久々の更新逝きます

お待たせしました!のかな?とりあえず、10日ぶりくらいの更新?
久々だから頑張ろうと思ったら頑張りすぎてくそ長くなっちゃったw一応追記からホスト話。だけどあんまりそういうシーン出て来ないwあと相変わらずこれから始まりそうな感じに終わってますので←

追記から。

web拍手 by FC2








「ふにゃぁー…。退屈だねアリサちゃん…。」
「お生憎様。私はあんたと違ってレポートが忙しいのよ。」
「はぁ……。」
「ったく、高町財閥のお嬢様がそんなだらしない格好でどうするのよ。シャキッとしなさい、シャキッと!」
「………その呼ばれ方嫌い。」
「はぁー…、ところでなのは今日は車?」
「うぅん。基本的には私送り迎えはやめて貰ってるから。」
「そ。じゃあ、私もたまには歩いて帰ろうかしら。」
「じゃあ一緒に本屋さんに行こうよ。」
「仕方ないわね、付き合ってあげるわ。」
「わーい♪」


私の名前は高町なのは。一応、そこそこ有名な財閥の末の娘です。ちょうど今は、大学の抗議が終わって講堂でお友達とまったりしているところ。ちなみにこのお友達というのも、私の家よりもさらに有名な財閥の子なの。まぁ、この大学がお嬢様学校からのエスカレーター式大学なのだから、ここに通う子は大半お嬢様なんだけどね。……私はどっちかって言うと、送り迎えとかもあんまり好きじゃない庶民派(っていう言い方はどうかと思うけど)な大学生。だから学校帰りに本屋さんとかで立ち読みするのが日々の楽しみだったりする。……少し変わってるらしいけど。


「もう少しで終わるから待っててくれる?」
「うん、待つ待つ♪今日はすずかちゃんはお休み?」
「………すずかは…あー……お見合いとか、だったかしら?」
「ふぇ?あ、アリサちゃん愛を取り戻さな──ぅ、にゃっ!///」
「黙んなさい。」


最後まで言い切る前に、痛快なチョップが飛んできた。アリサちゃんって年々暴力的になってる気がする。……ちなみにすずかちゃんと言うのもお友達で、やっぱり大きな財閥の子なの。それで、アリサちゃんの恋人さんなんだけど……今日はお見合いでお休みらしい。自分の恋人がお見合いなんて、不安にならないのかなぁ?


「……痛いよぉ。」
「あんたが大声で変な事喚くからよ。」
「だって心配じゃないの?」
「別に?」
「えー?!絶対不安だよぉ!だって自分の恋人がお見合───にゃっ!///」
「だから声がでかいって言ってるでしょう!……私はすずかを信じてるから大丈夫なのよ!……全く…」


ぷんぷん、と怒りながら腕を組むアリサちゃん。私は同じところを二回もチョップされたせいで少し涙目だ。程なくして、むすっとしたアリサちゃんと涙目でおでこを抑える私の間、ちょうどアリサちゃんのレポート用紙の上に影が差した。


「お嬢様方、騒いどるねぇ」


見上げた影の先に、今度は別のお友達。この子は八神財閥のはやてちゃん。……家の大きさはアリサちゃんやすずかちゃんよりは、私と同じくらいかな。ちなみにこの子も庶民派らしく、趣味はもの凄く意外な事にお料理だったりして、よく私に教えてくれたりする。少し、いやかなり変態ちっくなところがたまにキズな子なの。


「なんかなのはちゃん失礼なこと考えてへん?」
「そ、そんな事無いよ。」


どうして分かったんだろう。


「アリサちゃんこの度はご愁傷さm」
「あんたも黙れ。」
「………ぅわ。」


やっぱりはやてちゃんが最後まで言い切る前に、アリサちゃんの拳がはやてちゃんの顔の中心にめり込んだ。私よりも凄く痛そうで、思わず変なリアクションをしてしまった。でも、対するはやてちゃんは鼻をほんの少し赤くしながら、勝ち誇ったような顔なの。


