きゅうけつき

ちょっと修正して再うpです(*'ω'*)
これシリーズの続きで少し前にうpって下書きに戻してたやつです。

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「ん…。」


ひっそりとした深夜。なんとなく目が覚めて、私は少しだけカーテンを開けた。まだ朝までは程遠い夜更け。月が綺麗な夜だけど、こんな日は少しだけ眠りが浅い。ちらりと隣のベッドを見ると、すずかは静かに眠っていた。起こすのは勿論憚られる。けれどもじっともしていられない。少しだけ思案して、私は物音をたてないように着替えてこっそりと部屋を抜け出したのだった。


使役者候補としてはきっとこれもあるまじき行いなんだろうな、はやてにばれたら大目玉くらいそう。私、フェイト・T・ハラオウンは特殊な血を持っているゆえに、この学園に来て吸血鬼と契約するためにこの学校へ通っている。そのほかに、多分はやてが私の事を匿っていてくれているのだとも思っている。

テスタロッサという、自分の名前がとても特殊だから。これは前にも説明した通り、どういう理屈かとかルーツとか知らないけど、吸血鬼にはとても魅力的な血なんだそうだ。誰が言ったか知らないし本当かどうかも分からないけれど。

それにしても夜の学園はひっそりとしていて、なんだか嫌いじゃない。もちろんちょっと危険でもあるんだけど。


「……フェイトちゃん、夜中に部屋を抜け出すのは校則違反やよ?」
「うわっ」


トコトコと、学園内の寮を歩いていて。ちなみに私が寝泊まりしているのは「使役者」の使う寮。だから吸血鬼も居ないし安全かなって、安易にそう思って徘徊していたのだけど、咄嗟に後ろから声を掛けられて思わず悲鳴じみた声が漏れた。話しかけてきた声の主は学園の理事長でもあるはやてで、はやては少しだけ呆れた顔。そうだ、私にはシグナムがついているのだからはやてにばれるのは当然だった。


「は、はやて…随分遅くまで起きてるんだね…。」
「シグナムから連絡あってなぁ。思わず起きてしまったんよ。」
「……ご、ごめん。」


はやてに心配かけてしまったことを小さく謝罪した。はやては理事長であり、私の数少ない友人の一人。


「眠れないん?」
「ちょっと、ね。」


今夜は月が大きい。こんな日は少しだけ眠りが浅い。なんとなく。それは、私の家族が死んだ日もこんな夜だったから、とかそういう理由に近いのかも知れない。満月が近い。だから、なんとなく眠れない、というのが一番近い答えだと思う。だからはやても気遣ってくれるんだろう。いろいろと分かってるから。


「学園での生活はどうや?」
「うん、楽しいよ。」
「さよか。すずかちゃんとも上手くやれてる?」
「もちろん。すずかが同室で良かった。」


すずかが同室でとても良かった。なんとなく。すずかはとても優しい。使役者と守護者の事もいろいろ教えてくれるし、安心する。すずかにも、私の本当の名前をまだ言えてないけれど。


「体の調子はどう?」
「うん、おかげさまで。」


使役者というのは、前にも言った通り特殊な血を持つ人間の事だ。普通の人間にはないちょっとした魔力というものがある。吸血鬼が血を好むのもそれが理由かもしれないし、あんまりよくわからないけど契約をするときに、吸血鬼の持つ魔力と、その人間の持つ魔力で契約をするらしい。そんな話は置いておいて。気づかわしげに私を見るはやてに、少しだけ苦笑した。


「大丈夫だよ。身体に害はないって言ってたのはやてじゃない。」


そう言って、胸元の服を小さく握って見せた。使役者には魔力があって、すなわち多少の魔法が使えたりもする。まぁ吸血鬼に比べたら全くの微力でどちらかというとその魔法は守護者である吸血鬼を律したりするのに使うらしいけど。そんな魔力を、私は使えないようにされている。それははやてだったり、私の義理の兄に。もっとも魔法を使うような場面なんて今までほとんどなかったけど。


「皆が守ってくれようとしてるのは嬉しいんだけど…」


ちょっと心配しすぎじゃない?なんて笑う。


「まぁ、ちょっと過剰かなって気はするけどな。それでも、フェイトちゃんが魔法でも使ったら、ここにおる事がばれるやろ?あの男は鼻が利くからな。できるだけ阻止したいんよ。」
「……ありがと。」


魔法を封じるために、私の体に少しだけ浮かぶ模様。お風呂に入った時にすずかには見られちゃったけど、すずかだって使役者の血筋で、なんとなく大方の事情を察してくれて何も聞かないでくれた。少しだけ驚いた顔をされたけど。


