いち( ˙-˙ )

昔のSSが出て来たのでした。


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不意に。なのはが言った言葉に、一瞬時が止まったような錯覚さえした。今しがたなのはの唇が紡いだ言葉の意味が、理解できなくて。


「……えっと、ごめん。何て言ったの?」


今、と。ちょっとだけ情けないような声で、問いかける。なのはは少しだけ顔を俯かせて、ちょっとだけ時間を置いてから。ものの数秒がとても長く感じられる、そんな時間を置いて。


「別れよう?…フェイトちゃん。」


少しだけ困ったように笑って、そう紡いだ。放課後の教室で、2人で課題をしていた時のことだった。私は今日まで1週間足らずの航行に出ていて、連絡を取り合っていたなのはが休んでいた間の課題を見せてくれるって言って。それを見せて貰っていた時のことだった。


「え、と…。」


突然のなのはの言葉に、上手く言葉が出てこなくて危うく「なんで?」とか問うてしまいそうで言葉を飲み込む。何となく、ここで選ぶ言葉を間違えてはいけない気がした。

なのはとは2年ほど前から付き合っていて。自分なりに私たちは上手くいっていると思っていた。だって高校に出る前までは、こんな風な話なんて一言もしていなかったのだから。だから。


「理由を…聞いても良い?」


持っているペンが静かにノートの上に落ちる。なのははそんな私の手元を見て、顔を上げた。私が何か嫌われるような事をしたんだろうかとそう思って。


「私…何かしたかな?」


何も言わないなのはに、口をついてそんな問いかけが零れた。もしも私に何か悪い事があったなら。


「もし…」


それが原因だと言うのなら。続ける私になのはは何も言わなくて。


「もし何か悪いところがあったなら──…」


直すから、傍に居させて。そう言おうとして、一瞬なのはの身体が少しだけ震えた事に気が付いて。


「………謝る事だけ、させて貰える?」


言えなかった。言えばきっと、なのはが困る。だから。出来るだけ、笑ってそう言った。なのはが気に病まないように。別れたくなんてないし、ずっと傍に居たい。だけど、目の前のなのはにはそんな我儘が言えなくて言葉を全て飲み込んだ。

そう言うと、なのはは私の顔を見て何か言おうとして、言いかけて止めた。口を結んで俯いて。


「私が──…」


前みたいに友達に戻りたいだけ。紡いだ言葉はそんな言葉。


「フェイトちゃんが何かしたとかそう言うのじゃないの。ただの、私の我儘。」


いつものなのはより少しだけ低い声。俯いた表情は良く見えなくて、なのはが何を考えてるのかも分からなくて。だから、私は出来るだけ笑った顔を作る。


「うん。分かった。」


出来るだけ明るい声で。下手くそな笑い顔でも良いから。


「何かしちゃったわけじゃなくて、良かった。」
「フェイトちゃん……」
「友達に、戻ろ?」


友達でいられるなら良いよ、なんて続けて。


そうして私となのはは恋人という関係ではなく友達という関係に戻った。




それは間もなく中学校を卒業する時期のことで。
それから間もなく。私となのはは友達のまま、それぞれ別の道へと進んだ。






























「フェイトさん、この資料どうしますか?」
「うん。それはこっちのファイルに入れて持っていくから、そこに置いておいてくれる?」


なのはと恋人関係を解消してから、間もなく4年が経とうとしていた。あれ以降私はなのはと一切連絡を取ってはいない。───…なんてことはなく、特に差し障りのないような交友関係を保っている。というよりは、依然と同じように友達同士。最初の頃は多少ぎくしゃくしていたけれど、本局に務めるようになれば私達が顔を合わせるようなことは減ってしまったし、気が付いたら元通り。何気なく気軽な話を出来る友達同士に戻っていた。

そりゃあたまに、触れたくなる時もあるし当然前みたいにキスしたり、そういうこともしたくはないと言ったら嘘になる。けれど前のようには戻れないのも知っているし、何よりなのはを困らせたくなんてないので、私は日々仕事に没頭していた。




そんな中。


「へ?」
「気が進まないなら、このお話は断っちゃっても良いんだけど…。」


どうかしら?なんて言うリンディ母さんの話に、私はほんの少し呆然とした。


「どうって……」


話の内容は俗にいうお見合いなる内容の話だった。正直この手の話は初めてで、母さんから言われた事が一番の悩みどころ。交際を申し込まれた事はそれなりに結構あるけど、お見合いなんてものになると話は別だ。


「もちろん断って良い話なのよ?」


困ったように笑う母さん。お見合い、というよりはただの紹介に近いかも知れない。ただ相手に懇願された、という方が近いのかな。


「えと…しょ、食事くらいなら。」


相手は本局に努める陸士部隊の男の人。私より何歳か年上だ。ちょっと渋々首を縦に振ると、母さんは「無理しないでいいのよ?」なんて何度も聞くわけで。だけど一度くらいは会ってからしっかりお断りするのが角が立たない方法なのかな、なんて浅はかに考えて。私は「一度会うくらいなら」なんて易々と首を縦に振ってしまった。

交際をするつもりなんて一切ないし、とりあえず顔合わせ。そんなつもりで。あのはと付き合っていたから特別女性が好きというわけでもない。その相手をそんな風に見るつもりもないけれど。社交辞令のような感覚。


「無理はしないでね?」


私の気持ちがまだなのはにある事を本当は知っていての母さんのその台詞に。私は「大丈夫」なんて小さく笑って頷いたのだった。






















つづく  かなー





テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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