「何その顔。ムカツクわね。」
「なんのかんの言っても、不安なんやろ?アリサちゃん。」
「もう一発喰らいたいみたいね。覚悟しなさいタヌキ。」
「冗談やよ、冗談。すずかちゃんがアリサちゃん一筋な事なんて義務教育で習うようなレベr」


うわっ!結局はやてちゃんが最後まで言い切ることは出来ず、今度はアリサちゃんのボディーブローを受けて、はやてちゃんの体が「く」の字に折れ曲がった。………はやてちゃんには容赦ないよね、アリサちゃん。はやてちゃんも楽しそうだけど。


「黙れ。─────で?わざわざそんな事言いに来たの?」
「あかん、今日食べたカレーとご飯が混ざってカレーライスで出てくるとこやったわ…。」
「あんたの昼ごはんはカレーライスだったわよ。わざわざ分けて言わんでよろしい。………用が無いなら本気で置いて帰るわよ?」
「いや、実はな今夜パーティーしようと思うんよ。私の家で。」
「はやてちゃん家で?」
「何のパーティーよ?」


さっきまでの空気はどこに行ったのか、はやてちゃんはとても楽しそうに提案したのでした。はやてちゃん家でのパーティーは私達5人の間ではよくある事で、この間も鍋パーティーなるものをしたばっかり。はやてちゃんの提案は私にとっては凄く新鮮でとても楽しい。……お酒とか、飲まされなければね。あと体とか、触られなければね。


「せやな、今日はたこ焼きパーティーなんてどうやろ?この前わざわざ高級たこ焼き器買ったんよ、その為に。」


相変わらず凄く無駄なお金の使い方なの。


「ふーん?まぁ、良いけど?夜あんたの家に行けば良いわけ?」
「せやな、今夜は迎えに行くから家で待っててくれればえぇよ。」
「分かったわ。」
「なのはちゃんもそれでええ?」
「うん。」
「あ、すずかちゃんにはアリサちゃんから連絡しておいてくれるか?」
「はいはい。」
「ほんなら、私はさっさと帰って準備するわー、ほんなら夜になー」
「うん、気をつけてねはやてちゃん。」
「来る前に連絡しなさいよ。」


何だかはやてちゃん、含みのある笑顔だったけど気のせいかな?ほんの少し首を捻っていると、アリサちゃんは目の前のレポートを片付け始めていた。


「もう良いの?レポート。」
「ええ。」
「あ、もしかしてレポートじゃなくてすずかちゃんの分のノートだった?」
「…………うるさいわね。」
「なんだかんだ言って、アリサちゃんって結構デレだよね。」
「しばかれたいの?」
「良いなぁ、幸せそうで。」


はやてちゃんの惨劇を思い出してほんの少し話の方向を曲げてみた。本音を交えて少しだけ唇を尖らせて。


「なのはお見合いしないの?」
「ぜーったいしない。」
「あ、そう。」
「そういうのは全部断ってもらってるから。」
「よく親が許してくれるわね?」
「にゃはは、ほら……私の親って2人とも大恋愛だったから……。」


苦笑気味にそう言うとアリサちゃんは「なるほど」と手を叩く。


「私も大恋愛とかまでは行かなくても良いけど、恋愛結婚が良いの。」
「あぁ、乙女様なのね。そう、まぁせいぜい変なのに引っかからないようにね。」
「ば、バカにしてるでしょっ!///」
「さて、そろそろ帰りましょうか。本屋寄って行くんでしょ?」
「にゃっ!置いていかないでよぉ!」


私の話を無視するように、アリサちゃんはスタスタと席を立ってしまった。うぅ、酷い……。私も慌てて荷物を纏めて後を追ったのでした。


「はぁー…寒いね。」
「そうねー、でもたまには歩くのも悪くないわね。」
「でしょう?あ、あの本屋さんなの。」


白い息を吐きながら歩いていると、駅前の少し大きめな本屋さんに着いた。アリサちゃんも何か見たい本があるらしく、中に入ったところで一旦別れる。アリサちゃんは経済っぽい本のコーナーに居るらしい。


