さーん( ˙-˙ )

いち( ˙-˙ )
にの( ˙-˙ )

の続き。なんかずるずるな終わりになっちゃいました( ˙-˙ )


web拍手 by FC2






やっぱり、ちゃんとはっきり言おう。


そう思ったのは彼に平手打ちをくらった翌日のことだった。平手打ちが原因なんてことはなくて、もっと前からずっと思っていた事。そもそもこの関係もなりゆきとか自分の優柔不断さが招いたことだ。好きでもなんでもない相手と交際なんて無理があったんだと、今更勝手ながらに思う。


それに。昨日なのはに手当をして貰って改めて思った。私が好きになる人間なんて、恋をする相手なんてきっとなのはしかないだろう。絶対に。


だから。


そのことをちゃんと伝えようと、足早に彼の元へと急ぐ。普段は重いと感じる足取りが今日はやけに軽かったので、より明確に自分の気持ちがわかった。け れど。


「……?」


向かった彼の元、たどり着いた先の通路に、ほんの少し人だかりがあった。大した人数ではない人垣。私が来たことで、その人垣が散る。


「な、なのは!?」


不思議に思って見ればそこに居たのは件の彼となのはで。どうやら何か言い合いをしているらしいと分かって慌てて人垣を退かして進む。


「な、何してるの2人とも。こんな所で。」


明らかに険悪なムードだと肌で感じる2人。なのはは珍しく怒っているようだったし。恐らくその理由なんて一つしかないだろうけど。そう思って、何となく昨日叩かれた箇所の、頬に触れた。


私の為にこんなに怒ってくれる人が居ることが嬉しい。それがなのはなら、余計に。




「フェイトちゃん…」


私の登場に気がつくと、ほんの少しだけなのはが顔を曇らせた。私が怒るとでも思ったんだろうか。そうじゃないのに。そんななのはの表情に胸がどうしてか切なくなった。


「2人とも、ここ廊下だよ?」


私が来たことで少しだけしんとした空気の中で。2人を諌めるように言うと、先に口を開いたのはなのはだった。「ごめん」と一言。迷惑を掛けてごめんと、私を思っての言葉だった。私に迷惑なんて、どうでも良い。それよりなのはの事が心配だった。相手の男のことよりも。そんな私の様子を見てか、何を思ってか。


「他人が口出しする問題じゃないだろう。」


責めるようにそう言ったのは彼。


なのはに向かって言ったその言葉に、私は 少し眉を寄せた。そんな私をよそに、なのはは少しだけ落ち着いた様子で息を整えて口を開く。いつも通りのなのはだと思った。


「すいませんでした。」


落ち着いた謝罪。私が来たことで冷静になったのか、それとも私に迷惑が掛かると思ったのかそう言ってなのはは頭を下げる。


けれど、その相手である彼は腹の虫が収まらなかったらしい。もう一度、なのはに何か言おうとして手を伸ばしてなのはの肩を掴む。


瞬間、痛みになのはの顔が少し歪んだのを見て、思わず手が出た。


というか、吹っ切れたという方が近いかな。色んな悩みが吹っ切れて、人目も気にせず。後から考えるとやってしまったなって思うんだけど。


「──ッう、わ」


私は、なのはへと伸ばされたその彼の腕を掴みあげて後ろにねじ上げる。そのまま後ろから、彼の膝の後ろを関節に向かって踏むようにして膝を折らせて相手に膝をつかせた。一瞬のことだったので、自分でも気が付いたらそうなってたのだけど。


「………なに、するんだ!」


そんな私に声を上げたのは相手の男で、なのはは驚いた顔で私を見ていて。


「昨日殴られた仕返しです。」


そうとだけ言った。避けようと思えば避けられた昨日の平手打ち。その原因は、よくわからない彼の嫉妬からだったと思っている 。同じ執務官の友人と仲良くしていたのが気に食わなかったと。殴った後で冷静になった彼がそう言っていたから。もちろん彼に殴る気はなかったみたいでその後ですぐ謝罪された。それはもう良いんだけど。


