久々の続き

吸血鬼のやつの続きです(ノ)°ω°(ヾ)

いちさんよん

の続き。(のつもり)
間を置いたからまたちょっと空気変わっちゃったなぁ、と思いました。

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「フェイトちゃん。紅茶飲む?」
「あ、うん。頂こうかな…。」


ぼんやり部屋で考え事をしていて、不意にすずかに話しかけられて思考が止まった。すずかは私の返事を聞く前に私の分をすでに用意していたみたいで、すぐに目の前に紅茶が並ぶ。


「ありがとう。」
「どういたしまして。何か考え事?」


難しい顔してるよ、なんて言われて頬をひとかき。そんなに難しい事を考えていたわけじゃないんだけど…。ちらりとすずかを見れば、すずかはまったりと私の眼の前で紅茶を楽しんでいた。


「あのさ、すずかはその…吸血鬼の夜会とかって、行ったことある?」


気になっていたのは夜会のこと。今夜、なのはがアリサと一緒に行くと言っていた夜会の事だった。すずかはアリサの使役者だし、もしかしたらどんなものか知っているのかという純粋な興味。けど、すずかは私の質問に少しだけ意外そうな顔をしてそれから首を横に振る。


「さすがに吸血鬼の夜会には、行ったことないかなぁ。」
「そっか。」
「アリサちゃんが絶対ダメって。…使役者には、あんまり良い場所じゃないんじゃないかな…。」
「……月村って名前だと、危ないのかもね。」


いくらアリサが居ても。なんて、なんとなく思う。使役者の中でも月村の名前は名門だ。はやての血脈も、また特殊だけど。無論、私のテスタロッサという名もその中に入る。やっぱり特殊で、とても厄介。


「そろそろ2人とも帰ってくる時間かな。」


時計に目をやれば結構な時間。あんまり良い顔をしていなかったなのはのことだから、きっと遅くまでは参加しなそう。なんて事を考えている私に、真っ直ぐ視線を向けたまま。


「フェイトちゃん、使役者の血脈には詳しいんだね。」
「え?なんで?」
「何となく。守護者のことはあんまり詳しくないのに私の血脈の事は少し知ってるみたいだったから。」
「あぁ、アリサがいちいち惚気てくるから…。」


ちょっと苦笑してそう言うと今度はすずかが頬をひとかき。私の本当の名前のことは、誰にも言うなとはやてに釘を刺された。勿論他のみんなにも。だから言うつもりなんて全然なかったんだけど。なんとなく。すずかには言った方が良いんじゃないかって心の何処かで思う。


「でも、使役者の血脈は…割と知ってる方、だと思う。」


途切れ途切れに言った私の言葉。以前すずかには、私の体に施された一種の封印の魔法痕を見られたことがある。使役者に宿る魔力を抑える術。…だから何となく、きっと彼女は察しているんだろうと思う。


「……えっと。」


テスタロッサという名前を、誰かに教えるのはあまりに久し振りで、口にするのが何故か急に怖くなった。変な汗が出る。口にした瞬間、心の奥底に沈めておいた嫌な思い出が、一気に流れ出しそうで。それは例えば、家族を全員失った夜のこととか。


「フェイトちゃん。」
「え」
「良いよ、無理に言わなくて。何を言おうとしたかわからないけど、今すごく顔色悪いよ?」


大丈夫?なんて席を立って近寄って。すずかの手が頬に触れた。とても安心する温かい手。ほっとする。アリサには怒られそうだけど。


「……ご、ごめん。」
「使役者には色んな事情があるし、そういうの全部まとめてはやてちゃんからお願いされてるから、大丈夫。フェイトちゃんの事詳しくは聞いてないけど。」
「そ、そっか…。」


すずかは優しい。それに、使役者としての十分な教育を受けてきたんだろう、色んなこと、何でも教えてくれるし、使役者としてはかなり優秀なんだと思う。だから。


「……あのさ。」
「ん?」
「使役者の特殊な血脈に生まれて、嫌だった事って…ある?」
「……勿論。誘拐された事もあるし。」
「え、ほんと?」
「小さい頃だけど。」


