なのへい

なーのふぇーい…_(:3 」∠)_
ぱろ。

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「───内緒だよ。」


まだ小さい手の人差し指を唇の前に立ててそう言った彼女は、私の知らない力で、私の世界を一変させた。美しく、凛々しいその光景にただただ見惚れる事しか出来なかったのは、もう随分前の事。

























雲ひとつない青い空。教室で退屈な陰陽道なんていう授業を受ける私は、窓の下に見つけた金髪に小さく息を吐く。「やっと来た」とその姿を目で確認して、次いで見つけたとあるものに、私はちょっとだけ眉を寄せる。時計に目をやればもう授業が終わる2分前。予定していた時間よりは早かったけれど、それでも彼女が居ない日というのは退屈で、私は随分待たされたような心地で居た。


鳴り響く鐘の音ときっかり終わる授業。それと同時に教室へとやって来たその人物はちょっとだけ息を切らして、ほんの少し情けない顔。そんな顔を見て、私はもう一度小さく息を吐いた。


「フェイトちゃん、おはよ。」
「ん、おはよう。」


フェイトちゃんが来ると同時に、自然と教室内の視線が集まったような気がして、私はフェイトちゃんの髪についた木の葉に気が付いてそれをとる。次いで、ちらりとフェイトちゃんを睨み付けるとフェイトちゃんは情けなく「な、なに?」なんてちょっと焦った顔。


「フェイトちゃん、憑かれてる。」
「えっ、嘘…」
「もー、いつもいつもどこでそんなに拾ってくるの?」
「そ、そんなこと言われても…。私見えないから分からないよ。」


全くもう、なんて溜息を吐いて、私はフェイトちゃんの肩に、霊力を込めた手で触れた。除霊というには安易すぎるこの行為。あとでまた本格的に除霊してあげないと戻ってきちゃうだろうな、なんてフェイトちゃんの周りに纏わりつく霊を一時的に追い払ったのでした。

私の名前は高町なのは。ある特殊な学校に通う高校2年生。特殊なってほど特殊なところに通っているわけじゃないんだけど、私の家は代々退魔師の家系。なのでそれを継ぐために、そういう学校に通っている。ちなみにそういう学校だから、当然通っているのはその筋の家の子たち。なんだけど、目の前で周りに浮遊霊をたくさん連れているこの情けない彼女は実は霊感がとても弱い。その筋では立派な大家の娘なのに、霊感は鈍感。ついでに言うと体も弱くてよく病院に通って遅刻ばかりしてくるというわけで。


「フェイトちゃん、霊感ないのにどうしてこう、好かれるのかなぁ…。」
「なんでだろうねぇ。」
「しっかりしてよね、もう。」


ぱし、と周りのものを追い払いながら肩を軽く叩くとフェイトちゃんが小さく苦笑を漏らした。フェイトちゃんは霊感はからきしなのにどうしてか霊に憑かれやすい。体が弱いのもそれが原因かそうでないのか分からないけれど、とにかくヘタレ。だから毎日気が付くと何かに憑かれてるし、連れて歩いているし。

対する私は、とりあえず霊感が強い。霊に対抗する力(霊力って呼ばれている)も人並み以上には強いとは思う。だから、なんていうかフェイトちゃんを見かける度に除霊しているわけで。……本当はそれ以外にも理由があるんだけど。


「ひゅうひゅう、相変わらずやね2人とも。」
「あ、はやて。おはよう。」
「もー、はやてちゃんも何とか言ってよー。」
「何よ、夫婦喧嘩?」


不意に私たちの間にやって来たのは友達のはやてちゃんだった。彼女はからかう様な話し方をしてくるけど、実は凄く良いお友達。この業界はどちらかというと人を蹴落として喜ぶような感じの人が多いから、話していてとても心地良い友達の1人。


「ま、まだ夫婦じゃないよ!」
「そうじゃなくて、フェイトちゃんってば歩く度に必ず何かしらに憑かれてるんだよ?何とかならないかなぁ、この体質。」


夫婦喧嘩?なんてからかうはやてちゃんの言葉を真に受けて顔を真っ赤にしているフェイトちゃんを無視して私は息を吐いた。


「そんなんしゃーないやろ?なのはちゃんはフェイトちゃんの許嫁なんやし。」
「………。」
「なに?嫌なん?」
「……だって、憑いてるのってほとんど女の人の霊なんだもん。」


