missing-21

久々にmissing。(意外と長いなこの話)
あ、今月中に「素敵な~」更新しようかと思いました( ˙-˙ )!

予定ではmissingいったら黒白(書き直し)いってdoubtいくつもりです。
気長に待ってください(土下座)

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「────…は?」


自分が、言われた事を理解できなくて。


私は掠れたような声で「何て?」と返す。たちの悪い冗談かと思いきや、その場の空気が、皆の重い雰囲気がそう思わせてはくれなくて。私はそう言った本人であるなのはにもう一度、伺った。


「ごめん、ちょっと意味が…」
「だからね。」


分からないんだけど、と言う前に。なのはは瞳を不安そうに揺るがせるでもなく、顔を伏せるわけでもなく真っ直ぐに私の顔を見て、もう一度口を開く。真っ直ぐな、凛とした強い意志の宿る瞳で。


「フェイトちゃんは、この国に残って欲しいの。」
「なん…で?」


なのはの言ったその言葉の意味は、つまりそれは、私を連れてはいかないという事で、なのはの傍には置かないという事だ。言葉の理解は出来るけど、当然納得なんて出来るはずがない。だって。


「私は、なのはの側に居るって──…」


つい先日そう言ったはずだ。それに一緒について来てくれるかって私に言ったのはなのはの方だ。なのに急に、こんな婚儀の前日になってそんな事急に言われたって、いくらなのはの言葉だって、そんなの容易にきけるはずがない。


「もう決めたの。」
「そんなの、勝手だよ!」


少し声を強くしてそう言うと、ほんの一瞬だけなのはが悲しそうな顔をした。


「……ごめん。フェイトちゃん。」


なのはが決めたという事なら、そしてそれを口にしたならばきっともう覆る事はない考えなのだろう。迷いもないのだろう。なのはは迷ったままでは言葉にしないから。色んな事を考えて、いろんなことに悩んで出した結果だろう。私の事を思って。

そんなのに気が付かないほど、阿呆ではない。なのはの考えている事なんて、考えそうなことなんて、ずっと傍に居たのだから誰よりも知ってる。だから、余計に納得がいかなかった。


「──ッ…」


納得がいかないけれど、なのはの考えている事が分かるから、納得しないといけないってことは分かってる。それがなのはの望みだってことも、分かってる。言葉を紡ごうとしてだけど言葉に出来なくて。そんな私になのはは「なに?」とちょっとだけ悲しそうに聞いた。


「それは、命令…?」


嫌な聞き方をしたって、自分でも思う。

命令なんて、なのはが一番嫌うことなのに。そんな風に聞いた私の質問に、なのはは一瞬硬直して、それから躊躇いがちに目を閉じて小さく頷いた。小さく「うん。」と告げられた言葉に、今度は私が目を閉じる。私がきっとここでもっと言い返せばなのはは間違いなく困るだろう。きっと泣きそうな顔をして「ごめん」というに違いない。

けれど、決めた事を曲げることはきっとない。それなら私は。


「……分かった。」


静かにそうとだけ呟いた。

どうすることも出来ない感情がお腹の中に湧き上がってきて、気付かれないように歯を食いしばった。どうしても、どうすることも出来ない感情。運命と言われたらそうなのかも知れない。私となのはは結ばれる事がない。それは分かっていたのに、これで側にも居られなくなった。本当は分かってるんだ、なのはが私の為にって思って、そう言ったのも。だけど。


「少し、気を落ち着かせてくるから……時間を貰っても良い?」


どんな顔をしたらいいのか分からなくて、私はなのはにそうとだけお願いした。今日は婚儀前夜。なのはは明日にはよその国へ嫁ぐ。だから私がなのはと一緒に居られるのは今夜だけだ。頭では単純に理解して割り切れるのに、心がそうさせてくれなくて。「すぐに戻るから」と言って、私は静かになのはの部屋を出た。

アリサもすずかもはやても、部屋の外に居て。部屋を出た時に視線がかち合って、だけど私は何も言えなくて。ただ、言いたい事も思ってることもよくわかるから私はちょっとだけ苦笑して「ちょっと外に出てるね」とだけ残して3人に背を向けた。

もうなのはの側に居られない事はどうにも覆りそうにない。なのはがそう言うなら、私は一緒には行かない。けれど、なのはが居なくなったその後は、多分。私もなのはの嫁いだ国に1人向かうかもしれない。そのくらいは許してくれるだろう、なんて。

自分のなのはへの執着心にちょっとだけ苦笑した。


「…私の為って言うんなら、どんな形でもいいから側に置いて欲しかったな。」


なのはの側に居ない生活なんて想像がつかない。私の世界はなのはが中心で。そのなのはが居ない世界は想像がつかない。どうしようかと途方に暮れながら、私は薄暗くなった空を見上げたのだった。




思えばこの時私がなのはの部屋に居たままだったなら、もしかしたらこの日の運命は変わったのかもしれない。


私は、この日少しでもなのはの側を離れた自分を許せない。























「泣くくらいなら一緒に連れてったら良かったじゃない。」


フェイトちゃんが部屋を出て行った後、部屋にやって来て私の顔を見て。そう言ったのはアリサちゃんだった。アリサちゃんは呆れたような言い方で、だけどちょっとだけ悲しそうな顔。


