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「あぁ、久しぶりだねぇ…。フェイト。」


そう言って静かに空を仰ぐその顔はどこか楽しそうで空々しくて少しだけぞっとした。「永遠の命」といわれている、私の中にあると言われているそんな力。それを狙った得体の知れないその男の人。そんな男の人と対峙して私たちを見下ろす紅い瞳。

どうしてか、彼女の姿を久しぶりに見て酷く安堵した気持ちと今すぐ駆け寄りたいという切望に駆られた。



そんな事、出来るわけがないのに。








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「────…おや?私とはもう口も利いてくれないのかな?」


無言でこちらを見下ろす紅い瞳。彼女は話しかけるその男に何も返すことなくじっと立っていた。けど、それすら楽しんでいるようなその男はフェイトちゃんが何も言う気がない事を良いことに、言葉を続ける。


「降りてきたらどうだい?そんな所に1人で立っていないで。」


ククク、と可笑しそうに身を捩って。


「良く顔を見せてくれないかな?久しぶりにゆっくり話そうじゃないか。あの日の思い出話でも──…」


ほんの少し空気が凍ったような気がした。私もすずかちゃんも、はやてちゃんもアリサちゃんも身動きが出来ずに2人の動向を見守るしか出来なくて、フェイトちゃんがようやく口を開いた。


「話すことなんてないですよ、ジェイル・スカリエッティ。」
「……名前まで憶えていてくれて光栄だよ、フェイト。何せ他の皆、婚約者殿も私の事を覚えていないようなのでね。」


婚約者、と言いながらちらりと蛇のような視線をこちらに向けられて、拍子にすずかちゃんが私を安心させるように私の肩に触れた。


「今回もまた私の邪魔をするつもりなのかな?」
「───…邪魔も何も。」


一拍置いて。


「貴方がなのはを手に掛ける前に私がなのはに手を下すだけの事。」


平静な声でそう紡ぐフェイトちゃんの言葉に胸がじわりと痛む。さっきは私を助けてくれたようだったけど、単にこの男の人の邪魔をしただけだったのかとほんの少しだけ、唇を噛む。フェイトちゃんが私を狙う理由があるのなら、そのわけを教えて欲しい。それでフェイトちゃんを救えるのなら、その時は大人しくフェイトちゃんに殺されたって良い、なんて。そんな事考えるなんて変かも知れないけど。どうしてこんなにも彼女の事が気になるのか分からない。ただ、彼女の為に何かしたくて仕方がない。胸の奥からこみ上げるみたいな気持ち。


「……そんなに嫌だったのかな?彼女と私の婚約は。」
「………。」


挑発するような声に顔を上げる。フェイトちゃんは表情を乱すことなくただ黙ったままだった。


「悪いけど」


一言。そんな言葉を発して一瞬で。


「昔話してるほど私も暇じゃないから。」


彼女は移動したように見えた。さっきまでビルの上に居たような彼女がいつの間にか私の真横に立っていて、思わず膝の力が抜けた。瞬間移動っていうのかな?魔法が使えたらそんなことも出来るのかもしれないけれど。でも、さっきまで結構遠くに居たのに。なんて余裕ぶって観察していたのも束の間。


「む、ぐっ─…!」


ぐらりと揺れる視界。ついでに言うなら拘束されるような窮屈感を感じて、さっきまで自分が立っていた場所を少し遠くから見ていた。


「なのはちゃん!」


いつの間にか腕を掴まれて、腕を捻り上げるように拘束されて声にならない声が漏れた。さっきまですずかちゃんのすぐ横に居たのに、いつの間に──…


「ジェイル……次に来るときは生身の身体で来てよ。そんな幻影じゃなくて。そしたら少しくらい話を聞いてあげる。」
「ほぅ、考えておこう。」


どうやら目の前に立っていたのはこの間の時と同じだったみたいで、そう言った直後にその男の人の身体が端から霧のようになって消えて。黒い獣も消えて、アリサちゃんが剣を構えたままこちらに向かって叫んだ。


「フェイト!なのはをどうするつもりなの!?」
「……さぁ。どの道私には追いつけないから皆には関係ないでしょう?」


フェイトちゃんに拘束されたまま身を捩っても解けなくてもどかしくて。


「フェイトちゃん、放して!!!」
「……ごめんね、なのは。」
「───え?」


耳元で小さく呟かれた謝罪の言葉に視線を向けると、やっぱり温度のない瞳が私を見ていて、それがどうしても悲しかった。


「私は君をこのまま生かしておくつもりはない。」


冷たく、だけど何処か悲しく落とされた言葉はそんな言葉で。飛ばされるような感覚を感じて、私は衝撃に目を閉じた。多分、飛ばされるような感覚なんかじゃなくて、実際は私を捕まえたまま彼女が飛んでいたわけで。

「殺す」と宣言しながら。なのに高速での移動で生じる風から私を守るようにして抱いて飛ぶそんな彼女に。


「……どうして?」


辛うじて、声が零れた。零れた声は風に飛ばされて彼女の耳には届かなかったかもしれないけど。

ただ、私を包み込む彼女の身体が、触れた熱がとても懐かしくて、悲しくて。



そして切なくて。









気が付かなかった。
どうしてか分からないけど、こんなにもこの人が好きだったなんて。


どうして良いか分からない。
彼女の為に何をしてあげたらいいんだろう。



「ごめん…なさい……。」



どうしてか、小さくそんな言葉が零れた。













Continue...



















テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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