すりー

皆さん覚えてるかしら。
つーの続き。

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簡単に好きって言えたならきっと私はこんなに悩んだり、憂鬱な毎日を過ごしてなんていない。少し前まで我慢できていた気持ちが、ここに来て日に日に抑えられなくなってきていた。


「はぁ。」


なのはは私の姉で、私はなのはの妹で。血は繋がっていなくたって、そういう関係だ。ここの所ずっとそればっかり考えてぐるぐるしてる。絶対なのはは私の事、そういう対象としては見てくれないんだろうなって。


そんなの、考えたところできりがないんだけど。


「フェイトちゃん、溜息多いよ?」
「……ごめん。」


相変わらずうだうだしている私に、すずかが小さく苦笑した。


「それで?」
「なにが?」
「それでなのはちゃん、なんて言ったの?」
「……なんてって、誰?って聞かれたけど。」


それで?と昨日の私となのはの話を掘り返して聞くすずかに、私はもう一度息を吐いて小さく肩を落とした。「好きな人が居る」と。そう言った私に対するなのはの反応は、なんていうか予想通り。特に動揺する様子もなくて、うん。なんていうか分かってたから良いんだけど。


「ちゃんとなのはちゃんって、言った?」
「……言うわけないじゃん。」


分かってるくせにそう聞くすずかは意地悪だ。


「秘密としか言わないでその話は終わり。だから、もしなのはに何か聞かれても知らないって言ってよね?」


意見にシワ寄せてそう言う私に、すずかはちょっとだけつまらなそうに「はーい」というと、廊下の方へ視線を向けて、それから私の足を小突く。てっきりなのはでも教室に来たのかと廊下の方を向いて、ちょっと期待外れの人物の来訪に舌打ちしそうになってしまった。


「フェイトちゃんに用、みたいだね。」
「……なんだろ。」


廊下側に来ていた男子生徒。なのはと同じ学年のタイの色。よく見知った人物の来訪だった。なのはを見かける度にその隣に見つける人物。ユーノ・スクライア。全く見知らないわけではない相手だけど、正直あまり関わりたくない人物だった。

























「ごめんね、急に。」
「……いえ。何か用ですか?」


昼休みの時間は残り僅か。正直あんまり時間を使いたくないし、私はどうもこの人が好きになれなくて、用件を急かす。好きになれない理由って言うのは、多分この人がなのはの事を好きなんだと思うから。それに付け加えて、私がやりたくても出来ない事を出来るから。例えばなのはの隣を歩いたりすることだけど。まぁ、それはただの嫉妬だったりするのだけど。そんなことはさておき。


「うん。実はちょっと聞きたい事があるんだけど。」


聞きたい事、そう言いながらちょっとだけ照れたように頬を掻く。その仕草になんとなく嫌な予感がした。


「何ですか?」


だから露骨に嫌な態度をとってしまったわけで。けど、そんな事はあんまり気にならなかったらしい、彼は続ける。


「えっと、なのはって───…」


好きな人居るのかな、そう問われた嫌な質問。なんとなく思った通りで私はちょっとだけ唇を噛んだ。彼がなのはに気があることはもちろん知ってるけど。だけど。


「………さぁ、そういう話あんまり、しないので。」


そうとだけ返すのがやっとだった。妙に愛想の良い言い方をしたかもしれない。嫌な顔をしないのが精いっぱいで。そもそも妹(義理)である私にそういうことを聞いてくる時点で、やっぱりこの人はなのはに相応しいのかなって、そんな事を思ってしまう。──…自分がそうである事などないから余計に。


「そっか…君たちは仲良いから、知ってるかなって思っちゃって…ごめん。」


そうまで言われて、だけど何も言い返さない私に付け足す様に口を開く。


「ごめんついでにもう一つなんだけど──…」
「何ですか?」
「今日、なのはの事少し借りても良いかな?」
「なんで私に聞くんですか?」


チリチリと胸の奥が燻る感覚がした。


「いつも誘うと、なのはは君が待ってるからって直ぐ帰っちゃうから…」


ちょっとだけ申し訳なさそうにそう言う彼に、私は小さく頷いた。何となく予想できる。多分この人は今日、なのはに告白するつもりなんだろう。出来る限りの手を使って邪魔したい気持ちがあるのに、どうしてもそんな事なんて出来るはずがなくて小さく唇を噛む。





「良いですよ。私も用事があるので。」









どうせ妹である私にはこう言う事しか出来ないんだ。
「良いですよ」と。そう言った自分の声が、どうしてか妙に廊下に響いた気がした。


なのははその告白に。



一体なんて答えるんだろう。



「今日遅くなっちゃう、ごめん」なんて。放課後くらいに自分宛てに届いたなのはのメールを見つめながら。



私は早めの帰宅の途に就いた。
































「……フェイトちゃん、起きてる?」


コンコン、という控えめなノックの後。扉の向こうで小さくそう言う声が聞こえた。どうやらなのはが帰って来たらしくて、私は時計に目を向ける。時刻は7時前だった。思ったより早い帰宅時間に、どこか胸の中でホッとして。だけど何となくなのはの顔を見るのが怖い。きっと、今日のユーノとの話をされる気がしたから。


