missing-16

うわああああああ
もう何かいてるか分かんないいいwwww
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「………ぅ…」


ほんの僅かに、軋むように痛む手首。いつの間に気を失っていたのか、気が付いたら目の前には知らない天井があった。その瞬間にハッとして、意識が覚醒して身体を起こす。いつの間にか知らない場所へと、彼女によって連れられて来たのだと、ようやく理解した時には体の自由が利かなくて。


「?」


起こそうとした身体は、重力の方向へと落下した。軋む手首。自由が利かないその手首は私が寝かされているベッドの柵、頭上に拘束し、縫い付けられた腕。ようやく気が付いたのは、どうやら拘束されているという事で。


「……あんまり動くと怪我をするよ。」


気が付いたと同時に、視線の先とは違う方向から声がした。声の主なんてすぐ分かる。こちらに視線すら向けず、意識を取り戻した私にそう声を掛けた彼女はぼんやりと、こちらに背を向けたまま、椅子に腰かけていた。


「ふぇ、フェイトちゃんっ!これっ、放して!」
「…じっとしててくれると、有難いんだけど…。」


がたがたと腕を揺らしてもがく私にようやく振り向いて、フェイトちゃんは小さく息を漏らした。明かりのついていない部屋。いつの間にか時刻は夜で、カーテンのない窓から覗く月明かりが彼女をぼんやりと照らす。色白で、少し痩せた顔。少し前、ともに行動していた時より随分と痩せた印象を受けて、暴れるのをやめた。


「フェイトちゃん……」
「なに?」


じっと瞳を見つめたまま。先に視線を逸らしたのはフェイトちゃんだった。ふい、と瞳を伏せて私の方を見ないようにしながら、窓の外に視線を向ける。


「私の事、殺さないの…?」


それから、口から零れたのはそんな言葉だった。本当にやろうと思えばいつだってできたはず。私が意識を失っている間でも、もっと前、私と一緒に居た時も。意図も容易く出来たはずなのに。沸いたのは、そんな疑問。沸いたのは小さな疑い。


「何を、隠してるの……?」


嘘を吐いて、傷ついた顔をして。だってフェイトちゃんは優しいから、絶対にこんな真似したくないはず。あの3人を騙して、絶対に傷ついてるのはフェイトちゃんの方なのに。口をついてでたそんな言葉に、フェイトちゃんは外へと向けていた視線を私に向ける。紅くて綺麗で、悲しそうな瞳の色。


「何も。」


そう小さく言って、フェイトちゃんは少しだけ困ったように笑った。泣きそうな、悲しそうな、だけど優しい微笑。月明かりに照らされたフェイトちゃんはやっぱり随分と痩せたようで。


「嘘だよ…。じゃあ、どうしてそんなに泣きそうな顔をしてるの…?」
「……さぁ。どうしてかな。」
「フェイトちゃん、本当は何をしたいの…?」
「何回も言ったつもりだよ。」


君を殺すって。と小さく笑った彼女は薄っすらと張り付けたような笑みを浮かべて、また私に背を向けて椅子に腰かけた。

殺す、と言いながらそれをしない彼女の本音が見えなくて、知りたくて、小さく唇を噛む。どうしても、どうしても彼女の行動には矛盾があるように思えて、時たま悲しそうな瞳をするその理由が知りたくて、だけど教えてはくれなくて。

どうしてだろう。自分を殺す、とはっきりそう告げたその人物の背中が、こんなにも悲しくてこんなにも愛しいなんて。

何もない、閑散とした部屋。部屋の隅に掛けられた学校の制服と、その下に鞄があって。少しして、ここが彼女の住んでいた部屋だったのだと理解した。何もない、シンプルな部屋。まるで生活感のない部屋だった。

きっとすぐに、アリサちゃん達がここへやってくるだろう。フェイトちゃんは頭が良いからそんなのもきっと分かっているはずなのに。


「ねぇ、フェイトちゃん。」
「なに?」
「前世のこと、聞いても良い?」


彼女と何か話をしたくて仕方ない。彼女にしてみれば話なんてしたくはないのかも知れないけれど。無視されるのを覚悟でそう聞いた私だったけれど、フェイトちゃんは静かに振り返ると小さく口を開いた。


「特に話すようなことはもうないよ。」


けど、耳に届いたのはそれだけの言葉で。


「きっとアリサたちの事だからすぐここへ辿り着くだろうね。」


フェイトちゃんは私に話しかけるようでなく、独り言のようにそう言って、何処か可笑しそうに笑ったのだった。幼馴染だとか、前世の話をしてくれてた時のような、懐かしむような声。


「───…どっちが先、かな。」


なんて。言った次の瞬間。窓ガラスに、一筋亀裂が入った。ピシ、という音の次には隣に立つ彼女から恐ろしいほどのピリピリした気配が感じ取れて、思わず息を飲む。一筋の亀裂は徐々に枝分かれして、遂にはガラスが割れて聞こえたのは聞き馴染んだ声。


「フェイトもうあんた本当に覚悟しなさいよ!!!」


そんな風に低く唸った人物は、割れた窓下に散らばったガラスの破片を靴で踏みしめて部屋へとやって来た。


「……遅かったね。」
「うるっさいわね!!」
「あ、アリサちゃん…!」


アリサちゃんの後ろからはやてちゃんとすずかちゃんがやって来て、私の腕の拘束を解いてくれた。ようやく解放された腕と、皆が来た安堵感に小さく息を吐く。怒り狂っているアリサちゃんと、かなり温度差のあるフェイトちゃん。