クスッと笑って事も無げにそう言って。すずかは私の頬に手を添えたまま「得なことあんまりないよね」なんて笑う。確かに得なことなんて何一つないかも知れない。それでもすずかにはアリサがいるから幸せなんだろうけど。


「私の本当の名前…。」
「え?」
「テスタロッサ…って、言うんだけど……」


すずかは分かるだろうか。テスタロッサという血脈の話。多分世間的にはずっと前から存在しないことになっていたはず。事実、テスタロッサは私と姉と母しか存在しなくてひっそりと隠れて暮らしていた。……今は私だけだけど。

ちらりとすずかの方を覗き見ると、すずかは驚いたように目を開いたままこっちを見ていた。


「ちょっと、驚いちゃった…。」
「そんな顔してた。」
「それは…うん、隠しておいた方が良いね。使役者の血脈名簿にも、一番最初に書かれる名前だよ?それ。」
「そんな名簿あるんだ…。」
「でも、その名簿にはもう存在しないように書いてあったから…」


すずかのこんなに驚いた表情は珍しくて、ちょっと新鮮。相変わらず私の頬に触れたまま、すずかは混乱してるみたいで。


「あ、あの、誰にも言わないでくれる?」
「勿論。アリサちゃんにもね。…それにしても、うん、はやてちゃんが過保護にしてた理由も納得…。」


そう言って、小さく頷いた。それから、その混乱もすぐに落ち着いたみたいで、すずかは「教えてくれてありがとう」と笑う。やっぱりすずかには教えて良かったと思う。家族を失った事については何も言わなかったけど。


「それにしてもフェイトちゃん肌綺麗だね?」
「うぇ?…す、すずか?」


なでなでと、頬を撫でるすずかの指。何となく距離も近くて少し顔が熱くなる気がした。こんなところ見られたら本格的にアリサに怒られそうだ。

なんていうのも、つかの間。間が悪いと言うか、タイミングが良いというか。数回のノックの後、せっかちに部屋の扉が開いた。そこはもう少し、返事を待つとかした方が良いと思うんだけど。


「すずかー、まだ起きて…ちょっとあんたら何してんのよ!!!」


ドアを開けるなりギャーギャーと。そんなこといったら殺されそう。案の定、アリサが私達の姿を見て叫ぶ。「どしたの?」なんて言いながら、アリサの後ろからひょっこりなのはが顔を出した。二人とも、いつも見る守護者の黒い制服じゃなくて、よそ行きの服。


「あ、アリサちゃん。おかえり。」
「た、ただいま。…じゃなくて何してんのよ!」
「いや、すずかが…」
「フェイトちゃんの肌綺麗だなーって。ほら、みて。」
「いや、見なくて良いよ!」


悪びれもなくそう言うすずかに面食らって、アリサは肩を落とすようにため息を吐いた。案外アリサは苦労性なのかも知れない。


「ただいま、フェイトちゃん。」
「あ、おかえり。楽しかった?」
「…ぜーんぜん。でも帰りに、お土産買えたからまぁ良いかな。」


そう言って出した紙袋。なんでか、なのははとても楽しそうで、こうやって見てると本当に普段「純血の女王」とか言われてる姿は影も形もないように思える。最も、吸血鬼の前での彼女は、私たちに見せる顔とは違う顔をしているんだけど。


「アリサちゃん、何買ってきたの?」
「……私じゃないわよ。なのはがどうしてもって言うから…。」
「とか言ってアリサちゃんだってすずかちゃんにいっぱい買ってきたじゃない。」


