ねむい

( ˙-˙ )

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物心つくころには、私にはやる事があった。堅苦しく言ったらそれは「使命」だなんて言うのかもしれない。勝手なお家事情で、生まれながらに「こうしなければならない」なんて決められていた事。


「フェイトちゃん、もう帰る?」
「うん。もう帰るよ。」


私、フェイト・T・Hは高校2年。目の前で「じゃあ一緒に帰ろ」なんて微笑む少女に、私は静かに微笑を向けた。

話を戻して。私はこの目の前の少女の影として、彼女を守護する立場にあった。今のこのご時世の中で、守護だとか言われてもあまりピンと来ないかもしれないけど、私の家は少しだけ複雑で。と、いうよりもこの目の前の彼女が少し特殊なのだと説明した方が早いかも知れない。

彼女の名前は高町なのは。ひとつ理由を言えば、彼女は世に稀な財閥の娘。もう一つ理由を言えば、彼女には人と違った不思議な力があるらしい。いわゆる魔法の類。この世にはごく稀に超能力、あるいは魔法と呼ばれる力を使用できる人間が居る。こと、目の前の彼女はその力がとても強い。もちろん彼女自身が自由に使えるわけではない。言うなら潜在能力の域。

そんな力を、誰もが放っておくはずなんてなくて。私は彼女を守る為だけに用意された人間だった。彼女の家のお目付け役(だったかな?)だとか、そう言った老人たちがそう決めたらしい。


「ずっと思ってたんだけどさぁ」


鞄の中に教科書だとかノートだとかを詰め込んでいた私と、そんな私を笑顔で待つなのはを交互に見て口を開いたのは同じクラスの女の子。そんな言葉に私もなのはも顔を見合わせて、続きをなんとなく促した。


「2人って実は付き合ってるの?」


ここだけの話、なんてちょっとだけ含んだ物言いに小さく誰にも聞こえないように息を吐いてなのはより先に口を開いた。正直、こういう質問をされるのは珍しくない。


「付き合ってないよ。どこからそんな話になるのさ。」
「だって一緒に住んでるんでしょ?それで姉妹じゃないなら、何かあるんじゃないの?って思って。」
「家の事情でなのはの家に居候させて貰ってるだけだよ。それに一緒に住んでるって言っても、私はなのはの家の離れに泊めさせて貰ってるだけ。」


何度も説明したことがある事なので、毎回お馴染みの台詞みたいになってきた。事実、私は家の事情で幼い頃から彼女の家に住まわされている。一緒の家というわけではなく、離れに。それでも高町家の主人、つまりなのはの両親は私の事も家族同然に扱ってくれるけれども。


「なーんだ。」


未だにちょっと疑っている様な視線を向けるその子に、それ以上は何も言わず私は鞄のチャックを閉めた。なのははというと、私とそのクラスメイトとのやり取りを苦笑気味に聞いているだけで特に何も言わなくて。


「そんな事より早く帰った方が良いよ。もうすぐ雨が降るから。」


結局そんな言葉でその話を終わりにして、私はなのはを連れて教室を出たのだった。

























「ねぇ、フェイトちゃん。」
「うん?」


帰り道、不意に話しかけられて「どうしたの?」と視線を向けるとなのははちょっとだけ拗ねたような顔をしていた。何か拗ねさせるようなことをしたかと記憶を探るけど、心当たりがさっぱりなくて、私はちょっとだけ首を捻る。


「お母さんに聞いたんだけどね。」


次の瞬間のその言葉に、ピンとくるものがあった。心当たりがあって、それが顔に出てしまったのかなのはが鋭いのか、流石小さい頃から一緒にいるだけあって、なのははちょっとだけムッとした顔。


「……私の隣の部屋じゃ、やなの?」


意地らしく拗ねたようにそう言った言葉に苦笑をひとつ返した。


「嫌じゃないよ、本当。」


少し前に、なのはの母親から提案された事。──恐らくはなのはがそう言ったのかあるいは2人で提案したのか定かではないけれど。それは敷地内の離れではなくて、同じ屋根の下、もっといえばなのはの隣室が空いているのでそこに住まないかという提案だった。だけど、何ていうか私はそれをやんわりと断ってしまった。きっと、彼女とその両親がそう言っても家のお目付け役達があまり良い顔をしないだろうから。


「なんていうか、私夜までばたばたしてるから多分なのは、煩くて眠れなくなっちゃうと思うし。」


随分下手な言い訳だと思った。なのはは高町という家の末娘として生まれて、大切にされている。言うなら多分、深窓のお嬢様とかそんな感じ。大きい家の中で、彼女は特別。お姫様とかそんな風に言っても過言ではないかも知れない。まぁ、学校は普通の所へ通っているけど。

かたや私は、使用人かあるいはそれ以下の存在で。なのはの前でそう言うと「そんなことないもん!」ってもの凄く怒られるから、最近は言わないように気を付けているけど。


「そんなの全然良いのに。」
「あんまり勝手な事しちゃうと怒られちゃうから。」
「おばあちゃん達に?」
「……。」


お目付け役の人たちの事を「おばあちゃん」と呼ぶのはきっとなのはだけだと思う。彼女たちが高町家のどういう関係に当たるのか、私は良く知らない。


「私が良いって言うんだから良いのに。」
「でも、1人だけ特別扱いとかそう言うのは──…」
「フェイトちゃんは特別だから良いのっ!」


頬をちょっとだけ膨らませてそう言うなのはに小さく笑って、それから「ありがとう」とだけ言う。子供のころから私を特別視している事が、目付け役達には気に食わない事だとずっと前から理解していて、だけど真っ直ぐ慕ってくれるなのはの気持ちがいつも嬉しくて。


