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この出逢いに感謝を込めて 8

「この出逢いに~」8話。
リンディさん視点から、過去の回想、
フェイト視点へ移ります。
過去回想が結構適当になってるかも…。

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「私について知ってる事、
全部教えてください。お願いします。」

そう言ったフェイトの瞳には
決意の色が揺らいでいた。
そうして、私はフェイトとの出会いを
思い出しながら少しずつ話し始める。












初めて会ったときの事は
今でもはっきりと覚えている。
哀しそうな深紅の瞳は
何を見つめるでもなく
ただ虚ろに、どこかを見て―…

命じられた事を遂行する人形のように、
ただ、動いていた。
ただ、自分の母親の為に。


「貴女は?」

初めて会ったときは正直驚いた。
だって、何の躊躇いもなく
自分の怪我さえ無視して動くから。

「動かないで。
それ以上動くと危険よ。」

出血も結構酷いし、
何より、彼女はまるで痛みを
感じていないような動きだったから…
とっさに掛けてしまった一言。

私は捜査官で、
彼女は恐らく、プレシアの部下。
プレシアはここ最近テロ行為で
各国の要人の暗殺を何度も図っている人物。
ここでこの子を逮捕すれば
何らかの情報が得られる。
だから死なせるわけには
いかないと判断しての事だった。


「…どうして危険なの?」
「どうしてって…死ぬわよ?」

子供のように、首を傾げて聞くその子は
まるで自分の置かれている状況を
認識できていないようだった。
そして、なにより驚いたのは
その後に発せられた一言。

「しぬって…何?」

まさか『死』の意味が
分かってないのかしら?
そんな訳、無い。

「…冗談でも言っているの?」

そう言っても、彼女の表情は変わらない。

ここは、とある要人の家。
何人ものSPをなぎ倒してやって来たのは
どんな屈強な男かと思えば
こんなに細い女の子だった。

「ここに、何しに来たの?
誰の命令で。」

銃口は逸らさず、
私は目の前で首を傾げている
子供に、問いかけた。
年の頃は10代後半か、その位ね。

「…母さんが、お願いするから。
私はここに住んでる男の人が
動かなくなるようにする為に来た。」

まるで、『それが何?』とでも言うような顔。

「それは、良く無い事だって分かってるの?」
「…どうして良くないの?」

その瞳は、まるで子供そのもの。
こんなケースは初めてだった。

「分かったわ。まずは、そのナイフを放して。」

そういうと、彼女は
すんなりとその手のナイフを放した。

「…SPを誰一人
殺さなかったのは、良かったけど…」
「…?」
「SPを動かなくなるように
しないでくれて、って事よ。」

何を言っているのかわかっていない
彼女に、分かりやすく言うと

「…それは言われなかったから。」

とだけ、呟いた。
彼女は、この世界のモラルだとか、
そんな教育を受けていないのかしら?
だとすると、命令をただ受けるだけ?




「今まで、どんな風に生活
してきたか、話してもらえる?」

私の判断はこれで良かったのか
(今では良かったと思うけど、)
私はその子を取り調べには連れて行かず、
自分の車へと連れて行った。
もちろん危険だし、捜査官として
ルール違反だと言うのは分かっていた。
でも、この子は多分自分が
している事とか何もわかっていない。
ただ、放っておけなかった。

そうして、聞いた話は
何とも人道に外れたような生活。

まず、その子は今回初めて
屋敷の外に出たという事。
それ以外は、屋敷
…たぶんプレシアの、アジトね。
その中で、訓練やら知識やら与えられて
そうして今回の任務を与えられたとか。

