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missing26

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最終話です。
こんな終わり方になるなんて思わなかったです。


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「なのはー!遅刻するわよ!!!ってか置いてくわよ!」
「わー、待って、今行くー!」




私、高町なのはは今年で25歳になる、医師の卵。いわゆる研修生というもので、本日が研修初日。新しい白衣に腕を通して、先に行く幼馴染で同僚のアリサちゃんの後を追いかけていた。

実は私、人に言えない不思議な体験をしたことがある。それは目の前にいるアリサちゃんも同じで、アリサちゃんとは実は前世からの幼馴染。あぁ、そんなこと言うと絶対「頭大丈夫?」とか言われちゃうから。誰かほかの人にその話をしたことはないんだけどね。


それは、私が高校生の時だった。
私は前世でとある国のお姫様で、凄い力を持っていて。それで、生まれ変わった今生でも、悪い人に狙われていた。けど、幼馴染のアリサちゃんと、何人かの幼馴染が一緒に生まれ変わっていて、私を守ってくれていて。


「なのはちゃん、白衣よう似合ってるなぁ。」
「ありがと。はやてちゃんも似合ってるよ。」
「なのはちゃん、襟、裏返ってるよ。」
「ふぇっ」


歩く通路の途中で合流したはやてちゃんとすずかちゃんも、実はその前世からの幼馴染。3人とも私が「将来医者になる」なんて言ったら一緒についてきてしまった。このまま一生ついているつもりなのかな?と時々不安(勿論嬉しいんだけど)になる事が
あったり。その話をすると決まって皆「任されてるもの当然でしょ」なんて言ったりするわけで。……そう言われると私も弱い。


私には、とても大切でとても好きだった人が居た。

『居た』けどもう居ない。


前世から、ずっと大切だったその人。彼女は、私が前世で与えた力と命を消費して、消費し続けて傷ついて、そして消えてしまった。もう何年も経つけど彼女の記憶も、彼女への想いも全て消えるはずもなく色褪せず、ずっと私の中にある。

医者になると決めたのも、彼女の事があったからかもしれない。
「不死の力」なんかじゃなくて、誰かの命を永らえたいと、そう思ったから。なんて、ちょっと安直かもしれないけど。


「そういえばなのは。」
「なぁに?」
「あんた、誰かに食事とか誘われてたんじゃなかった?」
「……あー。」


何で知ってるの?という言葉は飲み込んだ。


「なのはちゃん、どうするの?」
「ふぇ?すずかちゃん、近っ……どうするもこうするも、お断りしたよ?」
「ふぅん。」


3人とも、ことそう言う話には特に敏感で。少しだけ可笑しくて笑ってしまった。


「私、誰にも応えるつもりないよ?」


そういうの。と続ける。なにより、そんな風に思える人なんて居ない。彼女を、フェイトちゃんを除いては。


「それもそれで、どうなんかなって。」
「いーえ、絶対いや。」


私の心は、いつまでも彼女の物で居たい。彼女以外には、きっと揺れない。例えその彼女が、もうどこにも居なくても。永遠に会えなくても。それでも、良いの。


「あんたも頑固よね。」


昔から。と続けるアリサちゃんに付け加えてはやてちゃんが「前世から」なんて笑う。というか研修医として、覚えることは沢山だし、そもそもそんな事に現を抜かしてる暇なんて、今の私には全然ないわけで。


「そういえば今朝シャーリーさんが言ってたんだけど。」


顎に指をあてて、すずかちゃんが歩きながら口を開く。シャーリーさんというのは私たちの先輩で、教育係のような人。


「なぁに?」
「今日から新しい先生が来るって言ってたよ。」
「そういえば、そんなこと言うてたなぁ。」
「あんまり変な人じゃないと良いわね。」


「新しい先生」という言葉にアリサちゃんが項垂れた。


「なんか、海外で活躍してたとかなんとか。」
「へぇ、そんなすごい先生なんだ。結構年配の方なのかな?」
「それがね、私たちと同じくらいって。」
「なによそれ飛び級でもしたわけ?随分すごいのね。」
「私はすごい美人やて聞いたから、なんや楽しみやねぇ」