素直じゃないアリサにそんな事を言って、なのはは私の前に、何だか包装された小箱を沢山取り出す。


「こ、こんなに…」
「だっていっぱいあったんだもん。見てたら色々欲しくなっちゃった。」


そう言って差し出されたカラフルな色の包みを、差し出すなのはに手を伸ばして。不意に。


「…ッ!」
「っ、な、なに?」


パシッと、私の手が勝手になのはの手を弾いた。少し驚きの悲鳴のような声を漏らしたなのはに、アリサもすずかも視線をこちらに向ける。


「……あ。ご、ごめ」


知っている香りがした。

多分何処かの移り香だろう、少し独特な香水。決してなのはの香りとかそういうものではない、一瞬香ったその香水の香りを。嫌な香り、だと思った。何故か全身に怖気が走る。知っている香りだった。


「ふぇ、フェイトちゃん?」


もしかして具合悪いの?と優しく聞いてくれるなのはの顔を見れなくて、私は俯いたままで。心配そうな声音で私に歩み寄ろうと一歩踏み出したなのはを、静止する。


「なん、でもない。」
「何でもないって顔してないでしょあんた…」
「ご、ごめん本当に…なんでも…」


香り。ほんの一瞬鼻をついた香りに、こんな気持ちになるなんて。この香水は同じ匂いで。私の家族を、私の眼の前で奪った吸血鬼と。思い出して、鳥肌が立つ。あんまり思い出さないようにしていた記憶がじわじわと蝕むように湧いて、呼吸が少しだけ苦しくなった。


「フェイトちゃん?大丈夫?…えと、あ」


今度はすずかに声をかけられて、同時に。後ろから引っ張られる感覚。ちょっと強引なその腕の主は恐らくはシグナムだろう。いつの間に現れたのか、シグナムは私の顔を隠すように、タオルみたいな布で顔を覆う。


「しっかりしろ。息を吸え。」
「シグ、ナム…?」
「貴様ら。今すぐにこの部屋を出ろ。」
「え?私?」
「私も?」
「お前たちにこびりついたその匂いをなんとかしろ。こいつにはそれが適わんのだ。」


顔を覆われたまま、聞こえたのはシグナムと、それからなのはとアリサのそんなやりとり。

思えば2人が行ったのは吸血鬼の夜会。そこに彼が来るのは当然といえば当然だ。彼だって、吸血鬼の中ではかなりの立場の人物だったはずだから。


「シグナム、呼んだ?」


遅くなってごめんな、なんて。その後で、今度流れ込むように部屋にやって来たのははやてだった。やれやれ大変な騒ぎになってしまったと、少し落ち着いた頭で思う。タオルで顔を覆われたことで香水の匂いがわからなくなったから、少し落ち着いた。けど、口を開きたくなくて黙っていた。


「あー。どういう状況?フェイトちゃん大丈夫か?」


聞かれて無言で頷く。そんな私に、はやては「そうか」とだけ言った。


「えーと。シグナム、悪いけどフェイトちゃんの事お願い出来るか?ちょっとの間。」
「承知しました。」
「それから、もし薬必要なら…シャマルに言うて。」
「……いらないよ。大丈夫。」
「そうか。」


はやてがシグナムに言った言葉に、私は「いらない」と返す。…と、はやては少し苦笑したような声で「そうか」とだけ言った。そのままシグナムに連れられて、私はみんなの顔を見ないまま部屋を後にしたのだった。



















突然フェイトちゃんに手を弾かれて、最初に沸いたのは驚きという感情で、それから次に沸いたのは焦りだった。何かまずいことをしたかと。そんな感情。たぶん、初めて抱いた感情だと思う。

見れば彼女はさっきまでと打って変わって顔色が悪くて真っ青で。ほんの少し震えていたような気がした。そんなフェイトちゃんを見て、やっぱり沸いた感情は焦りだと思う。具合が悪いのかなって。フェイトちゃんのそんな様子見るのは初めてだったし。


どうにも様子がおかしいと思ったらいつの間にか部屋にシグナムさんが現れて、今度ははやてちゃんが現れた。それからシグナムさんに連れられて、フェイトちゃんは部屋を出て行った。残されたのは私たちと、ちょっと困ったような顔をしたはやてちゃん。


