またかよ!なネタ

凝りもせず吸血鬼ネタ。
だって終わりのセラフが面白かったから。

web拍手 by FC2






「なのはちゃんも、そろそろ実戦出とく?」
「…ふぇ?」


椅子のスプリングを利かせて、退屈そうに頬杖をついた上官の、突拍子もないその言葉に私は素っ頓狂な声を漏らした。視線の先の上官であり、機動六課と呼ばれる組織の中において一番偉い隊長である彼女の名前は八神はやてちゃん。


「はやてちゃん、この間はまだ早いって言ってなかったっけ?」
「んー、そうなんやけど、私が初めて実戦出たのもなのはちゃんと同じくらいの所属期間くらいやったし。なのはちゃん、魔力強いしええかなって。」


てゆーか実は人員不足でな、なんて白状されて、私は少しだけ苦笑を浮かべた。私の名前は高町なのは。訓練校での期間を得て、一年前憧れていた機動六課へと入隊した、一応まだ新人隊員。ちなみにこの機動六課というのは実はとても優秀なエリート隊で、別名吸血鬼殲滅部隊とも呼ばれている。

頼まれた書類を片付けながら、「そんなに強くないけど」なんて口にしつつも、実は実戦に出ることを提案されて、少しだけ嬉しかったり。

この国には人間という種族と吸血鬼と呼ばれる極悪な生き物がいて。人間の何割かが、吸血鬼たちに囚われて、血を吸われる為だけに家畜のように飼育されている。国の半分が吸血鬼たちに占領されて、もう半分の領土を守りつつ、侵入を防ぐのが機動六課が所属する管理局と呼ばれる組織の役目。


「そろそろええかなって。なのはちゃんなら、規律を犯したりせぇへんやろし、それに冗談抜きで即戦力やと思ってる。」


熱いお茶をすすりながら、ちょっとだけ真面目な顔。


「……それって、いつから?」
「せやね…。でも心配だから私も一緒に出るとして…。」


それからすぐに、次の出動要請の時かな?なんて茶目っ気たっぷりに言う。


「そんなわけやから、心の準備だけしといてな?」
「う、うん。」
「まぁ、ここ数年主力を失って結構ひやひやさせられる攻防戦も多かったから、早いとこ一人前になってくれたら助かるんやけどね。」
「……主力…。」


というのは、もうこの部隊に入隊して何度も耳にしたことがある人物。機動六課と言うこの組織の要だった、はやてちゃんと一緒に隊長をやっていた人。昔一度、管理局の式典で遠巻きに見たことがある人物。


─── フェイト・T・H。


聞いた話によると、はやてちゃんと長馴染みで同期で頼れる親友。だったそうだ。遠巻きに見たその人物はエリート部隊の制服を着て、とても綺麗で凛とした風貌だった、と思う。


「ね、はやてちゃん。」
「うん?」
「皆がたまに口にする、その主力だった人の事、聞いても良い?」
「……フェイトちゃんのことか?」


少しだけ悲しそうな顔で笑ったはやてちゃんの表情を見て少しだけ「聞かなきゃよかったかな」なんて後悔した。聞いちゃいけなかったかな、とも。けど、はやてちゃんは少しだけ懐かしむような顔をして「そういやなのはちゃんは知らんのか」なんて少しだけ笑う。


「私の幼馴染。──魔導士ランクは私と同じくらい。私とどっちが強いか分からん。」
「うわ、そんなに強かったんだ。」
「なのはちゃんのランクも私らと同じくらいやろ。戦闘経験は浅くても。」


そう笑って、また続ける。


「フェイトちゃんは戦闘スキルにおいては群を抜いて強かったなー。勘も冴えてたし、吸血鬼相手には容赦なかったし。」
「へぇ…遠巻きにしか見たことなかったんだけど、すごく綺麗な人だったよね。」


格好いいというか。なんて言うとはやてちゃんは少しだけ下種っぽい顔をした。


「へぇ、なのはちゃんもそういうこと、思うん?」
「ふぇ?あくまでも一般的な感想だよ?」
「……ふぅん。まぁ、実際フェイトちゃんは格好良かったしなんていったってエリートの中のエリートやし、モテたよー。」


くくく、なんて思い出し笑い。どうやら本当に仲が良かったみたい。少しだけ思い出話をするはやてちゃんはとても楽しそうだった。


「性格も良し、優しいもんやから女の子からの誘いもすごくてなぁ。」


何となく想像がつくような。でも、エリートだしとても誘いにくそうだけど。


「ほんで、フェイトちゃんはいつも隠れて回ってたんよ。女の子達から。」
「ふぇっ?うそ。」
「本当。…しかも誘いも断り切れなくていっつも助けてって目で訴えてきて。」