ただ。


昨日避けなかったのは「自分が悪かったのだ」と思ったからだ。ほんの少しだけ。でも今になってはそんなことないって思ってる。殴られる程の悪い事をしたわけでないはず。だって。


「…私がもし貴方だったら。」


もしも私に恋人がいたなら。なのはを見て、それから彼の方を向いて静かに言葉を続ける。もしも私が彼で、好いた相手とそんな事があったなら。


「私は貴方のように、大切に思う人に手を上げたりしないと思うんです。」


それだけは言える。絶対に。


「私はどんなことがあってもその相手を守ってあげたいし、縛ったりしたくない。つまらない嫉妬で、貴方みたい手を上げたりはしない。」


なんとなく、そう言ってる中でなのはと目が合った。けれど、気にせず続ける。


「私だったら。相手を傷つけるくらいなら、自分が傷つくことを選びます。」


それに。


「……やっぱり貴方の事、そういう相手として好きになれそうにありません。」


そう言って、少しだけ間をおいて。「別れてください」と静かに告げた。よく考えたらこの場所にはたくさんギャラリーがいて、こんな騒ぎ恥ずかしい事この上ないんだけど。


「ふぇ、ふぇいとちゃ──…」
「なのは、ち ょっと来て。」
「ふぇっ?」


それから、呆然とする彼をそこに置き去りにして私はなのはの手を掴んでその場所を逃げるように後にした。ギャラリーの視線から逃げるようにして。なのはは私に引っ張られながら「フェイトちゃん、あの人いいの?」とか言っていたけど、私はなんていうかそれどころじゃなくて。


最終的に人気のない空き部屋にたどり着いて、そこで息を落ち着かせた。


「…ご、ごめんね。フェイトちゃん。」


落ち着かせて、その間無言だったなのはが小さく。ちょっとだけ泣きそうな顔で謝罪する。


「なんでなのはが謝るの?」
「だって…。余計な事…しちゃったかなって。」


そう言ったなのははちょっとだけ叱られる子供みたいな顔。


「そんなことないよ。私の為に怒ってくれたんでしょう?」




ありがとう。と続けるとなのはは眉を寄せた。なんでか、少し泣きそうな顔。


「フェイトちゃん、聞いてもいい?」
「うん?」
「どうしてあの人とお付き合い…したの?」


ちょっとだけいじらしいような聞き方で、拗ねているともとれるその表情に、私はちょっとだけぽかんとした顔をして苦笑した。なんでって言われてもそんなに大きい理由なんてない。ただ。


「……なりゆきっていうか。」


なんて言えばいいだろう。「好きな人」を諦める為。なんてこといったらなのはは私に幻滅するだろうか。言葉に窮して、頬をひと掻き。


「えっと…」


言い淀む私に。なのはは少しだけ暗い顔をした。


「ほんの少しでも、好きだった?」


そんな少しだけ暗い顔で、聞いたのはそんなこと。思いもよらない質問に、私は「まさか」なんて少し笑ってしまった。


「それはないかな。」
「じゃ、じゃあなんであの人と付き合ったの?」


そう言われて、ちょっとだけ視線を巡らせる。「どうして」と言われても本当に理由なんてないわけで。そんなことより今のなのはの態度に、何だか少し期待してしまう。こんなの馬鹿だと思うけど。