「母さんがしている事は悪い事?」

まるで、何も知らない子供。
純粋なその瞳は哀しそうに揺れていて…

「そうね。…だから、
私達は止めなければならないの。」

そういうと、彼女、フェイトは…
目をギュッと瞑った。。
そして話している事で
フェイトは徐々に感情を見せ始める。

「…でも、私は母さんの為に、
願いを叶えてあげなくちゃ…。」

純粋に、母を想っての行動。
だけど母親が間違っていたら…?
母親を止めるか、
間違っていると分かっていても、
そのまま手を貸すのか。

「…辛いでしょうけど…。」

フェイトは、揺れ迷っていた。
初めて会ったときよりも、
人間らしい顔だったけど、
同時に生まれた感情、罪の認識は
彼女を傷つけて苛む。

「私は…、母さんに笑ってて欲しい。」
「フェイト…」
「だけど本当は、誰にも傷ついて欲しくない…。」


多分、フェイトは純粋すぎたのね。
赤い瞳からは、透明な雫が流れて、
フェイトは涙の意味すら知らなかった。

「…それは、涙って言うの。」
「なみだ?」
「悲しい時に溢れるのよ。」

私は微笑んで、
フェイトの前髪を撫でる。

「私は、悲しいの…?」
「そうね…きっと。」




それから、そのままフェイトを解放してあげた。
どうしてかは分からない。
だけど、私がそうしてあげたかったから。


「また、貴女に会いにきてもいい?」
「いつでも待ってるわ。でも
約束してくれる?人は殺さないで?」
「…うん、約束…する。」

それから手を差し出すと、
フェイトは私の手を握った。
その手は驚くほど細くて冷たかった。
今思うと、この時にフェイトを
保護してあげるべきだったのかもしれないわね。




それから、フェイトと密かに会うのは、
とても楽しみで、いろいろな事を教えて、
フェイトは初めてあった時とは
見違えるほどに人間らしくなっていた。
純粋で、優しい人間に。

「母さんは私が説得するから
もう少しだけ待ってて欲しい。」

そう言うフェイトを信じて、
アジトの場所は聞かなかった。
捜査官としては、本当に失敗だけど…
私は、フェイトの母親のような気分に
なってたのかもしれない…。


数週間後、いつものように
フェイトと会う日。
その日は雨が降っていて
フェイトは黒いコートを着て、フードを被っていた。

「リンディさん遅くなりました。」
「フェイト、風邪ひくから何処か―…」

入りましょう。
そう言い掛けた時、

「フフ…、フェイトお嬢様ったら
最近様子がおかしかったのは
こういう事でしたのね…?」

嫌な笑い声に頭上を仰げば
プレシアの手下、クアットロが居た。
大量殺人の首謀者でもあり、
プレシアのテロ行為の実行犯でもある。


「クアットロ?…どうして此処に!?」
「フェイトお嬢様?尾行には
お気をつけあそばして下さいね~?」

クスクスと笑う彼女に、
素早く銃口を向けても遅く、
彼女は屋根の上からナイフを投げる。
と同時に、私の肩口にあっさり突き刺さった。

「くッ、…!」
「クアットロ!やめて!
リンディさんを殺しちゃダメだ!」

肩口に痛みを感じながら、
それでも銃を向けようとする私を
横目に、フェイトが叫ぶ。


「あぁら、フェイトお嬢様ったら
すっかり洗脳されてしまいましたのね?」
「違うよ!でも、人を殺すなんて…ッ…」
「お母様が知ったら、さぞかし悲しまれますよ?
フェイトお嬢様が裏切った、な~んて…」

愉しそうに、フェイトを嬲るような物言い。

「違ッ、…でも…母さんは間違ってる、んだ…。
だから、娘として…私は!」

手をぐっと握って、
張り上げるフェイトの声は悲鳴に近い声。
そして、クアットロは非常な言葉を吐き出した。

「アハハ、娘…ですか?
フェイトお嬢様?1つイイコトを教えて差し上げます♪
プレシア様は…貴女を愛してなんて、
娘なんて思っていませんよ?」

愉しそうに、不愉快な微笑と口調で。
薄々は、感じていた。
どうして、フェイトにまともな教育を与えず
訓練染みた、闘い方の教育を、と。

「なん…で?」

フェイトの声は掠れていた。
私はこれ以上フェイトに傷ついて欲しくなくて、
痛む肩を抑えて発砲する。
だけど、銃口は定まらず、
クアットロは更に続けた。

「フェイトお嬢様?
貴女は、ただのお人形なんですよ?」
「う、そだ…。母さんは、そんな事…」
「なら、フェイトお嬢様…
生まれてから今までで、一度でも
プレシア様の笑顔をご覧になった事がございました?」

