なのふぇい

なのフェイ。
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「…どの位なの?」


なのはの家の、なのはの部屋で。突然そんなことを聞かれて、私は小首を傾げて見せた。

学校の帰りに、明日は学校も休みだしお仕事もないし、なんて「家においでよ」なんて誘ってくれたなのはに連れられて、今夜はなのはの家に泊まりに来た。だけど。

不意に、なのはが思い出したようにそんなことを聞いたのだ。ベッドに寄りかかって座る、私の隣で。


「えと、…なにがかな…?」


一体何の話かと疑問符を浮かべて、なのはを見る。なのはは雑誌に視線を向けたまま、その後で、ちらりと私を見た。そのままじっと私を見めて、少しの沈黙。なんだか至近距離で見つめられて、私は少し気が気でない。

こう見えて私となのはは一応、恋人同士だ。親しい友人以外には秘密で、実は2年くらい付き合っているし、当然幼馴染でもあるし、気心も知れた仲。だけど今は、なのはが言わんとしている事が分からなくて。


「フェイトちゃん、航行…行くんでしょ?」
「あ、あぁ。」


小さく溜息をついてなのはが言ったのは今度私が出る任務の話。少しだけ長い、これが初めての長期任務。…とはいえ学生の身である私には母さんやクロノが気を遣ってくれる為、あまり長期の任務依頼は来ない。ただいつもより少し期間が長いだけ。2週間もかからないくらいだと思う。


「2週間は掛からないと思うんだけど…。」


研修を兼ねた航行なので、私にそんなに負担は無いし、あまりに帰航が遅くなるようなら私だけ先に帰るような、その位の内容だ。


「ふぅん。……いつ行くの?」
「えと、来週かな…。」


なのはにはもう何度か説明しているけど、確認するようにもう一度聞かれて不思議に思いながらそう答える。なのははまた「ふぅん」とだけ言った。

なのははこう言うのを一度聞いたら忘れないし、どちらかと言うとカレンダーにつけたりするタイプだから、少し疑問に思った。この頃のなのはは何か言いたそうな顔をする事が多い。

もしかすると寂しかったりするのだろうか?なんて、そんなことを想像してちょっとだけ緩む。


「…あ、もうこんな時間。」
「え?どうかしたの?」


そんな私を一瞥して、時計を見て。なのはは思い出したように立ち上がった。つられるようにして顔を上げてなのはを追って、「どうしたの?」なんて言う私に。


「今日、誰も居ないから夕飯作らなくちゃ。」
「えっ」
「あれ?言わなかったかな?」


たぶん、聞いてない。と首を縦にふる私になのはは何だか悪戯したみたいな顔をした。どこか楽しそうに。ということは泊まりに来た私は、今日はなのはと2人きりで過ごすことになるわけで。

何故か、急に緊張してきた。


「な、なにか手伝おうか?」
「え?良いよ、フェイトちゃんは座っててよ。お客様だし。」


けど、なのはは今夜私と2人きりになることを気にした様子もなく、何事もなく部屋を出て行く。私は慌ててなのはの後を追い掛けて、せめて夕飯の準備をするなのはのことを見守ることにしたのだった。











そんな夕飯の風景があったところで。なのはと2人きりで、なのはの手作りの夕飯を終えて。次になのはが切り出したのは「お風呂入っちゃって」という一言だ。無論、私は「後からでいいよ」なんて云々遠慮する姿勢を示したのだけど。


「だめ。フェイトちゃんが先なの。」


などと言う言葉に遠慮しつつも背中を押されて浴室へと押し込められた。こういうところは昔からなのはには敵わないんだ。




「…はぁ。」


ぴちょん、と水が跳ねる音がして静寂が響く浴室。なのはの家族が留守にしているなんて知らなかった…。知っていたらどうなるということは無いのだけど。心の準備とかそういうものがある。…と思う。

2人きり。

別に問題はない、と思う。ただなんと言うか。


「………。」


付き合って2年。2人きりの夜。何をどうしても、少なからず不埒な事を考えてしまうし、期待してしまうような。つまり、そういう事。

手を繋いだりとかいうのは割と普通にする。キスをしたことも、ある。けど、それ以上は無いわけで。


「……う…。」


ぴちょん、とまた水が跳ねた。したいかしたく無いかと言われたら、前者。好きな人に触れたく無いはずが無い。けど、いざという時に私は勇気を出せない。それよりもなのはがどうも思ってるのかが分からない。もしかしたら、まだ早いって思ってるかも知れないし。


「………。」


少しの間悩んだ結果、ぶるぶると頭を振って、そんな不埒な考えは一旦頭から追い出す事にした。


私がお風呂から出るとなのはは飲み物を用意してくれたり、色々と世話を焼いてくれて。その後で「じゃあ行ってくるね」なんて言ってお風呂に向かった。

まるで夫婦みたいなんて思いかけて、顔が赤くなる前にまた頭を振って変な妄想を追い出す。来週には航行に出るというのに、緩みっぱなしだ。少し引き締めなくちゃ。


それから少しして、なのはがお風呂から上がってきた。上気した肌を少しだけ赤く染めて、心なしか寝巻きの胸元が少し無防備に思えた。油断したら胸元が覗いてしまいそうな、そんな危うさ。単に、わたしがそういう事を意識してしまっているからかも知れないけれど。


