短編1

(∩˙-˙∩)

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「……そっか。」


目の前のその人は、何故か私の言葉に少しだけ困ったように笑った。その笑みの理由を聞こうとして。


「それなら、僕とフェイトはライバルだね。」
「えっ?」


聞くより先に、そう言葉にされて体温が少しだけ下がった気がした。ライバルだね、と少し苦笑してそう言って、彼は、ユーノは頬をひと掻きする。その言葉の真意なんて考えなくてもわかるけれど、聞き違いであって欲しいと顔を上げて。目があって、ユーノは「だって」と続けた。


「だって、僕も…その、なのはの事…好きだから。」







───────。














「………………夢、か。」


はにかんでそう言ったユーノの言葉に、自分がなんて言葉を続ければいいのか分からなくて、喉が詰まったような気がして思い切り息を吸った。そうして、ぴくりと反射的に動いた体が先ほどまでの情景は夢だったのだと教えてくれる。目を開けた視線の先には見慣れた天井が広がっていて、中途半端に上へと伸ばされた手が何も掴まずそこで彷徨っていた。

何のことはない、ただの夢だった。


「なんだ。」


彷徨っていた手をそのまま顔の上、目を覆うようにおろす。カーテンの隙間から光は入ってこず、まだ夜明け前なのだと分かった。眠りについてから、まだ3時間も経っていない。嫌に鮮明に夢の中の言葉が脳裏に焼き付いて、夢の中のユーノの言葉がずっと消えなくて。

ずっと前から思っていたこと。ユーノは実はなのはのことが好きなんじゃないかと、そう思っていた。だからそんな夢を見たんだと思う。ずっと気になっていて、不安だった。いつかなのはを奪って連れて行くのでは無いかと。

ただの親友なのに、奪われるって言い方はおかしいかも知れない。なんとなく自分の物言いに小さく苦笑して、これ以上は眠れそうになくて、仕方なく布団から出た。まだ肌寒い朝。頭を覚醒させようと、シャワーを浴びて。


それから、その日は少し早めにマンションを出た。









私、フェイト・T・ハラオウンは、いつからか親友であり幼馴染である彼女、なのはに特別な想いを寄せていた。それが恋心なのだと自覚したのはずっと前のこと。しかし彼女は女性で、私も女性で。ミッドチルダでは同性婚は特別珍しくもないけれど、なんとなく想いを伝えることは出来なかった。そんなわけで、今も昔も変わらず幼馴染で親友である位置をキープしている。

正直言えば、想いを告げたことで関係が壊れてしまうのが怖くて、関係性を変えられずにずっとひたすら想いを隠して居るだけなのだけど。


「……はぁ。」


そんな余計な考えを起こしていたからか、漏れたため息がやや大きめだったのか、部屋に響く。慌てて口を押さえても向けられて視線からは逃れられなかった。


「フェイトさん、疲れてます?」
「あ、いや…違うよ、ちょっと寝不足で…」


選んで返した言葉は、それでも疲れてると同じような意味になってしまって、慌ててもう一度「いや、そうじゃないんだけど」と続ける。けど、私の優秀な補佐官であるシャーリーは両腕を組んで、少しだけ眉間に皺を寄せた。


「やっぱり疲れてるんじゃないですか!」
「え?えっと…いや、そうじゃなくて」


両手を上げて。頭を横に振って、降参ポーズ。


「本当に大丈夫なんだよ」
「本当ですか?」
「うん、本当に。あ、でもそうだな…もう少ししたら仮眠をとらせてもらおうかな。」


良いかな?なんて言えば、シャーリーは仮眠用の掛け布団を一枚取り出して「今すぐどうぞ」なんて言って。


「え、いや今すぐには…」
「良いんです。私はちょっと報告書の提出と、それから次航行の予定をまとめて来ますから。」
「あ、予定なら私が」
「だめです。とにかく、フェイトさん今日は本当に顔色悪いですし、少しだけでも横になってください。」


それから、じゃないと次のお仕事に響きますよ、と言って苦笑した。


「本当だったら帰ってくださいと言いたいところなんですが…」


まだ少し事務処理が残っている。それはいくらシャーリーが優秀な補佐官でも、私がやらなきゃいけない仕事。


「ごめんね、心配かけて。本当にただの寝不足だから、そうだな…1時間くらい横になっても良いかな?そうしたら、すっきりするかも。」
「それだったら私も休憩貰いますので、どうせなら3時から仕事再開にしませんか?」


そう言われて時計を見れば今は午後の1時前。あと2時間後に仕事再開というシャーリーの案を受けて、頷いた。気を遣わせてしまったことには申し訳なく思うけど、それでもシャーリーは私が休むと言わないとそのまま心配しちゃうだろうから。私が簡易ソファーに横になるのを確認して、シャーリーは部屋を出る。「一応鍵閉めておきますね」なんて言ってたので、安心して少し眠る事にした。ほんの少し寝苦しくて、シャツのボタンを数個開けて。


目を閉じると何となく、また夢の中のユーノの言葉を思い出す。


───なのはの事が好きだと言っていた。


果たしてそれはただの夢なのだろうか?なんて、目を閉じたまま思う。現実でも、多分そうなんじゃないだろうか。きっとそうだと思う。じゃあなのはは?

考えて、眉間に皺が寄った。

ユーノに好きだと言われたら、なのはは一体どんな顔をするのだろうか。これは、あんまり考えたくない。だって、なのはが喜ぶ顔しか想像出来ないから。私の勝手な妄想なのに妙に現実味を帯びていて、二人共、より近しい存在だから想像容易くて、もう一度、誰も居ない執務室で今度は遠慮なく溜息を吐いた。

なのはが好きだ。けれど想いを伝えることはできない。なのにこの気持ちを忘れることも出来ない。どっちにしても、見知らぬ人になのはを渡すくらいならユーノの方がきっと良い。ユーノは良い人だし、気心も知れてるし、きっとなのはを不幸にはしないだろう。

そう考えているうちに、うつらうつら、寝不足がたたって意識が薄れて来た。心なしか少しだけ寒い気もするけど、部屋の温度を上げるより、このまま丸まって眠りにつきたくて。どうせ鍵は閉まっているし、誰もこない。少しくらいだらしない格好をして居ても構わないだろう。そう思って、身体を丸めて、ソファーの上で。私は薄れていく意識を手放したのだった。















FIN.






つづ




テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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