ぱろ

なんか「あの花」みたいなノリで書いたやつ。むかし。

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騒ぎ立てる蝉の声を聞きながら、陽光の眩しさに目を閉じた。休日の子供の喧騒と、笑い声。それらを遠くに聞きながら、ベッドに沈み込む。気怠さと、憂鬱さに支配された身体は、思いの外ベッドに沈んだような気さえした。


「は……」


今日は何日の何曜日だったか。思い出すのも考えるのも億劫で、今度は布団を被った。が、寝るまでには至らなかった。家の中で、足音がしたから。階段を上がってくる足音に、一層布団を頭まで被って抵抗の準備。


「フェイトちゃん、まだ寝てるの?」


ノックもなく部屋に突入してきたその幼馴染は、遠慮もなくベッド横までやってきて、私の布団を引っ張り上げる。私も布団を掴んで抵抗しようかと思ったけど、やめた。きっと抵抗するだけ無駄だから。勢いよく布団を剥ぎ取られると同時に眩しさを感じて、少しだけ眉を寄せた。


「眩しいよ、なのは。」
「だってもうお昼だよ?アルフのお散歩行ったの?」
「……。」


やかましい、と言ったら怒るだろうか。その幼馴染はテキパキと部屋の窓を開けて換気して、ついには散らかった服を拾い上げる。もうお母さんかお嫁さんといったところ。


「フェイトちゃん、来週こそは学校来てよね。」
「………気が向いたらね。」
「もー。」


学校、という言葉にそういえばそんなものもあったかと、思い出す程度。頭の片隅にはあるけれど。今更別に、行きたいとは思わない。


「また前みたいに──…」
「支度してアルフの散歩に行ってくるよ。」
「え、ちょっと待ってよ」


もぞもぞと起き上がる私の背後でなのはの言った台詞を遮った。なのはの言わんとしてる事がよく分かって、だから、拒絶の意味で。もそもそと着替えて、支度をして。愛犬のリードを握る。後ろから「私も行く」なんて声が聞こえて、もう一度小さく息をついた。

なのはは小さい頃からの幼馴染だ。それこそ本当に、生まれた時から一緒だったと言ってもいいくらい。もっと言えば、小学生くらいの頃から私は彼女の事が好きだった。ずっと。

でも今は、彼女の前に立つ事も嫌だ。こんな自分が嫌で、見られたくなくて、世話なんて焼かれたくなくて、心配なんてして貰いたくなくて。

引きこもって、学校にも行かないこんな私を、なのははいつ見限るのかと、それだけが気になって、それが怖い。いい加減見限れば良いのにと、彼女には言うくせに。


「フェイトちゃん、ご飯は?」
「…まだだけど。」


じゃあお昼一緒に食べよ、なんて笑うなのはが眩しくて、私はほんの少しだけ、目を逸らしたのだった。
















「良い天気だねー」
「うん。」


愛犬のアルフの散歩に出て、日向を歩く。普段部屋にいる私には日差しが少し辛いけれど、アルフはとても嬉しそうに尻尾を振っていた。なのはが居るから今日はいつもと違う散歩のコースで、アルフは昔からなのはのことが好きだったから多分、余計に嬉しいんだろう。なのはは時折楽しそうに笑って、アルフを撫でたりしていた。風になびく髪が綺麗で、青い瞳は空のような綺麗な色で。ふと思う。恋人とか作らないのだろうかと。そんな好意を寄せられないはずがないのに。


「なのはってさ」
「なぁに?」
「……」


言うつもりなんて無かったのに言葉が勝手に口をついて出てしまった。ぼんやり口を開いた私に、なのはは屈んでアルフを撫でていた体勢から立ち上がる。


「もー、なぁに? 呼んだだけ?」
「あ、いや。…恋人とか居ないの?好きな人とか。」


って思って。と何故か言い訳するような言い方になってしまった。聞かれたなのはは少しだけキョトンとした顔をして。それから「はぁ?」なんて怒った顔。


「居たらフェイトちゃんなんて構ってないよ。」
「…そりゃ、そうだ。」


なんか可笑しくなって笑ってしまった。そりゃそうだ。恋人が居たならばどう考えてもそっちに行くだろう。まぁ、恋人が居なくとも、交際を申し込まれたりとかはあるんだろう。それをなのはがどう受け止めているかは分からないけれど。


「急に変なこと聞かないでよ。」
「ちょっと気になって。」
「………気になるの?」
「気になるというか、いつまで私のところに邪魔しに来るのかと思って。いい加減、恋人の1人くらい作ればいいのになって。」


