つまり出逢っただけの話。

ただ、出逢っただけ。
つまりヤマもオチもなければ意味もないんだ(∫°ਊ°)∫!!


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春休み終盤。いよいよ新学期が始まるという、春休み終了3日前くらい。風邪のせいで気怠い体を起こして私は放置されっぱなしの携帯電話に目を向けた。着信が何件か入っているのは無視するとして。時計を見ればもうお昼を回ったところだった。


「……喉乾いたな。」


私、フェイト・T・Hは近くの海鳴高校に通う高校生。家の事情というか、まぁちょっとした理由で現在気ままな1人暮らし中。高校生なんて身分で1人暮らしなんて結構羨ましい事かもしれないけれど、実はそうでもない。

なぜなら。


「…買物しないと飲み物ないや。」


体調を崩した時とかそういう時に誰も助けてくれないからだ。そう小さく溜息を吐いて、私は鼻を啜る。なんというか日頃の不摂生が祟ったというのかな?だらしなく脱ぎ散らかされた服とかそう言うのを見て、私はもう一度溜息を吐く。

呼べば誰か、身の回りの事をしてくれるような女の子はいっぱいいるけれど正直体がだるい時にそう言う子に会っても疲れるっていうか。唯一気の許せる幼馴染の友達は数日前から旅行に行ったきりだし。仕方がない。

もそもそと出かける準備をして、部屋の鍵を持って。私は玄関のドアを開けた。


「………。」


ちょっとタイミングが悪かっただろうか、いや、良かったのかな?開けた瞬間に、隣の部屋の扉を開けようとする女の人とばったり出くわして思い切り目が合ってしまった。ずっと隣は空き部屋だったはず。恐らくは、今日くらいから越してきた人だろう。年上の、綺麗な女の人だった。


「……こんにちは。」
「あ、こんにちは。」


思い出したように小さく挨拶すると、その人もにこりと笑う。20代半ばとか、そのくらいだろうか?片側に結わえた亜麻色の髪。蒼くて大きな瞳。結構な美人だった。


「えっと、今日からここに住みます、高町です。」


宜しくお願いします。なんて、それから小さく微笑む。なんていうか、笑った顔も綺麗な女の人だった。片耳に開けられたピアスとか、そういうのもちょっと好き。いや、そうじゃなくて。


「フェイト・T・Hです。結構長くここに住んでますので、近所の事で分からない場所とかあったら遠慮なく聞いてください。」


それから得意の営業スマイルでそう言って、私はもう一度お辞儀してその場を後にした。よくよく見ればスタイルも結構良いし、うん。隣人としてはナイスだと思う。特に関わるつもりもないけれど。

気怠い頭でそんな事を思いながら、即席のお粥とか、スポーツドリンクとか確実にこの人風邪だなって分かるような買い物を近所のコンビニで済ませてマンションに戻ると、供えられているエレベータでまたしても隣の部屋に越してきた彼女と遭遇した。どうやら管理人の部屋で引越しの諸々の手続きを済ませてきた後だったみたい。大き目の封筒を抱えて、私と目が合うとちょっとだけ微笑を浮かべて。それから何気なく買い物の袋に目がいったみたいで「風邪引いたの?」なんて。


「ちょっと数日前から熱っぽくて。」


他愛もないそんな世間話。苦笑しながら言うと、その隣人である高町さんはちょっとだけ笑って。


「ご家族さんとか、お仕事なの?」


1人で大丈夫?なんて。まぁ彼女からしたら私は年下だし、年下の子に話す様な優しい口調。ちょっとだけ熱っぽいせいかな。朦朧としてきたような気がする。早く帰って寝なければ。


「いや、私1人暮らしなので…。」
「え?そうなの?てっきり高校生くらいかと思っちゃった…。」
「……高校生ではありますけど。」


あはは、なんてちょっと苦笑を滲ませてそう言えば、ちょっとだけ驚いたような顔をして。それからまぁ、人には色々事情がある事を悟ったんだろうかちょっとだけ思案して「そっかぁ」なんて言う。近くで見るとますます綺麗な人だった。身長は私より少し低いかな?なんて考えて、ちょっとだけ辛くなって壁に寄りかかる。帰ったら寝よう。そうしよう。なんて考えている私に、ちょっとだけ心配そうに向けられる視線。


「だ、大丈夫?」
「はい…。」


段々営業スマイルする余裕もなくなって来たって言うか。エレベーターが目的の階に着いて開いた所で「大丈夫です」なんてちょっと俯きがちにそう言うと、今度はちょっとだけ私を支えるように身を寄せて。


「部屋まで荷物持つよ?」


ほら、なんて。初対面の人間になんて親切な人なんだろう、なんて腕に当たる柔らかい感触を半分意識しながら小声でお礼を言った。それから何だかんだで最終的にふらつきながら歩く私はしっかり部屋の中までお世話というか、連れ添って貰ってしまったわけで。

初対面の人を自分の部屋に招くなんて、とぼんやりした頭で考えながら、だけどまぁこの人なら良いかも知れないなんてそんな風に思いながら。気を失うに近い形で、私はすぐに寝落ちてしまったのだった。



























引越しって言うのは、なんていうか人生の再スタートみたいなもの。そう誰かが言っていた気がする。仕事の事情で地元へと引っ越してきた私は、これから住まう新しい家(というかマンション)の扉の前で深呼吸した。