「ふぅ。」


外は寒いのに、店の中は少し暑くてシャツのボタンを一つだけ外した。それからこれから専攻に選ぼうとしてる、法律系の本のコーナーに向かう。本屋さんは大きめ店の割りにお客さんが少なくて、ちょっとだけ見やすいの。もう少しすると混雑してきちゃうんだと思うんだけど。

キョロキョロ見渡して歩いていると、本棚の上段に気になる本を見つけた。背伸びすれば届くかな?踏み台も近くにあるけど、そこまでするのは恥ずかしいし、第一スカートだからあんまりしたくない。決して無理ではない高さだから手を伸ばす。


「んっ……」


けど、存外私の手は思ったより短かったみたいで、指先がほんの少し掠る程度。もう少し頑張れば届きそうなのに、うーん。背伸びしても届かないなんて、私そんなに小さくないのに。……はやてちゃんはこれ絶対届かないね。


「えっ?」


なんて私より背の低いはやてちゃんに少し失礼なことを考えていると、後ろで人の気配がして私よりも遥かに高い位置に白い手が伸びてきて颯爽と私が取ろうとしていた本を取ってしまった。いとも容易く。


「────どうぞ?」
「ぁっ…ありがとう、ございま………す。//」


本をそっと胸元に渡されて、その本に次いで、腕、そしてその人を見る。本をとってくれたのは、私よりも背の高い綺麗な女性。アリサちゃんよりも少し色素の薄い金色の髪は腰の辺りまで伸ばされていて、特に印象的だったのはその人の綺麗な瞳。紅くて宝石みたいで、一瞬王子様みたいに錯角してしまいそうだった。女の人なのに、凄く格好良い人。真っ直ぐな背筋に、長い手足。整った顔立ちに、優しい笑顔。パーフェクト過ぎなの。


「……大丈夫?」
「ふぇ、だ…大丈夫ですっ!///」


慌てて頭を下げる。と、少しだけ微笑んだその人は何気なく手を伸ばして、さっき開けた私のシャツのボタンを片手で閉めた。もう片手には本を持ってるからだろうけど、片手でボタンを締められるのって凄いなぁ、ってゆーか何でボタン!?


「………見えそうだから。」


私の、少し驚いた表情に苦笑してそれからそんな風に言うその人。なんだろう、凄く恥ずかしい。


「あっ…すいませんっ!///」
「良いよ。これからは気をつけてね。」


可笑しそうに、静かに微笑んだその人は「それじゃあね」と言ってくるりと体の向きを変えてしまった。後姿も物凄く格好良い。長くて黒い上質のコートを翻して、途中で思い出したように振り替える。


「ふぇ?」
「あとその格好で背伸びはお勧めしないよ。」
「えっ……」


くすくすと可笑しそうに笑いながら、その人は颯爽と去ってしまった。その人の言葉の意味が分かるまで数十秒、或いは数分私はずっと呆けていたのでした。


「あー、居た居た。なのはあんた携帯鳴らしてるのに………なのは?」


呆けている私の顔の前にヒラヒラと手をかざすアリサちゃん。私は、瞬時にアリサちゃんの手を掴んだ。


「アリサちゃんっ!!!」
「な、何よびっくりさせないで頂戴!」
「ちょっとここに立って。」
「────はぁ?」
「そこから見てて。」


アリサちゃんを指定の位置に立たせたまま、先ほど同様に本をとる仕草。背伸びをして、やっぱり届かないのだけど手を伸ばす。


「何よ。届かないなら踏み台使ったら?」
「違うのっ…み、見える?」
「はぁ?何が………ぁ、うん。危ないわねその体勢は。」
「ふぇ!?」
「いや、見えてないけど、少し危ないって事よ。見てないわよ?つーか何してんのあんたは!」


