再掲載

久々に再掲載なるものをします。というか今更ながらに完結しようかなって思ったので。
懐かしいですね。ちょっと文章を改めたりしてます。覚えてる人いるだろうか。

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『黒白』








「──悪いけど見逃せないから、一度死んでそれから悔い改めるといいよ。」


静かにそう言った私に向けられた、縋るような、恐怖に怯えたような瞳。


「助けてくれ」と懇願するように差し出された手を取ることはなく。私は、何の躊躇いもなく私は長い抜き身の刀を振り下ろした。


耳に残る最後の断末魔。無慈悲に散る赤黒い飛沫に感情を押し殺して、刀にこびり付いたその汚れを振り落とし、倒れている死体に背中を向けてその場を去ろうとして。バサリと言う羽音が頭上から聞こえた。

顔を上げて視線を向ければそこには漆黒の羽が広がっていて、私は小さく息を吐く。


「相変わらず無慈悲だねぇ。」


そんな風に薄気味笑うのはスカリエッティという男。彼は私と同じ部隊の悪魔。もとは私と同じく天使だったらしいけれど、彼には天使より悪魔の方が似合うだろう。


「そんなの必要ないでしょ…。」


そしてまた、私も天使より悪魔が似合ってるんだろうなと、ほんの少し胸中で自嘲した。そんな私の吐き捨てたような言葉にどこか満足気な笑顔を浮かべたスカリエッティは私の肩口を指差して怪我をしていることを指摘した「珍しいね」と。

肩を露出したハイネックの制服だから目立つのだろう。だけど自分では怪我をしてるなんて気付かなくて。そういえば上着のコートも本部に置いたままだったかと今更ながらに思い出す。


「ちょっと引っ掻いたくらいすぐ治るよ。……それよりもう帰ろう。」
「後片付けは僕が連絡しておこう。」
「普段仕事しないんだからそれくらいしてくれると助かる。」


小さく溜息を吐いて、背中から黒い羽を出すと空へと駆けた。本部に置きっぱなしのコートを取りに行かなくてはならないけれどこの時間に行くのは気が引けて、少しだけ眉を寄せる。


「コート、取りに行くのかい?」
「………なんで?」
「いやいや、この時間は本部は天使連中で溢れかえってるだろう?元お仲間が多くて行きたくないんじゃないかって思ってね。」


何処か嫌な薄ら笑いでそう言うスカリエッティに、私は本日何回目かの溜息を吐いた。


「スカリエッティの、そういう所が本当に嫌われるんだと思うんだ。」
「酷いなぁ。」


クスクス笑うスカリエッティはそう言いながら「あ」と思いついたようにわざとらしく手を叩く。


「なに?」
「いや、僕も本局に用事があるから何ならついでに持ってきてあげるけれど?」


最も君のように上位の悪魔なら誰かに言えば直ぐに持ってきてくれるだろうけれど、と挑発するように言うスカリエッティに。


「良いよ面倒臭いし。自分で行く。」
「残念。お礼に君の羽の一枚も頂こうかと思ったんだけどね。」
「悪趣味だね、相変わらず。」


腕から滴る血を手渡された布で拭きながら本部に戻る。



私の名前はフェイト・テスタロッサ。

上級悪魔でもある私は、任務で与えられた咎人を処罰する日々に明け暮れていた。それが「悪魔」の仕事だった。一般的に言う、汚れ仕事というものだ。


「堕天使の羽はレアなんだよ。」


ククク、と笑うスカリエッティの言葉に「自分の羽でも眺めて頂戴」と悪態を吐いて、口を閉じる。


───堕天使。

もとは天使だった者が何らかの理由で身を悪魔に落とすことを言う。凄く簡略的に言えば転職のようなものだ。これは少し簡略過ぎるけれど。


つまり私は元は天使だった。天使にも色々と仕事があって、時には戦うこともある。私はそんな戦いを主とした部隊の隊長を務めていたこともある。だけど、とある出来事があって、私は堕天した。そうして悪魔の中でも出世というものをしてこちらでも隊長の座についているというわけ。

