ぱろ続編

この間の続きです。

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「えっ…相部屋?」


この学園にやってきて、一通りの説明を聞いた私に「そういえば」なんて、そういったのははやてで。どうやら全寮制である私の寮は誰かと相部屋ということになっているらしい。今はじめて聞いたその情報に「えっ」なんて少しだけ声が漏れた。そうならそうと教えておいてくれたらよかったのに、なんて。


「せや。フェイトちゃんはやっぱ、一人部屋なんて少し危なっかしいからなぁ。」
「そ…そんな事ないと思うけど。」
「いーや。この学園でそんな問題ありえんけど、何かあったら困るから念のためそうさせてもらう。…まぁ、同室の子は私が選んだし、良い友達になれると思うから。」


な?なんてちょっとだけ困ったように笑ったはやてに、私はそれ以上何も言えなくて。ともあれ、特に一人でいたいとかそんな気持ちがあるわけでもないからはやてがそう進めるならそれはそれでいいんだけど。


「分かった。……ちなみに同室の子ってどんな子なの?」
「あぁ、それなら──…」


そう説明しかけて、コンコン、なんてちょうど控えめなノックの音が響く。そのあとに続いてやってきたのは、少し物静かそうなおっとりした女の子。白い制服だった。


「はやてちゃん、準備できたって聞いたんだけど─…」
「おぉ、ちょうど良いところに来たな、すずかちゃん。」


綺麗な藍色の長い髪。大人しそうな、優しそうな子。


「フェイトちゃん、この子はすずかちゃん。フェイトちゃんと同室予定の子ぉやよ。」
「あ、えっと…初めまして。」
「よろしくね、フェイトちゃん。」


第一印象はとても物静かなお嬢様って感じ。後から名前を聞いたら姓が「月村」だったから納得した。月村と言えば使役者の血筋としては名門。というかつまりお嬢様だ。

それから話してみたら意外ととても気さくで、すずかは色々この学園でためになる事を教えてくれたりした。寮室まで案内しながら、はやてが教えてくれなかった裏道を教えてくれたり。とはいえ、危険だから使っちゃだめってすずかに言われたけど。


「フェイトちゃんはまだ契約してないんだよね?」
「え?うん…。すずかは、その…してるの?」


制服を脱いだすずかはやっぱり少しお嬢様みたいな服に袖を通して「ようこそ」という歓迎の意を込めたらしい紅茶をごちそうしてくれた。部屋はなんていうか、普通の寮部屋よりは上質な感じの部屋。使役者の部屋にもグレードというかそういうのが何だかあるらしい。そこで聞かれた質問に、しどろもどろに答えながら聞いてみた。恐らくこの子はしてると思う。そんな予感はどうやら的中していたらしく、すずかは少しだけ微笑を浮かべた。


「してるよー。もうずいぶん前にしたんだけどね。」
「そうなの?」
「うん。子供の時だったから9歳くらいかな。」
「じゃあもう幼馴染とかそんな感じ?」
「そうだね。これって親が決めた相手だったんだけどね。」
「……嫌じゃ、なかった?」


踏み込んだことを聞きすぎたかなって思って、ごめんって小さく謝罪するけどすずかは全然気にしてなかったみたいで私の謝罪に対して首を傾げて、それから教えてくれた。


「あのね、アリサちゃんって言うんだけど。」
「うん。」


とても嬉しそうにその子の名前を教えてくれたから、すぐわかった。信頼とかそういう気持ちがひしひしと伝わる。むしろこれは一種の惚気かもしれない。


「今じゃもう恋人だし、全然嫌じゃないよ。」


クスって笑ってそういうすずかはとても楽しそうで、なんていうか少し色っぽいというか。同室で初対面の女の子に一瞬でもそんな風に思ってしまった自分をしかりつけて、取り繕うようにそっか、なんて笑う。


「守護者と使役者の関係って、結構そういうのが多いんだよね?」
「んー、どうだろ?私は純粋に小さいころから決められてたし、許嫁みたいな感じだったから。」
「そっかー。」
「フェイトちゃんも、そういう相手が見つかると良いね。」
「………うーん、そう…だね。」


自分の身を守るために守護者が必要だと、はやてが言った。私を引き取ってくれたハラオウンの家の人たちもそう言った。だから私はこの学園に来たけど、本音を言えばそんなもの、欲しいと思ったことがない。

私は吸血鬼が、あまり好きじゃない。


「今度紹介するね。」
「うん。楽しみにしてるよ、すずか。」


これからよろしくね、なんて言って。
私はこの学園での初めての夜を迎えたのだった。



















この学園に来て、数日。授業の内容にもなんとかついていけるようになったし、真新しい白い制服にもだいぶ馴染んできた。何より吸血鬼との距離感にも少しずつではあるけれど、慣れてきたし。


