つづき

なんかまた続いてしまった。

パソコン使って書いてないから全体のバランスとかよくわからなくて後で修正するかもです(ゝω・)。

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「支度は出来たかな?妃殿。」


ククク、と薄ら笑いを浮かべた男が憂いた表情のなのはに、敢えて「妃」と強調して声をかけた。声を掛けられたなのはは顔を上げて、あからさまに眉を寄せて、けれど決して逆らうような事はせず「ええ」と一言返した。


「良く似合っているじゃないか。」


せいぜい着飾って笑ってくれたまえと、その痩せた男が言うと、またなのはは「ええ」と同じように返事をした。

幼い頃、自分をさらってこの国へ連れてきたその男の言いなりになって、今宵開かれる晩餐についていくことになる。見世物にされるただ苦痛なだけの晩餐だというのは目に見えていて、なのははそれを分かっていたから何度も拒否してきた。首を横に振れば無理に連れて行かれるわけではなく、そうして何度もやり過ごしてきたのだが、今回はそうはいかなかった。



「本当に、彼女のこと教えてくれるんですか?」
「うん?」


王の後ろを少し距離をあけて歩きながら、問う。と、少しだけ振り向いてその王が小さく笑った。


「勿論だとも。君の大切な彼女の事は夜にでも教えてやろう。」


ククク、と笑ってそう言ったその男の後ろをついて歩く。ただ1つ。なのはがこの晩餐に向かうのは、ただ1つの理由のためだった。

幼いころ自分が攫われて来た時に「彼女」がどうなったのか知りたかったから。その彼女の情報を目の前に提げられて、食いついた。自分が攫われるとき、守ろうとしてくれて、怪我をした彼女。あの怪我では恐らく。そう思って諦めていた気持ちに、期待が入り混じる。もしも、彼女が何処かで生きていてくれたなら。

一握の希望は、それだけでなのはに前を向かせた。この城に連れられて来てから、石畳の小さな部屋にずっと閉じ込められていて。出る機会を与えられようともなのはは一度としてその部屋から出なかった。だが、それを今は悔いていて、少しでも脱出の時に役立つような情報を視線で集める。

全ては、いつか彼女に会いたい為に。


だが、そんななのはを見て。王であるその男が静かに笑ったことになのはは気付かなかった。


















「ほほぅ、この方が」


想像通りで且つ、予想通り。王に連れてこられたその晩餐は、なのはにとって実に苦痛以外の何物でもなかった。贅を尽くした見事な食事。きらびやかなに設えられた彫像品や宝石。そして向けられる、この国の大臣や貴族達の視線。

この国の王の妃ともなれば、なのはに挨拶に来ない者など居なかった。ましてや幼少期に悪戯に隣国から攫ってきた姫君ともなれば、好奇の視線に晒されないわけなどなかった。


「美しい女性ですな、王よ。」
「さぞ婚儀が待ち遠しいことでしょう。」


自分に向けられる好奇の視線と、下種な冗談や言葉を交わす大臣たち。妃として、賓客として扱われるわけでなく、なのはへのそれはほとんど奴隷のような、そんな扱いに思えた。


「妃殿よ、そのようなつれない態度をとらず挨拶などしてはどうかな?彼らはまだ君の名前も知らぬのだし。」


表情を変えず、晩餐に向かったなのはにそう言ったのは王だった。そんなことあるはずが無い。攫ってきた隣国の姫の名を、いくら当時子供だったとはいえ知らぬ者など居ない。

攫われて来て幽閉されていた姫がどんな顔でその国の大臣たちに挨拶をするのか。王の気紛れであり、ただの嫌がらせだった。なのはにもそれが分かっていて、だけど瞳を閉じる。


そんな扱いに。好奇の目に耐えられるのは、ただ彼女の事が知りたいからで。ウミナリで共に育ち、神官であり、将来を約束した相手。その彼女のことを知るためなら、どんな事でも耐えようと瞳を閉じる。それから小さく息を吐いてうやうやしくお辞儀をした。

攫われて来てこのかた幽閉されるだけで教育など特にさして受けていない。それでも幼い頃からウミナリで育ち培ってきたその仕草はとても美しく、なのはのその一礼に、他の大臣たちが少しだけ息を飲んだ。


「高町なのはです。」


一言。取り繕った笑みを添えて挨拶すると、どうぞよろしくと続ける。宜しくという気持ちは1つもない。ただの何の感情も込もらない挨拶。それが分かっていても、晩餐会へとやってきた大臣や貴族は息を飲んだ。そんななのはのうやうやしい挨拶に満足したのか、或いはつまらなかったのか。


「慣れない場所で疲れただろう。」


そろそろ自室へと促す声。そのまま誘導されるように連れられて、部屋へと歩き向かう。

晩餐に赴いたのはほんのわずかな時間で、なのはは安堵より先に、これだけで良いのかと疑問を抱く。…が、長居したいわけもなく、部屋に戻れるならすぐにでも戻ってこの着飾ったドレスを脱ぎたかった。



「あの。」


部屋につき「ここで結構です」と王の案内を断り、そのまま衛兵に連れられて部屋に戻る途中で。


「彼女のこと、何か知っているなら…」
「あぁ、そうだった。」


それが条件だったねと、薄く笑う。浮かべた表情は愉悦で、今までに見たことがない楽しそうな顔だった。苦痛を堪えて大勢の前で挨拶をした時のなのはを見てもそんな愉しそうな顔はしなかったのに。それから、口を開く。


「あれは、残念ながら嘘さ。……いやぁ、あの時の兵にも聞いてみたんだが、彼は子供だったその彼女の急所に容赦なく確実に刃を刺したそうでね。」


嬉しそうに。そして与えたのは、絶望だった。


「きっと生きてないだろうって言っていたかな。」
「…っ、」


わざと希望を与えて、泳がせて期待させて。最終的に与えられたその言葉になのはは膝をつきそうになって堪えた。それをこの男に見せたくなかったから。それを望むように愉しそうに嘲笑うその男に、これ以上自分が絶望に打ちひしがれる姿を見せたくはなかった。


「…それじゃあおやすみ。妃殿。」


そうして満足して、クククと堪え切れなくなった笑い声を零して去っていく。余程面白かったのか、いつまでも笑っているようで。なのはは衛兵に連れられて部屋にまた幽閉されて、そこで小さく唇を噛む。

堪え切れなくなったように、一雫涙をこぼした。悔しさと、少しでも期待して言いなりに王の後ろへついて行った自分への怒り。悲しさはその後に来た。


「…っ、ぅ」


元々、フェイトはきっと助からないと思っていたのに。ほんの少し希望を与えられて、期待して、だからその分だけ余計に絶望した。それだけのこと。

分かっていたことなのに、とも思う。子供だった彼女の背中に、急所に刃を…と聞かされたその言葉に、息が詰まりそうになった。自分が対し助けを請わなければ、とやはり押し寄せてくるのは自責の念と、後悔。もう八年も経つのに、何度もあの夜の夢を見る。時が経てば経つほどにフェイトへの想いは強くなった。

国へ帰りたいという気持ちも勿論あるのだが、それ以上に彼女に会いたいと願う。けれどそれはもう叶わなくて。いつの間にか止まった涙の跡を拭って、窓の鉄格子の間から見える月を見上げた。いつかここから抜け出せるだろうかと、目を閉じる。

婚儀を上げる前に。……あの男の妻になるくらいならばきっと、自分は舌を噛んで命を絶つだろうとなのはは思う。あの男に辱められるくらいなら清いまま。


「フェイトちゃん……」


静かに目を閉じて、その名を小さく呟く。

それはなのはにとってはおまじないのような名前。元気が出るような、少しだけ支えられている気になるような、けれど胸が痛くなる名前だった。












それから数日後の夜。

なのはは衛兵が連れてきた見慣れぬ2人の少女に出会った。自分付きの侍女として、近辺の世話を彼女らにさせるようにとの命令。彼女達はこれからなのはと同じ部屋で過ごすらしい。


「……侍女なんて…」


金髪の、どこか気の強そうな少女と側に寄り添うように立つ、少しおっとりした藍色の髪の少女。それぞれ金髪の方はアリサと名乗り、隣の少女はすずかと名乗った。


「えと、侍女さんにお世話してもらうようなこと特に無くて……」


衛兵が部屋に置いていった2人の少女にそう申し訳なさそうに告げると、少しだけ。アリサと名乗った金髪の少女が「知ってるわ」と言ってから人差し指を縦に、唇の前に添えた。


「え、と……」
「私達貴女を逃しに来たのよ。」
「え」
「ごめんね、えっと、なのはちゃん。詳しい話はあんまり出来ないんだけど…私達ウミナリの王に頼まれて来たの。」
「父…に?」


自己紹介もそこそこに、突然告げられたその言葉。驚きに目を見開く。ウミナリの、自分の父が頼んだということの詳細を聞けば、彼女達はアルハザードと反対の隣国、ミッドチルダからの使い。


「ミッドから今少数の精鋭部隊が向かってきてるわ」
「そ、そう…なんだ。」
「詳しい話はまた今度。私達はミッドからの部隊がここに来るまでなのはちゃんの護衛と、その時が来たらタイミングを合わせて脱出を図るのが目的。」


部屋の作りを確認するように見ながらそう言う2人にどうやら嘘はないらしく、なのはは少しだけ安堵の息を吐く。自分が逃げないようにする為の見張りではないかと少し疑ったがむしろ逆だったのでこれは好機に違いなかった。


「えっと、あらためてよろしくね。」
「任せなさい。私達こう見えてミッドの巫女なのよ。」
「巫女…?」
「うーんと、ウミナリで言うと神官って言い方をするのかな?」


国によって呼び方は違えど、国の方向を示す大役を担う存在。「神官」という言葉に、なのはは思わず胸を押さえてしまった。それはもう反射に近い仕草。不思議に思う2人が顔を合わせて、それからアリサが眉を寄せた。


