黒白5

ようやく前に掲載してたとこまできたかな?
次回からは未掲載区域に突入します(∫°ਊ°)∫
ちなみにこの話実はちょっとなのはさん病み要素があるようなないような。


(∫°ਊ°)∫!!

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犯罪者の粛清を済ませた後、私はその場所に呆然と突っ立っている天使を見ないように無視して、鞘に刀を戻した。手が汚れるとか、そんな事なんとも思っていないのにと、彼女が言った言葉に小さく舌打ちをして、背を向ける。

なんとなく、今顔を見られたら、心を読まれてしまう気がして。











『黒白05』












今回の任務で追っている犯罪者は3人。2人は粛清済みであとの1人は逃亡中という現状。部下たちに捜索に向かわせて、私は少しだけ休息をとっていた。


「ねぇねぇ。」


そんな中、そう呼びかける不快な呼び声を無視してぼんやりとグラスにワインを注ぐ。休息用にとワインを渡されるのが相変わらず不思議だったけど。


「聞こえない振りをするのなら良いけれど。」
「なに?」


結局、私は小さく溜息を吐いて仕方なく答えた。

ちなみにさっきから煩く話しかけてくるのはスカリエッティで。スカリエッティは余程退屈なのか任務用の書類で楽しげに折り紙なんか折っている。しかも器用に。


「あの子達、良いのかい?」


そう言って視線を向けた先には、なのはとはやてと、それからティアナが居て。その3人の天使の表情があまりにも暗かったものだから、なんとなく見たくなくて視線を背けた。


「放っておけば良いよ。それより、スカリエッティも暇なら捜索行って来れば?」
「いやぁ、一人だとキミが寂しいかと思ってね。」


爽やかな笑顔(私にはだいぶ胡散臭くて鬱陶しい顔)を浮かべるスカリエッティをやっぱり無視して、私はワインを注いだグラスに口を付けたのだった。


「ねぇ、フェイト。」
「今度はなに?」
「…君は、それで良いのかい?」


表面に薄ら笑いを浮かべたまま。だけどちょっとだけ目は真剣だった。だから少し苛立って、飲みかけのワインもそのままに席を立つ。


「何が言いたいか良く分からないよ。」


一言。そうとだけ吐き捨てて、そのまま司令場所を離れて少し空でも飛んでこようかとした時。その場所の空気がほんの少しだけ揺れた気がして。








──悲鳴が聞こえた。それも、私の良く知る人物の。





ゆっくりした動きで、顔を向ける。その場所には白い羽が、舞っていた。


「動くな!!!!」


そう叫んだのは逃亡中だった犯罪者の残りの1人のようで、それから羽交い絞めにされている天使の姿が視界に入った。さっき3人で固まってたはずの1人が人質のように掴まっていて首元にはほんの少し錆びたナイフが当たっていて。



「………なのは。」


またか、なんて小さく舌打ちした。だから嫌だと言ったんだ。連れてきた天使達には、私たちのように戦う術なんてなくて飛ぶスピードも遥かに遅い。

だから、嫌だったんだ。危険な任務に連れてくるのは。掴まっていたのはなのはだった。羽交い絞めにさせるように掴まって、苦しそうに表情を歪めている。


「仲間をやった奴は、どいつだ!!!」


それから、泣きそうな声でその犯罪者は声を大きくして叫ぶ。

犯罪者なりに仲間意識はあったようで、報復でも狙いなのだろうか、と思案して。「どうする?」と言った感じで嫌な笑みを浮かべるスカリエッティに、私は小さく息を吐いた。


「私だけど?」


それから特に何の表情も浮かべずに、私は一歩進み出る。

その瞬間に私に、その犯罪者の黒い感情が突き刺さる。憎しみだとか、そう言った類の感情だった。そんな感情を向けられているにも関わらず、何も感じない自分。ただ、少しだけ不快に感じる事があった。ほんの少し苦しげに歪められた、捕まった天使の苦しそうな目。チリチリと、体の中心が疼く。


「それで、君はどうしたいの?私に復讐でもしたいの?そんなのを盾にして。」


そんなの。自分で彼女をそんな風に表現した事に、苛立つ。周りの部下は優秀で、こんなときも微動だにせず私の動向を伺って命令を待っていた。


「結局悪魔なんて、仲間を見殺しにするようなクズじゃないか!そんなお前らに、俺達の事とやかく言う資格なんてないじゃないか!」


気が立っているその犯罪者は、そう言ってナイフを握る手の力を強める。なんだかんだで自分の罪を認めるどころか逆恨みまでするその男に、私は不快に眉を寄せる。


「羽が無けりゃお前達だって俺と大差ないだろう!…何が秩序を守る存在だ!」
「……私が羽を、落とせば満足?」


苛立ちが募って、まともに話をすることさえ馬鹿らしく思えてきた。その犯罪者に、同情の余地なんてない。第一、天使を人質に取った時点で罪深い。ましてや、私の前で彼女を盾に取ることは許しがたい行為なのに、気がついたら口をついてそんな事を聞いていた。売り言葉に買い言葉といえばそれまでなのだけど。