「えと、本当に理由はないんだ。ただ…何て言うのかな。」


正直言えば。


「どうでも、良かったからかな…」
「え?」


なのはと別れたこと で、特にどうでもよくなっていた自分の恋愛観、というか。なのはを責めるみたいになったら嫌だから、そこまでは言わなかった。


「その時は、誰かと付き合うとかそういうのどうでも良く思えてて…なんとなく断る事もなくて、それでなりゆき。」


ちょっと苦笑気味に言うと、なのはの瞳が少しだけ揺らいだ。


「そんなの…」
「うん?」
「だめだよ、そんなの。」


自分の腕をぎゅっと掴むようにして。言ったなのはの声は少しだけ低く感じる声。なのはは、ちょっとだけ俯く。


「なのは?」
「私は、やだよ。」
「……ぇ?」
「フェイトちゃんの隣に立つ人があんな人じゃ、私は嫌。」


ぽつりと、なのはがこぼす。


「なのは?」
「だ って、それじゃあ意味ないもん…。」
「意味?」


そうポツリポツリ零すなのはは少しだけ様子が変だった。ちょっと怒っている、というよりは言い聞かすような、なんだか上手く言葉に出来ない感じ。首を捻る私に、ちょっとだけなのははちょっとだけ泣きそうな顔で続ける。


「私が、フェイトちゃんとお別れした意味が…なくなっちゃう。」
「え…?」


不意に思い出す4年も前のこと。4年というともう随分前のことのような気がするけれど、私は今でもあの時の気持ちを鮮明に覚えているし、その時のなのはの事も事細かに思えている。忘れるはずがない出来事。




なのはに別れて欲しいと言われた日のことだった。


「意味って…?」


妙に空気がしんとした。誰も居ないから当然な のだけど、もっと遠く。私となのはだけがこの世界から隔離されたような妙な感覚。なのははそのまま泣きそうな顔で、何も言わなかった。


「なのは。」
「……。」
「ちゃんと話してほしいな。」


そう言うと、なのはは少しだけきゅっと唇を結ぶ。けど、そのまま私は言葉を続けた。


「私ね…。」


どうしてか分からないんだけど。自然と言葉があふれたと言う方が近いかも。なのはに寄せる、ずっと変わらない気持ち。未練たらしくてみっともないかなって思って言わなかったし、変わらない交友関係を保つためにも言わなかった事。


「実を言うと、今でもなのはが好き。」
「えっ?」


もう隠すのはやめよう。特別隠してたわけでもないけど 、あえて触れずにいた事。忘れようと思っていたけど、別に無理して忘れなくても自然体でいればいいんじゃないかなって、ちょっと図々しい気持ち。自分でも笑ってしまうけど。


「自分でもちょっと情けないんだけど。」


4年もなのはへの想いを引きずっていたなんて。なのははどう思うだろうか、なんて思いながら頬をひと掻き。


「やっぱりあの時からずっと気持ちは変わってなくて、まぁ、ずるずるあの人とこんな風になっちゃったわけなんだけど。」


ちょっとだけ日差しが眩しくてなのはの横を通り過ぎてカーテンを少しだけ動かした。なのはは私が横を通り過ぎても身動き一つしなくて、私もそれを気にせず言葉をさらに続ける。


「だから。なのはが考えてること。あの日私が聞けなかった、別れた理由を聞いても良い?」


なのはの考えていることを教えて欲しい。なのはの気持ちを知りたい。どうしてそんな顔をするのか。そう問うと、なのはは少しだけ唇を結んで、それから小さな声でこぼす。とても弱くか細い声だった。