私、高町なのはは母校の海鳴高校の新任教師として地元に戻って来た。春休みは残り数日。あと数日後には私は教師として頑張らなくちゃいけないわけで、やっぱり色んな緊張はある。色んな事を思い描きながら、部屋の扉を開けようとして。

不意に、隣の部屋の扉が開いた。

隣の部屋から出てきたのは、女の子だった。ちょっとだけ気怠そうな顔をした、だけどとても綺麗な女の子。10代後半かな?すらりと伸びた手足に、整った綺麗な顔立ち。その子の紅い瞳と思い切り目が合ってしまった。その子もびっくりしたみたいでちょっとだけ赤い瞳を瞬いて。


「……こんにちは。」


それからにこりと微笑を浮かべてそう挨拶をしてくれた。高校生くらいかな?きっと女の子に人気なんだろうな、なんて微笑ましく思って私も挨拶を返して。それから一言二言言葉を交わして、去っていくその子の姿を見送って、引越し手続きを完了させようと、私は管理人さんの所へ向かったのでした。






買物に行ったらしいその子ともう一度遭遇したのはそれからすぐの事だった。買物袋の中に入ったお粥やらお水やらなにやら。どうやら風邪を引いているようなその子は、一緒に乗ったエレベーターの中、私の隣で少しだけしんどそうに息を吐く。話を聞くところによると、どうやら高校生にして1人暮らしをしてるみたいだった。ちょっとだけ心配になる。初対面で余計なお世話とかそう言う風に思われたらどうしようかなとか考えて、やっぱりやめようかなとか思ったりもしたんだけど。

それでも放っておけないのが私の性分っていうか。


結局ふらつくその子の体を支えるように一緒に歩いて、その子の部屋に押し入ってしまった。だってまだ子供だし、心配だし。1人暮らしって言うから余計に。


「大丈夫?横になる?」
「……ん…。」


病院に連れてった方が良いのかな?てゆーかお邪魔してごめんなさい、なんて心の中で謝罪して。この子の意識がはっきりしたらもう一度ちゃんと謝ろうなんて決めてその子をベッドへと寝かせて、なんていうか簡単に部屋を片付けてみた。よく考えたらかなり余計なお世話だと思うのだけど。

それからすぐに眠りに就いたその子の額に冷たく濡らしたタオルを当てて。部屋を出ていこうと思ったのだけど、でも1人にするのもなぁ、なんて思案して部屋を出ようかそれとも目が覚めるまで居ようか、でも目が覚めて知らない人が部屋に居たらどう思うだろう?なんて考えて、迷いに迷った挙句やっぱり1人にはしておけなくて、結局その子の部屋に留まることにしたのでした。少しして目が覚めないようなら一旦戻って出直そうかな、なんて考えながら。

時々寝苦しいのか眉を寄せるその子。改めて寝顔を見ると、寝苦しさに顰められた表情ではあるけれどやっぱりこう、綺麗で可愛い。この子と隣人同士でご飯とかご馳走してあげたりする仲になれたら楽しそうだなぁなんて変な事を妄想している間にちょっとだけ眠気がうつると言いますか。そう言えば昨日は引越しの準備で寝るのが遅かったんだっけ、なんて若干薄れていく意識の中で思った。

初対面の子の部屋に勝手に押し入った挙句寝るなんて大人として人としてどうなんだろう?なんてまともに考えられないような頭で思案して、私はちょっとだけ目を閉じたのでした。





























「………ぅ?」


はたと目が覚めた。妙ぐっすり寝た所為か、妙にはっきり目が覚めて。でも若干体が重い。そう言えば買い物行った後どうしたっけ?なんて。


「え。」


そう思って体を起こして、見知らぬ人物の姿にちょっとだけ驚いた。見れば、今日隣に引っ越してきた女の人が、何故か私のベッドの横で体を預けて眠りに就いている。なぜ彼女がここに?いや、何となくぼんやり覚えている気がする。

どうやら具合の悪そうな私を、部屋まで連れて来てくれたんだろう。眠ったせいか、完全とは言えないけれど体の調子は結構良い。喉乾いたな、なんて思ってそっとベッドを抜け出して。冷蔵庫にちゃんとしまわれてある飲み物を取り出して喉に流し込んだ。


「………。」


それからちらりと彼女に目を向ける。隣に引っ越してきた彼女は知らない人間の家なのに結構な熟睡度。警戒心が薄いと言うんだろうか?大人なのにな、なんて無防備にベッドに預けられた彼女を見る。綺麗にまとめて結い上げられている髪のお陰で覗ける項とか、結構ぐっとくるものがあるような。いやいや、そんな事言っている場合ではない。起こした方が良いんだろうか?うーん。

数分迷った挙句、とても気持ちよさそうに寝ている彼女を起こすのはかわいそうだな、なんて思って。それより汗ばんだ体が気持ち悪くて、私はシャワーを浴びに、浴室へと向かったのだった。








シャワーを浴びてさっぱりして着替えた後で目を覚ました彼女が何故か泣きそうな顔で謝罪してきたのはそのすぐ後のことで。その数日後新しく始まった新学期の学校で、担任として彼女が私の学校にやって来たのはまた別のお話。



あまりにも無防備な彼女に色々と悩まされるようになるのは、それから少しだけ先の話だ。















FIN



別に意味のないSSでした_(:エ 」∠)_
やまもおちもない。



テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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