doubt 20

という事で。

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「罠じゃないはずがないわね。」
「…うん。」
「とは言っても、フェイトちゃん自身場所まで指定してくるあたりリスクもあるはずや。」
「うん。」
「行くなら、ある程度の部隊をまとめて連れて行ったほうがいいかも知れない。それか、行かない方がいいとは思うけど…。」
「うん、そうだね。」


アリサちゃん、はやてちゃん、すずかちゃんが各々に言う言葉に納得した頷きを返して、目を閉じた。


「それでもなのはちゃんは行くって言うんでしょ?部隊も連れず。」


続けて言ったすずかちゃんの言葉に、目を閉じたまま頷きをひとつ。……そのまま目を開けたら、何ていうか皆それぞれ色々と言いたそうな顔をして、でも黙って私の言葉を待つ。何となく、心の中でごめんねと思った。


「私は、行くよ。──罠だとしても、チャンスだと思うから。」


私の言葉に「頑固ね」とアリサちゃんが息を吐いた。まぁ
、自他とも認める頑固なところが私にはある。それは、彼女を監獄から出した時も、自分のゲストルームに止めると決めた時も皆に言われたけど。でも、今回のはそれ以上の頑固さだったかも知れない。…行くと決めたら行く。例えどんなに危険でも。


「そんなら、私らも一緒なのが条件や。」
「ふぇ?だめだよ、危ないし…!」
「そんな危ない所になのはちゃん1人で行くつもりなの?」


だったら承認しかねちゃうね、なんて涼しげな顔で言ったのはすずかちゃん。すずかちゃんは「行くなら条件は皆一緒なこと。」なんて微笑んで、それが飲めないなら全力で行くことを阻止するとかそんなことを言う次第。何ていうか、すずかちゃんには敵わないって言うか。


「…わかったよ、でもあんまり皆無茶はしないでね?」


自分のことは棚に上げてそう言った私に、三人はそれぞれ溜息をついたのだった。

そうして、私達は準備をして彼女が指定したその場所へと向かう。そんなに遠くはないけれど、普段足を踏み入れるような場所ではない私有地。指定された時間には、辺りに人の気配なんてなくて踏み入れたその地にあったのは廃墟とも言える二階建ての建物。外見だけで分かる。なんとなく、あまり良い場所じゃなかった。
















「陰気な場所ね。」
「うん…ちょっとカビ臭い気もする。」


警戒しながら踏み入れたその建物。人の気配のないその建物の中を捜索しても彼女は居らず、罠なんて思しきものは未だに見つからなかった。単に、彼女にからかわれたのかと眉根を寄せた。


「なのは、その部屋…。」


と同時に、アリサちゃんに肩を突かれた。薄暗い建物の中、その部屋にだけうっすらと明かりが見えた。警戒しながら部屋に足を踏み入れて、部屋の中を目視する。

二階にあったその部屋は、研究室とか、そんな風に呼ぶのが相応しいだろう造り。結論から言うと、その部屋は研究室だった。今も使用しているような痕跡がある。その部屋には沢山の痕跡があった。恐らくは、ジェイル・スカリエッティの。

学校の教室一室くらいの広さのその場所には人が1人入れるくらいの大きなガラスの水槽のような物がひとつあって、その他にはパソコンやら本棚やら。机には書籍が山のように積んであって、果てはコーヒーのカップまで置いてある。ひんやりとしたその部屋に、生活の痕跡。おおよそこんな場所で生活せる人の気が知れないけど、きっと彼なら少なくともここで生活できるんだろう。彼のような異常な人間なら。


「随分悪趣味な部屋やね…」
「ここ…ジェイル・スカリエッティの…?」


机に広げられた書籍。科学実験やら、人体実験の内容から、臓器移植、売買。果ては人造生命。ホムンクルス。おおよそそんな気の狂った書籍が目に止まる。こうなると彼はいよいよ狂っているのだと分かった。




『──僕の部屋へようこそ。』


その刹那。薄らい寒いその部屋に響いた声にびくりと体が跳ねた。驚いたのもある。反射的に銃を構える私たちに、だけど標的の姿は無かった。つまり、声だけ。その声は生声と言うよりは電話の声のような、そんな音で。


「なっ…何処にいるの?」


やっぱり罠だったと、唇を噛んだ。もしかしたら、彼女が私たちに有意義な情報を教えてくれたのかも知れないと、諦めきれず最後の最後まで、少しでも期待した自分を恥じた。揚句、大事な友達まで巻き込んでしまった。


『何処、と言われてもねぇ。……ふむ。思っていたより些か甘いね。罠だと分かって来ているんだろう?』


初めて聞いたその声は、どこか白々しくて薄気味悪い。ジェイル・スカリエッティの声だとすぐに分かった。馬鹿にするような物言いで、彼は続ける。


『そう物騒な物はしまってくれたまえよ。どうせ私に向けることは出来ないんだ。そんな物を持つより、少し話でもどうかな?』


彼の姿は見えないけど、彼からは私たちの姿が見えている。そう言いたいんだろう。私達は4人でここへ来た。もちろん万一の時はユーノ君に力を貸してもらう算段にもなっている。けれど。


「なのはちゃん。ドア…ロックされてるみたい。」
「…うん。」


遠隔でのキーロックが可能な建物には全く見えなかったけど、いつの間にかその部屋のドアのランプが緑から赤に変わっていた。退路くらいしっかり確保しておくのが基本なのになと、今更になって思う。罠だと分かった上で来たくせにこの有様。勿論それなりの対策は考えてあるけど当の本人がここに居ないのであればどんな手を使ってでもここから立ち去るのが上等な手段だ。なのに私にはそれが出来なかった。

執着は愚かな事だと分かっている。ましてやこの状況では。それでも、ようやく彼に近づいたこのチャンスを最大限に利用したかった。


「……自分だけ私たちの様子を伺ってるなんて本当悪趣味ね。こっちにも姿を見せるくらいしたらどうなのよ。」
『ふむ、……それもそうかな。じゃあそうしよう。』


そう言ったと同時に、正面のモニターに電源が入った。あまり映りが良いとは言えないそのモニターの中にいる男。白衣を着た、少し痩せたその男は改めて「初めまして」と薄い笑みを浮かべた。その隣には、前に彼女が言っていたであろう、確か名前をクアットロと言った彼の助手のような女性が一人立っていて。それから。


「……っ、」


彼の後ろに、見慣れた人物が立っていた。フェイト・T・H。その人物は、画面のこちらに視線など向けず、沈黙を守ったままただ立っていた。無感情な表情のまま。

やはり、彼女とは相容れない。それだけが分かってしまった。命すら危ういかも知れないこの瞬間に、そんな馬鹿な事を考えた自分を、そんな事に傷付いた馬鹿な自分を叱咤して、私は口を開く。全ての感情を飲み込んで、やるべき事を。


「ジェイル・スカリエッティ。…貴方を逮捕します。」


大方こんな状況じゃ難しいそれを、今この瞬間口にした事で、私に対しての目標を。彼に対しての宣戦布告をした。今は彼女の事を頭から追いやって、真っ直ぐに画面の向こう側の彼を睨みつけるように見る。


今、私の中にあるのは彼を捕まえる事だけ。その気持ちにだけ専念した。


だから、気付かなかった。




部屋に居た、私たち4人以外のもう一人の気配に。
そこにいるはずの無い、その人の存在に。













続。


終わりにできるかなこの話…( 'ω')←

テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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