「あの、ね?」
「…うん。」
「フェイトちゃんは、子供が欲しいかなって」


思ったの、なんて。予想の遥か上、というのかな?全く予想もしてなかったその言葉に「え?」なんて言いそうになって、口を閉じた。なのはは至って真剣な声だったから。


「私じゃ、叶えてあげらないから。」


ぽつり、と。自分の腕をぎゅっと掴んで、握りしめるようにしながらそう言ったなのはは俯いたままで、何だかとても悲しそうな声。


「だから……」


そこまで言ったなのはの頬に少しだけ触れた。瞬間、なのはの身体が驚いたようにぴくりと跳ねたけどあまり気にせず、なのはの頬に少しだけ触れたまま言葉を続ける。


「だから、別れたの?」


責めるわけでなく、確認するように。なるべく落ち着いた声でそう聞くと一度の頷き。なのはは首を頷かせただけで、何も言わなくて。


「そっか。……ありがとう。私のこと考えてくれて。」


そんな風に優しいなのはだから、私は変わらず今でも彼女が好き。ちょっと空回っちゃってるような気もするけど。


「もう一つだけ、聞かせて欲しいんだけど…」


そう言うと、なのはは顔を上げて私を見て瞳で問う。いつ見てもとても綺麗で澄んだ蒼。


「なのはの気持ちはどうだったの…?」


なのはの気持ち。


「なのはは、今でも私のこと……なんて。期待しても良いのかなって。私さっきからそればっかり考えてる。」
「ふぇ?」
「私のこと、考えてくれてたのはすごく嬉しいんだけどね?それよりも、なによりも。」


私はなのはに、そばにいて欲しい。隣に。


「それだけが理由だったなら…ねぇ、なのは。」


諦めが悪いとか、しつこいって笑われるかもしれない。それでもいいから、格好悪くてもいいから。


「もう一度、隣に来てくれないかな?」


くしゃりと前髪を掻いて、恥ずかしさを隠す。なのはがもし、まだ私に気持ちを向けてくれているのなら。期待を込めたそんな言葉に、なのはの瞳が少しだけ揺れた。ほんの少し頬を紅潮させて、だけど表情はどこか浮かなくて。


「でも…」
「私の為とか、そういうの抜きでなのははどうだったの?もう私の事、好きじゃない?」


ほんの少し顔を下げて、距離を近づけてなのはに問う。そう聞くとなのはは少しだけ目を伏せて唇を一度結んで、それから諦めたような顔をして息を吐いた。


「そう言う聞き方、ずるい。」
「そうかな。」
「だって……。」


そう言って、なのはは力なく壁にもたれかかる。何か言い淀んでいるなのはの言葉の続きを待つ私に何だかなのははいじらしい顔を向けた。


「……好きじゃなかったらあんな事、しないよ。」


何だか怒られてる子供のような顔で、俯きがちに。恐らく先程彼に文句か何かを言いに行った事の話だろう。なのははちょっとだけ情けなさそうな顔をしてそう言った。そんななのはの顔を見て、頬をひと掻き。

一体なんだったのかな、この4年間。もちろん怒ってるわけでもなくて、どっちかっていうともっと早く気付けばよかったの類。だって勿体ないじゃないか、なんて。


「……私の4年間を返して。」
「ふぇっ?」


ずるずると格好悪く壁伝いに縮む私の格好悪いその言葉になのはが狼狽えた。けど、気にすることなく続ける。


「私に幸せになって欲しいとか、そう言うの考えるなら。」


ゆっくり立ち上がって、なのはを少しだけ追い込んで。


「離れず側にいてよ。」


じゃないとまた彼みたいな人間と付き合うかもよ、と少し冗談めかして笑うとなのははちょっとだけ泣きそうな顔。そんななのはを少しだけ抱き寄せて。


「……フェイトちゃんはずるい。」
「ずるいのはどっち?勝手に思い込んで私の事振ってさ。」
「う。」
「お陰で4年間も寂しく過ごしちゃったよ。」
「……。」


腕の中のなのはは申し訳なさからかちょっと逃げたそうにしていて、私はそれを許すつもりなんかなくて。





「な、なんかフェイトちゃん怒ってる…?」





部屋には少しだけ怯えたようななのはの声が響いた。
4年のもやもやを、一体どうしてくれようかな。なんて。




「ふぇ、ふぇいとちゃん…?」





沸いたのはそんな気持ち。


















fin






















激おこぷんぷんふぇいとちゃん。







コメント

非公開コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
プロフィール

92

Author:92
なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2拍手記事別ランキング
FC2拍手記事別ランキング
FC2拍手記事別ランキング
twitter
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR