よくある

にゃーん( ◔ д ◔ )よくあるパロ
何度も書いてる系のネタだけれども。





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「いい?」


目の前に差し出された一本指。警告というか、忠告というか、そんな指を差し出したまま、親友であり幼馴染でもあるアリサちゃんが私に何度目かの注意事項を口にする。


「あんまり長居しない事。」
「うん。」
「あんまり人間と関わらない事。」
「分かってるってば。」
「絶っっ対余計なことに首を突っ込まない事!!」
「そ、それ何回も聞いたよ?」


絶対という言葉を強調したアリサちゃんに、私ってそんなに信用無いかな? と苦笑をした。


「まぁまぁ、アリサちゃん。なのはちゃんなら大丈夫だよ。」


そこで、もう1人の親友でやっぱり幼馴染のすずかちゃんからの助け舟。すずかちゃんは「なのはちゃんが規律を破った事ないでしょ?」なんて言ってアリサちゃんを宥めたりしていて、規律を破った事がない…とは言えないんだけど、そこは黙って、とりあえず私も首を縦に振ったのだった。


アリサちゃんもすずかちゃんも、私の親友で幼馴染で生まれた時からほとんど知っている仲。2人が心配してくれるのは嬉しいんだけど、アリサちゃんはほんの少し心配が過ぎるというか。

私、高町なのはは少し前に大天使という位に昇格した。

実は私たちは天界という所に住む天使で、徳を積むと位が昇格する。ざっくり言うとね。つまりそれは人間社会で言う出世みたいなものだと思うんだけど。


「それにしても…本当に1人で行くの?」
「もちろん。だってみんなそうしてるでしょ?」
「でも誰か連れて行ってはいけない決まりはないよ?」
「いいの。これは私の試験なんだから。」


大天使に昇格する為の、試験というか習わしというか。天使から大天使に昇格するに当たって、その天使は一度下界におとされる。

下界におとされると言うのは、普通ならばあまり良いことではない。通常それは「堕天」と言って、天使から悪魔に身を落とされる事のことを意味するんだけど。それはさておき、今回のはその堕天とは少し違う。汚れた下界をその目に写すというか、人間という存在を理解するというか。理由は様々。要は、人間界の勉強のようなもの。

そんなわけで、普通では滅多に行くことのできない下界に私は前からとても興味があって、とても楽しみだった。2人が凄く心配してるからそんな素ぶりは出せないけれど。


「とにかく、誰もついてこなくて良いの。」


以前から行われる風習染みたそれに、私は誰も連れず1人で行くと決めていた。


「それに、何か事件が起きたとかそう言うの聞いたこともないし。みんな無事に帰ってきてるって、聞いてるよ?」
「そ、それは…そうだけど。」
「アリサちゃんが心配するのもわかるけど、とりあえずなのはちゃんは絶対に無茶はしないって約束してね?」
「も、勿論。」


それなら良いよね、なんて言ってアリサちゃんのことを諭す、すずかちゃんに頷く。


「お、なのはちゃんもう準備出来たん?」


そんな所に、今度は別の人物が現れた。


「こんにちは、はやてちゃん。…じゃなくて、えっと、大天使長。」
「ええよ、はやてで。こそばゆい。」
「なによ、はやても見送り?」
「アリサちゃん、流石に呼び捨ては…」


はやてちゃんは、私よりも更に位が高い大天使長。私たちよりもずっと前から天界にいて、誰よりも聡明で、実は偉い人。一見すると、そんな風には見えないんだけどね。


「気を付けて行ってきてな?」


それから、そう言って。改めて私に今回の人間界での生活の説明をしてくれた。余程のことで身に危険が及んだ際には助けが入るような事になっているらしい。そんなに危険な事あるの?って聞いたら「念の為」と笑われたりなんてして。


そうして、親友たちに見送られて。
私は住み慣れた天界を後にして、下界へと降り立ったのだった。

















そうして、降り立った地。

人間界という俗界は、想像していたよりも綺麗なところだった。もう夕暮れだというのにたくさんの人達がいて、その見た目は天界にいる皆と変わらない。違いといえばその背には羽根がないことくらい。…街中で、ガラスに映る自分の背中を見て、自分の羽根もちゃんとなくなっていることを確認したりして。そこで、大きく息を吸った。

それから、ここが人間界なんだ…なんて。口には出来なかったので小さく心の中で。

人間界は、思っていたよりも寒い。天界には季節がないから、知識として知っていた「冬」を体感して、またひとつ興奮に震えた。知らないことがたくさんで、知りたいことがたくさんで。あぁ、でもきっと何かあったらアリサちゃんやすずかちゃん、それにはやてちゃんにも怒られちゃうから、無理はしないつもりなんだけど。





「それよりアパート…どっちだろ。」


荷物はそんなになく、手荷物ひとつくらい。すでに用意されている仮暮らしのアパートの方向をきょろきょろと探しているうちに、今度は鼻に冷たいものが触れた。


「…」


触れてすぐに消えた白いそれは、多分 ──…


「ゆ、き……?」


地面にも、やっぱり溶けて消えた白い雪。降ってくる先を見上げて、息を吐く。夜に近付いた暗い空から降る白い雪。


「本当に雪だ…」


そう言って吐く息が白くて、それすらも綺麗で。


「──君、雪見るの初めてなの?」
「ふ、ぇ?」


吐いた息が白く消えていく先で、そんな風に声を掛けられた。最初、「君」と呼ばれたのが自分のことだと気付かなくて。慌てて振り向く。


「そんなとこに立ってたら危ないよ。」


続けてそう言われて、その場所が道の往来なのだと気付いた。きっと道行く人たちの邪魔になっていたに違いない位置。恥ずかしくなって、慌てて謝罪して道の端に移動した。


「見惚れるのも分かるけどね。」


クスッと笑うその人は、暗がりでもよくわかる、綺麗な金色の髪で。驚くほど綺麗な白い肌、それから、惹き込まれそうな紅い瞳をしていた。宝石のような、燃えるような紅。それに彫刻よりももっと整った顔立ち。目が合って、あまりの綺麗さに息が止まった。

その人の存在自体が、なんだか他の人とは違って見えて首を振る。


「ご、ごめんなさい。」
「……暗くなるから、早く帰った方が良いよ。」


買い物の途中だったのか、小脇に紙袋を抱えてふわりと笑う。その人が、私にとって初めて言葉を交わした人間だった。急に話しかけられて驚いた所為か、ほんの少しだけ心拍数が上がって落ち着けるように小さく息を吐く。

その人は「気を付けてね」とだけ言って笑って、そのまま去って行って。その背を視線で追いながら、その人は去ってしまったのに、言いようの無い気持ちだけがずっと残っていた。

恥ずかしさにも似た、不思議な気持ち。寒さのせいか、驚いたせいか、切ないような、でも幸福なような。

そんな不思議な気持ち。
感じたことの無いような、そんな気持ちだった。


その気持ちが何なのか知りたくて。
もう一度その人に会えば分かるのか。
それとも単に、人間界にやってきた緊張と興奮のせいなのか。それは分からないんだけど。


綺麗に設えられた、用意されたアパートに到着してからも暫く考えていたりして。



結局、ずっと考えていても答えは分からなかった。


























「なのは今頃、人間界を絶賛満喫中かしらね。」
「ずっと行きたがってたからねぇ、なのはちゃん。」
「まぁー、これは頑張ったなのはちゃんへのご褒美みたいなもんやからなぁ。」


なのはが降りた人間界とは違う、天界で。残された3人は卓を囲んでいた。降りた友人の無事を祈りながら。


「てゆーか本当に安全なんでしょうね?」
「もー、すずかちゃんったら。今までみんな無事だったんだし大丈夫だよ。…ね、はやてちゃん。」


それから何度目かのアリサの安全確認にいい加減呆れたすずかが「心配しすぎ」なんて続けて溜息をつく。何か事件になった前例はない。徹底された安全確認のもとで天界から人間界へと赴いているそのシステムに、天使たちは絶大な信頼を置いているわけで。

けれど、はやての顔がなんとも言えない表情をしたことを、アリサは見逃さなかった。


「何よ、その顔。」
「いや別に…。」


ただ、と続けて。


「事件とかではないんやけど。」


はやてが知るその事例を、この2人に教えて如何なものかはやては少しだけ迷っていた。自分よりも聡明だった当時の自分の親友の事を思い出す。


「昔、帰ってこなくなった奴はおったなぁ…って。」
「なによそれ。」
「…事故とかやなくて。」
「それって、堕天…てこと?」
「さぁ…。」


はやての顔が、苦笑に歪んだ。


「私にはわからん。」


何故なら彼女はなにも言わずに居なくなってしまったから。苦々しく、自分の親友を思い起こして。


「もうおらんし。」


そう言って、この話はそれで終いというように席を立つ。普段あまり見ることの無いはやての表情に、アリサもすずかもなにも言えず。それから後を追うように、2人とも席を立ったのだった。













いみしーん( ◔ д ◔ )な終わり方





テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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