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7話。

うおぉ、すいません明日コメントお返事させて頂きます><!

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「………なのは。」


かたん、と体を寄せた窓枠が風に揺れた。放課後の、使われていない校舎の教室で息を吐く。私をそこへ呼び出した女子生徒は既にその教室を出て行って、そこに居るのは私1人。名を呼んでもそこに居ないその人物の名に、息を吐いて目を閉じて。


静かに思い出していた。




彼女は国を背負う身分の姫で、私は拾われた従者。
彼女がどうして私をずっとそばに置いたのか分からなかったけれど、彼女が望むなら私はそうした。生きる意味を与えてくれた彼女が私の生きる意味になった。

孤児で、拾われた私を疎む王宮の視線を多く感じたけれど、彼女に必要とされていれば特に気にもならなかった。どんな時も気丈にふるまうなのはが私にだけ見せる弱さがあったから、私は彼女の支えとなると決めた。

彼女の望むことなら、私は何も厭わない。例えそれが、私の望むことではなくても。望まぬ婚約が決まった彼女が「最後まで側に仕えてくれる?」と泣きそうな顔で言った時も、私は首を縦に振った。彼女が望むならその婚約を壊すこともできたのに。

最期までその世界の為を願った彼女。


「なのは…。」


その世界は君の為に何をしてくれたというのか。


そんな世界を、私は許せなかった。
そんな世界を愛した君の事さえも。








だから─────


















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「随分早かったのね。」
「え?」



放課後、「用事」を済ませて合流したフェイトちゃんをからかうようにアリサちゃんが言うと、フェイトちゃんが「あぁ」なんてちょっとだけ苦笑した。


「そうだね。相手の子には悪かったけど…。」


そう言って頬をひと掻き。幾分か申し訳なさそうな顔をするフェイトちゃんをちらりと見た拍子に、目が合ってしまった。何となく恥ずかしくて気まずくて視線逸らす。もうすっかり夕方で空は少しだけ暗くなっていて、買い物をしたらすぐ真っ暗になっちゃいそうだな、なんて空を見て誤魔化したりなんてするそんな私の隣で。


「今はそう言うの、全然考えてないから。」


そんな風にどこか寂しそうな声音で、小さくフェイトちゃんが囁いた。少しだけ苦笑交じりに言って、「それに」なんて言葉を続ける。


「私達、そんなことに現を抜かしてる場合じゃないでしょう?騎士隊長殿?」


そんな言葉に、騎士隊長?なんて首を捻りながら、そう言われたアリサちゃんの方を見る。アリサちゃんはどこか気恥ずかしそうに眉を寄せて、それから小さくフェイトちゃんに舌打ちをした。


「その名前で呼ばないで。ぶっ飛ばすわよ。」
「騎士隊長って何?アリサちゃん。」


ちょっとだけ恥ずかしそうにするアリサちゃんにクスクスとフェイトちゃんが笑みをこぼして、それから私に続ける。


「アリサは前世では一応騎士隊長だったんだよ。」


こう見えても実は私達4人のリーダーだったんだ、なんて。今度はフェイトちゃんがアリサちゃんをからかう様な事を言うわけで。ちょっと意地悪な顔をしたフェイトちゃんが少し楽しそうだったのと、アリサちゃんがちょっとだけ恥ずかしそうにしているのが何だか微笑ましくて。前世でもそんな中に居た自分が少しだけ羨ましかったりなんて。自分相手に羨ましいだなんて変な話だけど。


「いいなぁ4人とも記憶があって。」


何気なく、そうポツリと呟いた。相変わらず私にだけ前世の記憶がなくて、勿論』疎外感なんてものは全然ないんだけどなんていうか。皆と記憶を共有したいな、なんて。そんな風に思って。


「………なのはは、記憶があった方が良かったの?」


そんな私に、ちょっとだけ予想外そうな顔をして言ったのはフェイトちゃんで。私は「もちろん」と首を縦に振った。


「あんまり良い記憶じゃなくても?」
「え?」


歩いている順番を言うと、私とフェイトちゃんが隣同士。その前をアリサちゃんとはやてちゃん、それからすずかちゃんが歩いていて。隣でポツリと呟かれた言葉に顔を向ける。はやてちゃんにも聞こえたのか、ちょっとだけはやてちゃんが振り向いた気がした。


「その、前世でのなのはは、きっと我慢とかしてたこと多かったと思うんだ。辛い事とかあったかもしれないし。それでも記憶が欲しかった?」


「え?」と聞き直した私に、フェイトちゃんがちょっとだけ悲しそうな顔でそう言う。何となく、そんな彼女の顔に胸がチクリと痛んだ。それからちょっとだけ考えて。


「んー、そんなに辛い事があったならちょっと迷っちゃうかもしれないけど、でも皆みたいに記憶があったら自分でも魔法を使って戦えたりするのかなって。」


それに皆との思い出話に参加できるし、なんて。悲しそうな顔をしてるフェイトちゃんを元気づける為みたいにちょっとだけ明るく笑って誤魔化した。昔の私は余程酷い目にあってたのかちょっとだけ気になったけど、フェイトちゃんがそんな顔をするのが嫌でこの話を終わりにしようと誤魔化そうとして。「今日の夕飯何にしようねー」なんて言おうと口を開きかけたと同時に。


