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ChaNgE THe wORLd #17

17話。

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『 ChaNgE THe wORLd 』#17





「フェイトお嬢様?」

無機質な薄暗い部屋で
コンコン、とノックされる扉。

私はつい先ほど薬の副作用に襲われ
部屋の中心で床に膝をついたまま
口だけ動かした。

「…何、ですか?」

鋭い痛みは引いていったが
それでも少し声が震える。
いくら脱出の為とはいえ、
薬など使用するべきでは
無かったかもしれない…
そう思って微かに舌打ちをすると
扉の向こう側にいる人(恐らくはクアットロだろう…)が
微かに、でも愉しそうに言う。

「最近、薬の使用頻度が増えておりますが…お体に差し支えは?」

いつもの甘ったるい口調で
丁寧な聞き方。
だけど、やっぱり愉しそうに。

「平気だよ。」

私は、然程気にせず二つ返事で返す。
扉の向こう側にいるのは敵だ。
管理局の崩壊を目論む…
そして、なのはを傷つけようとする者。

「ですが、あの薬は副作用が御座います。」

早くその場所から去って欲しいのに
いつまで経っても動く気配の無いクアットロ。
ワザと私の神経を逆なでするように心配ぶる。

「…だから?」
「管理局の、旧起動六課の連中との交戦の度に口にするのは…」

「…黙れ。私は平気だ。…少し1人にしてくれないかな。」

クスクス、と堪えきれなくなったのか
笑みを零し始めたクアットロに
カッとなって口を開く。

「…はぁい。」

そう言うと、満足そうに返事をして
やがて足音が遠くに去っていく。

その事を確認して、
1人溜息を付いた。


「はぁ…。」

ここにはクアットロとスカリエッティしか居ない。
他のナンバーズは脱出しなかった。
出来なかった、の間違いかもしれないけど。

あの中将の手引きがあったから
スカリエッティは脱出できた。

逮捕するべきなのは、
スカリエッティ、クアットロ…
そしてクルースとその部下数名。


あと少しの我慢だ。

もう少し。
きっと守ってみせる。

私の中に頭の中には既に計画があるから。
なのはを、みんなを守る為の―…

だけどそれにはどうしても必要なモノがある。
私1人では、絶対に難しい。
本来なら、私1人で解決するはずだった。

だけど、私の力では難しい。
だから協力を頼むしかない。
これが未来にどう影響するのかはわからない。
でも、きっと守ってみせる。


その為なら、私は―…

キュ、と手を握って
それから再び部屋を出る準備をする。
スカリエッティ達に怪しまれる可能性だってある。
だけど、奴らは私の行動にあまり干渉しない。
正直何を考えているのか分からない。

