思慕

実はもうだいぶ前からやろうとしててちょっとずつ書いてた物になります。
KISSお題、みたいなのちょっとやりたくて。パロで全部違うシチュでやろうと思います。短いのを徐々に。
本当はリリマジ時の薄い本にしようかなって思ってたんですが無理でしたのでw
つーことで追記より。

髪にキスは「思慕」の意。

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私の親は代々王宮に仕える近衛の騎士だった。


騎士の中でも、騎士を総べる騎士長の地位。王宮には私と同い年のお姫様がいるらしく、遊び相手を欲していた姫様の相手をするべく、私は9歳の年に初めて王宮へと足を踏み入れた。生まれながらに騎士として鍛えられ育てられた私は遊び相手、且つ側近として、召されたのだった。


「………失礼致します。」


連れられて部屋へと入ると礼儀を欠かぬよう頭を垂れて平伏した。目の前に立つのは王宮に住まう王の末の姫様で。私の仕える相手だ。


「顔を上げていいのよ。」


それから王妃様の許しを得て顔を上げる。と、そこに居たのは女の子だった。私よりも少し背は小さいだろうか?王妃様と同じ亜麻色の綺麗な髪に、蒼くて綺麗な瞳。少しだけ恥ずかしそうにもじもじと立っているその子に。

私は幼いながらにも、忠誠を誓った。

それは自分の親が王に忠誠を誓っていた姿に憧れた末の真似事だったのかも知れないけれど。私はその瞬間、彼女の側近として彼女の必要とする僕として生きようと決めた。











─────


     7年後。


───




──












「姫様。……姫様?」


長い年月を経て、私は齢16になった。背丈も随分伸びて、訓練の賜物で武術共に今では近衛の小隊を任されている立場だ。


「──── 姫?」
「フェイト様、如何なされました?」
「あぁ、姫様を見なかったかな?」


小雨の降り注ぐある日。私はいつものように姫様用の紅茶を用意して部屋へと向かった。けれど部屋にはなのはの姿はなくて、その姿を探して王宮内を歩く。

声を掛けてきた近衛の兵士は私の言葉に少しだけ苦笑して。


「姫君なら、庭先にお出になっていました。」
「ありがとう。」
「………何か悩んでおいでの様でした。」


なのは姫様の居場所を教えてくれたのだった。「何か悩んでいる」という含んだ物言いに少しだけ眉を寄せて、私は足早に庭先に向かう。外は小雨が降っているので風邪を召されては大変だと上着を手にして。

小気味よく足音を響かせて、それから目にしたのは庭先にぼんやり立っている姫様の姿。幾年の月日が流れて、なのははとても綺麗になった。長い亜麻色の髪を片側に結いあげて。何処か物憂げに、瞳を伏せるなのはに少しだけ息を吐く。


「姫様。………風邪を引きますよ。」
「………その呼び方、やだなぁ。」
「なのは。」


姫、と呼ぶと少しだけ悲しそうに眉を寄せて、なのははそう呟いた。なのはは私が「姫」と呼ぶことが好きではないらしく、私は2人の時は名前で呼ぶようにと命じられていて。そんな理由で「なのは」と呼んで、手に持っていた上着をそっと肩に掛けた。

ぼんやりと庭先を見ていたなのはは相変わらずその場所を動こうとはせず、ただ庭先を見つめたままで。


「どうしたの?なのは。」


何あった?と問うと、少しだけなのはが溜息を吐く。


「………婚約のお話がまた来たみたい。」
「あぁ。」


そんな話に「なるほどね」と苦笑をして、私は言葉を続けた。


「また断っちゃったの?」
「うん。だって、嫌だもん。」


顔も知らない相手と結婚なんて、と付け足して、なのはは足元の小石を蹴る。なのはに婚約の話が来るのはもう今年に入って何度目だろうか。来るたびに断るなのはに王も少しだけ参ったような顔をしていたっけ、と思い出して苦笑して。

そんな苦笑を浮かべる私に、ちらりと向けられた蒼い瞳。


「他人事だと思って。」
「そんな事ないよ。私はなのはには自分の望む婚約をして欲しいし。」


そんな事より風邪をひくよ、と紡ぐ。


「フェイトちゃんにも、来てたでしょう?」
「………何が?」


どこか機嫌の悪そうな声音のなのはの言葉に視線を向けると案の定なのはは少しだけむくれた顔をしていた。それから、私を真っ直ぐに見つめる蒼い瞳。どうやら誤魔化しは通用しないらしい。全く何処からそんな情報を入手したのかと苦笑して。


「断ったから、大丈夫だよ。」


手短に呟いた。身を固めることももちろん大切だけれども、それ以上に。私はなのはの側近で、護衛で騎士だから。なのはより大切な物なんて作らない。そう決めてる。

なんて、そんな事は口にしないけれど。断った、と言う言葉に何処か安堵したように瞳を揺らしたなのはは、それでもその事を気取られないように「ふぅん」とだけ頷いたのだった。


「それに、身を固めるならまずはなのはから。」


末の姫と言えど王族なのだから。そんな意味を踏まえてそう言うと、なのはは相変わらず不機嫌そうに息を吐いて、それから。


「そんなの必要ないもん。」


そうとだけ言ってくるりと身を翻し、背を向けた。そんな子供のような振る舞いに少しだけ微笑が漏れる。


「なのは。」
「ふぇ?」


微笑して、美しい亜麻色に触れる。絹のような髪のそのひと房に。


「なのはが良縁に恵まれますように。」


願わくば、と静かに囁いて。
腰を折り、口付ける。




────願わくば、いつまでも側に。




髪への口付けは、思慕の証。
















テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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