missing-04

missingの4話です。

ここが始まりみたいなもので。ここから盛り上げられたらいいなって思います。



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本日最後の授業で、今は歴史の時間。何となく「前世」のお話をされてから聞く歴史はちょっとだけ違う気持ちで聞けるような気がして、私はいつもよりは少し真剣に聞いていた。そんな午後の授業中。


「──ね、見て。」


またヒソヒソとしたささめきの声が後ろで聞こえて、私もちらりとだけ視線を向けた。一番最後の授業に体育が組み込まれている隣のクラスはちょっとだけ可哀想だと思う。そんな事を考えながら、視線の先で2種類の金髪。

相変わらず桃色を孕んだような声を向けられる彼女、フェイトさん。いつも1人でいるような印象があった彼女だけど、今日は少し違うみたい。隣に居たのはアリサちゃんだった。私を守るという名目を掲げてわざわざ転校までしてきた、私の前世での騎士?だった前世の記憶も持ってるんだとか。


「………。」


転校してきてまだ数日。なのに、なんていうかいつの間にか彼女と仲良しになったらしいアリサちゃんは遠目に見て、フェイトさんと何か話しているようだった。こんな事を思うのもどうかなって思うんだけど、それでもやっぱりちょっとだけ羨ましく感じたりもする。


私も、クラスが一緒だとか何か接点があったならもう少し彼女とお話出来たりしたのかな?なんて。たまに目が合うくらいだったのに、この間の帰り道で遭遇して以来何かと彼女の事が気になっていたのでした。











missing-04










「───なに、睨んでるのよ?」
「べ、べつに睨んでなんかないよぉ。」


放課後、1人で帰るのは危ないからなどと言われながら帰る支度をする放課後の教室。ちょっとだけ怯んだようにそう言ったのはアリサちゃんだった。特に睨んでたわけじゃなくて、ただちょっと。昼間の事を思い出して羨ましがってただなんて言えるわけでもなくて、言葉を濁して帰る支度。

「あ、図書室に本返すの忘れてたっ!」


そんな中、帰る準備をしてる途中で机の中に借りっぱなしの本が入ってることに気が付いて、声を上げる。返却期限は明日なんだけど、明日は明日でまた忘れちゃったりするかも、なんて思うわけで。


「あー、ちょっと本返してくる。」
「ほんなら私らも一緒に──…」
「いいよ、返すだけだから1人で。」


図書室に行くにもついてくるなんていうはやてちゃんの言葉にちょっとだけ苦笑して、私は3人を教室に待たせたまま、図書室に行くことにした。最近転校生である3人とずっと一緒の所為か私まで目立ってる気がして、ちょっと恥ずかしいと言うかなんというか。守るといっても私本当に何にも襲われた事がないから、全然必要ないと思うんだけど。なんてぶつぶつ考えながら廊下を歩いてたせいか。


「ふぇっ!」
「───わ、っと。……大丈夫?」


廊下の曲がり角で、顔面から人にぶつかった。鼻から突っ込んだせいで鼻が痛くて、ちょっと抑える私にやや申し訳なさそうに掛けられる声。聞き覚えのあるような、そんな声だった。鼻を押さえながら顔を上げれば、紅い瞳とかち合う。ぶつかった相手が誰なのか気が付いた瞬間に顔が熱くなった気がして。


「ふぁ、ご…ごめんなさいっ!」
「こっちこそよそ見して歩いててごめん。鼻、大丈夫?」


ぶつかった相手はフェイトさんだった。ちょっと苦笑交じりにそう言うフェイトさんは「赤くなってるよ」なんて言う始末で、私はちょっと恥ずかしさで死にそうになる。なんで前を見て歩かなかったんだろう。最悪。


「だ、大丈夫です…!ちょっと急いでて…」


言い訳するみたいに早口になる私に、フェイトさんは何か気が付いたのかちょっとだけクスっと笑った。


「あんまり急ぎすぎて転ばないようにね?」


笑ったのに、その笑った顔がどこか少しだけ寂しげな気がしてちょっとだけ顔の熱が引いた。なんていうんだろう、衝動っていうのかな?勝手に手が伸びて、同時に持っていた本が床に落ちて。


「あっ」


バサバサっていう音で我に返る。ほんの一瞬の出来事だったんだけど、凄く長い時間動きが止まってたような錯覚がして、目の前で本を拾おうと屈んだのはフェイトさん。時が止まったような、妙な気分だった。