油断は出来ないが、
今は私のするべき事をしよう。


そして、バリアジャケットを装備して空を翔る。
途中で局の誰かに見つからないように
慎重に。そして速く。




―――――






「…フェイト、さん?」

私が部屋に忍び込んでいる事に
驚きを隠せない様子で
目的の人物がやって来た。

「お久しぶりですね。騎士カリム。」

申し訳程度に頭を下げる。
騎士カリムはそっと扉を閉めて
私を真っ直ぐに見据えた。

「突然のご訪問、お許し下さい。それから―」

騒がずに居てくださって、
有難うございます。

そう、静かに口を開くと騎士カリムは
私から視線を逸らさずに
ゆっくりと私の近くへやって来た。

「フェイトさん…何故、此処へ?」

「私を逮捕、しないんですか?」
「そうね…私には、貴女が
ミゼット様襲撃犯とは思えません。」

それに、と続けて

「何か理由があるのでしょう?」
「どうしてそう思う事が出来るんですか?」

どうしてそんなにも
落ち着いていられるのか。
何もかも見通しているような瞳を
真っ直ぐ見据えて静かに尋ねると
彼女は、クスっと微笑んだ。

「私ははやてや…それに
なのはさんを信じていますから。」

目を閉じて優しく発された言葉に
それ以上に紡がれた名前に
胸が鷲づかみにされる感覚。


な の は


「ッ…騎士カリムッ……」


私1人で抱えていたもの。
果たしてこれを彼女に告げていいのか。
それで未来が大きく変わるけれど―…
私は堪えきれなくなり口を開く。

「信じて頂けるか分かりませんが―…」

彼女は、私の話を待っている。
少しだけ眉を潜めて、
これから重大な話が始まると
予感しているかのように。


「内密に、お願いがあります…。」

そして、私の真実を。
ただしある事だけ、伏せて。

ゆっくりと確かに伝える。


私が局を去った理由。
私がスカリエッティのアジトにいる理由。
私が闘う理由。

私が、なのはから離れた理由。



全て。







◇◇◇







「何て事―…。」

やがて話を終えると、
騎士カリムはギュッと目を瞑り
眼前で静かに指を組む。


「この話を信じて頂けるか、分かりませんが―…」

少しだけ窓の外に目を向け口を開くが
途中で騎士カリムに遮られる。


「もちろん信じます。」

その言葉に視線を向けると
そのまま続ける。

「貴女は今までも1人で闘ってきたのでしょう?
仲間や、守りたい人の為に…。」

その声は優しかった。

「私も協力は惜しみません。」

私の抱えていた真実を
受け止めてくれた騎士カリムに
感謝を伝えて、私は私自身の作戦を話す。

協力を仰いで。
だけど、まだ話していないことがあった。
それは私が解決するつもりの事だから。



「―…以上ですが、お願いできますか?」

静かに、確認するように視線を向けると
騎士カリムは頷いて、口を開く。

「では、そちらは私が何とかします…。ですが―…」

私が話した作戦の内容を承諾して、
少しだけ心配そうに
眉を潜めた騎士カリム。

「フェイトさん、…大丈夫ですか?」
「…ぇ?」

騎士カリムに大丈夫か、と
尋ねられて首を捻る。

「今の貴女は、…周りが見えていないような、
目的の為に自分を厭わないように思えて…。」

「…大丈夫です。」

少しだけ微笑むと騎士カリムは
まだ心配そうな表情ではあったけど
そうですか、と納得したようだった。


「騎士カリム、どうかこの話は―…」
「分かっています。私の行動
1つでも未来は変わってしまう。
安心してください。」

「こんな事に巻き込んでしまって申し訳ありません…。」
「いいえ。

機動六課には今あの男が出入りしている。
だから、未来の『私』は失敗した。
なら―…別の場所の、誰かに。


そう思ってやってきた聖王教会。

だけど、騎士カリムは式典に参加せねばならない。
だから騎士カリムの信頼の置ける部下に
彼らの足止めを頼んだ。


作戦という程のものではないけど…
騎士カリムには、あの中将の部下達の謀反、
つまり式典に襲撃するその場を抑えて貰う事に。

もちろん、中将の作戦自体が私に筒抜けなので
何処を襲撃する、とか人数とかを把握すれば
簡単に抑えられるだろう。
私は、二重スパイのような行動を取るという事だ。
本来なら、私がやらなきゃいけない事。


クルース中将の作戦はこう。
式典中にまず最も恐れるなのはを
護衛隊から1人だけ離す。
そして、クルースがなのはに仕掛ける。
その間にクルースの部隊が
式に襲撃を掛けるというもの。

私の作戦はその作戦を完璧に潰す事。
騎士カリムに集めて貰った隊で
クルースの隊を制圧して貰って、
なのはのところへは私が行く。

私でなければでき無い事が、あるから。

未来の『私』がたどったルートが
どんなルートだったのかなんて分からない。
だけど、なのはの囮の作戦が
指示されたのは変わらない。


ここから先、どう未来を変えるか。
それだけが私の頭を駆け巡る。


あまり長居も良くないと判断した私は
話を終えてすぐにその場を離れる事に。


「騎士カリム。感謝します―…」
「フェイトさん…無茶だけはしないでください。」
「はい。…では失礼します。」


騎士カリムの協力を得られる事になって、
一安心した私は、
その場からすぐに飛び立った。


見上げた空に愛おしい君を重ねて―…






テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

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なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

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