見えてないなら良かった……。


「さっき、知らない人がね。」
「は?何よ痴漢でもされた?」
「うぅん、格好良い人だった。」
「ごめん全然話が見えないんだけど。少し日本語に変換してもらっても良いかしら?」
「………何かね、凄く格好良い人が本を取ってくれたの。」
「あ、そう。それで?」
「…………………見えそうだって教えてくれたの。」
「あ、そう。気をつければ?で?」
「………アリサちゃんって乙女心が分からないって良く言われない?」
「うっさいわね。何、王子様でも居たわけ?」
「うん。」


そう、一言で表すなら「王子様」が適してると思う。とても格好良い人で、思い出しただけでドキドキするような、そんな人。


「あんた、小学生じゃないんだから……まぁ、良いけど。続きは帰りながら聞くわ。……その本買うの?」
「…………うん。」
「じゃあ、さっさと買って来なさいよ。」


呆けながらレジに引っ張られて本を購入して、帰路につく。途中でアリサちゃんに散々質問をされまくったのだけど、まともに答えられてないかもしれない。何かアリサちゃん曰く「あんた変なのに引っかかりそうだから」という事で一応心配はしてくれているみたいなんだけどね。名前も何も知らない人だし、第一…もう会えないかもしれないし。そんなこんなで途中でアリサちゃんと別れて帰宅。

それからはやてちゃんの迎えが来るまで、部屋でごろごろして、買ってきた本を開く。法律系の、簡単な本。あのコーナーに居たっていう事はあの人も法律系のお仕事してる人なのかな?それより、いくつなんだろ?私よりも、大人っぽかったな…。私が子供っぽいのかもしれないけど。


「うぅ………。」


気がついたらさっきからあの人の事ばっかり考えてるの。お風呂入って、出かける準備しよ。もそもそと起き上がり、それからシャワーを浴びて私は出かける準備をしたのだった。









「おまたせやな、なのはちゃんっ♪」
「うん、大丈夫………って何でアリサちゃんは不機嫌なの?」
「なのは。コレは罠よ。私達はマメだぬきの計略にまんまとはまったってわけ。」
「─────はい?」


迎えの車に乗り込むと、不機嫌そうに仏頂面しているアリサちゃんと、その隣で困ったように笑うすずかちゃん、それから偉く楽しそうなはやてちゃんが待ち受けていた。ちなみに運転しているのははやてちゃんの家の人。そしてアリサちゃんのそんな言葉に嫌な予感なの。


「え、えっと……どういう事?確かはやてちゃん家に行くんだよね?」
「それがなぁ、うちの水道管が爆発して水が偉いこっちゃで、今日はお店に行くことにしたんよ。」
「はい?」


にこにこと水道管云々いうはやてちゃんは、明らかに嘘をついてるときの顔なの。


「だから、今日はホストクラブなるお店に行こうと思います♪」
「嫌よ!」
「ふぇー!?」


アリサちゃんが即時に言うのと同時に、私も驚いた声を出す。何を血迷ってたこ焼きパーティーからホストクラブなんかに行かなきゃ行けないの……?


「仕方ないと思って諦めぇ。ええやんたまにはパーッと。私ら一応財閥なんやし。」
「はぁーん?じゃあ、今日の料金はあんた持ちな訳ね?」
「むむっ。まぁ…えぇやろ。騙したのは悪いと思ってるしたまには私の財布で……」
「じゃあ、盛大に使いましょうか。八神財閥の隠し財産を遠慮なく。」
「え?ちょ、ちょう待って。私そんなに高いのは許さへんよ?アリサちゃん?」
「すずかもなのはも遠慮なく飲みなさいね。」
「───ちょ、鬼か!!!」


なんてやりとりを交わす2人を他所に私は1人で溜息を吐いた。ただでさえ人見知りの私なのに、何であんな煩そうなお店に………?うぅ、はやてちゃんのばか。


「なんや、なのはちゃん…そんな誘拐でもされた財閥のお嬢様みたいな顔して。」
「ほとんど誘拐じゃないの。……私ホストクラブなんて、ていうか男の人はあんまり……。」
「あ、なんや。そんなら大丈夫やよ。今日向かう店は会員制のホストクラブで、何より女の人しからんから。」
「────ふぇ?」
「巨乳のお姉様と、イケメンお姉様の宝庫やよ!楽しくなってきたやろ?」


ニヤリと笑みながらそういうはやてちゃんに、アリサちゃんが苦笑……というか明らかに私をバカにしたような微笑を向ける。


「無駄よ。今日なのはは白馬に乗った王子様に出会ったんだから。」
「ほぇ?そんなん今時おるん?どこの乗馬クラブやの?」
「なのはちゃんいつの間にそんな人に会ってたの?」


そんな話に今まで傍観していたすずかちゃんまで食いついてくる始末。白馬なんてそこまで誇張しなくてもいいのに。


「白馬じゃないったら!…それに、……何なの?どうして皆そんな顔でこっち見てるの!///」


その微笑ましく見守るような表情やめて欲しいんだけど…。


「いやぁ、なのはちゃんにも遂に春が……ウフフ、で?どんな相手なん?アリサちゃんは見たん?」
「残念ながら。だけどなのは曰く王子様だったらしいわよ。」
「そ、そこまで言ってないったら!///」
「なのはちゃん顔真っ赤。……可愛い。」


すずかちゃんまで…。


「主、そろそろ店に着きますが…。」
「おぉ、ありがとう。そんなら皆降りるかー。」


と、丁度ナイスタイミングではやてちゃん家の執事?のシグナムさんが店に到着すると教えてくれた。この話はここまでなの。……良かった。


「会員制なのに急に行って大丈夫なの?」
「あぁ、そんなら大丈夫やよ。私、超ビップやし。」
「そう。ならなのはの王子様の話は後にして、ひとまずはやての散財タイム開始ね。」
「後で詳しく話し聞くよー、なのはちゃん。」
「………意地悪。」


どうしても話題の種にしたいらしい皆は、最後まで私の話を引っ張り出してきた。


「んでも、私の予想ではなのはちゃんの今日であった王子様の存在はこの店で綺麗に吹き飛ぶな♪」
「───へ?何で?」
「この店一番のホスト様が、これまたイケメンというか王子様というか美人でなぁ。」
「ふぅん?」
「多少性格に難ありやけど、……顔だけ見たら王子やわ。」
「へぇ?はやてがそこまで言うなら少しは期待して良いんでしょうね?」
「おぉ、フェイトちゃんは誰がどう見ても間違いなく王子や。」
「へぇ?楽しみね、すずか。」
「そうだねアリサちゃん。」


そうしてやってきた、想像とは少し違ったお店。もっとテレビでやってるみたいにギャーギャーしてるのかと思ったんだけど、さすがお金持ちのビップ会員制のお店なの。凄く静かめで高級そうなお店だった。店の扉に立っている人もキリッとしてるし。まぁ、はやてちゃんが言うならそうとう格好良い人なんだろうけど、どんなに格好良くてもホストクラブで働いてるような軽い人(っていうイメージ)はご遠慮しますなの。


「───いらっしゃいませ。八神様。」
「こんにちは。」


そうして、開かれた扉の先は私の知らない世界で。案内された店内のソファに並んで腰掛けると、さっそくお店のメニューをはやてちゃんに渡される。パラパラと開いていくと、なんというか桁外れの金額。私こういうところにお金を使う神経って分からないんだけど…。


