを打ち明けたのはすずかが初めてだった。


「そう簡単に告白なんて。」


出来るはずがない。だってなのはにとって私は完璧に「妹」で。


「良いのかなぁ。結構モテるでしょ?」


なのはちゃん、となのはの事をちゃん付けで呼ぶすずかは少しだけからかうように私を見る。「モテる」という言葉に、不安で胸がじくじく痛んだ。

そう、なのははモテる。勉強もできるし委員とかしてるし目立つし。良く誰それがなのはに告白しては玉砕したっていう噂を聞くけど、「告白した」という事実を聞いては不安に身を震わせて、「玉砕した」という言葉を聞いては安堵の息を吐く毎日。


「……なんで姉妹なんだろ…。」


こんなならいっそ他人の方が良かった。いや事実上は本当他人なんだけど。


「なのはちゃん、お姉ちゃん通り越してたまにお母さんみたいなときあるよね。」
「……ある。」


もはや保護対象としてしか見られてない可能性にさらに肩を落とした。小さい頃から一緒だったせいか分からないけどなのはは本当に私の世話を焼きたがる。そういう性格なのかもしれないけど。私はそれが嬉しいような、嬉しくないような。突っ伏して頬に触れる机が冷たくてほんの少し切ない。そんな風にして切なさを感じている私の頭上。


「あ、なのはちゃんだ。」
「どこ?」


すずかが発見したと思われる「なのは」という名前に勢いよく顔を上げた。すずかの視線の先、窓の外。


「………本当だ。」


誰かと一緒に歩くなのはの姿。荷物を半分こでもしたんだろうか、委員会の仕事だろうか?良く知る男子生徒と隣り合って歩くなのははちょっとだけ楽しそうだった。


「誰かと一緒だね。」
「多分ユーノだよ、それ。」


見つけた姿を見たくなくて、もう一度机に頬を付けて突っ伏す。私だって。


「フェイトちゃん?」


私だってなのはと同じ学年だったらなのはの荷物を半分持ってあげるくらいするのに。私だって同じクラスだったら同じ委員会で手伝ったりするのに。ユーノっていうのはなのはの友達の男子生徒。割と他の男子生徒よりは仲が良いんだと思う。たまに話に出てくるから。たまに付き合ってるって噂を聞くけど。実のところはどうなのか知らない。様子を見る所付き合ってはなさそうだけど。


「……すずか、今日課外授業出るの?」
「えっ?一応出るよ。」


一人でこんな気持ちになるなんて子供っぽくて馬鹿みたい。つまらないやきもちを焼いてる自分が恥ずかしいって思うのに、それでもやっぱり悔しくて。


「じゃあ私も出ようかな。」
「えっ?帰り遅くなっちゃうよ?」
「…………知ってる。」


早く帰るって言った私の言葉に楽しそうに晩御飯のメニューを考えてたのも知ってる。だけど、でも。


「やきもち焼くくらいなら告白しちゃえば良いのに。」


なのはの顔を見たくないっていう思いの方が強くて、そんな自分が嫌で。


「……振られたらどうするのさ。」


私はくぐもった声で、力なくそうとだけ呟いた。




















つづく




テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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