「わっ、ぷ!」


突然 ぐい、と腕を引っ張られて顔をぶつけた。ぶつかったのはフェイトちゃんの胸というか肩のあたり。フェイトちゃんってスタイル良いなーなんて思うけど、そうじゃなくて、急に抱き寄せられたことに体の熱が上がった。


「な、なに?なに?///」
「………アリサ、はやて、すずか。」


けど、頭上で聞こえたのは少しだけピリピリしたフェイトちゃんの声。急にあたりが静寂になった気がして、何が起きたのか少しだけ悟った。こんな空気はこれで2回目なの。


「来たわね。」
「……すずかちゃん、数分かるか?」
「ん…大体なら。10匹くらいかな?」


そんな言葉のやり取りに、少しだけ身体か冷やりとした感覚に包まれた気がした。ほんの少し、やっぱり怖い。それは自分の未知の世界だし。ついこの間まで普通の高校生だった私には、まだ慣れることも出来なくて、ほんの少しだけ身震いした。


「大丈夫だよ。」


けど、そんな体の震えが伝わったのか、フェイトちゃんが私を抱き留める力が少しだけ強まって顔を上げた。顔を上げた先、ちょっとだけ優しい瞳があって。


「なのはは戦わなくていい。」


ふわりと、優しく笑う。そんなフェイトちゃんの顔に、ドキッとした。だってこの人はちょっと前まで憧れていたような人で。そんな人にしっかり体をホールドされて挙句そんな事を言われたらそりゃあ、ドキッともすると思う。

ゆらりと彼女の周りを金色の光が揺れた。魔力光っていうやつかな?


「なのはには傷一つもつけさせない。私が。」


にこりと笑って、そう言うフェイトちゃんはとても格好良くて、綺麗で。なのにそんな笑顔に何処か儚さを感じた。脆さって言うか、危うさって言うか。それが何なのか分からないけど。


「そこ!イチャついてないで仕事して!」


そう言ったアリサちゃんの言葉で慌てて周りに目を向けた。っていうかこの状態を見られてたことに恥ずかしさを感じて、少しだけフェイトちゃんに抱き留められた状態で身を捩る。気が付いたら周りに黒い獣みたいなのが数匹いて、皆はそれぞれ周りのその獣と戦っていた。


「……なのは、捕まってて。」
「う、ん。」


そう言われておずおずとフェイトちゃんの制服を遠慮がちに掴むとちょっとだけフェイトちゃんが笑った気がして、それがさらに恥ずかしくて出来るだけ目を合わせないようにした。何だろうこの気持ち。フェイトちゃんの邪魔にならないように極力動かないように身を任せて。私はとりあえず守ってもらう事に専念したのでした。

それから途中でフェイトちゃんの腕から離れてすずかちゃんの結界に入れて貰って。フェイトちゃんは私を安全圏に置いて、アリサちゃんとはやてちゃんのいる方向へと向かっていった。そんな中。


「なのはちゃん、大丈夫?」
「……うん。」
「あのね、なのはちゃん。」
「ふぇ?な、なに?」


フェイトちゃんが居ないうちに言おうと思ってたんだけどね、なんてちょっとだけ声を潜めて言ったのはすずかちゃんで。そんな言葉に私は黙って耳を向ける。


「フェイトちゃんって、なのはちゃんの為なら何も躊躇ったりしないと思うの。」
「ふぇ?」


急に何を?なんて言いかけた私に、すずかちゃんが言葉を続けて。


「なのはちゃんだから大丈夫だと思うんだけどね。」


フェイトちゃんの事を少しだけ教えてくれた。教えてくれたというか、それはなんていうか注意点って言うのかな?


「フェイトちゃん、なのはちゃんの願いってなんでも聞いちゃう人だから。」
「ふぇ?」
「それだけ覚えてて欲しいの。」
「えーっと…?」

すずかちゃんの話が突拍子もなさ過ぎて、ちょっと戸惑う私に苦笑して。


「うーんと、なのはちゃんに覚えてて欲しいなって。」


例えば私が我儘を言ったら、フェイトちゃんはどんなことをしてもそれを叶えようとするらしい。例えそれが良くない事でも。自分が傷つくことでも。


「なのはちゃんがそんな事言わないのは分かってるんだけど、一応伝えておこうと思って。フェイトちゃんって普段何でもないように見えてなのはちゃんの事に関しては盲目的だから。」


にこりと笑ってそう言うすずかちゃん。何となくすずかちゃんの言いたいことがわかった気がした。彼女の危うさの理由も。


「んと、よく分からないけどフェイトちゃんの事、教えてくれてありがとう。」


前世の私は、そんなフェイトちゃんの事を知っていたからフェイトちゃんには何も望まなかったんだって、そう教えて貰った。だから。


彼女に守ってもらうばっかりじゃなくて、守ってあげたいって。

そう思った。

もちろん皆の事も。
















だけど。












“───なのはは残酷だね。”







私は大切な事を思い出せないままでいた。
どれだけ謝っても、決して許されない事を彼女にしてしまった事を。


























─────ソレハマルデ、彼女ニ掛ケタ呪イ






























Continue...






テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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