皆が来たことで、何処かフェイトちゃんの纏う空気が柔らかくなったような気がした。ほんの少し。


「私達ここに来る間に色々考えたんよ、フェイトちゃん。」


それから口を開いたのははやてちゃんで、はやてちゃんはいつもよりとても神妙な顔をしていた。


「あのフェイトちゃんがなのはちゃんの命を狙うような事するなんて考えられないって。」
「フェイトちゃん、何か隠してるんやろ?……何か理由があるんやない?」


はやてちゃんとすずかちゃんの言葉に、フェイトちゃんは何も言わなかった。


「現にあんたは、絶好のチャンスを何度も逃してる。」


本当は何がしたいの?と続けるアリサちゃんの言葉は、私がさっきフェイトちゃんに問うた言葉と一緒だった。こんなにも皆に信頼されてるフェイトちゃんが、ちょっとだけ羨ましいような気持ちになると同時に、フェイトちゃんの肩が少し落ちた。


「なんで──…」


困ったように苦笑して、言いかけた言葉。それと同時に、さっき皆がやって来た、割れた窓から突如として黒い影が走る。気が付いた時には黒い鎌のようなそれが眼前に迫っていて、私の前世の婚約者だったと名乗った得体の知れない男が立っていて。


「なのは!!!」


アリサちゃんが叫ぶ言葉と、自分の呼吸の音が同時に聞こえた。それは本当にほんの一瞬。だけどとてもゆっくりな動きに感じて、とても避けるとは無理だと瞬時に判断できた。振り下ろされる黒い鎌。


「────ッ!!!」


声にならない叫び声と同時に、視界に見えたのは薄い金髪。私を少し押しのけるようにして現れたその人物は、身を挺してその鎌を腹部に受けた。頬に飛んできた熱い飛沫。鎌を受けると同時に振り上げた剣の切っ先で、鎌を持っていた男の腕が飛んだ。

一瞬にたくさんの事が起きて、押しのけられた自分の身体を支えるようにすぐ後ろにすずかちゃんが立っていて。意味が分からなかった。


「……な、に…?」


一体何が起きたの?目の前にしゃがみ込む血まみれの彼女と、もう1人。私を殺すと言っていたのに、たった今私を庇ったフェイトちゃんに、ジェイル・スカリエッティと呼ばれていた男が、小さく笑う。いつにも増して顔色が悪いのは月明かりの所為か、出血の所為か。


「全く、つくづく邪魔をするね…君は…。痛いじゃないか…。」


吐き捨てるようにそう言って、よろよろと窓から逃げるように背を向ける男に応えたのはフェイトちゃんだった。胸がチリチリと焦げるような錯覚がした。


「──…待…っ。」


声にならない声。ヒュウヒュウと言う呼吸音と、零れ落ちる血。どこからどう見ても致命傷に見える傷。お腹の半分が鎌に斬られたように見えるその傷を抑えて膝をつくフェイトちゃんを見て、にやりと口角を上げたその男は窓から飛び降りるようにして逃げた。


「ッ何してんのよあんた!!!す、すずか!止血を──…」
「だい、じょうぶ。触らなくて、い…よ」


蒼白したアリサちゃんが伸ばした手を押しのけるフェイトちゃん。チリチリと頭の奥がショートするような錯覚がして、何だか呼吸がうまくできなくて、フェイトちゃんに、そっと手を伸ばす。


どうしよう。


「ふぇ、いとちゃ…やだ…」


この人が死んじゃったら、どうしよう。嫌だ、と体の前部の細胞が騒ぐ。怖くて、フェイトちゃんに手を伸ばす。




“────約束するよ、なのは。”




「……ッ!?」


途端、チリチリする頭の奥で、聞こえたのはフェイトちゃんの声。私は一体いつ、フェイトちゃんと何を約束したんだろう?

一体自分の体に何が起きてるのか分からなくて、怖くて膝をつく。目の前の光景と、チリチリ焼け付くような頭痛に自分がパニックを起こしているのだと分かった。


「──…フェイト!?」


だけど、次の瞬間に異変が起きた。異変が起きたのは他でもない彼女の身体。床に広がった彼女の血の上に、突然展開された魔方陣。淡く、綺麗なその光の色は薄い桃色。見覚えのある色だった。


「な、何やこれ──…」
「この魔力光って──…」


その淡い光は致命傷だったフェイトちゃんの腹部の傷へと吸収されるように集まって。信じられない光景を生み出した。徐々に修復されるその身体。フェイトちゃんの意思とは関係なしに修復されているらしく、時々フェイトちゃんが痛みに小さく喘ぐ声が聞こえた。


「なに、これ──…」





“ 永遠の命 ”




不意に私にあると、そう皆が言っていた力の事を思い出す。致命傷だった傷が見る見る勝手に修復されていく様はまるで永遠の命そのもの。だって彼女は確実に死んでしまう傷を負っていたはずなのに。


なんで───…。


呆然としている中、血だらけのフェイトちゃんと目が合った。ほんの少し悲しそうな色をした瞳。チリチリと痛む頭。



「────ッ!!!!」


目の前が、頭の中が弾けた気がした。瞬時に湧き上がる様々な感情と、様々な思い出。過去。記憶。すべて。


1000年も昔。私たちが生きていて、彼女が傍に居た頃の事。


「ごめん…な、さい…」


無意識に零れたのはそんな謝罪。


「違うの、…ちが──…ごめんなさい!ごめんなさい、ごめんなさい!フェイトちゃんっ!!」


思い出してしまった記憶に沸いたのは強烈な後悔と懺悔。


「大丈夫だよ…。」


どうすることもできなくてただ泣いて謝る事しか出来ない私に。フェイトちゃんは力なく笑った。













思い出したのは、罪。

















Continue...






もう…書けない_( 3 」∠)_











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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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