お人よしってゆーか、なんていうか。と続けて、「だから」と少しだけ声を落とす。


「だから、居なくなってもーた時も。皆を守るために、殆ど自ら犠牲になったようなもんや。…私も一緒に出てたら、違ったんやろうけど。」


当時の事の話はあんまりよく聞いてないけど、なんとなく想像がついた。彼女一人が犠牲になったことで多くの隊員が救われて、彼女が食い止めたから犠牲が少なくて。つまりそういう話。当の彼女は数年前のその事件で行方不明、のち、死亡扱い。大規模な爆発に巻き込まれての、爆死と判断された。

何となく、やっぱり聞いちゃいけなかったかなと私も少しだけ肩を落とす。けど、はやてちゃんはそんな私に気が付いたのか、少しだけ笑う。


「ま、そんなわけでフェイトちゃんの穴を埋められそうななのはちゃんに期待してるんよ。」
「ふぇ?私まだ新人だよ?」
「せやけど、なのはちゃんならきっとフェイトちゃん並の戦力になると───…」


思う、なんて続けた言葉はアラームの音に遮られた。鳴ったのははやてちゃんの緊急回線。表示は出動要請の文字。その表示に、私は少しだけ息を飲んだ。


「ほー、早速か…。なのはちゃん、どうする?」
「い、いくよ。」
「よし。ほんなら初陣やね。一応ヴォルケンの皆もつけるし、訓練の時みたいにな?」
「うん。……いくよ、レイジングハート。」



そうして、私はその日。エリート組織、機動六課の隊員として戦闘へと参加したのだった。




















「……どうだい?久しぶりの故郷は。」
「別に。」
「ずっと閉じ込められて窮屈だっただろう?日光さえも恋しいはず。」
「……少し眩しいけど。」


いちいちわざとらしく声を掛けるその吸血鬼に、私は感情を動かすことせず淡々と答える。ずっと軟禁状態にあった私は、久しぶりに日のもとへ立った。眩しさに少しだけ目を細めて、自分の手のひらを見つめる。

死ななかった事への後悔。死ねなかった事への後悔。もう人間でなくなってしまった呪わしさ。それでもこうして生きているのは目的の為だった。


「フェイト。そろそろ行くよ?」
「…分かってる。」


ようやく出られた外。私、フェイト・T・Hは3年前に死んだ。と、多分思われているだろう。実際、私はあの時死ぬほどの致命傷を負っていて、事実死んだ。だけど、吸血鬼の貴族である彼らに無理やり生かされた。


「今まで敵として戦ってきた吸血鬼になってかつての仲間の人間と戦いに行くのはどんな気分だい?」
「……何とも思ってないよ。」


言われた言葉に、静かに奥歯を噛む。私は、3年前の戦闘で人間を、強制的に辞めさせられた。吸血鬼として、やつらの血を飲まされて不死になった。完全な不死ではないけれど。彼らと同じ吸血鬼という化け物になった。そうして今は、長い軟禁期間を得て、ようやく外に出られた。人間たちと戦う戦闘員として。


「さっさと終わらせよう。」
「いいね、その冷たい反応。これから人間を殺しに行くって言うのにさ。」
「……。」


煩い吸血鬼をひと睨みして、私は立っていた場所から跳躍した。一緒に行動するのは私を吸血鬼にさせた、純血の吸血鬼。スカリエッティという吸血鬼の男だ。伯爵の地位にある彼は吸血鬼の中でも高い位にあって、力も強い。人間を吸血鬼に帰られるのは、純血の吸血鬼だけ。そして、私はこの男を殺せない。

理由は簡単。この男は私を吸血鬼にしたから、私の始祖にあたる。だから、傷を負わせることはできても、とどめを刺すことはできない。だけど、最近はそれもどうでもいいと思える。

吸血鬼になって感情が欠乏したところもあるかもしれない。これは勝手な想像だけど。とにかく、そんな薄い感情のまま私は吸血鬼と戦う人間の中の「吸血鬼殲滅部隊」なる人間たちとの交戦に向かった。


「……あぁ、フェイト。」
「なに。」
「ゲームをしよう。どちらがより多くの人間を殺せるか。」
「……興味ない。スカリエッティは手を出さないでよ。」


私一人で全部やるから、と。そう告げた私に、スカリエッティは嫌な薄ら笑いを浮かべる。


「じゃあ、僕は高みの見物といこう。」
「どうぞお好きに。」


嫌な笑みに、小さく舌打ちをしながら。殲滅部隊を目視できる距離。その中に、私は懐かしい相手を見た。



















「なのはちゃん左。」
「うんっ!」


初めての実戦。何とか戦いに身を投じて、間合いとか吸血鬼の動きに対する反応を体に刻む。実際ここに居る吸血鬼は二等兵とかそんな感じ。戦いのコツ、というのではないけどそういったものを掴みながら吸血鬼をなぎ倒す。


