神官の続きがあった

なんか、書いてたの忘れてたみたいでした。
あの、神官だったフェイトちゃんが騎士的なやつにジョブチェンジしたやつ。

もう覚えてないかも知れないけど、後でリンク貼りますね…前の話と。

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「──…は…」


身体が震えた。寒さでもなく恐怖でもなく。間違いなく、守るべく人を無事に逃がせた安堵感。その背が、足音が遠くなるのを確認して、フェイトは息を吐く。一言だけ言葉を交わしたなのはは自分が知るよりも大人に近づいていて。とても綺麗になっていた。気高さと美しさ、それに瞳には聡明さも伺えた。彼女が健やかでよかった、と微かに笑みを浮かべる。新手の兵士の足音に、少しずつ退路を守りながら、襲い来る兵を薙ぎ倒し、息を整えた。


「そろそろかな。」


ほんの少しの疲労感を感じて、それから予め決めておいた退路へと向かった。怪我はさほど無く、概ね順調であるその作戦は随分と簡単に事が進んだ気がした。その姿を見るまでは。


「………な。」


共も連れず、あまりにも無防備に。突如として目の前に現れたそれは憎き宿敵、アルハザードの唯一王その人物だった。あまりにもあっさり現れ、目の前に立つその王に、一瞬偽物かとも思ったが纏う空気が彼が本物だと物語っていた。王と言うには少し痩せこけているような風貌。


「やぁ、君が噂のフェイトちゃん、…かな?」


フェイトの姿を見て、君の話は予々聞いていたよと笑う。隙だらけに見えて一切の隙がない、不思議な男だった。……が、フェイトにとってはまたとない機会。もう二度となのはを脅かすことが無いようここで仕留めておかねばと、とっさに剣に手を伸ばす。護衛が居ない今が、恐らくは最大の好機だった。


「その命、貰い受けます。」
「良いけど、高いよ?僕は。」


抜いた初撃をかわされて、その男はゆらりと体を揺らすと、腰から剣を抜いて、静かにフェイトへと向けた。


「僕の命の代償は。そうだなぁ、君の命でどうかな?おあいこといこうじゃ、ないか。」
「…ッ、ぅくっ」


見た目に似合わず、話しながらでもとても重い一撃を放つ。振りかざされたその一撃を、受けたフェイトの手が痺れた。王と言うものは伊達では無いらしい、フェイトは歯を食いしばる。


「僕はね?元々は君と同じ。」
「……?」
「神官だったのさ。」
「なっ…」
「意外かな?」


神官が王になるなど聞いたことが無い。勿論、王族と結婚する事は少なく無かっただろうが。しかし、彼はこの国の唯一王だ。王族と結婚したわけではないはず。


「本当はね、ウミナリの君のお姫様の事も、その国土にもさして興味は無いのさ。」
「は?」
「ただあまりにも退屈で。」


だから戦争がしたい、と。悪かったね、と笑うその男にフェイトの血が沸いた。この男がいなければ、自分は。なのはは、穏やかなあの国で何事も無く過ごして居ただろう。この男がいなければ。ぐぐ、と剣を持つ手に力が入るのを見て、その王が笑う。


「悪かったと思っているのは本当さ。……だから無傷で返しただろう?君のお姫様を。」
「…なぜ?」
「僕は元々は神官だったからさ、知識欲は多い方なんだ。君もそうじゃないかな?……なんにせよ、今は君に興味がある。」


ゆらりと剣を揺らして。


「いや、国土に興味が無いというのも嘘かな?どこまで出来るかというのにも大いに興味がある。」
「……。」
「うーん。違うかな?興味がなさ過ぎて滅ぼしたくなったという方が良いかな?」


支離滅裂。気でも触れているのかとフェイトは眉を寄せるが、少なくともやはりこの目の前の男は本気だった。興味が無いから滅ぼすというわけのわからないその話にこれ以上耳を傾けるのは無駄なような気がして、今一度剣を構える。


「おや。」


やるのかい?と目で笑うその男を無視して、息を止めた。神経を集中させて、脇目も振らず剣を下ろして振り上げるように斬りかかる。が、やはり易々と受け流されて、逆に自分の顔面目掛けて鋭い突きを繰り出された。瞬時に首を傾げて辛うじて、頬と耳を掠めるだけに済んだその一撃に、息を飲む。

風貌によらず恐ろしく、強い。勿論フェイトの技量も相当なものだが、その王はそれ以上だった。


「……もう一度言うよ。今なら、見逃してあげよう。」


そう言って笑うその王。ならばこの男の気が変わらぬうちにこの場を後にした方が賢明だ。ここでこの男を殺しておく事が最上の一手だが、そう容易くは無い。時間も無い。賢い考えなら、すぐに分かる。フェイトは感情を殺して静かに腰の鞘に剣を収めた。


「それでいい。賢い子は嫌いじゃない。」


アルハザードの王の、この男の名はジェイル。確かそうだったと、フェイトは息を吐いた。然とその名を脳裏に刻み、その男に背を向け、兵士たちの死骸を踏み、その場を後にする。逃げるが勝ち、目の前に宿敵がいて、討てなかった事に舌打ちして、フェイトは合流地へと急いだのだった。


























