doubt 13

先ほど一気に今までのdoubtの更新分を再掲載致しました。
内容を少々変えています。

2年くらい経ってた事に驚きを隠せませんね!
そんなわけで追記よりdoubt13話(新規)です。

そういえば神官の話も近々進めていきたいです。できれば

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「絶っっっっっ対、安静にしてなさいよ!」
「…………はい。」
「疲労も溜まってるって先生言ってたから、なのはちゃんは少しお仕事もお休み。」


ねっ?と微笑むすずかちゃんに苦笑して「はい」と小さく返した。じわりと痛む腹部をさすると、アリサちゃんとすずかちゃんの奥から静かにこちらを見据える彼女と視線がかち合う。







────伏せて!


数日前の、咄嗟の行動。自分の事も顧みない行動をしたことに少しだけ反省した。彼女は目が合うと視線を私からそらす。病院を出たときに向かいのビルから向けられた銃口に気付いたのは偶然で、自然と体が動いて、狙われていたであろう彼女を庇って私は腹部に銃口を受けた。幸いかすり傷程度の怪我で済んだのは良かった。


「……聞いてるの?なのは。」
「ふぇっ」


呼ばれて慌てて顔を上げる私に「聞いてなかったのね?」というアリサちゃん。


「ちょっと、爆弾野郎の取り調べの話聞いてくるって言ってんの。」
「ぁ、じゃあ私も───…あ、嘘。大人しく待ってます。」


じろりと睨まれて、それから大人しくベッドへ横になる。私があの日凶弾に(というほどの怪我ではないけど)に倒れてから数日。私は疲労やらなにやらあったのか数日寝ていたらしく、我ながら情けない話ではあるんだけど…それで、気が付いた時には病院に爆弾を仕掛けた犯人が逮捕されていた。


だから、目が覚めて最初にその事に驚いたんだけど。それにその時以来、そういえば、私はまともに彼女と口をきいていなかった。まぁ、それはなかなか二人になる機会がなかったのもある。だから、皆が出て行って二人きりになるのは久しぶりだと思った。


「…私が寝てる間に随分事件解決に貢献したって、アリサちゃんに聞いたけど。」
「別に大したことはしてないよ。」
「あ、そう。」


なんとなく、調子が狂う。どうしてだろう。倒れる拍子に、彼女の酷く狼狽した顔を見たからだろうか。正直意外だった。そもそも夢なのかもしれないけど。


「……。」


なんとなく押し黙る病室で、不意に、先に口を開いたのは彼女で。


「どうして、あの時私を庇ったの?」
「え…。」


いつもの嘲笑するような瞳でなく、馬鹿にするような声でもなく。ほんの少し低い声。どうしてと言われても、明確な理由なんてない。ただ体が勝手に動いただけ。


「別に理由なんて。」


そっくりそのまま言うと、彼女は小さく息を吐いた。少し呆れたような馬鹿にしたような溜息を。それから、どこからともなく小さな本を取り出して目を向ける。そんな本に視線を向けたまま、彼女は口を開いた。


「…長生きしないよ?その性格だと。」
「かもね。」


馬鹿にするような言い方ではなくて呆れた物言い。なんとなく、まだ薬が効いているせいかそれとも病院の空気のせいなのか。少しだけ眠くて目を閉じる。するとすぐに睡魔がやってきて、眠りにつく前に、微かに。小さく何か言ったような声が聞こえた気がした。





















それから私が病院を出たのはまた数日後の事で。弾丸は横腹をかすっただけの怪我ということもあって、すぐに現場に復帰した。もちろん皆には反対されたけど。だけどいつまでも休んでるのも性分じゃないし、なんて言い訳しながら。


「はぁ、机久々な気がする…。」
「あんた本当に仕事の虫ね。ちょっと休んでたらいいのに。」
「そういうわけにはいかないよ。それにもう結構休んだし。」
「なんや、私も居るし遠慮せんでもよかったのに。」


そう言ってコーヒー片手にいうのは先日まで別な仕事に明け暮れていた、親友で同僚のはやてちゃん。彼女はつい先日まで爆弾魔の捜査を担当していた。…けど、無事にそんな犯人らを逮捕して、ようやくこっちでスカリエッティの方の捜査に戻ってきたというわけ。


「それで早速なんだけど、新しい情報は?」
「んー、とりあえず無しね。…というよりは例の爆弾魔なんだけど、奴の情報はそんなに知らないみたい。と言っても彼らはスカリエッティの熱烈な信者のようだけど。」


だけど、根本的な情報は知らない。例えば潜んでいる場所だとか、そういった肝心な情報を。


「んーじゃあ、また振り出しに戻るって感じかな。」
「フェイトはどうなの?」
「…ん?」


不意に、部屋の隅、窓際に立って外を眺めている彼女へと呼びかけたのはアリサちゃんだった。そういえば彼女は一応はやてちゃんとは初対面ということになるんだけど。


「おお、貴女がフェイトちゃんか、噂の。」


よろしゅう、なんて先に切り出したのははやてちゃん。初めまして、なんて握手付きで。もちろん微笑を浮かべたまま、彼女もそれに応える。けれど。


「初めまして、では無いんじゃない?」
「ありゃ?」
「…私がいた監獄で、会ったよね?」


くすっと笑って、そう言うとはやてちゃんはこれまた不敵な笑みを浮かべて「流石やね」なんて。またしても険悪な関係性が増えるのかと思いきや、はやてちゃんはにっこりと笑った。屈託なく。