「……だめだよそんなの。それに、泣いてない。」


私は小さくそう呟いた。フェイトちゃんをこれ以上縛ってしまいたくはない。そう思って決めた事なのに、とても胸が痛い。苦しくて、悲しい。ずっと傍に居てくれたらいいと思う。なのに、側にいて欲しくない。きっと気持ちが揺れるから。彼女の為と言いながら、実はとても自分勝手だという事に、今更気が付いた。


「本当にそれでええの?なのはちゃんは。」
「…うん。」
「ほんなら、私らは何にも言えへん。」
「うん。」
「けど、私らは国に仕えてるんやなくて、なのはちゃんやから側に居るんよ。」


優しく諭すみたいにそう言って、はやてちゃんは続ける。


「だから、なのはちゃんが本当に望むことがあるなら──…」


そこまで言って、はやてちゃんは続きをいう事をやめた。何も言わないすずかちゃんも、アリサちゃんもただ私を見ていて、私は何も言えなくて、唇を小さく結んだ。

明日には式があるのに、ここに来て決意が揺らいでしまいそうで、怖くて。きっと皆優しいから、今すぐにでもここから逃げようなんて私が言ったら全員が笑って「いいよ」って言ってくれてしまうと思う。だけどそれは、出来ない。

もしも、こんな力なんてなかったら。そしたら、ちょっとくらいそんな我儘言っちゃったりしたかもしれないな、なんて心の中で苦笑した。


「……これで良いんだと思う。」


最終的にそう決めた私に、もう皆は何も言わなくて「そう」とだけ静かに頷いた。こんな力がなかったら、私はもっと違う人生を歩んでたんだろうなって思う。


「フェイトちゃん、怒ってるかな…。」
「……どうかしらね。怒ってるっていうよりは泣いてるんじゃない?」
「そう、かなぁ……。」


泣いてる彼女を想像して、胸が痛くなる。どう転んでも私は彼女を苦しめる。それがとても辛くて、悲しくて。


「なのはちゃん。」
「うん?」
「これで聞くのは最後にするから。」
「どうしたの?すずかちゃん。」


そんな私に向き合って。今度口を開いたのはすずかちゃんだった。すずかちゃんはずっと何も言わずに私たちのやり取りを聞いていただけだったから、改まってそう言われると、つい身構えてしまう。そんな私に構うことなく、すずかちゃんは真っ直ぐに、続けた。


「本当に、それでいいの?」


それから言われたのはそんな質問。何度も聞かれたその質問に、私は何度も答えていて、毎回毎回同じことを言ってきた。だから、聞かれた時は正直「またか」って思っちゃったんだけど。


「私は──…」


答えようとした拍子に、一粒。目から零れた。頬を伝うんじゃなくて、床に落ちたその滴に私は慌てて指を走らせて、目を拭う。拭った後で自分が泣いている事に気が付いた。どうしようもなく、情けない事に。そんな私を見て。3人は何も言わなくて、私はどうしていいのかもう分からなくて。それでも、最後まで意地を通す。


「これで、良いんだよ。」


裏腹な言葉。だけど、決めた事だから。一生涯この力を秘密にして生きていく。国の僅かな人間しか知らないその力を。私にとっては呪われた重圧を。


「……あんたも頑固よね。」


渋々、呆れ声。発したのはアリサちゃんで、私は「ごめんね」とだけ言った。



そのすぐ後に、部屋に静かにノックの音が響く。ちょっと控えめなノックの音。一瞬皆がフェイトちゃんかなって言いそうになってすぐに否定した。彼女のノックの仕方なんて私が分からないはずがないから。その音は、私の知らない音だった。


「どなたですか?」


夜も遅い。私の部屋に直に来る人なんて近衛か、或いは大臣くらい。けれど、そのノックの主は少しだけ間をあけて小さく声を発する。


「夜分に失礼。少しお話をと思ったのだけれども。」


その声は、私の婚約者でもある彼で。線の細い、薄い声。ほんの少しだけ薄気味悪く感じた。そもそも彼が結婚前夜にこんな風に私の部屋を訪ねてくるのはとても非常識に思える。一国の主ならばおおよそしないような行為だ。だから、何か火急の用事でもあるのかと、そう思って扉を開けようとして。


「───…っ、」


お腹に一瞬だけ。熱さを感じた。


「なのは!」
「なのはちゃんっ!」
「危ないっ!!」


聞こえたのは3人の声。一瞬のことで何が起きたのか、全く分からなかった。扉を裂いて、腹部に突き刺さった刃を見て、それから破壊された扉の先に立つ彼を見て。今更ながらに自分の選択は「失敗だった」と気が付いた。


「明日の婚儀が待ちきれなくてね、会いに来たよ。」


クスクスと薄気味悪い笑みを浮かべてそう言う彼は魔法をつかうわけでもなく。得体の知れない力を使って、黒い獣のような塊を手懐けて。


「噂の不死の力を貰いに来たよ。」


にこりと微笑んでそう告げた。じわじわと熱を帯びる痛みに悶えながら、私を守るように剣を抜く3人の後姿を見ながら。何となく、彼女の事を思う。


「……ぇいと、ちゃん…」


今、何処に居るんだろう。目の前の状況を目にしながら、ぼんやりと彼女の事を考えていた。出逢った時のこととか、笑った顔だとか。走馬灯ってこういうのをいうのかな、なんて口の端から流れる血を指で拭う。


出来れば、今すぐ会いたいなって。ちょっとそう思って自分の我儘さ加減に笑みが漏れた。壁に寄りかかって、見えたのは外の月。


お月様って、フェイトちゃんみたいだなって。



そう、静かに思った。













Continue...












テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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