「はやてちゃん、良く来るの?ここ。」
「んー?んまぁ…友達がここで働いてるのもあるから、割と遊びには来るよー?」
「………相変わらずあんたはいろんなところに友達が居るのね。」
「しっかしフェイトちゃんの姿が見えんなぁ。既に指名されてもーたか?」
「ならあんたの金でさらに指名しなさい。さぁ、潔く散財しなさい。使い尽くして路頭に迷いなさい。」
「そしたらすずかちゃんのペットにでもしてくれるか?」
「うん、良いよ♪」
「んなっ!あんたどさくさにまぎれて………!」


アリサちゃんの言葉にニヤニヤ笑うはやてちゃんと、それに笑顔で答えるすずかちゃん。なんだかんだで、アリサちゃんよりもはやてちゃんの方が上手なのかな?……すずかちゃんが一番最強なのは知ってるんだけどね。そんな風に微笑ましく見ていると、持っていた携帯電話が点滅。着信相手はお姉ちゃん……?


「にゃ、ちょ…ちょっと電話してくるね。」


こんな時間になんだろう?出掛けるって言うのは言って来たよね?と思いつつ、お店の外に出て電話をとる。

その間、お店の手前数メートル先で、とある人を見つけた。黒いパンツスーツ、黒いシャツ、黒いネクタイ、黒い上着。黒、黒、黒、黒。なのに、とても輝いて見えるその人。それは黒に良く映える、長く綺麗な金髪の所為。────見覚えがある、その人。会った時とは髪を束ねてる位置が違うけれど、絶対に同じ人。だって、こんなに綺麗な人が2人も居るわけがないもの。とりあえずその人を目で追いつつ、私は電話に出た。ちなみに電話の内容は、今日の帰宅の予定の話だった。なんだかお見合い話を持ってきている人が居るらしく、鉢合わせしたくなければはやてちゃんの家に泊まってきたほうが良いかも、というお話だった。

そうして、電話を切る。視線の先の、本屋で出逢った彼女は、少し大人っぽい女の人と一緒で、丁度女の人が車に乗り込む手前だった。親密そうに話していて、スーツ姿の彼女が困ったように微笑むとその女の人はちょっとだけ残念そうに溜息を吐く。それから大人っぽい女の人が何か言った後、彼女の黒いネクタイを掴むとネクタイにキスをした。大人のやり取りって、こういうのなんだろうか?ドラマのワンシーンを見てるみたいでビックリした。それから程なくして、女の人が車に乗り込んで去っていくのを見送る彼女。………恋人、なのかな?なんて考えるとほんの少し胸が痛い。

ぼうっとしていると、彼女はちょっとだけ溜息を吐いた様子で、首もとのネクタイを緩めるとシュルッと音を立てるように引き抜いてネクタイを外した。


「………。///」


動作まで、なんというか格好良い。


「ふぇ?」


だけど、その彼女はネクタイを外して、近くのゴミ箱にあっさりとそのネクタイを捨ててしまった。黒いシャツ、黒いパンツスーツ、黒い上着。それだけでも格好良いけど。………じゃなくてどうしてネクタイ捨てちゃったんだろう?なんて呆けて見ていると、ふいにその人と目が合う。その人はそれまでとても不快そうな顔をしていたけど、私を見つけて笑顔を浮かべた。


「やぁ。────下着の見えそうな子。こんな所でどうしたの?迷子?」


だけど、昼間見たような笑顔ではなくて、まるでそれは取り繕ったような笑顔だった。誰もを魅了するような綺麗な笑顔なのにほんの少し冷たくて怖い微笑み。


「えと、あの………//」


近くまで来て、何の躊躇いもなく私の頬に触れて、親指で頬を優しく撫でる。近づいて微かに香水の匂いに気が付いた。でもそれは多分この人じゃなくて、さっきの女の人のだろう。


「な、何でネクタイ捨てちゃうんですか…?」
「ん?……あぁ、汚いから。」


にこりと微笑んで、それからそう答えたその人。そんなに汚れてたのかな…?そしてその笑顔のままで。


「あんな女がキスしたようなネクタイ。身につけてられないよ。」


クスりと笑って。さらりとそんな事を言ってのける。その言葉に、一瞬だけ耳を疑った。


「せ、洗濯とかクリーニングとか出せばいいじゃないですか…。」


何を言えば良いか分からなくて、そう言い返すとその人はきょとんとした顔で私を見た後、なんだか面白いものを見るような目で「ふぅん?」とか「へー」とか言いながらジロジロ見る始末。