「なかなかやるなぁなのはちゃん。」
「あ、ありがと!でもちょっと、敵の数が多くない?」
「そうやね。でも増援を呼ばれる前に早いとこ潰そう。」
「……ん、うん。」


黒いローブを着た吸血鬼が数人。向かってくる刃を魔法の展開したシールドで受けて、砲撃で撃つ。今の所、何とか怪我もなく戦えているけど相手は吸血鬼。二等兵とはいえ力は人間の非ではない。魔法が使えなかったらひとたまりもない。


「ええか?なのはちゃん。吸血鬼を狙うときは心臓。」
「うん。授業で習ったよ。」
「そ。…しっかし、なのはちゃん本当、優秀やな。シグナム、どう思う?」
「…そうですね。高町の動きは無駄がなくとても初陣とは…。」
「新手か!」


のんびり会話しているはやてちゃんと、はやてちゃんの部下であり、将とも呼ばれているシグナムさんを他所に、私は目の前に立つ吸血鬼の刃を交わしながら交戦中。褒めてないで手伝ってくれたらいいのに、なんて心の中でちょっとだけ悪態を吐きながら、ようやくその吸血鬼にとどめをさした。その瞬間、吸血鬼が一人、目の前に降り立った。


「…ろ、ローブが、白い。」


それは、その吸血鬼が二等兵以上の存在だということ。彼らはローブの色で位を分ける。白いローブは、高い位。つまり貴族。それはすなわち、先ほどまでの二等兵の吸血鬼よりも強いことを意味する。


「これは、ちょっとあかんなぁ。」
「……撤退しますか?主。」


こっちの方が人数は多い。それでもはやてちゃんが渋い顔をした。それはつまり、人数が多くても劣勢になる可能性があるからで。撤退を仰ぐシグナムさんとはやてちゃんの後ろに、もう一人白いローブが降り立った。


「そんなこと言わずに折角だから少し遊んでいきなよ。」


挟まれる形になって、形勢は不利。私は自分の武器である杖状になったレイジングハートを握りしめた。


「さて、フェイト。それじゃあまぁ僕は見学してるから好きに戦いなよ。」


けど、後ろ側に立った白いローブの男の吸血鬼は戦う気はないらしく、薄ら笑いを浮かべて歩いて壁際によって。崩れた瓦礫の残骸に腰かけた。


「………まさか最初の相手がはやてとは、ね。」
「なん…で、や。」


ローブのフードを外したその吸血鬼の髪は金。月の光に似た、淡い金色の光を、私は見たことがある。写真と、それから、昔行ったことのある式典で。その人物は機動六課の要として、戦っていた人物で。

死んだとされる、フェイト・T・H…その人だった。


整った顔立ち、綺麗な瞳の色は真紅。ゆらりと構えたその人物は独特の空気を放っていて、それは私たちがよく知っている空気で。


「こないならこちらから行くよ…?」


バルディッシュ、と静かに武器の名を紡ぐとその武器は鎌の形状になった。はやてちゃんに目をやると、はやてちゃんは信じられないようなものを見た顔をして、いつもの冷静さを欠いているように思えて。


───咄嗟に私はレイジングハートを構えた。


目の前の彼女は吸血鬼。エリート部隊の元隊長である皆の憧れであった、フェイト・T・Hの姿をした吸血鬼だった。











FIN





あれな。吸血鬼にされちゃった元吸血鬼殲滅部隊のエリート隊長の苦悩、みたいな。この後なんやかんやでなのはちゃん達と戦うんだけどちょっかい出してきたスカリエッティさんの攻撃から身を挺してなのはちゃんを守って、結局機動六課に連れてこられる、みたいな。んで実は吸血鬼の中に居ながら吸血鬼を殲滅する機会を伺ってたんだけど、今後は機動六課の戦力として(略)

「……吸血鬼をすべて倒したその時、私を殺してくれないかな?」

そいでそんな風になのはちゃんにお願いしてみたりだんだんなのはちゃんとフェイトちゃんが恋に落ちちゃって(略)実はフェイトちゃんはずっと人間の血を飲んでなくて、渇きに苦しがっててなのはちゃんが「私の血を飲んで」って迫るとかね。

なのはちゃんと一緒に戦いに出てよい見本となって戦う先輩フェイトちゃんだけどいつも新人のなのはちゃんの事が心配で(略)とか、ちょっと儚い感じだけど頼りになるけど少し壁を作るフェイトちゃんに恋しちゃうなのはちゃ────


もっと続きの妄想を書きたいけれど、ここにそれを記すには余白が狭すぎる(˘ω˘≡˘ω˘)



のでした。


テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

コメント

非公開コメント

プロフィール

92

Author:92
なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2拍手記事別ランキング
FC2拍手記事別ランキング
FC2拍手記事別ランキング
twitter
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR