またつづき

ひさしぶりです。

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「ねぇ、ミッドチルダってどんなところ?」


アリサとすずかの二人がなのはの侍女としてやって来て数日後の夜。相変わらず、時折王が様子を見にやって来るものの、なのはは一向に変わらぬ日々を過ごしていた。

対して、二人はなのはを交えつつ、密かになのはを逃す算段やら画策などしているようだったが、なのはには事の詳細は未だ与り知らぬ所。

そんななのはがした質問に、口を開いたのはアリサだった。


「そーねぇ、ウミナリみたいに豊かってわけじゃないけど…まぁ此処よりはいいところよね。」
「へぇ…いつか行ってみたいな。そうしたら案内くらいしてくれるんでしょう?」


アリサの話を聞いて、此処から出れたら、と笑うなのはに。


「なのはちゃんが来るならおもてなしするよ。」


ふふっ、と笑って今度はすずかが答える。なのはを逃す為にやって来たというミッドチルダの二人はどうやら外に仲間がいるらしく、それが父に頼まれたものだとわかって、なのはは微かな希望を抱いた。それは先日の、まやかしの希望ではなく。間違いのない希望。

二人が来たことで、なのはは笑うことが増えた。無論、この場合は話し相手が出来たことで話をする機会が増えたという事にもなるが。


「それでどうやって逃げるの?」
「ちょっと声大きいわよ。聞こえたらどーすんの。」
「あ、ごめん。」
「…外からの連絡を待ってるの。はやてちゃんって言ってね?最近ミッドチルダの若き指導者とか言われてるんだけど…」
「へぇ、女の子なの?」


思えばミッドチルダの話を、なのははあまり知らない。二人が聞かせてくれる話はどれも新鮮で、幼い頃彼女に色んなことを教えてもらっていた時の記憶が呼び起こされる。そして、思い出して胸が疼いた。


「そういえばさ、ねぇアリサちゃん…」
「なに?」


すずかに「ねぇ」と肘で小突かれて、アリサが少し怪訝な顔をした。


「はやてちゃんが途中で拾ったっていう…」
「拾った?ああ、ミッドに連れて帰って騎士にするってやつ?」


それが何よ?と首を傾げるアリサ。「もう」と伝わらないもどかしさに溜息を吐いて、すずかはアリサから、今度はなのはに顔を向けた。


「あのね、なのはちゃん。」
「なぁに?」
「……この前、なのはちゃんが教えてくれた、なのはちゃんの幼馴染の子に、関係するかわからないんだけど…。」


変に期待させてはいけないと思ったが故の、前置き。なのはは頷いて続きを促した。


「ミッドから連れてきた仲間とは別に、1人…その、拾ったというか、途中で味方が増えたみたいでね?」


たどたどしく、少しだけなのはの様子を伺いながら続けられるすずかの言葉に、なのははただ「うん」と頷く。そんなに気を遣わなくて大丈夫だから、と。


「途中で拾ったそいつが、もしかしたらなのはの言ってた幼馴染なんじゃないかって。…そう思ったのよ。」
「え…」


遠慮がちに気遣いながらいうすずかに被せるようにアリサにそう教えられて、なのはの息が一瞬止まる。


「金髪ってとこしか、合致しないんだけど。」
「でも、時期は一致するっていうか…まだ名前も分からないんだけどね、定期連絡で存在を知っただけだから。」
「そう…なんだ。」


一握の期待。……けれど、なのははフェイトのことに関して期待することをあまりしなくなった。それは先日の痛手によるものでとある、が。「子供だった彼女に致命傷」という言葉を聞いた所為が1番強いと言えた。勿論希望を持たない訳ではないがほんの少しだけ、消極的になった。


「巷じゃ千人斬りとか言われてるくらい強いらしいわよ。いい協力者だって……」


話して聞かせるアリサの言葉に、なのはが少しだけ微笑して、それを見たアリサが途中で話をやめた。その微笑が少しだけ悲しそうで、それ以上何も言えなかったから。


「やっぱり、違うかなぁ。」
「なのはちゃん…」


瞳を閉じて、なのはは首を横に振る。悲しそうではあるが、二人を責めるつもりもない否定。むしろありがとうと、小さく笑って。


「フェイトちゃんは、そんな事出来ないもん。」


彼女は決して強くはなかった。頭は良かったけれど。強くないという表現は不適当かもしれない、彼女はただ暴力が好きではなかった。自然を愛おしんで、慈しむ、そんな彼女だからこそウミナリの次期の神官に選ばれた。