「こんなとこで何してんのよ、フェイト。」
「……あ。アリサ。」


ぼんやりと木陰に腰かけて、空に浮かぶ雲を眺めるなんて年よりくさい時間の過ごし方をしていた私に。声をかけたのはアリサという、黒服の吸血鬼。金髪の少しだけ気の強そうな顔。なんて、そんな事口に出したら怒られそうだけど。


「アリサこそ、何してるの?」


アリサは、私の同室のすずかの守護者。少し前にすずかに紹介されて、今では友達という距離感に居る。なんていうか裏も表もないさばさばした性格だから、吸血鬼の割には私は彼女が嫌いではない。もっともすずかの守護者だから、安心してられるのかも知れないけど。


「散歩よ。散歩。それと、ちょっと人探し。」
「そうなんだ。……アリサも座る?」
「いい。なんか年よりくさいし。」


アリサの歯に衣着せぬそんな言葉に笑って、私は大きく伸びをした。こんな風に過ごせるなら、この学園も悪くないかなって思う。


「それよりなのは見なかった?」
「え?…見て、ないけど。というか私あんまり面識ない。」
「あ、そう。じゃあ他探すわ。」
「見つけたら探してたって伝えるよ。」
「ついでに怒ってたって伝えといて。」


ったく、なんて怒りながらアリサは私に背を向けて歩き出す。なのはという吸血鬼の彼女にはここへやってきた初日以降会っていない。見かけはしているけど、いつも彼女は誰かと一緒なので特別声を掛けることもなく、ただ本当に見ているだけ。いつも違う服の使役者と一緒なので、どうやら本当に手癖が悪いらしい。皆の前を歩いている風貌とかでも「女王」とか呼ばれる理由が分かるような気がしなくもない。気高い純血種というか、そんな風貌を遠目に感じていた。


「ふぁ…。」


暖かい陽光のせいか、眠気に襲われて。木陰で気に寄りかかってうとうとと目を閉じる。きっとはやてに見つかったら怒られるような気がするけど、なんてぼんやり思いながら。




「こんなところで寝てると危ないよー?」
「ぅあっ?」


ぼんやり、眠りにつこうと目を閉じて数秒したところで。


「ちゃんとお部屋で寝ないと風邪ひくよ?」


くすくすと笑って、目の前にしゃがみこんでいる人が居た。


「な、なのは…さん!」
「なのはで良いよ。同じ学年じゃん。おはよ。」


声を掛けられて、完璧に目が覚めた。というか驚きで声が出ないような、そんな感じ。


「あ、アリサが探してた…よ。」


女王とか言われている彼女にタメ口なんて恐れ多い気もするけど、敬語を使うと彼女は少し嫌そうな顔をするので、ちょっと恐る恐るそう言ってみた。


「あれ?アリサちゃんの事知ってるの?」
「え、うん。…一応、友達…というか。」
「なにそれアリサちゃん教えてくれたら良いのに。」


頬を膨らませて明後日の方向を向いて、拗ねたような言葉。ちょっとだけ可愛いと思ってしまう。


「それより、フェイトちゃん1人でこんなところに寝てたら危ないよ?」
「ご、ごめん…。つい。」
「あとここ私のお気に入りの場所。」
「え?そうなの?…ごめん。」


そういえば初日、なのはに初めて会ったのもこの場所だった。何だか悪いことをしたかなって慌てて立ち上がろうとする私を見て、なのはが笑う。


「良いよ、私隣で本読んでるから。よいしょ。」


そう言って肩が触れる距離の隣に腰かけて、なのははポケットから小さい本を取り出した。タイトルとかはよくわからなかったけど、中身は細かい文字の羅列がびっしり。触れる肩がほんの少しだけ熱を持つような気がした。けど、彼女の隣はとても心地よい。ほんの少し良い香りがした。


「フェイトちゃんは寝てていいよー?」
「え?で、でも…。」
「私が見張りしといてあげるから大丈夫だよー。てゆーかフェイトちゃんまつ毛長いね?背も高くて格好良いし女の子にモテそう。」
「えぇ?そ、そんなことはないけど──…」


何だろう、ちょっと調子が狂う。けど、彼女なりの気遣いなのだろう、少しだけ可笑しそうに笑ったなのはは「おやすみ」なんて笑う。あんまり面識のない吸血鬼の隣で眠るなんてかなり危険極まりない行為。なのに、酷く落ち着いて、とても眠い。


「少ししたら起こしてあげる。」


耳に響く優しい声に、私は少しだけ意識を手放した。どうしてかわからないけど、手癖が悪いと有名な彼女の隣でこんなに安心しきってしまった自分を不思議に思いながら。

















「ねぇ、アリサちゃん。」
「──…なによ。」
「フェイトちゃんって、知ってる?」
「あぁ、すずかと同室の子でしょ。この間すずかに紹介してもらったわ。」


寮の大浴場。広いお風呂には私とアリサちゃんしかいなくて、だらしなく体を伸ばす私にやや非難の目を向けながらアリサちゃんが「知ってるわよ」と言った。


「ってか純血の君がだらしない格好してんじゃないわよ。」


誰かに見られても知らないわよ、なんて言うので、私は少し口をとがらせる。


「私が入るから誰も入れないでって言ってあるし大丈夫だよぉ。」
「あっそう。」


私が入る時の大浴場は基本的に空だ。それは私が意図的にそうしているからであって、私の言うことに逆らったりする人なんてほとんどいない。それは魔力の高さと血筋が物を言う吸血鬼の世界だからで、私はそれがとても退屈。


