霊獣の話の結局のところ

てゆーかリリマジのやつそろそろやらないとまずいのであった【完】

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「それにしても。」


何となく不機嫌に眉を寄せた私の隣で。頬杖をついて呆れ気味に行ったのはアリサちゃん。すずかちゃんは涼しげな顔をして読書に勤しんでいた。


「それにしても、おモテになるわねぇ。」
「………そだね。」


私たちの視線の先には女子に囲まれてちょっとだけ微笑を浮かべるフェイトちゃんの姿。フェイトちゃんは背も高いし、顔も良いし。なんだかんだで優しいので、とにかく人気だ。子供の頃からだけど。だから、いつも一緒に居る私は「付き合ってるの?」なんて質問をしょっちゅうされるわけで。聞かれるたびに「腐れ縁」なんて言い訳見たく返してたんだけど…。


「なに不機嫌になってんのよ。」
「別に…そんなことないけど。」


別に不機嫌なわけじゃない。ただ、なんていうか。


「フェイトちゃんって誰にでも優しいじゃない?」
「うん?」
「なのにいつも私には意地悪ばっかりっていうか。」


それが気に食わないの、なんて子供みたいな文句。本当は誰よりも優しいことを誰よりも知ってるのに、私はそう言うことしか言えなくて。そんな自分も面白くない。小さいころから一緒だったフェイトちゃん。もしかして私、フェイトちゃん離れできてないのかな。子供の頃から。


「そんなことないでしょ。」
「……。」
「ふふ。なのはちゃん、やきもち?」
「ち、ちがっ!」


不意に隣でパタン、と本を閉じる音がして。それから本を閉じたすずかちゃんのそんな言葉に思わず大きな声が出た。フェイトちゃんの方にまで聞こえたのか、ちょっと驚いた顔でこちらを見ていて、私は思わず顔を逸らす。


「ねぇ、すずかちゃん。」
「なぁに?」
「霊獣って、やっぱり自分を呼んでくれた人が一番大事?」
「ちょっと何よその質問!」


私の質問に反応したのはすずかちゃんよりもアリサちゃんが早かった。けど、すずかちゃんはそんなアリサちゃんを一瞥して、それからにっこり微笑んで「勿論」なんて即答するわけで。その言葉を聞いてみるみる赤くなっていくアリサちゃんはなんていうか面白かった。


「私も、もっと頑張らなくちゃ…。」
「……なのはちゃんは、どうしてそんなに霊獣を呼びたいの?…あ、魔導士で霊獣呼びたくない人なんて居ないか。」
「フェイトちゃんくらいじゃない?そんな人。」


フェイトちゃんだって霊獣を十分に呼べる程の魔力の持ち主。なのに彼女は一度たりとも霊獣を呼ぼうとしない。いつもはぐらかすように「なのはが呼べたらね」なんて言うだけで。


「……私に遠慮してる…はずないよね。」


そんな事フェイトちゃんがするわけないし。なんて言うと、すずかちゃんは相変わらずにっこり笑ったまま私の顔を見る。


「じゃあ、なのはちゃんにヒントだけあげようかな。」
「ヒント…?」
「うん。霊獣を呼ぶコツっていうか。」
「えっ?そんなのあるの?」


唇に指を当てて「特別ね」なんて言うすずかちゃん。


「霊獣とは相性があるの。…ってこれは授業で習ったよね?」
「うん。」
「あとはタイミングが大事。正直なのはちゃん程の魔力のレベルで呼べないなんておかしいと思うんだよね。」
「……う。じゃあ、私はタイミングが悪いのかな?」


フェイトちゃんもそんな事を言ってた気がする。


「あとは、そうだなぁ…。霊獣は一匹しか呼べないって言うのも知ってるよね?」
「うん。授業で習ったよ。…あ、でもはやてちゃんは特別なんでしょう?」
「あの豆だぬきの場合、呼んだ霊獣が4人セットだって話だわよね。」


すずかちゃんの話で思い出したのは友達のはやてちゃんの事。はやてちゃんは特殊な例で、一人で4人の霊獣を呼んだ。全部人型だったのを覚えてる。家族っぽく過ごすはやてちゃんがちょっと羨ましくもあったっけ。なんて話をしているうちに、フェイトちゃんがふらふらと近寄ってきた。


「なのは。今日私ちょっと寄り道していくから先に帰っててくれる?」
「……分かった。」


わしゃわしゃと私の前髪を乱暴に撫でて、やや不満げな私の返事に苦笑して。今日は久々にフェイトちゃんと一緒に帰らないということに。まぁ、でもアリサちゃんとかすずかちゃんとは一緒に帰るんだけど。ちょっとだけ不満げな私の顔を、すずかちゃんが、なんだか微笑を浮かべたまま見ていたことに気が付いたけど、なんだか怖いので特に気付かなかったふりをした。


そんなすずかちゃんの笑みの理由に気が付いたのは、すぐ後の事。






























「なのは、まだ拗ねてるの?」
「拗ねてないけど。」


ちょっと寄り道して帰るといったフェイトちゃんはどうやらクラスの他の女の子と何処かに行くみたいで。


「じゃあなんでそんな仏頂面なのよ。」


「私たちも寄り道してこう?」なんて言い出したすずかちゃんに連れられて、私はアリサちゃんと、それからすずかちゃんと買い物に来ているところ。そんな中。自分ではそんなつもりないんだけど、アリサちゃんに「仏頂面」と言われて眉間のしわを人差し指で伸ばす。別にそんなつもりはないんだけど。


「そ、そんなに仏頂面…?」


そう聞くと、今度はすずかちゃんが笑った。


「なのはちゃんって結構顔に出やすいから。」
「ふぇ…」
「ことフェイトの事に関してはね。」
「うそ。」


だからフェイトによくからかわれるのよ、なんて言って笑うアリサちゃんに、私はますます眉を寄せた。小さいころからずっと一緒だったからいつまで経っても私はフェイトちゃん離れできてないのかなって。


「てゆーかフェイトっていつからなのはの家に居たわけ?」
「……え?」


そう言えば、なんて思いついたように口にしたアリサちゃん。ちなみに私たちは買い物を済ませて寮へと帰宅する途中。すっかり長い時間買い物をしてたせいで辺りはちょっとだけ薄暗い。


「んーと、物心ついたときにはもう友達だった気がする。」


小さいころはどちらかというとフェイトちゃんの方が私に依存していたっけ。なにかと「なのは」って言って後ろをくっついて来ていた。とても優しくてかわいくて。


「昔はフェイトちゃん全然意地悪じゃなかったんだけどなぁ。」
「そうなの?」
「うん。」


微笑ましい顔をして「そうなの?」なんて聞くすずかちゃんに首を縦に振って。それから、思い返してみる。決定的な事ではないんだけど、フェイトちゃんがちょっと意地悪になったのって。


「思えば、私が霊獣を呼びたいって言った頃からなんだよね…。」
「フェイトのやつただ単にやきもち妬いてるだけなんじゃないの?」


正確には、霊獣に興味を持ったころだったかな。なんて言うとアリサちゃんが可笑しそうに笑って「嫉妬してんのよ」なんて言うわけで。


「えぇ?ち、違うと思うんだけど…」


フェイトちゃんに限ってそんなことあるはずがない。なんて。そう言おうとして、通りの反対側を歩く人と目が合った。同じクラスの男子生徒。何かと私に嫌味を言うその子は、私が霊獣を呼べていないことにいつも何か言ってくるような輩。


「誰かと思えば高町さんじゃない。……それにバニングスさんと。」


そう言ってすずかちゃんを見て「どうも」と軽く挨拶をした。相変わらず何処か馬鹿にするような目つき。まぁ、それは良いんだけど。


「今日はハラオウンさんと一緒じゃないんだね。」
「……別に、いつも一緒に居るわけじゃ…」


わざわざ通りを横断して近くに来て。何を言うかと思ったらそんな事。なんとなく彼がフェイトちゃんの事を言葉にするのが嫌だった。


「君も彼女もいい加減、霊獣を呼んでも良いんじゃないかな?」


チリチリと、嫌な気持ち。もともと私の家は魔術師としてはそこそこ有名で、やっぱり彼の家も有名で。だからなのかな。対抗意識というか、ライバル心を向けられているような気がするのは。それでも魔力地とかは私の方が高くて。自己顕示欲の塊のような人だから、それが面白くないのかどうなのかは知らないけど。私はなんていうか、平穏に過ごしたいわけで。

だから、なるべくあんまりこの人とは関わりたくはない。……けど、フェイトちゃんの事を言ったのは少しだけ許せない。


「別になのはが霊獣呼ぼうがフェイトが霊獣呼ぼうがあんたには関係ないでしょうが。」
「……まぁ、僕には関係ないけど…」
「フェイトちゃんは呼ぼうとする気がないだけで──…」


きっと彼女が呼んだら、かなり高位の霊獣を呼ぶと思う。言葉にはしなかったけど、そんな意を込めた視線を彼と、それから彼の横についている霊獣に向ける。彼の霊獣は黒い狼のような形をしていた。今にも牙をむいてきそうな様子でこっちを見ている。


「きっとなのはちゃんなら霊獣なんて呼ばなくても、貴女の霊獣には勝てると思うよ?」
「……え?」
「は?」
「すずか?」


ぱん、と両手を叩いて。ちょっとぴりついた空気にそぐわない声音でそう言ったのはすずかちゃん。ほのぼのと、「今日はいい天気」なんて言うような声音でさらりと毒を吐くというか、思い切りケンカを売った。しかも私を餌にして。


「へぇ、面白いこと言うね。じゃあ、やってみてよ。」
「えっ…え?なんで?私?」


すずかちゃんに視線を向けて、さっきの言葉の取り消しと、助けを乞う。


「頑張って!なのはちゃん。」


けど全然助けてくれる気もないみたいで、むしろ楽しんでいるような顔。アリサちゃんも「やっちゃいなさい」とかそんな事を言うわけで。普通に考えて霊獣に勝てるわけないじゃん、って思うんだけど既に何故か対するクラスの男子は霊獣をけしかけて、今にも狼がこっちに向かってきそう。


「こ、こんな街中で…」


学校の外で魔法を使うなんてどうかと思うんだけど。と、言ってももう誰も私の話なんて聞いてくれそうにない。


「もう、なんでこんなことに──…」


肩を落として独り言。どうしてこんな子供のケンカみたいな事を…なんて思うのも一瞬で。まだけしかけても居ないのに、クラスメイトの男子の霊獣が勝手に飛び出してきた。私に向かって。そんなに遠くない距離からの瞬発力。


霊獣って、主の言うこと聞かない時もあるんだっけ、なんて一瞬頭の片隅で思い出して咄嗟に防御魔法を発動した。とは言っても単純に手を差し出して、シールドを張るだけ。


「き、ゃ」


けど私の防御は発動しなかった。咄嗟に差し出した手と、彼の霊獣の間に突然眩しいほどの閃光に邪魔されて。


「な、なに…? ふぇ、フェイトちゃん?」


移動魔法でも使ったのか、突然閃光と一緒に現れたのはさっきまでそこに居なかったフェイトちゃんで。
私を押しのけて目の前に現れたフェイトちゃんは防御も何もしないで、腕だけで狼を抑えている。しかも狼に自分の腕を噛ませるようにして。


「……やってくれたね、すずか。」
「ふぇ?ていうか、…フェイトちゃん!?」


ぐい、と狼を押しのけて遠くに弾いたフェイトちゃんは、狼に噛ませていた腕をさすって、ちょっとだけすずかちゃんを睨む。


「もういいでしょ?フェイトちゃん。」


なのはちゃん可哀想なんだもん。なんて。その場の私とアリサちゃんと、それから茫然と立っているクラスメイトの男子を放ったらかしに、2人はそんな会話を繰り広げる。一体私の何が可哀想なんだろう。


「どうやってここにきたの?てゆーかフェイトちゃん、寄り道終わったの?腕は?大丈夫?」
「あ、ちょっ…なのは…」


何の躊躇もなく私と狼の間に割り込むようにして現れたフェイトちゃん。何て無茶な真似を、とフェイトちゃんの腕を引っ張って少しだけ強引に袖を捲り上げる。白くてきれいな腕には傷一つなくて、少しだけ安堵の息を吐いて、同時に目がいった。

白い腕に浮かぶ、見慣れない模様に。文字のように見えて、記号のように見える模様。あまりみたことはないけれど、少し前に見たことがある。すずかちゃんの体にあったものと似ているその模様は令呪だった。


「……え。」


腕に浮かぶ模様から視線をあげて、フェイトちゃんの顔へと向ける。
目が合った紅い瞳は、少しだけ居心地が悪そうに逸らされた。


「あ、あんた…霊獣だったの?」






後ろから驚いた声で言ったのはアリサちゃん。
霊獣?って、一体誰の…?なんて、驚きに言葉を失う私のすぐ後ろで。




「ピンポーン」なんて言う、なんとも楽しそうなすずかちゃんの声が聞こえたのでした。














FIN.








この後はきっと、皆ちょう大騒ぎすることでしょう。

小さいころになのはちゃんと惹かれあった霊獣のフェイトちゃん。無意識に呼んだなのはちゃんはフェイトちゃんが霊獣だと気づかなくて。呼ばれて以来、ずっとそばでなのはちゃんを守って来たのでした。なのに少しだけ成長したなのはちゃんが「私もそろそろ霊獣とか呼べるかな」とか言い出してぐれる。みたいな。──…続きはWEBで。











テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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