「な、何ですかっ!///」
「いやー?別に?」


ジロジロと吟味するように、なんていうか頭の先からつま先まで見られてる。


「私、友達待たせてるので。さよならっ」


あぁ、折角会えたのにと思う反面、想像してた性格と全然違う事にショックを受ける私を他所に、その彼女は何故か私の後をついてくる。


「何でついてくるんですか。」
「え?やだなぁ、私はその店に行こうと思っただけ。」


そこ、と言って指差したお店は、私がさっき出てきたお店。皆が待っているホストクラブだった。


「も…しかして、ホストの、人?」
「当店ナンバーワン、フェイト・T・Hです。お客様。ようこそお越しくださいました。」


ワザとらしく深々と頭を下げるその人は、「ようこそ」と言いながらさり気なく私の手を掴む。じゃあ、はやてちゃんの言ってた「王子様」って言うのは私が(少し前まで信じてた)「王子様」と同一人物?


「わ、私やっぱり今日は帰──んぅ、」


そう言って、踵を返しかけた私は腕をぐん、と引っ張られてバランスを崩す。それと同時に、近くにその自称ナンバーワン(多分実質ナンバーワンなんだろうけど)ホストの彼女が迫っていて、唇には何かを押し付けられたような感触。逃げようにも逃げられなくて、首を背けようにも動けなくて、息が出来なくて口を微かに開く。だけど入って来たのは空気だけではなくて、もっと別の何かまで侵入するように入って来た。微かに煙草の香りがして、それがこの人の舌だと気付くのはすぐ後。


「………ふっ…んぅ!」


私にとっては初めての経験。初めての口付けに、息が苦しくて立っているのも辛くて何でもいいから縋りたくて近くの、丁度彼女の袖を掴んだ。口の中を撫で回すように動き回る舌と、微かに香る煙草の香りと、香水の匂い。


「…はぁッ、……」


息苦しさにほんの少し涙が浮かんで、だけど突然こんな事をされたことが信じられなくてその人を睨むように見据えると、その人は少しだけ(何に驚いたのか分からないけど)目を瞬かせて、それからふっ、と微笑んだ。今度は作り笑いではないような、そんな笑み。


「可愛いね。」
「は、なして!///」
「おっと?………怒ってるの?」
「当たり前です!………ッ、初めて、だったのに…」


蚊の鳴くような声でポツリと言うと、その人はますます可笑しそうに……嬉しそうに微笑んだ。………もう、何が可笑しいっていうの?


「それなら、大丈夫。私もキスは初めてだから。」


お相子だね、なんてウィンクするその人は、それからなんだかぶつぶつ「参ったな」とか呟いている。言わせて貰えば勝手に参ってれば良いと思う。大体初めてキスする人がこんなに上手いはずがないじゃない。そもそも恋人でもない人にキスするなんてどういう事なの?なんでこうなっちゃったんだろう、折角初恋の予感だったのに。───まだ酸欠なのかな、胸の鼓動が早い気がするのは。


「ねぇ。」
「………なんですか?」
「私、君が気に入ったよ。凄く。」


ニッコリと微笑んで、それからそんな事をのたまうその人。


「……………はぁ?」
「私ね。金持ちの女なんて糞みたいなものだと思ってたけど、存外そんな事無いみたいだね。」
「はい?」
「ほら、金を払って私に抱いて欲しいって言う人が多いんだけどね?」