「んで?そのフェイトがどうしたのよ?珍しいわね、あんたが誰かを気にするなんて。」
「そういうわけじゃないけど。」


だらしなくお風呂の淵に顎を載せて、寝そべるような体勢で。


「何者なのかなーって。」
「さぁ。普通の使役者候補って感じじゃ、ないような気がするけどね。」
「うん。だって今日なんてさぁ──…」





数日前にやって来た時から、気になっていた子。それは単に血が欲しいとかそういうのじゃなくて、純粋に気になっていただけなんだけど。

今日の午後、偶然にも私の気に入っている場所でうとうとしているフェイトちゃんを見かけた。仮にも使役者候補生がこんなところで昼寝なんてどうなの?と苦笑しながら、だけど話す機会が出来たことにちょっと浮き足立って近づいて。話している間に眠そうにしていたフェイトちゃんは眠ってしまって。綺麗な寝顔を見ながら無防備だなぁ、なんて微笑ましく思っていた時に気が付いた。


「シグナム…さん?」


こっちを見ている、鋭い気配。隠すわけでもなく、明らかに気付かせようとしていたシグナムさんの気配に。




「はやてちゃんの守護者であるシグナムさんがあの子にぴったりついてるなんておかしくない?」
「……あんたがなんかしようとしたんじゃないの?本当手癖が悪いわね。」
「してないもん!ただ寝顔見てただけ!」
「へぇ、あんたでもそういう良識あったのね。寝こみを襲って吸血するような真似してたら流石に引いてたわよ。」
「だから、そうじゃなくて!」


なんていうか、あれは「見ているぞ」っていう警告に近いものだったと思う。


「つまり、フェイトに手を出すなって警告を受けたわけ?」
「う…んー、そこまで露骨じゃなかったけど…。」


私じゃなかったら気付かなかったかもしれないし。なんて付け足すとアリサちゃんは「ふぅん」なんて興味なさそうな言葉を吐いた。


「あんたが何でそんなにフェイトに興味持ってるかは知らないけど。」
「だから、そういうわけじゃ──…」
「気をつけなさいよ?」
「ふぇ?」
「フェイトはほかの子みたいに無暗やたらに吸血していい感じじゃなさそうだから。」


吸血に関して潔癖症みたいな感じだし、それに、なんて付け足して。


「他の守護者候補も、あの子の事気にしてるみたいよ。」


あんな顔してるし、モテるのも当然だわね、なんて笑うアリサちゃん。


「つーかあの子もフェミニストっていうか。優しすぎんのよね。だからつけあがる女も多いし。」
「へぇー…。そうなんだ。……なに?」


へぇ、なんて返した私の顔を見てアリサちゃんが小さく笑った。


「心穏やかじゃないって顔してるから珍しいなって。…先上がるわよ。」
「…そういうのじゃないのに。待ってよ、私も上がる。」




可笑しそうに笑ったアリサちゃんに続いてお風呂から上がって。
ほんの少し唇を尖らせて、アリサちゃんの後を追った。



私は使役者の血には困ってないし、誰かの守護者になるつもりもない。


だから別に彼女の事がどうとか、そういうわけじゃないんだけど。
ただ、彼女は使役者にしては無防備すぎる気がするし、なんていうか。

危うい感じがする。だからちょっと心配。


ただそれだけなのにな、なんて服を着ながら、小さくそう思ったのでした。











FIN






先日のパロの続きでした。

この後少しずつ距離を縮めるなのはちゃんとフェイトちゃん。ある日間近で吸血してるとこを見られてなんとなく隠すなのはちゃん、というシーンを書きたいですが残念ながら余白がない。私がそれをここに記すには余白が云々。

そのうちフェイトちゃんの暗い過去、というかトラウマを書きたい_(」∠ 、ン、)_


   ∧∧.∩      ∩_ ・∵’、
  (    )/ ⊂/"´ ノ )    
 ⊂   ノ   /   /vV
  (   ノ    し'`∪
   (ノ


家族を吸血鬼に殺されちゃって、みたいなブラッキーな設定がいつか出せるといいなって思いながら。
あと、ちょっとした事情があって自分の血の重さを考えないでフェイトちゃんがなのはちゃん以外の吸血鬼に血を分けてあげちゃう事件とかあったらおいしいなって。他でもない私が悦に入るだけのシチュエーションなんですが。心穏やかじゃないなのはちゃん。

そんなわけで。需要があったらいつか書きたいなって思いましたw



テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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