「えーっと?二人は夜会帰り?」
「ふぇ、…うん。」
「さっきから一体なんなのよ…。」
「フェイトちゃん、具合悪そうだったけど…」


すん、と鼻を鳴らして。はやてちゃんは何か一人で頷いて「なるほど」とか呟いて。


「2人とも、香水臭いな。」
「あー、夜会でつけてる人沢山いたから…かなぁ。」
「フェイトのやつ、香水嫌いだっけ?」


なんていう私とアリサちゃんに、少し苦笑して。はやてちゃんはちょっとだけ真面目な顔をした。だけど、どこか少し悲しそうな顔。


「あのな。二人からする香水の移り香。」


あんま言いたくないんやけど、と続けて。


「同じなんよ。たぶんやけど。……なのはちゃんには言うたよな?フェイトちゃんの家族のこと。ハラオウンの家に引き取られる前の。」
「え、…うん。」


それは、フェイトちゃんの実の家族の話。子供の頃に家を吸血鬼に襲撃されて、という。


「詳細までは言わなかったな。」
「なに…?」


言うのを躊躇っているはやてちゃんの言葉の言い回しが焦ったくて、続きを促す。聞きたいような聞きたくないような。それはたぶんあんまりいい話じゃないから。でも、私は続きを待っていた。


「あー、だから、その。」


フェイトちゃんの家を襲撃して、家族の命を奪った吸血鬼と同じ香水の香り。少し言いにくそうに、だけどはっきりそう言ったはやてちゃん。


「だから、多分。…思い出したんやないかな。」
「もしかして、襲撃された時、フェイトちゃんも…」
「そ。この間はちゃんと言わなかったな。フェイトちゃんは眼の前で……家族を襲われた。」


それは、部屋にいた誰もが言葉を失う事実。私はてっきり、フェイトちゃんが無事だったのはその時家に居なかったからだとかそんな風に勝手に解釈していた。


「ど、どうして…」


それならどうしてフェイトちゃんだけが助かったのか。普通吸血鬼に襲われたりしたら、子供ならなおさら助からないんじゃいないかと、思う。こんなこと思いたくもないし言いたくないけど。

でも、私たち吸血鬼という種族は強い。人間の子供一人に逃げられるなんてこと、そうそう無いと思ってしまう。思いたくないのに。


「…あんまり聞きたくないんやない?」


そう言うはやてちゃんの言葉は多分私とアリサちゃんを気遣っての台詞。衝撃を受けた私とアリサちゃんは正直ショックを隠せない。私たち吸血鬼は誇りを重んじる。弱い者を無闇に傷付けたりなんてことあまり好きではないのが本音で、自分たちの一族にそんな輩が居たなんて言うことが何よりショック。最も、昔からそう言う悪い輩は少なくなかったけど。


「でも、きっと聞くべきなんでしょうね。」


私より先に答えたのはアリサちゃんだった。聞かなくてはいけない義務がある。吸血鬼の次世代を担う中心として、私たちは今後そんな輩を野放しにしないように。アリサちゃんはそう続けた。


「…せやな、二人みたいな子らばっかだったら、いいんやけどな。フェイトちゃんは、生き餌みたいなもんなんよ。彼らにしたら。フェイトちゃんは、わざと生かされてるって言うんやろーか…。」


はやてちゃんが言った言葉。
生き餌。それは、酷く嫌な言葉だった。














fin










つづく。 (かなぁ)

ちょっとシリアス挟みました。

この後はちょっと日常会とか挟みつつアレな感じとかコレな感じしたいです。この後はいつも通りだけどふとした時に心を許さないフェイトちゃんとか。他の使役者候補に「血をあげる」とか言われて揺れてぐらぐらしてるところに鉢合わせしちゃうフェイトちゃんとか。「違うんだよ?」って言い訳するなのはちゃんとか。まぁきっとまたしばらく放置されてしまう系SS。

ちなみに守られてるようになってるけどこれのフェイトちゃんはあくまでも攻めですので(*‘∀‘)
受けに守られる攻めってたまらんのですじゃ。




テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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