はやてちゃん顔がいやらしいよ、と言おうとして、先にアリサちゃんがチョップしていて、思わず笑ってしまった。


そうして、毎日が過ぎていく。彼女が居なくなって何年も経ってそれでもあっという時が過ぎて、前世の話も、魔法の話も夢だったように思えてくる毎日。


「でもその先生、なんでうちみたいな病院に来るのかしら?そんなに凄いなら、もっと大きくて有名なとこいけるでしょ。」
「……あー、確かに。」


なんか不思議な話だね、白衣を揺らして歩く。そんな中、通路の先で、ほんの少し、賑わった声。というよりは、取り巻き。たくさんの先生が、院内を説明して歩いてるみたいで、結構な人数で道を歩いてるわけで。私たちは研修生なので邪魔にならないように通路の横に避けて、その集団が過ぎるのを待つ。


でも、その中で。


「ちょ、な…なのは!!!!」


ぐい、と肘でアリサちゃんに小突かれる。いや、そんな風にしなくても、分かるんだけど。


「───嘘。」


真っ白な白衣。堂々と歩くその姿。長くて綺麗な金髪。


「なん、で」


他人の空似というレベルじゃない。だって、その人は──…


「ふぇいと、ちゃん。」


思わず声に出した名前。通り過ぎようとしたその人は、足を止めて。取り巻き何人かに頭を下げて、全員を送り出した。恐らく「先に行って」とかそういった話をしたんだと思うん、だけ…ど。


それから振り向いて、まっすぐにこっちを向いて。


「初めまして。」
「え…」
「だよね、こっちでは。」


それからくすっと笑う。一瞬記憶がないのかと思ったんだけど、そうじゃないみたい。でも何で?とたくさん疑問に思う。だってあの時確かにフェイトちゃんは消えてしまった。生まれ変わったんだとしても、どう見ても同い年か、少し年上だ。ということは、高校生の頃に、フェイトちゃんが2人居たことになる。それっておかしいんじゃない?という疑問は、なんだかもうどうでも良くなった。だって目の前にフェイトちゃんが居るから。


「本当に、フェイト…なの?」
「皆のこと探すの大変だったよ…。」
「フェイトちゃん、記憶もあるんだね。」
「途切れ途切れなんだけどね。」
「なんや、めっちゃ格好良いやん。」
「本当はすぐにでも会いに来たかったんだけどね。」


なんて言って少しだけ子供っぽく笑う。


「なのは。」
「ふぇいと、ちゃん。」
「えっと、あの……言いたいことは沢山あって…なのは、その」
「待って。」


色んな感情が溢れそう。驚かせるにもほどがあると思う。というかいつからこの世界に生まれていたのかとか、記憶がいつからあるのかとか。どうして居るの?とか。本当の本当に、いっぱい言いたいことはあるし、沢山の感情がある。


「もしも奇跡が起きて、フェイトちゃんに会えたら、真っ先にしたい事があったの。」
「うん。」


そう言って優しく、少しだけ泣きそうな顔で微笑むフェイトちゃんに。


「ぅ、え?」


私は、息を吸って。それから左の手を、まっすぐ伸ばしてフェイトちゃんの右頬に、盛大なビンタを繰り出した。通路に響くバチンという乾いた音。誰も予想しなかった事態かもしれない。


「な、なにしてんのよ、なのは!」
「おお、なんか…良い音したな。」
「フェイトちゃん、生きてる?大丈夫?」


三者三様の反応。叩かれた当の本人、フェイトちゃんの顔は涙で滲んだ視界の所為でよく見えなかった。


「もう二度と、……」


居なくならないで。一人で抱え込まないで。先に置いて逝ったのは私なのに、出たのはそんな我儘。前世でいっぱい我慢できたのに、どうしても今は出来ない。涙でぼろぼろの私の前で、叩かれた頬を抑えたままフェイトちゃんが笑った。


「勿論。」











そんな風にして、奇跡というものなのか、それとも誰かが仕組んだ事なのかわからないけど。フェイトちゃんはもう一度、戻って来た。ごく普通の人間の身体で。とはいっても、記憶が戻ったのは割と最近で、魔力もないから私たちを探すのにだいぶ時間がかかったとかなんとか。

私が初見で海外からはるばるやって来た優秀な先生様を平手打ちした噂は風が吹くより早く広まってしまって、私は暫く寮の部屋に籠りたい病に掛かってしまったりして。


「なのは、何か…逞しくなったよね。痛かった…」
「あー、そうね、怖くなったかもしれないわね。」
「いや、私ももう24だし。大人だし少しくらい強くはなったよ?」
「フェイトちゃん、恐妻家になるな、これは。」
「ふぇっ」
「はやてちゃん、まだ2人は付き合ってもないよ?」
「ちょ、ちょっと…!皆何言って…」


久しぶりに5人で集まって、談笑してたら、ふいにそんな話になって思わず変な声が出た。ちなみにフェイトちゃんは医師になるために勉強しすぎた、なんて言って、眼鏡を掛けていた。普段はコンタクトらしいんだけど。アリサちゃんにガリ勉なんて馬鹿にされていたりなんてして。



そうして、アリサちゃん、すずかちゃん、はやてちゃんが片づけをしている中、フェイトちゃんはやっぱりベランダで星を見ていた。「行ってきなさいよ」なんて背中を押されて、私はおずおずとベランダへ向かう。2人で話すのは久しぶりで、どうしてか少しだけ緊張した。


「えっと、行ってもいい?」
「……おいで。」


変わらない言い方。やっぱり彼女なんだと、安心した。


「本当に、フェイトちゃんなんだよね?」
「えー、それは酷くない?」


くすくす笑って、だけど少しだけ困ったような顔で。


「確かにあの時、私は砂になって消えたんだけど、次に目覚めた時には病院に居たんだ。……ちゃんと親も存在してて。事故にあってその衝撃で記憶が呼び起きて…あ、でも1000年前から自分がしてたことも覚えてるんだよ。不思議なことに。」


そう言って、私の首筋に手が触れた。


「傷に、なっちゃったね。」


ごめんね、と続ける声。フェイトちゃんに殺されそうになった時の傷。それを覚えてる彼女の痛そうな顔に、本当に彼女なのだと実感した。


「よく見ないとわからないし、気にしてないよ。」


フェイトちゃんの肩に額をあてて小さく呟く。長かったなって、ぼんやり思った。婚儀が決まったと告げたあの日から、ずっと諦めていた事。それこそ1000年以上前。


「……なのは。」
「うん?」
「ずっと諦めてたんだけど」
「うん」
「やっとというか、その。」
「フェイトちゃん?」
「結婚しない?」
「え」


それは話が飛びすぎなのでは…?というより予想通りと言えばそうだけど、でも予想外で。そこは最初は「付き合って」じゃないの?とか色々思う事はあったんだけど
なにより久しぶりに会って何だか恥ずかしくてそれどころではなくなってしまって。


「ま、まだ早くない?!」
「えぇ!?」


事もあろうに、そんなことを言ってしまった。その瞬間、窓の内側で3人の笑い声が聞こえた。


「ちょ、皆聞いてたの?」


とても顔が熱い。


「ひー、苦しい、まさかフェイトちゃんお預けくらうとは…」
「はやてうるさい」
「うッ」


からかい始めたはやてちゃんの顔面にフェイトちゃんのチョップが飛んだりして。最終的にその話はうやむやになってしまった。というか「フェイトちゃんがなのはちゃんにまだお預けくらった」というオチで落ち着いてしまった。そんなつもりなかったのに。ただの照れ隠し……というのは流石に酷いかな。うん、これは私が悪い。


「ふぇ、フェイトちゃん…あの…」
「もう何もしがらみなくなのはの隣に居られると思ったのに。」
「あぁ…ご、ごめ…」


その後フェイトちゃんは完全に拗ねていて、期限を戻してもらうのが大変だったのは余談で。時たまフェイトちゃんが消えてしまう夢を見たり、不安になったりちょっと情緒が不安定になったりしたのはまた別の話。