「本当やったらフェイトちゃんが早く守護者見つけてくれたらええんやけど。」
「あはは、そうだね。」


でもまだ、その気がなくて少しだけ苦笑する私にはやては小さく息を吐いた。


「ま、ともかく今日はもう部屋に戻り?」
「うん。ごめんね、夜中に起こして。」
「そう思うんやったら次は控えてな?」
「はいはい。」


そう言って部屋の前まで送ってくれて。私は静かに部屋に戻ってもう一度ベッドへと身を預けたのだった。

























そんなことがあってから数日。またいつもの木の下で静かに雲を眺めているそんな所に。


「フェイトちゃん。」
「…なのは。」


呼ばれて振り返ると呼んでいたのはなのはだった。黒い制服に身を包んで、どこかすずしげな顔をして、当たり前のように隣に腰かける。なのはは吸血鬼だけど、不思議と嫌いじゃない。それは勿論アリサもなんだけど。アリサの場合は、すずかの守護者で、安心できるって言うのもあるんだけど、なのははなんていうか不思議と平気というか。ぁ、でも使役者候補に結構ドライなところとかはよく見るし、女王と呼ばれてるあたり少しアレなところはあるんだけどね。


「こんなところで何してるの?」
「んー…雲を見てる…って言ったら笑う?」
「なにそれ。面白いの?」


くすくす笑うなのははちょっとだけ楽しそう。


「アリサには年よりくさいって言われたよ。」
「あー、それはそうかも。」
「酷いよ皆して。……そういえばなのは。」
「うん?」


ふと、アリサが大笑いで話していたことを思い出す。それはなのはに最近起きた事象。というよりは、改善?なんだろうか。


「あちこち吸血するのやめたの?」
「ふぇっ?な、なんで?」
「え?なんか、前にアリサがそんな事言ってたから。」


実は数日前から使役者候補に手癖悪く血を貰う事をやめたらしいと聞いた。だから、どうしてかなって思って聞いたんだけどなのははちょっとだけ苦笑していた。


「わ、私そんなに手癖悪くないよ。」
「でも私結構あちこちでなのはが血を吸ってるの見たよ。」
「…だってくれるんだもん、貰ってあげた方が喜ぶじゃん…。」
「そういうものなの?」


言い訳する子供みたいで可笑しくて少しだけ笑う私。


「っていうか、吸血鬼ってね?」


純血を重んじるらしく、なのはは言わば、吸血鬼の純血で次世代を担うような魔力の持ち主で。


「私の一言で簡単に傅くっていうか。大の大人がね?」


そういうのが少し気持ち悪い、なんてなのはは小さく呟いた。いつもより低い声で、それはなんていうか。吸血鬼にしては意外というか。だって吸血鬼って誇りだとかそういうのを重んじる生き物だと思ってたから。


「なのはって結構破天荒な方なの?」
「さぁ、どーだろ?」


ふふ、なんて少しだけ笑った顔が綺麗だと思った。


「そういえば、今夜は私とアリサちゃんちょっと学園を留守にするから。」
「え?外出?いいなぁ。」
「外出って言えばそうなんだけど。」


なのははそういうと少しだけ苦い顔をした。なのはのそういう顔って珍しい。よほど行きたくない処に行くのかと首を捻る。


「夜会があるの。年に一度の。」
「………。」


その言葉に、ちょっとだけ息が詰まった。それは吸血鬼の上流階級たちによる夜会。平たく言えば年に一度のあいさつの場、というやつだ。夜会にでる吸血鬼って言うのはそこそこ立場が高い吸血鬼になる。もちろん、純血の家柄ならそういうのにも出たりするだろう。


「なのはも、行くんだ?」
「ふぇ?行きたくないけど一応顔出さないとダメみたい。こういうのって重んじられるから。」


参っちゃうよね、なんて笑うなのはに「大変だね」と私も笑う。夜会というのは、上流吸血鬼の集まりで、つまり。私の家族を殺した吸血鬼も来るんだと思う。彼も、彼らも上流の吸血鬼だから。なんとなく、全身の神経が逆立った。けど。そんな私の何かに気が付いたのか、ちょっとだけ柔らかく笑った。こっちがつられるような、そんな笑み。