「どこか悪いの?」
「…ちが、…違うの。ちょっと、神官って言葉に変に反応しちゃっただけ。ごめんなさい。」


昨夜のことを思い出す。フェイトの所在の話。思い出して泣きそうになって、なのはは苦笑して誤魔化した。


「幼馴染が神官だったから、つい。」


その言葉に何か悟ったのか、すずかがなのはの髪を撫でた。優しく。だからついなのはも心を許したのかもしれない。出会ってすぐの人間に。或いは神官と同様の巫女が纏う雰囲気が彼女に似ていたからか。


「………ここに攫われてくる時、助けてくれようとしたんだけどね。」


ぽつりぽつりと言葉を続ける。誰にも言ったことがない、恐らくフェイト本人も知らないなのはの話。


「小さい頃からずっと好きだったの。」


布団に横になり、頭を撫でられながら。どこか遠くを見つめながら、なのはが話す言葉にアリサもすずかも耳を傾ける。違いに今日初めて出会った人間なのに、互いに心を許すような、そんな不思議な関係。なのはは語るように、思い出をなぞるように当時のことを話して聞かせた。


「初めて会った時からきっと好きだったんだと思う。」


目を閉じて懐かしむように。神官として紹介された彼女の元へ通った話や、いろんな事を教えてくれたこと。優しかったこと全て。


「何でも優しく教えてくれる彼女が好きで、わざと知らないふりをして教えて貰いに行った事もあるの。」


なのはは決して聡くない訳ではない。賢くないわけもなかった。が、彼女の前では知っている事も知らないふりをした事があった。賢すぎてはきっと「私が教えなくても大丈夫だね」なんて言われてしまう気がして、それはなのはにはよろしくなかった。よく考えたらとんでもない計算だったのだが。


「すごく優しくて、大好きだった。」


本人にも言えた事がない「好き」という言葉が、なぜか2人の前ではすんなり出た。話せば話すほどに溢れる懐かしさ。愛しさ。あの夜攫われたりなんてしなければ。


自分はフェイトと恋人として、将来を約束しあった二人として幸せに過ごしていたのだろうか。彼女が教えてくれた、彼女のお気に入りの、彼女の庭で。二人で笑いながら。


存在しない過去と未来を夢見て、なのはは目を閉じる。目を閉じたら涙が溢れて、頬を伝う。初めて会ったその二人は、どこか懐かしい雰囲気がして、とても優しくて。二人に宥められながら、なのはは涙を流しながらそのまま眠りについたのだった。































「……フェイトちゃん、こんな所に居たんか。」
「ん、どうしたの?もしかして探してた?」


夜更けに眠れなくて、私は一団の眠る野営場を抜け出した。星に導かれるように歩いて湖の湖畔へとやってきて。気まぐれに冷たい水に腕を浸す。背後にはやての気配を感じたのはそんな時だった。


「腕の怪我、どない?」
「もう全然平気。もともとね、神官という血筋の私たちは少し身体が丈夫なんだ。」


だから幼い頃のあの怪我も、死なずに済んだと言える。幸か不幸か。いや、きっとこれは幸いなのだろう。私はもう一度なのはに会えるのだから。


「へぇ、アリサちゃんとすずかちゃんもそんなこと言うてたな、そう言えば。」
「それは例のミッドチルダの巫女の子?…加護があるって言ってる人も居たけど、単純に魔力が高いから身体の作りも丈夫なだけ。」


幼い頃にはそう習った。たぶん。


「剣の上達が早いのもそういう関係なん?」
「……どうかな。私のは執念かも。だって小さい頃は剣を握るのも嫌いだったし。」
「なんや、意外。」
「私も。今じゃこんなにしっくりくるのに。」


苦笑して言うと、はやては少しだけ悲しそうに笑った。それから、少し真面目な顔をして。


「フェイトちゃん、そろそろ本腰上げて城に向かおうかって、計画してるんやけど。」
「うん。」
「隠密行動で、ってシグナムと考えてるんよ。」
「派手に行くのはやめたの?」


少し笑って言うとはやてはちょっと苦笑して頬をひと掻きした。


「無難に行こうと思ってな。それでも危なくない事はないんやけど。」
「うん。……私は、何をすればいい?」


静かに目を閉じて問う。私にはもう失うものはなくて、待ちに待ったその時に、どうしてか体が無性に震えた。ぞわぞわと粟立つ肌。失敗は許されない。絶対にしない。


私は神経の全てを向けて、はやての言葉を待ったのだった。












続く…?




まだ出会わない。
続くかなんか分かんない(*´ ∀ `*)

再開しても心がすれ違うそんななのフェイの予定なので。もし続いたら、そゆの書きたいなと思いました。






テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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