「うん、起きてるよ。まだ7時じゃん。」


そう言って、ドアを開けた。ほんの少し冷たいような言い方をしてしまったかもしれない。なんて少し胸の内で思う。


「えっと…」


扉の隙間からこちらを覗いて、何か話したそうな顔をして。それから「ご飯食べた?」なんて言うなのはは。私は食べていないにも関わらず「食べた」とつまらない嘘を吐いた。なんとなく。





「それで?どうかしたの?なのは。」


結局、部屋に居るのも何なので。「リビングに行くからちょっと待ってて」なんて部屋から追い出して、それから上着を羽織ってなのはの待つリビングへと向かって。手際よく2人分のコーヒーを淹れて待つなのはに声を掛けた。なのはは何となく困ったような顔をして、そわそわと視線を巡らせて。それから何か言いたそうに口を開きかけて眉を寄せる。


「………。」


早く言って欲しいような、聞きたくないような。だって私は、放課後なのはがユーノにどんな話をされてきたのか知ってるから。


「あのね、フェイトちゃん。」


たっぷり5分くらいためてからだろうか。なのはが口を開いたのは。私は何も言わないで、コーヒーを飲みながら耳を傾ける。


「実は、今日───…」


続いた言葉は案の定。ユーノに告白された話だった。続きを聞けば、結局なのはの返事は「ごめんなさい」だったみたいなんだけど。それを聞いて、どこかホッとしているような自分が居て、私はそれが物凄く嫌だった。自分では告白も出来ないくせに、告白出来た人を妬んで、振られたことにホッとして。多分、これはきっと自己嫌悪だ。小さく唇を噛んだ。




「なんていうか、ちょっと気まずくなっちゃったら嫌だなって思って。」
「………そう。」
「あ、でもユーノ君は「やっぱりね」なんて笑ってたんだけ…ど…フェイトちゃん?」


どうしたの?なんてなのはは話すことをやめて、私の顔を覗き込んだ。私がずっと黙ってばかりだからか、それとも感情が顔に出てしまったのか、少しだけ心配そうに。目が合うと、なのはは蒼い瞳を瞬かせて首を傾げて「何処か痛いの?」なんて。子供に話しかけるみたいな言い方で少しだけ苦笑が漏れた。


「うぅん、違うんだけど。」


あぁ、もう。私も覚悟を決めなくちゃ。なのはに好きって言う覚悟と、潔く振られて諦める覚悟。1回すっぱり言って、終わらせたら私ももしかしたら違う人を好きになったりするかもしれないし。ユーノの行動がきっかけなのか、それとも自己嫌悪で吹っ切れたのか。どうしてかとてもさっぱりした気持ちになった。


「なのは。」
「ん?」


カタン、と席を立つとなのはは少しだけ驚いた顔。カップにはまだコーヒーが残っていた。深く息を吐いて、もう一度吸う。


「なのは。この間、好きな人が居るって言った事、覚えてる?」


立ったままの私と、座ったままのなのはという構図。なのはは「覚えてるよ」なんて言って、立ったままの私を見ていた。きっとこんな事言ったらなのはは困っちゃうんだろうな。だから、私は潔く振られてすぐにいつも通りの私になろう。そう決めた。言ってすぐは無理だけど、1日くらいおいたらきっと大丈夫だと思うから。明日が休みで良かった。


「フェイトちゃん?」


どうしたの?なんて言うなのはに。


「一度しか言わないから、ちゃんと聞いて。なのは。」
「え?」
「私、なのはの事が好きだったよ。お姉ちゃんとか、そう言う風にじゃなくて。」
「えっ?」


テーブルの上に置いてあった携帯を上着のポケットにしまう。


「ちょっと出かけるね。」
「えっ、フェイトちゃん?ちょっと、待っ」
「ユーノがなのはに言ったみたいに、私もなのはの事、結構前から好きだった。」


やや苦笑気味にそう言うと、なのはは混乱したような顔で何か口を開きかけて。私はすぐにそれを言葉で制止した。


「でも、もう私の中では吹っ切れてるから、なのはは気にしないで?勝手で悪いんだけど、私が戻ってきたらいつも通りにしてて。」


随分勝手な事を言ったような気がするけど、私にはそれが精いっぱいで。唖然としているなのはを家に置いたまま。


「今日はすずかの家に泊まるから。えっと、勝手な事ばっかり言って悪いんだけど、今日言った事、気にしないで。」


至極勝手な言い分だと思うけど、なのはに気に病んで欲しくはなかった。ただでさえユーノの事で気に病んでるのに、私まで追い打ちをかける様な事をしてしまったと今更になって後悔し始めて。


「言いたかっただけだから。返事とか欲しいわけじゃないし。」


本当に気にしないでね、なんて付け足して。追いかけてこようと椅子から立ち上がるなのはを雰囲気で拒絶して、私はそのまま玄関へと向かったのだった。








「───すずか、今日泊めてくれない…?」


外で電話を掛けた時、受話器の向こう側のすずかが予想していたように「いいよ」と少しだけ小さく笑って。そんな声が酷く心地良かった。


言い逃げするようにあんな事を言って、家に残して来たなのはが今頃どうしているかが凄く気になったけれど、私は首を振ってなのはの事を無理矢理頭から追い出したのだった。





















つづく か分からない






ただ、続くとしたら次は悶々するなのはちゃんの話。







テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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