「シグナム、本当に大丈夫なんやろな?!」
「あの程度でどうにかなる腕だとは思っておりません。」


幸いにも城内は手薄でした、と続けるシグナムに、はやては息を吐いた。フェイトがかの王と対峙している頃、そんなことは露知らず。なのはを連れたシグナム等は無事に城を抜け出し、はやて達と合流していた。


「なのはちゃん、大丈夫?」
「ん…うん…。」


そう問われたすずかの言葉に小さく頷く。城から出て、どの位の時が経過したのか。未だに、フェイトの存在を信じられないまま、なのはは瞳を閉じる。城を無事に抜けて、はやてと会い、そこで自分を救出するに至った経緯を聞いた。その内で、フェイトの事も。


「……ッ」


思い出して、今一度胸元を強く握る。地面にしゃがみ込んだまま、涙を落とした。彼女が生きている。触れてない分実感は薄かったが、あの姿は紛れも無く彼女だった。


「しかし、本当にどうしたんやろ…フェイトちゃん。」
「遅いですね。」


そんなフェイトへの想いに耽る間はなく、はやてとシグナムの言葉に我に返った。月が高く、夜も更けた。フェイトの合流が遅い事に、皆少しだけ焦れていた。城から少し離れた森の中。大した騒ぎにはならなかったとしても、時が経てば経つほどなのはが脱出した事が露見する確率は高く、なのはの脱出が発覚すれば当然追っ手が来る。あまりのんびりはしていられなかった。


「まさかとは思いますが、ここまで遅いと──…」


もしかして、という空気。はっとして、立ち上がって、なのはは自分を助ける算段をしたこの一団の中心人物に駆け寄った。はやてと名乗った彼女はミッドチルダの人間だと言っていた。万が一にもあってはならない事態。なのはにとっては口にするのも恐ろしい予想。もう二度とあってはならない、彼女との別れ。


「フェイトちゃんに限ってまさか死ぬなんてこと─…」


……を、はやてが口にした瞬間。茂みの奥で、影が揺れた。


「……まだ、生きてる。」


ガサガサと、葉を揺らし、頬を血に濡らしてフェイトがふらりと出てきた。ローブは破けて、そこそこ無茶をしたということが一目でわかる姿。


「おぉ、無事だったか!!」
「フェイトちゃん!!!!」
「う、わっ」


口にしたのは同時で、動いたのは僅かになのはが早かった。


「フェイトちゃん、本当にフェイトちゃんなの?」
「ん、えと…そうだよ。」


血だらけで少しだけ埃にまみれた自分の姿が少しだけ恥ずかしくて苦笑で誤魔化す。


「なのは、怪我は──…」


怪我はない?と聞きかけて、フェイトは息を飲んだ。


「フェイトちゃん…良かった…無事で…生きてて…」


間近で見た、なのはの涙に濡れた瞳がとても綺麗だったから。一目見たときよりも鮮明に間近で見つめて、何だか知らない女の子に見えた。


「2人とも感動の再会してるとこ悪いけど、ここから先が勝負やよ?」
「わ、わかってるよ!…なのは、なのはは危ないから隊の中心に居て。」
「ふぇ、フェイトちゃんは?」
「私は後方を守るから。」


はやての提案は一緒にいる事だった。…が、フェイトははやての心遣いに首を横に振って自ら後方守護を志願した。安易に、力があった事もある。けれど、それだけではなかった。なんとなくもう側にいれないような気がしたし、何よりも、剣を握るところをあまり見られたくなかった。あまりにも変わってしまった自分を見られたくなかったからだった。


「やだ。」
「え?」
「じゃあ私も、後方に行く。」


が、フェイトの考え通りにはいかず、なのはが今度は首を横に振った。風貌は随分大人びたのに、その仕草に幼さを感じて、わがままな姫の相手をした、昔の平和だった頃を思い出す。


「な、…でも、危ないから…」
「私は、フェイトちゃんの側に居たい。」


小さく袖を掴んで、少しだけ泣きそうな、いじらしい顔で。なのはが言った言葉に苦笑して、結局折れたのはフェイトだった。







fin



この後、敵兵ほ子供の兵士とかを容赦無く殺しまくってなのはちゃんに「まだ子供なのにどうして…」とか非難されてちょっと2人の間にすれ違(略
そしたら急に敵を殺せなくなっちゃって敵を見逃したら逆に刺されちゃうフェイトちゃんとか、そしたら人の命は平等だけど自分にとっての大切さは全く違うと気付いて、「殺されるくらいなら誰を殺しても生きて」みたいな我儘を泣きながら言うなのはちゃんとか、フェイトちゃんを助けるために咄嗟に敵を殺めて傷付くなのはさんとか、続かないけどそんな妄想してたあの頃。


あぁ懐かしい( *՞ਊ՞*)。

テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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