doubt 17

水樹さんのライブに行ってきますた\( 'ω')/楽しかった!!!ウォァーーーーヾ(⌒(_*'ω'*)_

とりあえず書きだめしてたやつを…

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何かに執着するのは実に無様で、正直言うとジェイルにこんなにも執着する彼女が少しだけ可哀想に思えた。まして、どんな手を使っても彼を逮捕したいというその理由が他人の為なんて。私の協力を得る代償に自分の身体を賭けた彼女がとても愚かに思えて、滑稽で、でも、何故か少しだけ焦れた。

そう、本音を言えば。

そして、他人の為に身を投げ出すなんて馬鹿な奴だと内心で嘲っていたのに、あの日私を庇って怪我をしたその馬鹿な彼女の姿に、何故か酷く心が乱れたのを覚えている。



結局、私も同じなのだ。

確かに執着している。彼に。だからそれは同類を憐れんだ気持ちで、同病相憐れむと言う奴かもしれない。
あぁ、だけど私と彼女とは決定的に違う部分がある。それは、私がやってるのは自分の為だということ。

他人のためなんかじゃなく。




















「ジェイルの経歴とか、そういうのって調べてるの?」


椅子に座るなり、ぽつりと口にした彼女の質問に、いち早く答えたのはアリサちゃんだった。彼女は目を閉じたまま、何か考えるように眉を寄せて、黙ってアリサちゃんの話を聞く。


「それなりにはね。…生物兵器だとか…要約して言えば毒物や薬物の散布。他者による実験とかそんなとこかしら。だから生物テロ扱いになってるわ。」
「ふぅん。」
「フェイトちゃん、他にも何か知ってるの?」


ゆっくりと目を開けた彼女に、すずかちゃんがコーヒーを差し出してそのまま問う。と、彼女は眉を寄せたまま、息をついた。


「彼は元々は医者だったんだよ。」


データも何もないけどね、と笑って続ける。曰く闇医者とか、そういう類のものだったみたい。あまり良いものではない医者。


「けど、そのうち臓器売買に手を出すようになり、やがては今のような科学者になった。それこそ人体実験だとかやるような。」


まぁ、元々狂った人だったけどね、と続ける。昔からの知り合いなのかと聞いたはやてちゃんの質問には何も答えず、少し笑っただけだった。


「彼はね、自分の頭脳を残したいんだ。」
「は?」
「端的に言えばね。彼は自分が神か何かだと思ってるんじゃないかな。そこまでは思ってないかな。ただ、うん。…その為に、…色んな実験をしてた、と思う。人間の生体を知る為の。」


主に、犠牲になったのは子供だった。そう続けた彼女の言葉に、小さく唇を噛む。聞いて、最初に沸いたのは怒りだった。


「……それを」
「うん?」


発した言葉は震えていて、自分の声じゃないみたいに低い。けど、感情が止まらなかった。こんなの、彼女に言っても仕方がない事なのに。


「それを知ってて、何もしなかったの…?」
「………私?」


そんな私に、彼女は少しだけ困ったように笑う。「勘弁してよ」と言うように。


「何かすると思うの?」


そう言って、彼女はコーヒーに手を伸ばした。…伸ばした所で、咄嗟に。本当に、怒りに身を任せた衝動的な行動だと思う。気が付いたら私は立ち上がって彼女の頬を叩いていたし、彼女からしたらいわれのない暴力だと思う。そう理性では分かっているのに、気が付いたら彼女を叩いていた。

──パシッ、という乾いた音が部屋に響く。

彼女は叩かれた事に対して恨み言も何も言わなかった。相変わらず、いつも通り。「痛いよ」なんて笑って。


「……私に当たられても、私は彼じゃないよ。」


そう綺麗に微笑して言われた正論。分かってる。分かりきってるのに、それが悔しかった。


「なんで…何とも思わないの…?」
「なのはちゃん、ちょっと落ち着こ…?な?」
「分かりきってた事じゃないの?私は犯罪者だよ。ここに来る前に、私が何処に居たか、そこから連れ出したのは他でもない君だったはず。……道徳が通じるなら私はあんな所には居なかった。」


彼女にしては珍しく、少し大きめの声だった。


「勘違いしているようだから言うけど、私は誰が何の犠牲になっていようが何とも思わないよ。…思うとしてもそれは同情心。あぁ可哀想に、とか精々そのくらいだろうね。」


がっかりした?なんて酷いことを言う。分かってる。彼女は、聖職者じゃない。……心の何処かで期待してたのかも知れない。彼女に、そんな気持ちがあったんじゃないかって。そしたら、私と彼女は、もしかしたら分かり合えたんじゃないかって。だけど違った。


「私に何を求めてるか知らないけど」


顔は笑ってるのに、ほんの少し冷たい声で。


「残念ながら君の期待には応えられないよ。それに私は捜査官じゃない。」
「………。」


そうとだけ言った。どうしてこんなに苛立つのか。彼女の笑顔に、言葉にどうしてこんなにも傷つくのか。じわりと、胸が痛んだけど、傷付いた顔を見られたくなくて、そんな気持ちに気付かれたくなくて。


「なのは?何処行くのよ!」
「…ちょっと頭…冷やしてくる。」


血が上った自分の頭を冷やそうと、少しだけ苦笑して私はそのまま捜査室を出た。顔を向けなかったから、彼女がどんな顔をしていたかは見なかったけど。

















「……はぁ。」


誰も居ない場所に来て、息を吐く。自分でも分かってる事なのに、それを他でもない彼女に言われて腹が立った。彼女は捜査官じゃない。仲間ではなく、本来なら私たちが追うべき相手。つまり敵だ。