「いや、本当。…捜査に協力してくれて、有難う。」


爆弾の排除の件、情報の提供の件、どれをとっても、確かに今まで難航していた捜査の進行には少なからず彼女の協力が大きく関係していた。性格面に多少難ありだとしても。


「これからも宜しくな?」
「…こちらこそ。」


小さく笑みを浮かべて、彼女、フェイト・T・Hはそのままデスク付近の椅子に腰掛ける。相も変わらず深く腰掛けて、足を組んでその上で、指を組む。物を考えるときの彼女の癖なのか、なんなのかよくわからなかったけど。結局彼女はそのまま何を考えているのかよくわからない表情をしたまま、何も言わなかった。









そうして、そのままその日の捜査は中断して、各々帰宅することに。数日間病院に居たから何だか自分の家は久々な気がした。そういえば。


「そういえば私が病院にいる時、貴女何処に…」


居たのか。帰宅して早々そう問うと、彼女は「病院に居たけど?」と笑う。少し嘲笑するように「気がつかなかったの?」とも。


「いくら私でも、君が怪我をしたことに少しくらいの罪悪感はあるよ?」


目にわかるほど意外そうな顔をしていたのか、私の顔を見て少しの苦笑。そういえばやっぱり、あれは彼女を狙ったものだったのかと少し眉を寄せた。


「誰かに、狙われる心当たりとか…」
「あるに決まってるじゃない。…今までどれだけの人を騙してきたか、君はよく知ってると思うけど?」


そう言われて。私はそれ以上何も言えなかった。けど、そんな私の心情などお構いなく。ふと、視界に影が落ちた。


「な、に…?」


目の前には彼女が立っていて、目の前には案の定、不敵に笑う彼女。思わず、何となく目をそらす。少し打ち解けたような気がしたけど何となく、やっぱり彼女の瞳が苦手だった。今度は壁に追いやられていないぶん、少し余裕がある。


「この間のさ。」
「…き、ゃ」


と思ったのもつかの間で、リビングのソファーに突き落とされる。少し乱暴に。なんというか勢いよくソファーに腰掛けた形になった。


「何す──…」
「ちゃんとしたの、貰ってないなぁって。」
「は?」


ゆらりと近付く影。本気になれば容易く払いのけられるはずの彼女なのに、何故か体が金縛りにでもあったみたいに硬直していた。違うかもしれない。もしかしたらほんの一瞬、彼女の瞳に惹き込まれていた。…のかも知れない。


「ぅ、んッ──」


なんて、思ってる隙に彼女との距離がゼロになった。予期できたけど、でもあまりにも突然で。抵抗しようにも、彼女の手に阻まれて、情けなくもされるがままだった。顔を反らして逃げようとしても逃げられなくて、そうしている間に呼吸が苦しくなって息を吸う。瞬間、彼女が唇の角度を変えた。唇を舐めるような舌先。


「やッ、…」


思わず背筋が粟立って、彼女のくちびるを噛む。瞬間に、少し鉄の味がした。


「いた…」


ようやく離れた彼女は、指先で唇の傷を確認しながら「酷いなぁ」なんて笑う。けど、私はそれどころじゃなくて。肩で息をして、目の前に少し距離を置いて立つ彼女を睨み上げた。


「何するの…突然…!」
「この間のお礼っていうか。ほら、爆弾解除したじゃない。」


あれはキスって言わないからさ、なんて飄々とした態度でそう言って、どこかさっきまでと違った瞳をこちらに向ける。


「そろそろ観念したら?」
「え…?」
「わざわざ危険を伴ってまで、私をここに置く必要は無いんじゃない?そんな風に震えながら。」
「……。」


何が言いたいのか。何も言わずに彼女の顔を見る。


「君は自分の危険を少しくらい省みるべきだ。」
「そ、んなの──…」
「いい加減、懲りなよ。」


少し低い、冷ややかな声。


「私が加減しなかったら君はもう何度か犯されてるだろうし、私がその気なら君はもう何度も死んでる。」


そういうことをしているのだと、彼女は言った。怒っているとも呆れているともとれる、彼女にしては珍しい空気。


「…まさかとは思うけど……」


ありえない考え。以前祝賀会に潜入した時と同じ考えが、ちょっとだけ、沸いた。彼女はすぐに表情を変えて相変わらずの絵がを浮かべる。冷ややかな、笑みを。


「もしかして私の心配…してるの?」


心底わからなくてそう問うと、彼女はこれまた意外な顔をした。予想外ともいうか、そんな顔。初めてみる顔だった。今しがた私が言った言葉を理解できないのか、少しだけ考えて。それから微笑した。いつもの顔で。


「勿論。」
「それはどうも。でも、私だって相手を見極めることくらいできる。」


現に彼女はいつも脅すだけで、肝心な手は進めない。今だって。本当にその気なら忠告なんてしないはず。


「それに貴女は、約束破りは嫌いって言った。」
「……ふぅん。」
「馬鹿にしないで。」


結局彼女が何をしたいのかよく分からない。私を脅して嫌がらせをして楽しんでいるのか、まさかとは思うけど心配して忠告してのか。そこまで言うと、彼女は気が逸れたように、息を吐く。


「まぁ、いいや。……君は君の好きにすればいい。」
「勿論。」
「疲れたからもう寝るよ。私。」


そう言って向けられた背中に皮肉交じりに「どうぞ」と呟いて。私はそのままその背を見送った。





何てことはない。きっと彼女は今回も久々に私に嫌がらせをしたかったんだろう。まだ微かに血の味の残る自分の唇に指で触れて、なんだかどっと疲れた気がして、その日、私もそのまま眠りについたのだった。























テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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