「とりあえず、私はほら…居候だから。」


肩を竦めてそう言うと、なのはは相変わらずむくれた顔のままだった。


「でも、フェイトちゃんは遠い親戚だって…。」
「そうだね…。」


私が家にいる本当の理由も、なのはの側にいる本当の理由もmなのはは知らない。私がなのはを守る為に居るって事を、なのはに知られてはいけない。小さい頃からずっとそう言われ続けてきた。だからなのはは私の事を「ただの遠い親戚」で「居候している」と思っていて。


「結構聞かれるんだよね。」
「……なにを?」


ちょっとだけ声のトーンが落ちたなのはに顔を向けた。


「どうして一緒に住んでるの?とか。」
「そうなの?」
「うん。…だって。」


空を見ると、雨の降りそうな分厚い雲が空を覆っていた。


「フェイトちゃん、人気なんだもん。」
「……。」


何処となく子供っぽくそう拗ねたように言ったなのはは愚痴をこぼす様に続ける。


「結構告白されてるって聞いたけど。」
「……半分はでたらめだと思うけど。」
「でも半分は本当でしょ?」


いじらしく私を見上げる蒼い瞳に、頬をひと掻きした。


「でも、全部断ってるよ。」


そう返せばなのははちょっとだけ安心としたような顔。子供っぽくて分かりやすい態度に、私はまた苦笑を浮かべた。

なのはの知らない所で、私はとても汚い仕事をしていたりして。なのはに知られたくない事、知って欲しくない事がたくさんあって。私の「本当」を知らないなのはに嘘を吐く。


「なのは、雨降って来たよ。」
「ふぇっ」
「ちょっと急ごうか。」
「うん。」


丁度良いタイミングでパラパラと降り始めた雨に感謝しつつ。これ以上変な話にならないよう、話を濁しつつ足を速めた。


















「──特に異常はありませんでした。」


数日に何度かの報告。見下ろす様に上座に座る老人たちに、私は手短に報告をした。鋭く攻撃的な、或いは虫けらを見るような視線。なんとなく慣れてはいるけど。


「ご苦労。引き続き護衛をお願いします。」
「……はい。」
「それから。」
「はい?」


何度も交わされる温度のない会話。だけど、今回はすぐには終わらなくて、あまり向けたくはなかったけれど続きを促すべく視線を向けた。


「不穏な動きがあるようです。」
「───と、言いますと?」
「数日前この町に八神、という人物が越してきました。」


温度のない冷めた視線。この家を縛る複数の老人たちは、そのまま言葉を続ける。


「魔法史に名を残す八神という名の人物は、ここ数日この近辺を探っているようです。」
「………はい。」


それ以上言わない言葉に、私は静かに返事をした。恐らくは様子を探って危険或いは邪魔なようなら排除しろと言うことだろう。「はい」と返事をして、静かに部屋を去るべく背を向ける。そんな私の背に、もうひとつ言葉が投げられた。


「お待ちなさい。」


まだ何かあるのかと振り向こうとして。


「最近彼女に近すぎているようですね。忘れては居ないと思いますが、貴女はこの家にとってただの道具に過ぎません。」
「はい。」
「不要に彼女、当主の末娘に余計な感情を抱かないように。」
「はい。」
「分かっていると思いますが、貴女に自由はありません。貴方を自由にする権利があるのは彼女であり、貴女の主だけです。」
「理解しています。」
「もう行って良いですよ。」
「……失礼します。」


最後にそう釘を刺されて、私は静かにその部屋を後にした。


高町と言う大きな家。魔法という特別な力を持つゆえか、深く根付いている古い習慣や、目付け役の老人たちの権威が目立つ。彼女の知らない所で、なのははこの家に、あの老人たちに囚われていて。そんな老人たちからも守ってくれと、いつか幼い頃に彼女の両親と約束をした事を静かに思い出した。

なのはは私の主で。なのはは自分が主だという事も、私が守護しているという事も知らなくて。私に自由はなくて、私を解放できるのはなのはだけ。

そんな柵だらけのこの家から、いつか彼女を自由にしてあげる事が私の最終的な望みで彼女の両親との約束。



静かに家屋敷の敷地内で見上げたなのはの部屋には明かりが灯っていて。
私は何となく、明かりの灯ったその部屋をただ静かに見上げていた。












fin







何が書きたかったかよくわかんないけど、家の偉い人に大事にされるなのはちゃんとそのなのはちゃんの知らない所で蔑ろに扱われながらもなのはちゃんの事を守り続けてるフェイトちゃんの話みたいなのが書きたかっただけで。なのはちゃんはフェイトちゃんの事がめっちゃ好きで。でも高確率でお家の偉い人に引き離される、みたいな。

んで、その先の「実は今までずっとフェイトちゃんが背負ってきたこと」を知った時のなのはちゃんのギュンとした気持ちを語りたかった…。実は隠れてあちこち怪我したりしてるフェイトちゃんとか、八神さんちのはやてちゃんが出てきて「自由」を説いたりしてぐるぐる悩むフェイトちゃんの前にスカリエッティさんが現れて瀕死状態になっちゃったりとかそんなとこまで妄想しましたが。妄想乙でした。




すいませむ。
魔法科~のあの辺の設定少し引っ張ってきましたンゴ。





テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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初心者ですが宜しくお願いしますorz
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