ちなみに天使も悪魔も同じ場所に住んでいて、天使は上層、悪魔は下層。その真ん中が本部と呼ばれる組織になっている。つまり天使も悪魔も、要約すれば同じ組織に居るという事だ。

最も、存在も仕事内容も全て異なるけれど。天使である時とは違った漆黒の制服に漆黒の羽。実は結構気に入っている。



そんな私は黒く大きな羽を羽ばたかせて、帰還した。帰還すると部下が待機していて、次の任務やら今回の任務やらの報告など、私にまとわりつくようにしてあれこれ話しながらついて歩いてくるわけで。少し邪魔だけど邪険にも出来ず、一問一答と言った感じで返す。



「フェイト様、この後ですが何かご用事がおありで?」
「………特にないけどどうかした?」


足早に歩く私に必死でついてくる部下にサラリと返すと、部下は少しずり落ちた眼鏡を指で押し上げながら少しだけ言いにくそうにおずおずと申し開く。何だか可哀想になったので、ほんの少しだけ歩く速度を遅くした。


「実は今後の任務について天使の隊長一角と、並びに本部の方々と会議が催されているようなのですが……。」
「あぁ、そういうのは全部スカリエッティが行くから。」
「こらこら、キミもたまには出たまえよ。」


考えるまでもなくそう返すと無言でついてきていたスカリエッティが小さく文句を言った。そんなスカリエッティは無視して上着を取るために、本部のとある部屋に向かう。

話はそれでおしまいといった感じに無言でいると、部下が一生懸命追いかけてくるので、どうやら他にも用事があるらしい。


「……他に何かあるのかな?」
「す、すいません。書類を複数枚預かっております…。」


ビクビクと申し訳なさそうに謝る部下に少しだけ溜息を吐いて、目を閉じた。



「上着取りに行きながらでもいい?」
「はいっ。あ、上着でしたら我々が…!」
「自分で行くからいいよ。…で?書類って?」


コツコツと歩きながら、進むと後ろを歩いているスカリエッティが少しだけ笑う。一人で笑っているなんて相変わらず気持ちの悪い男だななんて、その事に気付かないふりをしながら真っ直ぐの通路を歩いていると、真正面で白い物体が動くのを捉えた。

少しだけ道を端に寄って歩くと、部下も習うように端に寄ってついてくる。
スカリエッティは堂々と真ん中を歩いていたけど。


「フェイト様、こちらの書類なんですが……」


それから手渡された書類に視線を向けながら、歩行の速度を変えず真っ直ぐ進む。通路をすれ違う3人の天使には目もくれず、私は部下と話をしながらコートがある部屋へと突き進んだのだった。












背後から向けられる、その天使の蒼い瞳の視線には気付かない振りをして。腰に下げた刀をほんの少しだけ握り締めた。


「フェイト、良いのかい?」
「………なにが?」


それから相変わらず空気を読まないスカリエッティの質問ににぶっきらぼうに答える。私の不機嫌さを悟って、部下はビクビクと俯いたままだった。


「いや、天使が居たから……ね。」


それから今さらようやく空気を読んだように、「やっぱり何でもないさ」と薄ら笑いを浮かべるスカリエッティに視線は向けず、独り言のように苦笑して呟いた。


「天使なんて別に興味ないよ、今更。」


そうしてそのまま足早に、上着がある部屋に着くと私は黒いコートに袖を通したのだった。




























「…………フェイトちゃん、怪我してたね。」
「そうやね。」



通路を横切ったその堕天使は私たちには一目もくれず真っ直ぐに歩いて行った。

擦れ違い際に彼女の耳たぶから下げられたピアスの先の十字架が揺れたのが見えて、通り際に香ったのは懐かしい香り。漆黒の制服に身を包んで、何処か厳しげに歩く彼女が懐かしくて小さく胸の前で手を握った。

少し昔、確かに大切だった人。今でも焦がれるその彼女。



彼女は一体何を思っているんだろう。











もう知る事はないのかな?


……ねぇ、フェイトちゃん。























テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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