「なに、やってるんだろ。」


あんなに感情を剥き出しで、彼女に八つ当たりして。無様に思われただろうか、と少しだけ苦笑した。頭を冷やしにやって来た局の屋上はいつも無人。基本的には。空が近くて、風が気持ちよくて心が落ち着く。だから、考え事には最適。


「……。」


どうしてこんなにも気持ちが波立つのか考えてみた。ジェイル・スカリエッティに対する怒り?…それは勿論。彼女に対する怒り?でも、彼女は捜査官じゃない。分かってる。彼女は犯罪者だ。そんな彼女に「困ってる人を助けろ」なんておかしすぎる。じゃあ何なのか。彼女が捜査官じゃない事に対する怒り?…というよりは悲しさ、なのかもしれない。


「子供みたい…。」


くしゃりと前髪をつかんで、小さく呻いた。彼女には彼女の人生というものがある。それは、どんな内容でも。それを自分が「こうなって欲しかった」なんて思うなんて馬鹿げてるし、傲慢だと思う。考えて、しゃがみこもうとして、そこで足音が聞こえた。


「へぇ、こんなところがあったんだ…。」
「なんで…ここに居るの。」


やって来たのは紛れもない彼女だった。何となく気まずいのは勿論だし、正直言うと今は顔を合わせたくない…というか。なのに彼女はそんなのお構いなしにやって来た。最も彼女はいつだって私の気持ちなんてお構いなしだけど。


「さっきは悪かったなって。」
「え?」


思いもしない謝罪の言葉に顔を向ける。けど、すぐに気休めの言葉だと分かった。さらりと言ってのけたその言葉同様、彼女に気にした素振りはない。勿論、彼女に悪いところなんてない。彼女は正論を言っただけ。


「…はぁ、もう良いよ。貴女は貴女のやるべき事をやってくれたら、それで良い。」


あんまり深く考え込むのを止めよう。なんだか囚われてしまいそうで怖い。息を吐いて、空を仰ぐ。太陽の眩しさに眼を細めると、彼女が隣で笑った気がした。


「なに?」
「いや、何でも。ただ…」


言いかけて言葉を止めて。


「惜しいなって思っただけ。」
「は?」


脈絡のないその台詞に疑問符を浮かべる。けど、「何が?」とは聞けなかった。


「ん、っ…ぅんッ」


顔を向けた瞬間に、唇を塞がれたから。顔が近づく瞬間に避けようと思えば避けられたその行為。息が続かなくて、空気が欲しくて少しだけ開けた唇に。


「なっ…ん、ぅ…」


器用に舌が入ってきた。撫でるように侵入してきた彼女の舌が、逃げる私の舌を追い回すせいで、力が入らなくて立っているのが少し困難になってきて。酸欠のせいか、それとも別の理由があるのか。そんなの考えてる余裕なくて、思わず彼女の唇に歯を立てる。


「…ッ、痛……」


咄嗟に彼女が歩を引いた。と同時に私は血の付いた唇を、手の甲で拭う。不足気味だった空気を肺いっぱいに吸って、それから少し距離をとった。相変わらず油断も隙もない。いつもそうだけど。


「なに、するの…。」
「それはこっちの台詞。…気安く、触らないでって言った筈なんだけど。」
「もう、しないよ。」


両手を上げて降参のポーズ。彼女は唇から血を流しながら笑う。


「ジェイルを捕まえたら、ちゃんと触らせてもらう。」
「……はいはい。」


からかうように、意地悪くそう言って。彼女は薄く微笑した。どこか儚いような雰囲気を携えて、たぶん今まで見た中で一番綺麗に。


「けど…残念だよ。」
「…なにが?」


それから表情を変えて、小さく呟く。ほんの少し低く、底冷えするようなそんな声に顔を上げて彼女の顔を見るけど、彼女はいつも通りの顔だった。何だか嫌な予感がするそんな顔。


「…私、もう戻る、けど。」
「うん。」


貴女は戻らないの?と言いかけて。首筋に指が触れた。彼女の。不意打ちとかじゃない、緩やかに伸びた腕を、どうしてか避けることが出来なかった。少しだけ寂しそうな瞳に惹かれてしまったせいかもしれない。だからかな。


「──君は、君の場所に戻るといい。」
「なん…」


そう言われて、チクリと首に走った痛み。しまったと思った。思った瞬間には膝の力が抜けて、倒れる拍子に彼女に受け止められて。それから、静かに壊れ物を置くみたいに壁沿いに座らされた。彼女の顔から表情は読み取れなくて、何か言いたいのに、声が出なくて唇だけが動く。


「…裏切る形になってすまないけど、やっぱり私はジェイルの元へ行くよ。……私とジェイルには切っても切れない縁がある。」


彼女の首に巻かれたチョーカーが無いことに、今更気が付いた。次いで、GPS機能が付いたピアスも無い。取れないはずなのに、彼女にはそんなの関係なかったみたいだった。


「悩んだんだよ。本当に。」


ふわりと私の前髪を撫でる彼女は初めて会ったときに見た、自信に満ちた表情で、傲慢な笑顔を浮かべていて。


「だけど、やっぱり僅かにジェイルの方に分があったんだ。君という報酬は少し惜しかったけど。」


だから悪く思わないでね、と笑って。体を動かせない私の額にキスを落として立ち上がる。

そして、そのまま一度も振り返らず、彼女は私の視界から消えた。悠々と歩いて、微笑を浮かべたまま。


薬のせいで体が動かせないまま、朦朧とする意識の中で「裏切られた」という気持ちだけが妙に鮮明に滲んだ。騙された、という事実。完全に信じていたわけじゃ無いのに、こうなる危険性はあるって分かっていたのに、なのにやっぱり傷付いた自分が居て。

どうしてこんなにも傷付くのか、それだけが分からなかった。
















テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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