「お待たせ。フェイトちゃん。」
「おかえり。ちゃんと髪の毛乾かした?」
「うん。ばっちり。」


どこか楽しそうにそう言って、なのはは私の隣に腰掛ける。ほんの少しシャンプーの良い香りがして、くらくらした。なんだか一人で緊張しているのが恥ずかしくてバレたくなくて。




「なのは、眠い?」


それからまた少しだけ時間が経って。

テレビに意識を集中していたせいで、なのはの様子に気がつくのが少しだけ遅くなってしまった。私の肩にもたれるようにして、眠そうに目を擦るなのはに「寝る?」と聞くと、少し迷ったような仕草をして、それから小さく頷いた。

なのはのベッドの横、床に布団を敷いて。何事もなく、別々の布団で寝る事にどこか安心したような残念なような。最も、なのはのお母さんがいつも布団を敷いてくれたりするので、布団を敷いたのは習慣とか癖に違いかも知れないけれど。

時計を見ればもう結構な遅い時間。眠そうにするなのはをベッドへ寝せて、電気を消して。私も布団に潜り込む。

なのははなにか話したそうにしていたけど、電気を消したら素直に「おやすみ」と言って寝る姿勢を示した。だから私も「おやすみ」と返して、目を閉じる。最後の最後にやっぱり何もなかったのは残念なような、でも安堵して。






「……起きてる?フェイトちゃん。」


少しだけ時間が経って。

うとうとしかけた私に、声をかけたのはなのはの方だった。先程までの微睡んだ声ではなくて、意識のはっきりした声。今度は私が目を擦りながら「なに?」と返した。


「そっちに行っても…いい?」


もそもそと布団の衣擦れの音がして。その質問に目が覚めて、勿論ダメなはずがない答えを、少し言い淀んで焦る私の背後に、気配。「良いよ」と言う返事となのはが私の布団に潜り込んできたのはほぼ同時に思えた。

なのはの方に背を向けて横になっていたから、背中にぴったりなのはが寄り添うような形。まぁ、今までもこんな風にして結局一緒に寝ていた事は何度とあるのだけど。


「来ちゃった。……フェイトちゃんあったかい。」


えへへ、なんて子供みたいに楽しそうななのはに、焦るよりも何だか、私も楽しくなって、胸が幸福に満ちる。誰よりも可愛い自分の恋人。


「なのはも、暖かいよ。」


でも何故か恥ずかしくて、なのはの方を向けなくて。なのはが密着しているせいで体の向きを変えられないっていうのもあるんだけど。それはさておき。


「えと、…おやすみ。」


もう一度、そう言った私に、なのはの体が今以上に密着した。それはほとんど抱き付いたに近い感覚だと思う。背中に感じる柔らかくて暖かい、なのはの身体。


「なっ、…なのは?」


思わず上擦った声が出たのは仕方ないと思う。なのははそんな私の声の事は気にせず、小さく呼吸をした。


「ねぇ。」
「う、うん?」


どこか、切羽詰まったような切ない声に思わず胸が跳ねた。胸が、きゅっと鳴るような。


「航行、行くんでしょ?」
「う、うん。」
「……いつもより長いんでしょ?」
「うん…ちょっとだけ…。」


寂しいの?と言いかけて。先に口を開いたのはなのはだった。


「……知らないよ?」
「えっ?」


なにが、と問うよりやっぱり先になのはが。


「私の気持ち。どっかいっちゃうかもよ?」


ぎゅっと、なのはが私に絡める腕に力がこもる。身体と身体の距離が、もっとゼロになる。熱が近い。


「…いいの?」


長く留守にする間に。気持ちが傾いたりするかもよ?なんて、そんな事があるはず無い前提の、煽り方。それってどういう事?なんて、混乱する私にさらなる追い打ち。

耳に、なのはの唇が触れた。食むように。


「ぅ、わっ」


思わず体が仰け反ると。なのはのいじらしい瞳と、ようやく目があった。暗闇の中で少しだけ分かるなのはの拗ねたような表情。そんななのはの表情に身体の芯がぎゅっと痺れたような気がした。


「ねぇ。」


そうして、いじらしく紡がれたその「ねぇ」に。


「…繋ぎとめて置かなくて、いいの?」


続いてそう悪戯に囁かれたその言葉に、私はその時なんて答えたのか覚えていない。ただ覚えているのは、その時の熱と甘い香りだけ。










fin



どっかいっちゃうかもって不安だったのは本当はなのはちゃんの方だったりして。…なんちゃって。


( ◔ д ◔ )

テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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