「大丈夫?」
「あ、はい。」


どうぞ、といって本を差し出したフェイトさんは同い年には見えないくらい大人びていて、そういえばまじまじと正面から顔を見るのって初めてだなって思う。真っ直ぐ伸びた鼻筋。紅い瞳。あ、あんまり見すぎても失礼だよね。そう思って誤魔化す様にお辞儀した。特にフェイトさんは気にした様子もなくて、ちらりと視線を窓の外に向けて。


「暗くなる前に帰った方が良いよ。」


それから微笑して。そうとだけ言って、私に背を向ける。風に揺れる金髪が綺麗でちょっとだけ見惚れて、慌てて図書室へと急いだ。そういえば教室に皆を待たせて他の忘れてた。遅くなって探しに来たりしたらそれはそれで申し訳ないから早く教室に帰らなくちゃ。外はすっかり夕暮れていた。

でも、フェイトさんとお話できたのはラッキーかもしれない。なんて。この時の私はそう思っていたわけで。







「遅い!!!」
「………ごめんなさい。」


数分後、何故か教室に待たせていたアリサちゃんにお説教されたのは余談なの。


「何かあったのかと心配になるでしょうが!」
「まぁまぁアリサちゃん。何もなかったんだし、良かったじゃない。」
「そーやね。いくら護衛なんていうてもプライバシーは必要やし。」
「……ふぇ?」
「好きな人と乳繰りあう時間も必要やよー?」


はやてちゃんの言葉には色々突っ込みたいところではあるけどそれよりも。


「見てたの?」


フェイトさんと話してた所を見てたのかと、ちょっとだけ顔が熱くなった。特に見られてもなんの問題もないシーンっていうかただお話してただけなんだけど。妙に恥ずかしいと言うかなんというか。だけど、そんな私に3人は目を見開く。


「え?なのはちゃん好きな人とかおるの?」
「誰よ?」
「誰とお話してたの?」


それからこんな訊問。「好きな人」という言葉に彼女の顔が浮かんで、さらになんとも言い得ない気持ちになった。別に好きとか、そう言う感情はもってなくて、ただ気になるだけなのに。じゃなくて。


「違っ…!好きな人なんていないってば!///」
「嘘。いま嘘ついたわね!」
「なのはちゃん顔赤いなぁ。怪しい怪しい。」
「違うってば!もう!ほら帰るよ!!」
「2人とももっと優しく聞かなきゃだめだよ?」
「すずかちゃんまで…」


結局こんな問答があって、最終的に少しだけ怒り始めた私に3人が怯んでこのお話は終わりになった。それから4人で学校を出る。教室で変な問答を繰り広げている間に外はすっかり暗くなっていて、私は息を吐く。3人は私と同じマンションに部屋を借りたみたい。だから、学校に行くときも帰る時も一緒なの。夕飯も一緒に食べるときがほとんどだし。……1人暮らしはちょっと寂しいから、それはいいけど。


「みんなは一体いつまでこんな事続けるつもりなの?」


たまに、不安になったりもする。こんなにぴったり護衛?されてたら、恋人とか出来ないんじゃないかなって。たぶん、さっきの話が影響してこんな考えに至ったんだろうな。私の質問に、最初に口を開いたのはアリサちゃんだった。


「なのはを狙うやつが、居なくなったらかしらね。」
「……それって、誰なの?」


十数年生きてきて、一度も狙われた事ないんだけど。むすっとして睨むと、何故か3人とも妙な雰囲気。警戒してるって言うのかな?いつも見ている表情とは全然違う、険しい表情だった。


「な、なに?どうしたの…?」
「来たわね…。すずか、はやて気をつけなさいよ。」
「すずかちゃんはなのはちゃんの側に。私とアリサちゃんは──…」


急に、物々しいっていうのかな?雰囲気が強張るっていうか。すずかちゃんが「私のそばから離れないで」なんて言って私の腕を掴む。ちょっとだけ強く。


「もー、3人とも、一体何なの?」


3人の視線の先に私も顔を向ける。───と、そこに居たのは黒い塊。塊というのはちょっと違うかも知れない。四足の、犬……というよりは狼に近い形で、影。はっきりした形はなくて、もやもやした形のそれには、赤黒く光る目が2つ。しっかりとこっちを見ていた。


「お、おおおおお化け?なに?なにあれ!」


咄嗟にすずかちゃんの服を掴み返す。


「あれが、なのはちゃんを狙ってるものの正体。」
「───…あれを使役してるやつが黒幕よ。」
「周りに人が居ないあたり結界張られてるんやろーね。こっちにも好都合や。」
「なんで皆そんなに落ち着いてるの!?」


