missing-22

missing-21の続き。

だいぶ時間が空いてしまったので内容が全然な上に、なんか内容がもうぐずぐずですいません。

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その日、私が異変に気が付いたのは外をふらふら歩いて少し経ったときのことだった。一瞬、変な感じがした。総毛立つって言うか、寒気がするって言うか。言ってしまえば嫌な予感だった。

さっきまでずっと暗い事を考えていたからかもしれない。私を置いていくと決めたなのはに、最後にもう一度わがままを言ってみようかと決めた矢先だった。あきらめが悪いと思われてもいいと、そんな風に自分にふんぎりをつけた矢先。

虫の知らせって言うんだろうか?居てもたってもいられなくて、まだ明かりのついているなのはの部屋に向かって駆け出した。城内はおかしなくらい静まっていて、どうしてか誰も居なくて、ほんの少し煙臭い気がした。


「……ッ、なのは」


思わず名前を呼ぶ。

妙なほど誰も居ない城内。静かで、それが一層気持ち悪く思えた。嫌な予感がしていつでも剣を抜けるように手を掛けて、駆ける。静かで落ち着かない城内を。

駆けだしてものの数分。通いなれたなのはの部屋にたどり着いて、扉を開けた。


「なに…してる!!」


室内の光景を目にして思わず剣を抜いて、振り上げた。そこに居た目の前のその男は、私のそのスピードに振り向いて驚いたような顔をして、私の剣を受けた。瞬間、倒れているなのはの前髪を掴んでいたその手を離して床に転がり込むその男を蹴り飛ばして退かしてなのはに駆け寄る。そこに居たのはなのはの婚約者としてこの国に来た男。

部屋に来て初めに目にしたのは、血だらけのなのはの髪を掴んで何か話しかけているその男の姿。咄嗟に斬りかかってしまったけど、最早そんなことはどうでも良かった。


「っ、なのは!なのは!」


よく見れば部屋にはすずかも、アリサも、はやても居た。血にまみれてぴくりとも動かない3人を見て、唇を噛んで。それからもう一度なのはに呼びかける。辛うじて息があるなのはに。


「なのは!しっかりして!」


なんて事だろうと、動転している頭でそう繰り返す。部屋の中は血の香りでいっぱいだった。この男がそうしたのかと、振り返ってもう一度。剣を振り上げようとして。


「あーぁー、やはり無理矢理奪う物ではなかったようだね。」


小さく笑って、そんな事を言う。命乞いをするでもなく「失敗だったなぁ」なんて声。例え命乞いされても、私は許さなかったろうけど。


「殺してやる…」
「いやぁ、ぼくはもう行くよ。残念だが。」


飄々とした物言いで、「失敗した」なんて言いながら起き上がるその男は薄ら笑いを浮かべたままお表情で。そんな事より、私はなのはの事が気になって、どうにかなのはの傷口から出血する血を止めようとなのはの傷口を抑える。
けれど抑えても流れてくる血に舌打ちをした。


「なんでこんな事──…」


ぎり、と歯を食いしばって憎々しく睨んでもその男は全く動じない。いっそ殺してやろうと思ったけれど今は倒れているなのはに背を向けたくなくて。


「欲しかったなぁ…不死の力。」
「──…は?」
「長年の研究でも得られなかったその力…くくく…残念だ。」


少し狂った物言いの男を無視して、なのはに呼びかける。


「なのは…なのは!」


辛うじてだけどまだ息はあるし脈もある。どうにかすれば助かるかも知れない。そんな私の背後で、小さく男が呟いた。


「その子は数百年、或いは数千年後にきっと転生するだろう。」
「───?」
「僕はその時にまた会いに行くとするよ…その子、もう助からなそうだからね。」


そう言って薄気味悪く笑う。


「……その時は…」


失敗しないといいなぁ、なんて笑って。その男はふらりと立ち上がると黒い煙のようなものになって消えた。けどもうその男の事なんてどうでも良かった。転生先という話も。だってまだなのはは死んでない。冗談じゃない。そんなことさせるかとなのはのに触れている手に力を込めた。



「なのは!お願いだから、目を開けて!」


唇を濡らす血を拭う。と、少しだけ唇が動く。ほんの微かに。


「ふぇ、と…ちゃん?」


その声と同時にひゅ、と響く空気音に私は小さく唇を噛んだ。それから青白い顔のなのはに呼びかける。


「なのは!…良かった……」


分かりたくないことに、気付いてしまった。このままじゃきっと、なのはは助からない。恐らく。だけど、私にはどうすることも出来なくて唇を噛む。けど、なのははそんな私に少しだけ笑みを浮かべた。うっすらと額に汗を浮かべたままで。