「ねぇ、お土産買ってきてあげよっか。」
「……え?」
「外で。何が良い?美味しいチョコレート?」


不意にそんな事を言われて体の力が抜けた。チョコレートなんて、子供じゃないんだから…とも思うけど。それが何だか可笑しくて、思わず笑う。


「じゃあ、お願いしようかな。」


なんて笑って。それから、もう少しだけ一緒に話をしてアリサとすずかがやってきて。私はなのはとアリサと別れてすずかと一緒に寮に戻ったのだった。























「……眉間、皺。」


アリサちゃんにピシッとそう言われて、私は人差し指で眉間のしわを伸ばす。やってきていたのは同族による夜会と呼ばれる、いわば挨拶の場。私とアリサちゃんはまだ未成年だけど家柄的に少しくらいは参加したほうが良いといわれて渋々、少しだけ顔見せにやって来た。


「だって。」


来たくて来ているわけではないので眉間にしわが寄ることくらい許してほしい。正直今すぐにでも帰りたいくらいなのに。純血だったりそうじゃなかったりな仲間たちが集まるこの夜会は少しだけ居心地が悪い。大人たちの思惑が絡み合うこの場所は、なんていうか。


「居心地悪いんだもん。香水臭いし。」
「付き合わされてる私はどーなんのよ。」
「すぐに帰ろ。」
「そーね。」


パーティー会場みたいに飾られたその場所は、立食パーティーのようなそんな夜会。もちろん吸血鬼だけの集まりというにはいかず、数人、監視役のような人間たちが居る。吸血鬼と人間って少しだけ奇妙な関係性だ。


「長居しない方が良さそうだね。」


そう言って、小さく息を吐く。なんとなく、さっきから考えているのは彼女の事だった。何となく、見ていて危ういフェイトちゃんは、一体何者なのかと少しだけ疑問に思う。勿論最初に会った時から、彼女を渦巻く環境が少しだけ不思議ではあったけど。シグナムさんがフェイトちゃんについていること自体がおかしいし。

まぁ、それを詮索するのはなんていうかルール違反なのかなって思うことはあるのでそれ以上は探ったりなんてしないけど。この間はやてちゃんに聞いた話が相当ショックだったのかな。あんまり上手く彼女と話せない気がするのは。それとも自分の気のせいか。


「これはこれは高町様とバニングス様。」


少し老齢の吸血鬼の男の人が話しかけてきて、そこで私はいったん思考を停止した。ある程度一回り、適当な挨拶を交わして、そろそろ帰ろうかななんてアリサちゃんと目配せして。そんな中、もっとも会いたくない人物と遭遇してしまった。


「君たちも参加していたのかい。」


薄気味悪い、ひょろひょろの風貌。少し痩せた頬。不思議な香水の香り。その男は、なんだかいつも会うたびに嫌悪感がわく。何かされたわけでもないのに、生理的に受け付けないというところだろうか、私はそんな感情がなるべく顔に出ないように微笑を浮かべて礼儀正しく挨拶をした。


「お久しぶりですね、スカリエッティさん。」


ジェイル・スカリエッティという侯爵。あんまりいい噂も聞かないし、何度も言うように生理的に受け付けない相手。それはアリサちゃんも同じで、アリサちゃんに関していうなら、露骨に嫌そうな顔を浮かべていた。けど、気付いていないのか気にしてないのか。彼は少しだけ饒舌に口を開く。


「噂だと学園に入ったらしいじゃないか。」


元気にやっているかい?なんて。片手にグラスを握って、薄く笑う。グラスの中には赤い液体が揺れていた。これは血ではないけれど。


「えぇ。よくご存じですね。」
「僕たちの頃にはそんなものはなかったからね…。どんなところなのか今度詳しく聞かせてくれないかな?」


無論お断りなのだけど、私とアリサちゃんは快く「もちろん」と答えた。いわゆる社交辞令。


「実はちょっと、前からどんなところか気になっていてね──…」
「はぁ…。」


微笑を浮かべたまま話し始めたスカリエッティさんに少しだけ怪訝な顔をするけれど、ちょうど良いタイミングでアリサちゃんの携帯が鳴って、わざとらしく「もうこんな時間」なんて言うアリサちゃんに次いで、私は挨拶もそこそこに、その会場を抜け出したのだった。



「あ、フェイトちゃんにお土産買っていかなくちゃ。」
「はぁ?」
「いいじゃん。たまにはすずかちゃんに買って行ったら?」
「………。」




そういう私に渋々。アリサちゃんはすずかちゃんの名前を出されると本当にちょろいと思う。そんなアリサちゃんを連れて、私は彼女へのお土産を少しだけ買ったのでした。


早くお土産を渡したくて。少しだけ困ったようにはにかんだフェイトちゃんの顔が見たくて。


だから、正直言うと、何も考えていなかった。
だから気が付かなかったのかな。
自分の体についた、「彼」の特殊な香水の匂いに。










FIN








続くかどうかわからないけどちょっと修正してうpしますた。






テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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