FC2ブログ

中編パロ 4

4話~っ!乙女万歳!!

web拍手 by FC2







「ふぇ、フェイトちゃんっ…ちょっとだけ、良いかなっ?」


フェイトちゃんとの事があった翌日の朝、私は居ても立ってもいられず、フェイトちゃんの部屋を訪れた。結局、昨日一晩中考えたけれど答えは出なくて…あまり眠れなかったんだよね。


「…フェイトちゃん?」


だけど、ノックして呼び掛けても返事がない。本格的に嫌われてしまったのだろうか?あるいは、単純に寝てるだけ?…後者ならいいなと願って、もう一度ノックしようと手を伸ばしたときだった。


「フェイトちゃんなら、実家に帰っとるみたいやけど…。」


お友達で、ここの大家で私の雇い主であるはやてちゃんがやって来たのは。…いつの間に後ろに立ってたんだろう。それよりも────…


「実家?」


はやてちゃんの言葉に、目を瞬く。フェイトちゃんが実家に…?いつの間に?自分に知らせてくれなかったことが寂しくてこっそり溜め息を吐く。もしかしたら、私の事か嫌いになって実家に?…顔も見たくないとか?


「フェイトちゃんと何かあったん?」


鋭く質問を投げ掛けるはやてちゃんに、首を横に振って「何も」と主張する。何だか良く分からないけれど、フェイトちゃんが居ないことが堪らなく切なかった。安易に、私に実家に帰ることを教えてくれなかったのはやっぱり嫌いになったからなのかな。


「なのはちゃん、何も聞いてなかったん?」
「…うん。」


フェイトちゃんの部屋の前で立ち尽くす私は力無く頷く。今までなら「管理人さん」って寄ってきてくれてた彼女が急に何も言わずに部屋を空けてしまったことが寂しかった。


「なぁ、なのはちゃん。フェイトちゃんのこと、…フッたんか?」
「……ぇ?」


いきなり確信をついたはやてちゃんの質問に目を丸くした。結果的に言えば、私はフェイトちゃんを振ったことになる。だけど……何かが違っていた。それが何かもまだ分からないけど。


「なのはちゃんにフラレたフェイトちゃんが傷心で実家に帰ったのかと思ったんやけど…違う?」


……違うとは、言い切れない。


「はやてちゃんはさ……誰かを好きになったこと、ある?」
「わたし?」


私が口を開くと、今度目を丸くしたのははやてちゃん。一瞬、私の質問の意味が分からないみたいだったけど、すぐさまはやてちゃんは微笑んだ。いつもより、少しだけ大人っぽい表情で。


「私かて、人を好きになったことくらいあるよ?」
「ふぇっ?そうなの?」
「…この歳で初恋まだやなんて、天然記念物もんやよ?なのはちゃん。」


意地悪く微笑んだはやてちゃんは「それで?」と私の話の先を促す。


「それがどうしたん?」
「いや、…その……。」


さも当たり前のように「好きになったことがある」と答えたはやてちゃんは、私の質問の意図を知りながらもあえて言わせようとしているのか、また意地悪く笑った。


「……だから、どんな感じなのかな…って。」


この歳になって「恋ってどんな感じ?」と、しかも幼馴染みに質問するのが恥ずかしくて最後の方は蚊の鳴くような声。


「なんよ、いよいよなのはちゃんも目覚めたか?」
「……そんなんじゃないよ、ただ……」


錯覚なのか、本当に恋なのかどちらなのか知りたい。この気持ちは確かにテレビやマンガで言うような恋かも知れない、だけど………


「なに考えてるか知らんけど、ごちゃごちゃ考えんで直感でその人に会いたくなったら、その人を見て胸が高鳴ったら…それは恋かも知れんよ。」
「えっ?」
「細かいこと抜きで、自分の気持ちに素直になるこた。…例えば、…これは例え話やけど。」


静かに語るはやてちゃん。私ははやてちゃんの一語一句を逃すまいとして、耳を傾けた。


「例えば、心ではとある人が好き、やとする。だけど…最初に頭にインプットした情報が…あるいは立場、関係が「妹」やったらどう?…きっと頭での情報が邪魔して好きの分別が曖昧になる、やろ?」
「それって───…」
「せやから、ただの例え話やって。…んで、続けるよ?」

はやてちゃんの話す例え話に、動悸が激しくなった気がした。はやてちゃんの話を聞きながら、私は今まで息が出来ずに居た水面から顔を出せるような、そんな錯覚さえ起こす。


「頭で単純にインプットしたのが「妹」的な存在
やったら───」
「待って!!」


とっさに出た言葉は弾けたように響いた。…はやてちゃんの例え話は私の気持ちを代弁するような、そんな内容だったから思わず待ったを掛ける。


「まだ途中なんやけど。」
「…どうしてそんなお話するの?」
「なのはちゃんが、阿呆やからや。」
「ぇ?」


ふ、…と溜め息を吐いた幼馴染みはさらに言葉を続けた。


「フェイトちゃんのこと。」
「……っ、」


急に出された彼女の名前に体がびくりと跳ねた。これも過剰反応だと思う。はやてちゃんも、私のこの過剰反応には気付いただろうな。


「なぁ、なのはちゃん。…フェイトちゃん、貰ってもええ?」
「っえ?!」


どういう意味?もちろん、その言葉の意味がわからないほど馬鹿じゃないけど…もう一度伺うようにしてはやてちゃんの顔を見た。


「そのまんまの意味や。…私が、フェイトちゃんと付き合うても、ええか?」
「……はやて、ちゃん…フェイトちゃんの事好きなの?」
「さぁてね。…別に、もうなのはちゃんには関係あらへんやろ?」