「…よかった」
「え?」


ふふ、と力なく笑ってなのはは続ける。か細い声で。


「さいごに、会えて……」


重そうに腕を持ち上げて、私の頬に触れてそう言うなのはは少しだけ苦しそうに続ける。


「起こして…くれ、る?」
「でも」


お願い、と微かに言われて私は、静かになのはを抱き上げた。私に掴まるなのはの手の力が弱々しくて、小さく唇を噛んだ。


「ごめん…なのは…私が、私がそばを離れたから──…」


守ると言ったのに。その為に居ると言うのに。泣きながらそう言った私に、なのはは優しく笑ったままで、弱い指先で私の頬を撫でた。


「フェイトちゃん…」
「なのは?」
「あの…ね。」


ひゅ、と鳴る空気音。私に抱き着くようにして体を支えるなのはが耳元で笑う。


「……」


好き、と弱く囁く声。青白い顔。


「ふふっ…」


こんな時なのにどうしてかなのははとても幸せそうに笑う。


「なの、は?」
「やっと、言えた……」


絶対言えないと思ってたから。なんて笑う。


「もし、生まれ変わったら…今度は普通の子に、生まれたいな。」


そう笑って、それから静かに私の涙を親指で拭って、そっと唇に触れた。触れたのは柔らかくて、濡れた唇。ちょっとだけ血の味がして、少しだけ冷たく感じた。


「なの…は……?」


それから、頬に触れていた手が落ちて。ほんの少し、周りの音が消えたような気がした。それはほんの一瞬。微かに聞こえたような「ごめんね」という声。微かな音で、ただの空耳だったのかもしれないけど、それよりも。


「なのは?」


ぴくりとも動かない彼女は、とてもやすらかな顔をしていた。幸せそうだなんて言うつもりはないけれど、眠っているようなそんな顔。


「なのは。」


嘘だ。


「なのはってば…。」


返事なんてなくて、彼女はもう私の名前を呼んではくれなくて、笑ってはくれなくて。強く、唇を噛む。仲間の騎士達も居ない。大切ななのはももう居ない。残ったのは守れなかったという後悔の念と、自分を許せないという気持ちだけ。


「……。」


どのくらい経ったか分からないけれど。少しして、私は剣を抜いた。どうしていいか分からない。なのはが居ない。仲間も居ない。それだけで、私の世界は色を失ったみたいになった。せめて誰か1人でも、私を叱咤してくれる人が居れば少しは違ったのかもしれないけど。だけどもう、誰も居ない。


だったら。


「……ごめんね、なのは。」


みんなも。私1人が生きていて良いはずがない。それに多分、この国はもう終わる。それすらどうでも良くて、私は静かに剣を自分の腹にあてた。こうすることしか考えられなくて。だから。


「……ッ」


一思いに。力を込めて、剣を突き刺した。




























「ふぇ、と…ちゃん?」


あの人が私の部屋に来て、どのくらい経ったのか何が起こったのかわからないけれど、呼ばれているような気がして目を開けると目の前にフェイトちゃんが居た。泣きそうな顔で、酷い顔をしたフェイトちゃん。どうして泣いてるんだろう、なんて眉を寄せて名前を呼んだら声が出なかった。見てみたら私は血だらけで、さっきまでの状況を思い出す。


そうだった…。


「…よかった」


多分、私はもう助からない。だから最期にフェイトちゃんに会えてよかった。フェイトちゃんの頬に触れると、フェイトちゃんの頬に涙が伝った。じわりと蝕むような痛み。けどそんなの気にならないくらい、彼女の事を想っていた。今まで我慢していた分、溢れたというほうが正しいかもしれない。体を起してとお願いするとゆっくりと私の我侭を聞いて私の体を起してくれるフェイトちゃんは子供みたいな顔をしていた。酷く狼狽した、泣きそうな顔。

その顔に、少しだけ困った。顔が、彼女の全てが「置いていかないで」と言っている気がして、自分がした選択をとても後悔した。私が最後までフェイトちゃんに側に居てって、そう言っていたらこうはならなかったかもしれないのにって。本の少しずつ薄れていく意識。


「フェイト、ちゃん」


あのね、と続けるとフェイトちゃんが顔を上げる。泣きそうな顔のまま。


「好き…。」


声が掠れて、あんまりちゃんと伝えられなかったかもしれないんだけど。ちゃんと聞こえたかな…?言えて良かった。もっと伝えたいのに声が出なくて、だけどフェイトちゃんは相変わらず泣きそうな顔をしていて。私が普通の女の子で、お姫様とかじゃなくて、こんな力もなかったら。フェイトちゃんも私もこんな思いをしなくて済んだのになって、思った。


「もし生まれ変わったら──…」


今度は普通の子が良いな、なんて声にならない声で笑う。それからフェイトちゃんの唇に触れた。泣かないでって、そう思ってキスをした。触れるか触れないか。力がなくて、もうちょっと届かなかった。けど、まぁいっか。


「なの…は?」


ごめんねフェイトちゃん。置いていって、ごめんなさい。もう声も出なくて、白んでいく意識の中でほんの少し思う。泣いているフェイトちゃんを置いていってしまうことがとても嫌で。

きっとフェイトちゃんも、私たちの後を追ったりして死んじゃうんだろうなって、そう思った。遠目に見えたアリサちゃんたちの姿。きっと彼女はそうするだろう。それが少しだけ嫌だなって、思った。


出来れば彼女には生きて欲しい。

死なないで欲しい。

ごめんねと。少しだけ瞳の端に涙が零れた。











彼女に「死なないで」と、願ってしまったのは私の我儘。
















Continue...











テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
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