千一夜物語 前編

パロです。とりあえず前編です。

ヾ(⌒(_*'ω'*)_ わんわん

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「フェイトちゃん…あのなぁ…」
「なに?」


書面を片手に、不機嫌に私の名を呼んだ幼馴染にそう返事を返す。幼馴染であるはやては私の返事に少しなにか言いかけて、それから言葉を飲み込んだ。


「はぁー。全く…」
「何をそんなに怒ってるの?」


クスッと笑ってそう言うと、はやては飲み込んだ言葉をもう一度。


「ええ加減、決めてくれんと。」
「うん?」
「せやから、お嫁さんのこと!」
「…あぁ。」


そう言われて、分かりきっていたことを、あたかも忘れてた風を装って「そういえば」なんて言葉を続ければはやてはまたしても呆れたため息を一つ。

私の名前はフェイト。砂漠に囲まれた国アルハザードの王位後継者だ。とは言っても、正式な王は私の兄だし、私には大した権限はない。なのでしがない第二王子といったところ。はやては、私の幼馴染であり、一番信頼のおける側近だ。

そんなはやてが私に口に出した件の話とはなにか?それは、私がいつまでも花嫁を決めないことだった。

王族ともなればそういうものを早々と求められる。が、しかし肝心な私にはそんな気は全く無い。一切ない。きっぱり言って。だから、毎晩毎晩用意された花嫁候補の部屋に通っては、特に何もせず、その一晩限りで「飽きました」の一言。そうすればまぁ、花嫁候補の子には申し訳ないけれど、新たな花嫁候補が連れてこられるという訳で。もう何人とそんな風にして過ごしたか正直覚えてない。


「…仕方ないじゃない。」


白々しく笑って、困った顔をして、私は大臣たち、ひいては兄王にこう言うのだ。


「気に入って毎晩通いたい子が居ないんだもん。」


そうすれば、次の花嫁候補を探すのに躍起になる。娶とる気が無いとも知らないで。……が、目の前の流石は幼馴染、はやてはそう簡単には騙されない。


「はぁ、まぁ、嫌なのも分かるんやけど…もうちょい、こう…せめてひと月通うとか。」
「何にもしないのに?」
「話くらいはするやろ?」
「どの子も同じ話ばかりで、飽きているのは本当だよ。」


自分で言うのもなんだが、私の容姿に惹かれて来る花嫁候補は少なくは無い。挙句王子様なので、私自身の本質を見てくれる子はそうは居なくて。誰もが似たような質問や話を同じように話す。


「私は、自分の相手は自分で選びたい。」
「……そーか。ま、もう少しだけ付き合って。今度は私が花嫁候補探してみるわ。」


どこか憂いて言う私に、はやては何かいい案を思いついたような顔をした。


「はぁ?はやてはそんなことしなくてもいいよ…」
「ええから。期待しとき。」
「いや、本当にいいってば!」
「それよりフェイトちゃん、そろそろ剣技の時間やろ?シグナムもう待ってるんちゃう?」


ぽんぽん、と肩を叩いて。何故か急にやる気を出したはやては、私を無理やりその場から追い出して「来週楽しみにしとき」なんて言ったのだった。
























「いらっしゃいま…あれ?はやてちゃん?」


店の扉が開く音がして、条件反射的に顔を向ければそこには少し前に友達になった子。実は王宮で働くとんでもない偉い身分の人なんだけど、色々あってそういうの抜きで仲良くしている関係。


「どうしたの?珍しいね?」


お忍び?なんで聞くと、はやてちゃんは「まぁそんな感じ。」なんて言っていつものコーヒーを頼んで、小さく溜息を吐いた。王宮勤めだと、やっぱり色々大変なんだろうなって、苦労を労って。


「はい、コーヒー。大丈夫?はやてちゃん。」
「ん?ああ、ありがと。…ちょっとな。」


そう言って苦笑を浮かべるはやてちゃんに首を傾げて、サービスのクッキーを添えてみた。はやてちゃんは「ありがとう」なんてお礼を言ってクッキーをひとつまみ。それから、とんでもないことを言ってのけた。


「なぁ、なのはちゃん。」
「なぁに?」
「無理は承知でなんやけど、」
「ん?」


そう言って一拍置いて考える仕草をして。


「王宮に、来てみたくない?」


言われたのはそんなこと。私の名前は高町なのは。アルハザードという王国の城下町で両親が営むパン屋を手伝っている、ごく普通の一般人。はやてちゃんと知り合いになったのも本当に偶然。だから。


「え、全然行ってみたくなんてないけど…。」


当然、聞かれた質問に対する答えはノーだった。私の答えを予想していたのか、はやてちゃんはその答えを聞いてがっくり項垂れるわけで。


「…あー、そうやろ…ね。」


やっぱり、なんて続けて言った。


「一応聞いてあげるけど、どういった理由で?」
「あー、実はな?」


はやてちゃんの座るテーブルの目の前に腰掛けて、聞くだけ聞いてあげる、なんて偉そうな口ぶりでその理由を聞いてみれば。つまるところ、王宮に住む王子様の花嫁候補探しだとかなんとか。つまるところそれって。


「絶対いや。」
「そこをなんとか…」
「だってあれでしょう?王子様って言ったら、毎夜毎夜違う女の子の部屋に通っては決めた相手を選ばないっていう。」
「どっからそんな噂聞いたん…。」


噂ではないけど、まぁ私の、正直言うと勝手な偏見。はやてちゃん以外にも王宮の友達は実は何人か居て、その友達から聞いたことがある。


「まぁ、あながち間違ってもないけどな。」
「とりあえず嫌。ごめん、無理。」
「そ、そう言わず。この通り!」
「ふえぇ、だって私普通の一般人だよ?貴族でもなんでもないし。」
「別に本当の花嫁候補になってくれってわけやないんよ、ただ…ちょっと…話し相手になってやって欲しいんや。」


両手を合わせて「この通り」なんて。そう頼まれても、正直あまり乗り気ではない。だって、王宮に行くなんてつまりそういうことを同意するようなものだし。渋い顔をする私に、はやてちゃんがダメ押しの一言。


「なのはちゃんに絶対手は出させんし、そもそも手出しするような子ちゃうけど、それなりにお礼はさせて貰うから…。」
「う…。」
「孤児院に寄付多めにするとか。」
「……はぁ。」


別に孤児院への寄付につられたわけじゃない。はやてちゃんはいつも孤児院を助けてくれてる。はやてちゃんに会ったのも孤児院でボランティアをしている時だし、いつも感謝は尽きなくて。だから。


「分かったよ。1日だけね。絶対何もしないって約束だよ。」
「あぁ…ほんまに、ごめん。ちゃんとこうなった経緯も説明するから。」
「うん。」


ということで、はやてちゃん曰く人間不信気味な幼馴染をどうやら助けてあげたいと、私が聞いた説明は簡単に言えばそんな感じだった。

まぁ、私が嫌がったところで。手を出さないって約束してても王族だったら私みたいな小娘ひとりどうにでもできると思うんだけど。

はやてちゃんの幼馴染ってどんな人なんだろ。むさ苦しい感じの人だったら嫌だなぁ、なんて。この国に住んでいながら、全く興味を持っていなかった私は王子様の姿も知らなくて。私は易々と王宮へ行く、即ち一晩二人きりで過ごすというとんでもない話を受けてしまった。


「…あぁ、もう。絶対指一本も触れられないようにしよ。」


はやてちゃんに頼まれてのは、七日後の満月の夜。それまで私は、王宮で過ごす日のことを憂いた気分で過ごしたのでした。


















続く










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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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