やれやれと苦笑しながらそう言うはやてちゃんから視線がそらせずに、目を瞬いた。だけど、次の瞬間には濁流のような気持ちが口をついて出た。


「やだ、っだめ!」


ただのわがままに違いない私の言葉に、はやてちゃんも静かに口を開く。


「何が嫌やの?駄目って何で?」


私の声に反して、はやてちゃんの声は穏やかだった。だから、一層私の神経を逆撫でするように感じたのかも知れない。


「何で…って、何でも!」


はやてちゃんとフェイトちゃんが?…嫌だ。フェイトちゃんが、私を見てくれなくなるなんて、フェイトちゃんが私以外の人に、愛を、想いをぶつける姿なんて───…


「見たくないっ……」


完全に子供が駄々をこねるようにしか映らないだろうけど、私は必死だった。


「何を、どうして?…理由が、あるやろ?」


理由。……理由ならある。こんな簡単で、単純明快な答えはすぐそこにあった。フェイトちゃんを、誰にも渡したくないから。フェイトちゃんが握る手は、私の手であって欲しいから。


「…フェイトちゃんは、妹じゃなかった。」


口から零れた言葉を、ゆっくり反芻する。はやてちゃんは黙って聞いていた。


「はやてちゃん…、ごめんね。フェイトちゃんは…誰にも、はやてちゃんにも…渡したく、ないの…」
「…納得のいく理由はある?」


少しだけ怒気を孕んだ幼馴染みの声に首だけ縦に動かして答える。そして、ようやく言葉を切り出した。


「フェイトちゃんが……」


恐る恐る口にし始めた言葉。…良く考えればひどい話だよね。好きと言い続けてくれたフェイトちゃんに応えず、幼馴染みから好きな人の名前を聞き出した瞬間「やだ。」「渡したくない」だもんね。だけど、ようやく…気が付けた。気付かされた。私は────…


「フェイトちゃんが、好きだから……好きで、好きで、はやてちゃんにさえ、…渡したくないのっ。」


妹なんかじゃなかった。違った気持ちで、フェイトちゃんを、愛している。


「ごめんね、…私、最低だよね……はやてちゃんの好きな人がフェイトちゃんだってわかった瞬間に、こんな────」
「あはっ♪」



あは──────?はやてちゃんに顔向けできず、俯いていた私の前、幼馴染みの悪戯な笑いが響いた。この笑い声は凄く、嫌な予感。強いて言えば、この声を聞いたとき、私には良い思い出がない。


「はやてちゃ────」
「う、そ。」
「………は?」
「だーかーら、嘘なんよ。フェイトちゃんと付き合うてもーって話。」


両手をヒラヒラさせて、にっこりと微笑む幼馴染みに声を失った。だって、嘘って………ぇえっ?


「~~~~っ?!」
「いやぁ、恋に目覚めたなのはちゃん、可愛かったなぁ♪…「渡したくないのっ」なぁんて。」


私の真似(絶対そんな言い方してない!)をしながらくねっと体をしならせたはやてちゃんに、私は口をぱくぱくさせる。騙されたなんて……顔が燃えるように熱い。それに、悔しい。


「はやてちゃんの…ばかっ!!」
「ひょひょひょ、まーさかなのはちゃんかフェイトちゃんになぁ~…フェイトちゃん、良かったなぁ。」
「きっ、気持ち悪い笑い方しないでっ」
「それにしても、なのはちゃん、案外独占欲強いんね。」
「…ほ、放っておいて。」
「それで?フェイトちゃんには言うたの?」
「………はやてちゃんには関係ないでしょ。」


ふいっ、とそっぽ向いてフェイトちゃんの部屋の前から自分の部屋の方向へと回れ右する私。


「おんやぁ?怒ったん?」
「怒ってないもん。」
「その話も聞きたいけど、とりあえず今夜の同窓会の準備せなね。」
「本当に、私も行くの…?」
「恋愛のノウハウは恋の成功者から聞くのが一番や!──ユーノ君、この度ゴールインらしいで?」


はやてちゃんの口から出た級友の近況に驚きつつ、結局はやてちゃんに流されて私は渋々同窓会への出席しない、という 選択肢を諦めたのだった。


フェイトちゃん、実家で何してるのかな…?はやてちゃんのお陰(と言うのも癪だけど)で不鮮明だった私の気持ちが鮮明になった。気付くのが遅かったけど私はフェイトちゃんが好き…。あれ、そしたら両思いってことになるのかな…?でも、フェイトちゃんは私のこと───嫌いになっちゃったんだろうか…?それも、そうだよね。私、最低だもん。



淡い期待と、不安を抱きながら、私ははやてちゃんと一緒に部屋へと歩み始めたのだった。これからどうしたら良いのかな。
















コメント

非公開コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
プロフィール

92

Author:92
なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2拍手記事別ランキング
FC2拍手記事別ランキング
FC2拍手記事別ランキング
twitter
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR