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missing(・ヮ・)いっくよー

何かもう「ついてこれる奴だけついてこい!」状態…(笑)

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「……ん。」


ぼんやりと、目が覚めて目を開けた。多分外はまだ薄暗いから今はきっと夜中だと思う。夜中に目が覚めるなんてあんまりなくて、ちょっと私にしては珍しい。ちなみに、ここのところ皆は私の部屋に泊まっていくようなことが毎日(フェイトちゃんはあんまり止まってはいかないけど)で、今日は珍しくフェイトちゃんも泊まっていて。

皆の事を起こさないようにしながら、そっとキッチンへ向かう。それぞれ布団を敷いて、なんていうか狭そうにしてて。同じマンションに住んでいるなら部屋に戻ったら良いのになって思いながらちょっとだけ苦笑して。そんな風に苦笑しながら、とあることに気付く。


「あれ?」と声に出しそうになって思わず口を抑えた。一人足りない。フェイトちゃんが敷いた布団には居なくて、布団はもぬけの殻。部屋の中を見渡しても居なくて、足音を立てないように部屋を移動して。ベランダに居るフェイトちゃんに目が言った。そういえばフェイトちゃんって家に来るといつもベランダに居るな、って苦笑を一つ。そんなに夜空が好きなのかな?


「フェイトちゃん。」


呼ぶとすぐに反応を示してくれる彼女はちょっとだけ呼ばれた事に驚いたような顔をした。


「眠れないの?」
「……ちょっと、目が覚めて。」
「フェイトちゃんが居ないからびっくりしちゃった。」


そう言うと同時に、ふわりと肩に上着を掛けられた。それはさっきまでフェイトちゃんが羽織っていたもの。


「ふぇっ、いいよ!」
「いいから。寒いから風邪ひくよ。」


結局、「いいよ」って返そうとしたその上着は私に掛けられたまま、フェイトちゃんは「私は寒くないから」なんて言って少しだけ可笑しそうに笑うわけで。


「フェイトちゃんって昔からこんなに強引だったの?」


何となく仕返しに、ちょっと意地悪っぽく言う。


「昔はなのはの方が強引だったよ、凄く。」
「えっ?そうなの?」
「そりゃぁ、もう。」


何せお姫様だったからね、なんて可笑しげに言うフェイトちゃんに衝撃を受けた。もしかして、歴史上で聞くような我儘なお姫様だったのかな?記憶がないって嫌だなぁ、なんてもやもや考える私に。


「孤児で死にかけてた子供を王宮に連れて帰るような事、するくらいにはね。」


クスクスと苦笑しながらそう言うわけで。それってフェイトちゃんの事を言っているんだろうかと、視線だけ向ける。と、フェイトちゃんは私の疑問を酌んだのか、ほんの少し考える様な仕草をして。


「明日学校あるけど、寝なくて大丈夫?」
「だ、大丈夫!」


それからそんな質問をして、ゆっくりと話を続けてくれたのでした。


「私ね、前も言ったかもしれないんだけど孤児だったんだ。」
「うん。」


優しく話してくれるフェイトちゃんの声が、酷く心地良かった。


「もう、正直明日死んでもおかしくないくらいの生活でね?」


良く映画のシーンにもあるような、道端に倒れこんでいるような子供だったんだ、なんて。前世の事だけど事細かに覚えているらしかったフェイトちゃんは続ける。


「生きる為なら盗みも平気でするような子供だったかな。」


ちょっとだけ、恥ずかしそうに話すフェイトちゃん。話を聞きながら目が合うと、「人に言えるようなことではないんだけど」なんて小さく笑う。


「そんなことないよ。だって───…」


だって、そうしなければ死んじゃったかもしれないんでしょう?なんて言葉は何となく続けられなくて、口ごもる私にどうしてか満足そうな顔をしてフェイトちゃんは言葉を続けた。


「やっぱり、生まれ変わっても記憶がなくてもなのははなのはだね。」
「え?」
「まぁ、そんなわけで。君は嫌がる私を無理矢理宮殿に引きずり込んだわけだ。」
「ふぇぇっ!?む、無理矢理だったの?」