…なんて事。
そんな事があっていいのかしら。
母親が、子供を道具のように扱って…。
フェイトは自身を抱きしめるようにして、
黒いコートに爪を立てていた。

「さって、と♪無駄話は終わりにして
さっさと邪魔者を片付けて帰りましょうね♪」

そうして、私へと視線を向けるクアットロ。
私はこの人が許せなかった。
フェイトを傷つけた彼女が。
そしてプレシアが。

「今ここで、貴女を逮捕するわ。クアットロ!」
「あら恐い♪でも…その前に死んで貰いますね♪」

そして、彼女は屋根を蹴り、
身を翻すようにして、こちらに向かってくる。
大きなナイフを片手に。

流石に、この傷では…
でもフェイトだけは助けたい。
そんな考えが交差して、私は
もう一度銃を構えた。

でも、その瞬間、目の前に
飛び込んできたのはフェイトで…


「ッ、させないっ!絶対に!」

私を庇うように、忍ばせていたナイフで
クアットロのナイフをかわす。
この細腕の何処にそんな力があったのかしらね。

そして、フェイトは私から
距離を置いて応戦を始めた。
それからの事は、分からない。
2人が闘いながら、闇に消えて…
追っていった先には誰もいなかったから。
不甲斐ないけれど、フェイトを守ってあげられなかった。


それから、本当に偶然、
街で見かけた。
見かけてから、ずっと調べて回って
彼女が全て忘れてしまった事を知って…
一度だけ、声を掛けた。

雨の中自分の傘を差し出してくれるほど
優しい子だったから、嬉しかった。


そして、襲撃されている
フェイトに会った。





◇◇◇





「―…もう、大丈夫…です。」
「まさか、途中で思い出しちゃうなんて、
…ごめんなさいね。」
「いえ、思い出せてよかった。」


リンディさんの話を聞いている途中で、
記憶を取り戻してしまった。
こんなにあっさり?と思うかもしれないけど…
記憶喪失なんて、きっかけがあれば
あっさりと思い出してしまうもの。

それにしても、まさか本当に
テロ行為の一端を担っちゃってたなんて。
立派な犯罪者だ。

「…私は、逮捕…されるんですよね?」

せめてその前に、
なのはに会う事は出来るだろうか?
嫌われるかもしれない。
だけど、このまま何も言わずに
去ることなんて出来ない。


「貴女は、無罪ね。」
「え?」
「問われるとしたら、傷害罪か
公務執行妨害とか…その辺ね。」

そう言ってウインクするリンディさん。

「そ、そんな事!」
「あの時の貴女は、…何も知らなかった。
それに…母親の―…」

言い難そうに紡ぐリンディさんに
少し苦笑して、私は1つお願いをした。

「リンディさん。母さんは
まだ捕まっていないんですよね?」

こくりと頷く彼女に。

「だったら、母さんの逮捕―…
協力させてくれませんか?」
「そんな事、ダメよ。」

今度は首を横に振るリンディさん。
一般人だから?
だけど、アジトの場所は知っている。
…ここ数ヶ月で変わっていなければ。

「どうしてですか?」
「…貴女に、傷ついて欲しくないのよ。」

悲しそうに微笑むリンディさん。
きっと、母親ってこんな感じなんだろう、な…
私の母さんは私なんて見ていなかった。
あの時は心が締め付けられるように
痛くて苦しかったけど…今は、少し違った。
もちろん悲しいけど―…

「私は、…大丈夫。」

私を愛してくれた人が居るから。
『愛』の意味を教えてくれた人が居るから。
私の過去を知って私を、
嫌いになってしまう可能性だってある。
でも…どうしてか分からないけど、
なのはなら受け入れてくれる、そんな気がした。

なのはを、信じてるから。
なんて、少し勝手な言い分かな?

「…良い人に、出逢えたみたいね。」
「はい。」
「それなら、お願いするわ。
ただし、無茶だけはしないで頂戴。」


こうして、私は決心した。
母さんを止めてみせる。
母さんを、娘として愛しているから
間違った事をこれ以上して欲しくないから…



そして、手当てを終えて、
車を降りて…上着も借りたけど。
借りた傘で家へ帰路を辿る。
なのはに言ったら、驚くかな…?

もうすぐ家だ。
なのは、お腹空かせてるかな…

「あれ?」

途中で、なのはを見かけた。
もしかして探しに来てくれたんだろうか?
だとしたら、嬉しいな。



「なのは?」



私は、なのはに声を掛けた。



そして、私の記憶を話す事に。
本当の本当は話したく、無いんだ…
だけど、知って欲しい。
私の全てを。









テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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