「だってフェイトちゃん、虫も殺せないの。」


そんな人だったと、なのはは思い出して笑う。可笑しそうに、少しだけ悲しそうに。フェイトには確かに武の才能もあったかもしれない。否、きっとあったであろうその才を、彼女は高めるつもりは無かった。言い過ぎかも知れないが、優しさの塊だった。虫も殺さない、穏やかな優しい人。優しいからこそ、そんな彼女が好きだった。


「だから、その人は多分フェイトちゃんじゃないと思う。」


優しくそう言うなのはに、二人は少しだけ言葉を失って、小さく謝罪をした。


「ごめんね、なのはちゃん。」
「うぅん、いいの。ありがとう、アリサちゃんも、すずかちゃんも。…でも、会ってはみたいかな。」


どんな人なんだろう、と明るく振る舞うなのはがちょっとだけ痛々しくて。二人は気付かれないよう、小さく肩を落としたのだった。



























「……はぁ。」


思いの外時間が掛かった、と気持ちは言葉にはせず代わりに溜息を吐いた。足元に転がる敵国の兵を見下ろして、フェイトは自身の持つ刀についた血を拭う。


「テスタロッサ、片付いたか?」
「…うん。ご覧の通り。シグナムの方は?」
「見ての通りだ。お前より早く片付いたぞ。」


へぇ、流石。と棒読みしてフェイトは刀を鞘にしまい、シグナムと共にはやての元へと向かう。少し前、林内を行き交う敵兵に奇襲をかけた。城の付近から徐々に敵数を減らすのは城に奇襲をかけた時の為の備え。城は目前で、フェイト達は事を起こす日のために確実な準備を進めるていた。


「ヴィータの方も片付いたようだ。先に主の元へ向かった。」
「…私が一番最後?」
「不服か?」


くく、と笑いを零して言うシグナムにフェイトは「別に」と呟く。


「貴様が当たった一団が頭数が一番多かった。」
「そっか…」


それなら仕方ないと肩を落とすフェイトにシグナムが苦笑を漏らす。シグナムと言うこの騎士は、瀕死だった幼いフェイトに剣を教えて鍛え上げた人物であり、はやてに仕えるミッドの騎士。

普段あまりフェイトの腕を認めたりする事はないが、しかしフェイトの剣の上達にはシグナムも目を剥いた。瀕死で拾った仔犬が実は番犬どころか猟犬だったといったところか。はやてに、後にフェイトをミッドの騎士として連れ帰ってはどうかと提案したのも発端はシグナムであった。


「急所をひと突き、か。…大したものだな。」
「………。」


歩きながら、去り際に見た敵兵の亡骸に感慨深くシグナムが呟く。苦しむ暇も与えない、フェイトのやり方。


「出来れば、殺さずに済ませたいけど。そんな訳にはいかないでしょう?」


少し悲しげに言うフェイトは懺悔するように、続けた。


「邪魔をするなら仕方ない。…慈悲をかけて生かしたその兵のせいでなのはを助けられないなんてこと、…そんなこと、万が一でもあったら困るんだ。」


フェイトの決意は固く、揺るがない。それは「なのはを助けるためなら何人殺しても、誰をどれだけ傷付けても」と以前言葉にした根底にある決意。たとえその結果なのはに嫌われても、仕方ない。

林を歩いて抜けると、一団と合流した。「遅かったな、怪我はないか?」なんて言うはやてに頷いて、フェイトが近くに腰をおろす。と、甲斐甲斐しくギンガがやってきてフェイトに飲み物を手渡した。


「ありがとう。ギンガ。」
「いえ」


礼を言うフェイトに少しだけ嬉しそうに微笑んで、ギンガが下がる。それを確認して、はやてが口を開いた。それはフェイトが待ちに待った作戦であり、城へと突入する為の作戦。なのはをあの城から連れ出す為の。


「そんなら話、始めようか。皆ええか?」


周りの騎士たちと共に、フェイトは静かに頷く。いよいよかと、ほんの少しフェイトの握る手に力が入ったのを、はやては見逃さなかった。少しだけ擦り切れ破れた紙を広げ、線を引き。順序を追って、その作戦を告げる。




それは、至って簡素な作戦だった。












つづく





かな?

テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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