え?なんて聞き直した私に、フェイトちゃんはちょっとだけ意地悪くそう言った。前世の私ってやっぱりそんなに我儘だったのだろうか?なんて変な汗が出た。そんな私を、クスクス可笑しそうに笑うのはフェイトちゃんで。


「そんなに嫌ってわけじゃないけど、最初は何が起きてるのかよくわからなかったかな。」
「………そ、そう。」
「道端で転がってた私をいきなり王宮に連れて帰って急に従者に仕立てるんだから、結構強引でしょう?」
「そう、だね。」


前世の私ってそんなに酷かったのかな。


「でも、凄く感謝してる。なのはには。」
「強引でも?」
「強引って言うのはほとんど冗談。まぁ、強引に変わりなかったけど……命の恩人だよ君は。」
「前世の私は、でしょ?」
「ふふ、そうかもね。」


フェイトちゃんは何だか楽しそうに少しだけ笑って。


「まー、前世でのなのはは私より少し年上だったから、雰囲気とかはやっぱり違うかもしれないけど。」


そうだなぁ、なんて考えるような様子を見せてから。


「それでも、やっぱりなのははなのはだよ。」


ほんの少し子供っぽく、嬉しそうに笑った。大人っぽい印象のフェイトちゃんには珍しい子供っぽい顔。何となく、そんな彼女の顔に胸が締められるような感覚がした。


「まぁ、王宮に上がってやっぱり権力ある大人たちには嫌な事とかされたりしたんだけどね。」


孤児が宮殿を歩く、しかも姫様の側近として。どうやら良い事ばかりあったわけじゃなかったみたいで、何となく罪悪感が沸いたんだけど。「でも全然気にならなかったよ」なんて言うフェイトちゃんにちょっとだけホッとした。


「どうして生きてるか分からないような生き方をしていた私に、たくさんの事を教えてくれた。優しくしてくれて……あ、もちろんあの3人もだけど。」


アリサちゃん達3人はもともと王宮の生まれだったみたいで、元から私の側近で騎士だったみたい。


「だから───…。」


ふわりと、冷たい風が吹いて、髪を抑えた拍子に。耳に届いた静かな言葉。ほんの少し優しさを孕む声に、一瞬だけ時が止まったような感覚を覚えた。


「だから、私は君が好き。今でも。」


真っ直ぐに向けられた紅。冗談とかではないそんな瞳に、一瞬だけ声を失って、言葉の意味を考えて。つまりそれって…?なんて考えにたどり着いた瞬間に、顔が一気に熱を持った。燃えそうなくらい熱い。


「えっ、えっと…ふぇ?えっ…」


つまりそれって?なんてしどろもどろに視線をソワソワさせる私にちょっとだけ笑ったフェイトちゃんは「返事はいらないよ」なんて言うわけで。


「なんて。ただ覚えていて欲しいだけ。」


それから私を見て、クスっと笑う。私にとっては、正直自分がお姫様の生まれ変わりだとかそんな風に言われた事よりも衝撃的だった。だって、憧れでもあった彼女が私にそんな事を言うなんて。


「さて、そろそろ戻ろう?明日起きられなくなるよ?」
「えっ、で…でも…。」


もごもご言う私を少しだけ強引にベランダから押し出して。フェイトちゃんは私にベッドに戻るようにと言って、そのまま自分の布団へと戻っていったのでした。結局眠れるはずもなくて、私は朝までずっと彼女の事を考えていたわけなんだけど。























そんなわけで、寝不足の頭のまま学校への道のりを歩いていた。昨日のフェイトちゃんの言葉の所為で本当にほとんど眠れてない。アリサちゃんやすずかちゃんに「大丈夫?」「眠れなかったの?」なんて言われながら目を擦りながら歩く始末。


「フェイトちゃんも朝から用事やなんて大変やなぁ。」
「えっ?」


そんな中はやてちゃんが口にした彼女の言葉に変に過剰反応なんてしちゃったりして、妙な反応をしちゃって何となく誤魔化す。


「どーせまたどっかの女子生徒の呼び出しか何かじゃないの?」


律儀に答えすぎなのよ、なんて言ったのはアリサちゃん。正直この場に彼女が居ないのはちょっとだけホッとしたけど、でもその用事って言うのがちょっとだけ気になるような。いや、別に誰かに告白とかされてたとしてもそれは別に、私が気にする事じゃないけど。