何の気なしに言ったのだけど、どうやら失敗だったらしい。なのはの眉根が寄った。


「じゃあずっと邪魔しよ。…フェイトちゃんが、前みたいに戻ってくれるまで。」
「………。」


そう言われたなのはの言葉には、返事をしないで歩き出す。なんとなく、その後はなのはも黙り込んで、私も話さなくて、アルフの尻尾だけが揺れていた。それからいつもと違う散歩コースで、リードが引かれた方向へ。


「……アルフ。違う道にしよう。」


行こうとして、止まってやめた。あまり好きな道では無かったから。なのはは何も言わずについてくる。


「アルフ。……こっちに行こう。」


少し無理やりリードを引いて、違う道を歩く。そのまま、私は少しだけ憂鬱めいた気持ちのままで家へと帰宅したのだった。その日は昼食も夕飯もなのはが作ってくれて、なんだかんだでなのはは夕方まで私の家に居ついていて。

何となく、その憂鬱めいた気持ちは、眠る時まで残ったままだった。




















「なのは、今日は真っ直ぐ帰るの?」
「ふぇ? いつもそうしてるけど。」
「呼び出しとか無いわけ?」
「……さすがにそう毎日は。」


苦笑気味に言うと、あっそ、なんてあまり興味なさそうな声。友達のアリサちゃんは「じゃあ途中まで一緒に帰りましょう」なんて言った。それから、おなじみの友達と一緒に帰宅の路につく。


「今日プリント多いからフェイトちゃん家に行かなきゃ。」
「なのはちゃんもよー通うなぁ。」
「本当よね。…フェイトのやつ、元気?」
「うん。…元気は、元気なんだけど。」


フェイトちゃんは私の幼馴染だ。小さい頃からずっと一緒で家も近所で、だから、彼女たちを見分けられるのは、最初は親を覗いたら私だけだった。そのくらいよく知っているし、ずっと見てきたし、ずっと好きだった。

以前のフェイトちゃんはキラキラしてて、格好良くて、優しくて。こんな言い方をしたら変だけど、ヒーローみたいな女の子だった。憧れたし、何よりも輝いていて、大好きだった。



あの日、事故が起こるまでは。


彼女は姉妹がいて、だから余計目立ったのかもしれない。あの容姿だし。綺麗な金髪に、宝石みたいな紅い瞳。みんなが憧れて、いつか誰かにとられちゃうんじゃないかって冷や冷やしたりもした。けど、そんな彼女はもう居ない。

フェイトちゃんと、彼女の姉のアリシアさん。双子みたいにそっくりで、双子じゃないのになかなか見分けられなかった彼女たち。その場にいたわけじゃないからわからないけど。彼女達が事故に遭ったと聞いた時は心臓が止まるかと思った。病院に駆けつけた時はフェイトちゃんは抜け殻みたいになってたし、アリシアさんは、亡くなってたし。


それ以来、彼女はあまり学校に来なくなって、ついには部屋から出なくなった。散歩の時に「違う道にしよう」と言ったフェイトちゃんの顔が忘れられなくて、息を吐く。その場所は事故に遭った道で。あれ以来、彼女はあの場所に一度も近寄らない。


「フェイトちゃん、まだ辛いんだと思う。」
「……そうだね。…フェイトちゃんってお姉さんと仲良かったもんね。」


すずかちゃんの言葉に頷いて、何となく空を見上げた。彼女のことがずっと好きだった。それは今も変わらずずっと好き。今の状況になって、彼女を独占出来ていると何処かで暗い気持ちが喜ぶ。けれど、やっぱり戻ってきて欲しい。フェイトちゃんだって、本当はこのままじゃダメだって分かってるはずなのに。でも私には何も言えなくて。毎日顔を見に行くしか出来ない。


「また昔みたいにキラキラしたフェイトちゃんが見たいね。」
「うっわ恥ず。」
「なのは、ちょっとそれは恥ずかしいわ。」
「えぇー? 何で?!」
「なのはちゃん本当にフェイトちゃんのこと大好きなんだね。」


キラキラはないわー、とか笑われて。


今夜は彼女の好きな料理でも作ろうかな、なんて思いながら彼女に想いを馳せたのでした。


いつか彼女が、あの辛い出来事と心の決着をつけて、前に進める日まで見守っていようと、そんな想いを胸に秘めて。





みたいな。


テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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