院内で私とフェイトちゃんのいろんな噂(付き合ってる)とかが流れたり、彼女がやって来てからますます毎日が目まぐるしくなった。


長い時間をかけて、いろんなものを失って。
何回も泣いて、何回も悔やんで後悔して。


最期の最後に、大切なものを抱きしめられた。
千年の恋。想い。悲しさ。
全てを背負って、私は彼女の隣を歩く。



「ねぇ、フェイトちゃん。」
「はい。姫様。」


時たまフェイトちゃんは冗談めかして前世のように私を「姫」と呼ぶ時がある。そういう時は私が足を踏んだり鼻を撮んだりするんだけど。今回はしなかった。


「約束、覚えてる?」
「……勿論。








───生まれ変わったら、また側に居て。




それは、千年前の約束。






ちなみに、どこでその話が漏れたのか分からないけど(恐らく酔っぱらったはやてちゃんの所為)、私とフェイトちゃんが千年前から結婚する約束をしていたとか訳の分からない噂が流れたのはそれから少ししてのことだった。




































※おまけ。
















「ねぇ、フェイトちゃん。」
「うん?」
「私が生まれ変わるまでの1000年、どんな風に過ごしてたの?」


あ、言いたくなかったら言わなくてもいいんだけど。気になって。となのはは少しだけ慌てたように続けた。私が生まれ変わって皆の前に出て、数週間。なのははたまに不安になるのか、定期的に私の身体に異常がないかとかそんなことを聞いてくる。もうすっかり健常者なのに。


「どんなって、そうだなぁ…」


ほとんど時間跳躍してたから、普通の生活ってあまりしてないのだけど。


「1回結婚したかな。」


なんだか面白くなって、そんな嘘をついてみた。なのはがどんな反応するか気になって。


「え?」
「なんちゃって」


言った瞬間、なのはの頭突きが飛んできた。時が過ぎた分、なんだかなのはは逞しくて。それが愛おしくて、可愛いと思う。


「痛い。」
「……ごめん。」
「謝るならしないでよ…」
「ん、そうじゃなくて。」
「うん?」


なのはは小さくため息を吐いて、続けた。


「ほら、私…フェイトちゃんの人生縛っちゃって…本当は別の人生もあって誰かと結婚とかしたりして──…私はお姫様だったし、その…フェイトちゃんの気持ちには応えられなくて、挙句に不老不死みたいな呪いをかけて死んでいった癖に。フェイトちゃんが不死の間に結婚してた怒るなんて理不尽じゃない?」


息継ぎして一気に吐き出した本音。ちょっと早口だし、長いから途中までなんて言ってるか分からなかった。言いたいことはなんとなく分かるけど。


「私はさ、なのはの従者で、なのはに拾われた命で。」


なのはは黙って私の言葉を聞いていた。


「なのはに縛られるのは嬉しいし、というかなのはの為に存在してたようなものだから。」
「フェイトちゃん、だから犬みたく言われるんだよ?」
「いいよ、犬で。それでも嬉しい。……でも不死は辛かった。」
「ご、ごめんて。」


なのはの居ない世界は辛かったし、長かった。


「本当の本当は、なのはを失た後にね。そういう人生を送ってもいいかなって。心のどこかで思ったんだ。……なのはの事を忘れて、誰かと結婚して普通に暮らすのもいいかなって。」


寂しさを紛らわして生きる人生。


「だけど、星を見るとね、思い出しちゃって。」


なのはが教えてくれたおまじないとか、なのはの婚儀が決まった数日後の晩に見た星が綺麗だった、とか。それを教えてあげたいと思っていた事とか。それ以来星を見るのが癖になった事とか。そこまで言うとなのはは泣きそうな顔をして、ちょっとだけ笑った。


「もしも私の事を、不幸にしたとかそんな風に思ってるなら。」


不幸とか、一度もそんなことを思ったことないけど。


「もしそう思うなら。」
「うん…」
「今度はもうお預けしないでよ。」


結婚してくれてもいいんじゃない?なんて。


「その分私の事幸せにしてよ」
「なんか逆じゃない?そのプロポーズ!」
「側に居させてくれたら何でもいいよ。」


そんなことを言いながら、まだ従者気分が抜けない私なのだった。









FIN.



最後まで読んでくださってありがとうございました。
長い事止めててすいませんでした・・・!





テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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初心者ですが宜しくお願いしますorz
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