「フェイトちゃん、モテるからねぇ。」


それからそう言ったのはすずかちゃんで、何処となく何か含むような言い方でそう言いながらなぜか私を見るすずかちゃん。すずかちゃんって実は時々かなり鋭いから、なんていうか昨日の会話とか色々聞かれてたのかな?とか思って、話を誤魔化そうとして。不意に、目の前。

こちらに向かって歩いてくる人に気が付いた。

色白の男の人。そんな人を見て、やっぱり少し怪しい人だからか皆が少しだけ構える。通りすがりとかそんなのじゃなくて、真っ直ぐこっちに向かってきたその人は、私たちの事を知っているような声で「やぁ」と手を振って。


「久しぶりだね。」


それからそう言った。少しだけ細身の男の人。私の知り合いじゃないから、みんなの知り合い?なんて3人に顔を向けた。けど3人も覚えがないのか、ちょっとだけ訝しんだ顔をして構えたまま、私を守るように少し奥に引っ張った。


「あんた誰よ?」


こんなとき決まって先陣をきるのはアリサちゃんで。そんな失礼な言い方をしていいのかな?なんてちょっとだけそわそわと視線を巡らせる。いつもならこの時間のこの道はそれなりに人が通るはずなのに今日はどうしてか誰も居なくて少しだけ不安になった。


「………おや?」


そんな風に構える私たちに、少しだけ心外そうな驚いたような顔をして。その男の人は少しだけ気味悪く微笑む。


「覚えていないのかい?僕の事を。」
「──え?」


くくく、と笑って。それから。


「それじゃあもしかして。君たちはあの時の事も覚えてないのかな?」


鋭い眼光が少しだけ怖く感じて、ちょっとだけ体が震えた。


「あの…時…?」


そんな男の人の言葉に、今度ははやてちゃんが眉を寄せた。アリサちゃんもすずかちゃんも、構えたままそう対応していいか迷ってるみたいで。そんな私たちの反応を心底面白そうに見て。


「あぁ。彼女が居ないようだね。……なるほど。」


その人は私達に視線を巡らせてからそんな事を言って、クスクスと少し不気味な笑いを零しながら続けた。


「1000年前のあの日、君が彼女に殺された時の事さ。──…お姫様。」


「あの夜は月が綺麗だったなぁ」なんて言って。にこりと笑みを浮かべて、私に向かってそう言ったその人は静かに手を伸ばして、私に手を取らせようとする仕草。「彼女」って誰?それに、ほんの少しこの光景には見覚えがあるような気がした。デジャヴっていうのかな?私はこの人を知っている。この手を、取った事がある気がする。

そんな瞬間のフラッシュバックを受けて。同時に猛烈に胸が痛くなった。痛いって言うよりは、悲しいって言うか。一瞬の事なのに、泣きそうな気持ち。これって何なんだろう。何より伸ばされたこの手がほんの少し怖くて、少し身を引く。この人は一体何を知ってるの?




─────その数秒後、目の前で突然眩い閃光が爆発した。


突然現れた、目の前のその男の人を直撃した光の刃。その人を切り裂くように現れたその金色の刃に、その男の人は少しだけ楽しそうに笑って「残念。」なんて言って、切られたお腹から霧のように霧散していく。実体がない体だったのかな。もう、だいぶ慣れたけどやっぱりびっくりすることばかりって言うか。これも魔法なのかな?なんて少しだけ身を震わせる。


「相変わらず、彼女は無粋な事をするなぁ…。」


それから。その男の人はクスクス笑って、そんな言葉を残して消えた。「また会おう」なんて笑って、跡形もなく。


「……ったく…何だって言うのよ。」


隣でそう言ったアリサちゃんが見上げる先、少し遠目に彼女の姿が見えた。金色の光の刃を放った人物。数メートル離れた場所に静かに佇んでいたのはフェイトちゃんで。彼女は何も言わずに、ただこちらを見ていた。



















─────千年前、君ヲ殺シタノハ…
















Continue...






テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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