彼女を毎回毎回除霊している理由。それはフェイトちゃんが私の許嫁だから。退魔師の家系って言うのは退魔師の家系同士で婚姻を結ぶのがほとんど。まぁ、中には普通に恋愛して結婚することも在るけど。そうしてフェイトちゃんは私の許嫁という事になっている。これは家同士で決められたようなものだけど、私はどちらかっていうと嫌じゃないっていうか、まぁ。

嫌いだったらこんなに甲斐甲斐しく彼女の面倒は見ていないっていうことで。彼女の周りに憑くのは大抵女の人の霊ばっかりで、私はそれはちょっと嫌。


「霊でもやっぱ好みとかあるんかな?」
「聞いたことないけど、あるのかもね。」
「……なに?なのはちゃんったら霊にまでやきもち?…いてっ」


はやてちゃんの顔にプリントを叩きつけると、はやてちゃんはそれ以上何も言わなくて、フェイトちゃんは相変わらず見えないくせに自分の周りをしっしと払っていた。


「でも、高町家の人もよく霊感ゼロの人間を許嫁に決めたよね。」


不意に投げられるような言葉に、3人ともその方向へと顔を向ける。見ればクラスメイトの、少し意地の悪い顔。霊感がほとんどないフェイトちゃんの事を悪く言うような、そんな様子が見て取れて眉に皺が寄った。


「家が大家だから、気にしないのかな?」


僕も高町さんの婚約者候補だったんだけどね。なんて続けざまに吐き捨てられたような言葉。そこそこの退魔師の家系の御曹司。そういえば以前、そんな話が来ていたかもしれないと思いだした。けど、私とフェイトちゃんは生まれた時くらいから許嫁だったし、歯牙にもかけずお断りしたんだっけ。それが気に障ったのかな?


「お生憎様だけど、うちとフェイトちゃんの家は懇意にしてるから。」


そう一蹴すると特に何を言うでもなくそのクラスメイトはつまらなそうに教室から出て行った。別に力があるとかないとかそういうのは関係なくフェイトちゃんがフェイトちゃんだから、私は彼女が好きなのに。

それに。どうしても私の記憶に引っかかる事がある。幼い日の記憶。「内緒だよ」なんて言って私を助けてくれたフェイトちゃんの記憶。幼心に彼女の持つ力をとんでもない力だと思った、そんな彼女の記憶。細かい事は覚えていないし、口に出して誰かに聞いたこともないけど。だってフェイトちゃん、今は本当に力なんて全然ないし。


「なんや、感じ悪いなぁ。」
「……家が家だと、跡目争いとかそういうのもあるからねぇ。」


大変なんじゃないかな、なんてのほほんとして言うのはフェイトちゃん。自分の事を悪く言われたんだから、もうちょっと怒っても良いのに。


「もしかしたらなのはの事好きなんじゃないかな、あの子。」
「……だったらなに?」
「いや、何でもないです。」


何となく、フェイトちゃんに「あの子なのはの事好きなんじゃない」なんて言われてちょっとだけ腹が立った。ときたま、フェイトちゃんは自分に自信のないような事をいう時がある。だから「私よりあの子の方が良いんじゃない?」なんてもしも言われたら。……多分私は物凄く怒るだろうけど。許嫁とかそういうの関係なく私は彼女が良いのに。


「……私、ジュース買ってくる。」
「あ、私もついてくよ。」
「1人で大丈夫だよ。」


なんとなくムッとして、私は教室を出た。近くの購買に行こうと思って。「一緒に」なんていうフェイトちゃんに少しだけ苦笑して、すぐ戻ると告げて。ついでに2人の分も買おうと。フェイトちゃんは甘いのが好きなんだよね、なんてそんな事を考えながら近くの購買に向かったのでした。























「フェイトちゃん、今のはあかんわぁ。」
「……何が?」


なのはが教室から出て言ってすぐの事。はやてが苦笑交じりにそんな事を言った。私は訳が分からず首をかしげる。なのは、教室を出るとき少し怒ってたような気がする。私の所為だったんだろか、なんてはやてに続きを促した。


「あの子、なのはちゃんの事好きかもーなんて。そらぁなのはちゃんも怒るよ。」
「な、なんで?」
「あのなぁ…。自分の好きな人にそんなの言われて嬉しい人間なんておらんやろ。それもあんな爽やかな顔で。」
「そ、そうなの…?」
「普通は嫉妬とかそんなんして口にしたくないもんやよ。」


はやての言葉に「そっか」なんてちょっと苦笑した。


「でも、時々なのはは私には勿体ないんじゃないかなって思ったり、しなくもない。」
「はぁ?なんでよ?」
「……だって、私はこんなだし。」


霊感も力も今一つ。そりゃあクラスメイトにあんな事を言われても仕方ないと思うんだよね、なんて笑う私に、はやては少しだけ真面目な顔をした。


「フェイトちゃんは今力を抑えてるだけやろ?…隠さんでええよ、私には。」
「………知ってたんだ。」
「うちは情報通でな。」
「さすがは八神家。これでもうちの極秘情報なのに。」
「一時期噂やったから。ハラオウン家の嫡子が死ぬかもーって。」
「なにそれ。」


思わず鼻で笑ってしまった。そんな噂初めて聞いた、なんて。


「あまりにも異常な高霊力にまだ幼い体が付いていかないって、ちょろっと聞いた。」
「そーなんだ。……先天性の異常霊力って、母さんたちは言ってたけど。でも別に死にはしないよ?」
「なのはちゃんには言わへんの?許嫁やのに。」


はやてのそんな言葉に、私はもう一度苦笑を浮かべた。


「んー、もうすぐ私の誕生日でね?」


その誕生日を迎えて私は、抑えている力をようやく解放できる。そしたら、言おうかなって。特に霊力なんて、正直私にはなくても良いけれど。でもさっきみたいに(私だけだったら良いけど)なのはまで馬鹿にされたり中傷されたりするのは嫌だから。


「力が強すぎても厄介なんやねぇ。」
「本当だね。……そういえばなのは、遅くない?」
「ん?おぉ、そう言えばそうなぁ…。またさっきの子に絡まれてるんちゃうの?」
「そうだとしてもなのはなら一瞬でカタがつくでしょ?」


力の差は明らかだから。なんて言うとはやてが笑った。気が付けばなのはが教室を出てから随分経っている。どうしたんだろう、なんて。

言うのと同時に学校中の警報が一斉に音を立てた。退魔師というのは常に敵がいる。ひとつは悪霊。もっとやっかいなのはその悪霊を使役する人間。悪霊を使役したりするくらいだから、ロクな事をするような人間たちではないのだけど。ともあれ退魔師の卵である我々学生を、守る為の学校がそう簡単に攻撃されるとは、この時点では思いもしなかった。




数分後に分かったことは、学校の複数名の生徒が学校から姿を消したという事と。居なくなった複数名の生徒のその中には、なのはの名前も入っていた事で。私はそれを聞いて、すぐさま家へと駆けたのだった。



































気が付いたら、私は手に冷たい飲み物を持ったまままったく知らない場所に居た。周りには複数名のクラスメイト。その場所の雰囲気ですぐに良くない事が起こっていると判断した。


そして監禁されたまま随分と時が経って。絶体絶命だと思ったその時、聞こえた声は私の良く知っている声。


「ひと、ふた、みたま───…」


静かに歌うように紡がれるその言の葉に鼓動するように光の粒が舞って、目を見張る。光の粒と一緒にそこに現れたのはフェイトちゃんだった。普段着ることのない袴姿で、袴には家紋。この業界では有名な大家である彼女の家の紋様だった。


「遅くなってごめんね、なのは。」
「………ふぇいと、ちゃん?」


普段ヘタレているあの姿はなく、見えるのは凛とした後姿で、思い出すのは「内緒だよ」なんて唇の前で指を手てて言った、幼い日の彼女のこと。彼女の力を知るのは、この後すぐのこと。


















FIN



すいません途中で断念(∩;´∀`)∩続きません。















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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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