信じられない。信じられない。そう言えば私ついこの間空飛んじゃった事、すっかり忘れた振りしてたのに。やっぱり前世とか、魔法とかそう言うの全部本当だったんだ。すずかちゃんに縋るように身を縮めるとすずかちゃんがちょっとだけ笑って「大丈夫だよ」なんて。


「こういうのから守るために私たちが居るんだから。」


そう言うと同時に動いたのはその黒い塊。四足で駆けだしたそれをに対抗するように右手をかざすとアリサちゃんの腕が光りだす。手の先から出たのは前にも見たことがある魔方陣。前に見たのはすずかちゃんので、色がちょっとだけ違うけど。アリサちゃんのは、綺麗な赤い光。ちょっと橙色っぽいかな?

眩しい光と同時に、轟音が響いて、正直わけが分からなかった。はやてちゃんははやてちゃんで空中から同じくその光を放つ。はやてちゃんは杖のようなものを持っていて、一匹だと思っていたその敵?はどうやら数匹存在していたみたいで。別方向に向けて白い光を放つ。


「なのはちゃん、大丈夫?」
「………だ、駄目かも。っていうかこんなに凄い音とか出てるのにどうして警察とか来ないの?」


普通なら騒ぎになっちゃうよね?なんて半分涙目の私に。


「広域結界を張ってあるから。」
「ふ、ふぅん。」


良く分からないけど、もうそれ以上は聞かなかった。後で聞こう。これってかなり非日常なの。目の前ではアリサちゃんが橙色の閃光を放って黒い塊を撃つ。チラリと視線を向ける先、はやてちゃんが杖でその黒い塊を真っ二つにしていて。全部倒し終わったのか、アリサちゃんが戻って来て。

「雑魚ね。様子見かしら。」


なんて言いながらパタパタと制服の埃を払う。


「はやてちゃんがあと一匹。あ、終わったかな?」


見上げればはやてちゃんが最期の一匹らしい黒い獣を四散させたところだった。そうしてはやてちゃんがゆっくり降りてきてちょっとだけ緊張がほぐれる様な、雰囲気。正直3人は色々事情とか分かってるだろうからいいけど、事情を分からない私にしてみれば完璧に取り残された状態でもう本当に泣きそうだった。


「ちょっと、色々聞きたい事はあるんだけど。さっきのが私を狙ってるって言うやつ?」
「狙ってるやつの手下よ。」
「悪い人を倒さない限りずっとあれが出てくるの?」
「まぁーそう言うことになるなぁ。」


そんなの困る。なんて言おうとした私視線の先に仔犬。


「あれ?この間の───…」


この子って確か前に横断歩道で助けた子?あの後すぐいなくなっちゃって心配してたけどまだこの辺をうろついてたんだ、なんて近付いて抱き上げようとして。


「ちょっとなのは!何処行くの!」
「…ふぇ?むぐっ」


アリサちゃんにそう言われて振り向いたと同時に足に髪の毛みたいな何かが絡みつく。多分察するに、私は不注意で残ってたお化けに捕まっちゃったんだと察したわけで。さっきまで可愛い仔犬だったそれは今では見る影もなく黒い化物に変わっていく始末。


「ふぇっ…!やだっ!」
「なのはちゃんっ!」


足を掴まれたまま、引っ張られて地面に尻もちをついた。引っ張られながら何か掴もうにも掴むものもないし、アリサちゃん達が駆けて来ようにも見えない壁に阻まれているのが見えた。スカートはずり上がるし、制服は砂だらけ。なんてそんな事を気にしてる場合じゃないんだけど。そんな時だった。


ズドン、という衝撃と眩しい光。


同時に引っ張られる感覚が突然消えて、ふわりと体が浮いた。足元に絡みついていた黒い髪の毛のようなものは消えていて。何が起きているか分からないまま、眩しさに目を閉じる。




「こんなの相手に……勘弁してよね、皆。」


それからすぐ頭上で。私を抱き留めたその「誰か」がため息交じりにそう紡いだ。うっすらと目を開けた先。よく見知った制服姿。この声の主を私は知っている。



「見てたなら手伝いなさいよ。」


フェイト、とアリサちゃんがその人の名前を呼んで。ゆっくりと視線を上げる先。


そこに居たのは隣のクラスの彼女、フェイトさんだった。





















──── 千年前ノ亡霊ガヤッテ来ル














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テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
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