私だって、好き好んで今の立場にいるわけじゃない。この世界の理に心から従い尽くしているわけじゃない。許せないと思ったことだって沢山ある。捨てた物だって沢山ある。


「──…甘えないで欲しいね」


口をついて、小さく低い呻り声が出た。多分誰にも聞こえない、あぁ、聞こえたとしたらスカリエッティにくらいだろう。そんな声。


「やってみろよ、じゃあ!お前が羽を落としたら、俺は黙って武器を捨ててやる!」


こっちも、売り言葉に買い言葉。羽は私たちにとってとても鋭い感覚をもった部分だ。些細な刺激も好まない人は、他人に触らせる事もない場所。だけど羽というのは魔力の結晶。だから、落としても命に別所もなければ、すぐに元に戻るそんな部位。


私は何も言わず、静かに腰の鞘から刀を抜く。鈍く重く輝くその刃に写る自分の顔は、ふつふつと湧き上がる私の感情を如実に表し出していた。


「…スカリエッティ。」
「やだ」
「─────スカリエッティ。」


刀を向けながら名前を呼ぶと、にこやかに首を振るスカリエッティ。その反応にすら苛立って、もう一度語尾を強めて呼んだ。私の行動に口を挟める者なんて誰も居なくて、不安げに視線が集まる。

羽交い絞めにされたまま何か言っている天使の声は、まるでシャットダウンされたように聞こえなくて。



「はぁ……僕、君のそういうところ嫌いだなぁ。」


仕方なく、と言った感じに刀を受け取って。スカリエッティは小さくぼやいた。


「言っておくけど、絶対にコレ痛いと思うんだよね、フェイト。」
「知ってるよ。羽なんて、また後で生える。」


死ぬわけじゃないでしょ。なんて言いながら、絶対に出来ないに決まってる、そんな視線を向ける犯罪者の視線を感じて、小さく息をついた。

いつもの私ならこんなの相手になんてしない。だけど、どうしてか。苛立ったんだ。私の中の、昔の感情を思い出させて。


「君はいつも僕に嫌な仕事をさせるよね。」
「御託は良いから。………ごめん、スカリエッティ。」


珍しい私の謝罪に驚いた表情のスカリエッティは「やっぱり君は変わってないね」と笑って刀を振り上げた。────その瞬間に、周囲がざわめくけれど私は周りの部下に動いて良いと許可をしていない。だから、誰も動かなくて楽だった。



「ぐ、───────ッ!!!」


スカリエッティが振りかぶった瞬間。背中の右半分に、強烈な熱を感じて膝を折る。激痛。熱。火傷のような、そんな痛みが背中に広がって、私は声を出さないように歯を食いしばった。心なしか耳鳴りまでするような、視界もチリチリと焼け付くようなそんな感覚まで呼び起こす。

膜がかかったような聴覚で、悲鳴を聞いた。泣き声のような、うっとおしい声。やった後で、その人が罪悪感とか感じてしまったら嫌だなと、今更ながらに思う。それからすぐに、スカリエッティが私の背中を止血してくれた。そういえばスカリエッティも元天使。回復系はお手の物らしい。もっとも、痛み全てを消し去ってくれたわけではないけれども。


「本当、嫌な役回りだよ。」


その後でまたぼやくように呟くスカリエッティ。


「……まだ、左も残ってるよ。」


顎に伝った汗は、痛覚を感じてのものなのか良く分からないけれど左手の項で汗を拭ってスカリエッティを見上げた。けど。見上げたスカリエッティの表情はいつになく真剣でいて、なんだか不機嫌そうで。

人質にとられたままのなのはが、何か叫んでいるけど私も聞く気は無かった。ただの、意地なんだと思う。この世の理に、私だって好き好んで甘んじているわけではなかったのだと主張したかっただけ。


「君は、あの頃と何も変わっていないね。」
「………?」


さっきと同じ台詞で、違うニュアンス。何が?と問う前に。


「君が浄化の門をくぐろうとしたあの時と、何一つ。まったく君はどうしていつもそうなのかな。」


チリチリ疼く体を、ほんの少し自分で抱く。


「そこに居る可愛らしい天使さんも、聞くといいんだけどね。」
「スカ…、何を───…?」


嫌な笑みを浮かべて微笑むスカリエッティを掴もうと手を伸ばすけれど、先ほどの激痛で思いのほか上手く体が動かなくて、スカリエッティを掴む事を出来なかった手が空を掴む。


「自己犠牲なんて、僕はね?大嫌いなんだよ。フェイト。」


そんな私に、スカリエッティはそうとだけ言って相変わらずな笑みを浮かべた。


「君は、あの時もそうだっただろう?」






────やめて。




そんな話、誰にも聞かせなくて良い。



その声は、喉に張り付いたまま、ヒュゥッという空気にしかならなかった。

























テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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