なんてにこりと微笑むその人。あぁ、じゃあさっきのやり取りと、ネクタイを捨てたはそういう事だったんだ。


「だからって好きでもない人にいきなりキスするなんてどうかしてます。」
「……………ごめん。」
「あ、謝ってももう遅いです!///」


急にしおらしく謝られるとなんだかこっちが悪い事してる気がして、振り払って店の中に向かった。……どうせ後からこの人も来ちゃうんだけど、何かどうして良いか分からないもん。


「待って。……………ぁ…」


後ろで呼び止める声がしたけど、聞こえない振りをして店に入った。急展開過ぎて、頭が追いつかないんだもん。今日であった王子様みたいな優しそうな人が、実はホストで性格悪くて急にキスしてきて、それから…………はぁ、何なんだろ。もう。




「あら随分長電話だったのね。」
「にゃはは、ごめんごめん。……あれ?はやてちゃんは?」
「あれ?はやてちゃんさっきなのはちゃんを探しに行ったよ?」
「え、嘘。会わなかったよ?」


席に戻ると既にテーブルの上には色々注文したようなものが広がっていて、はやてちゃんが居なくなっていた。どうやら私が遅いから探しに行っちゃったらしいんだけど……今お店出たらさっきの人…フェイト、さんだっけ?に会っちゃうし……。


「入れ違いになる可能性もあるし、座って待ってたら?」
「そうだね。………はやてちゃんにメールだけしておく。」


私はアリサちゃんの提案に頷いて、はやてちゃんに「戻ってるよ」とだけメールを入れたのだった。






























「フェイトちゃん、見ーたーでー?」
「…………はやて。」


仕事中、少しトラブルがあって店の外に佇んでいると、よく知った旧友が何処からともなく現れた。どうやら先ほどの失態を目撃されていたらしい。私の名前はフェイト・T・H。一応そこそこ有数財閥の娘なのだが、色々あってこんなバイトをしてる25歳。

ついさっき、本日初めて会った少女にほぼ無理矢理キスをした。その子と会うのは二度目。一度目は、いきつけの本屋で。二度目は仕事中の姿を目撃されて、見られた事が少し嫌で、ほんの少し意地悪しようと思ったからだ。

目の前の友人は、何故か私を睨んでいて、少し居たたまれなくなって苦笑すると、そんな私を見て少し驚いたような顔をする。


「なんや、そんな顔して。ちなみにさっきの子は私の友達やから、変なことしたら承知せぇへんよ?」
「………………うん。私も、らしくない事、しちゃったね。」


ほんの少し、唇に触れる。微かに、感触の残る唇が愛おしく感じた。どうしてあんな事してしまったんだろう。ひょっとして、ひょっとしなくても嫌われたんじゃないだろうか?そう思うと強烈に胸が痛かった。


「………いよいよらしくないけど、どうしたん?」


苦笑するはやては、多分分かってるくせにあえて私に言わせようとするから憎らしい。そう思って、溜息を一つ。それから涙目で睨んでいた彼女を思い出して、言いようのない感情を孕む。


「さっきの子……はやての友達なんだ?」
「まぁな。大学の子。あと高町財閥の、フェイトちゃんのお嫌いなお金持ちのお嬢様や。」
「そう…………。」


彼女のあの表情を見た瞬間に、確信してしまった。衝撃は突然にやってくるものらしい。私は、きっと彼女に溺れる。これまでずっとどんな相手とも一線を引いてきたのに、今日の今日は、どうしても歯止めが聞かなかった。穢れを知らないような、純心無垢なあの子を汚したくなった。悪戯のつもりで、キスするフリをしようとして、だけどそのまましてしまった。フリではすまなくなった。可愛いと、愛おしいとさえ思ってしまった。


「私、あの子に溺れそうだ。」
「へぇ?あのフェイトちゃんが、まさかなのはちゃんを好きになるとはなぁ。」
「はぁー…もう嫌われたかも。終わった。」
「まぁ、謝って許されるような話じゃないやろけど……本気なんよね?遊びやなくて。」
「……遊びでキスなんてしない。」
「ほんなら、まぁ私は許すわ。………後は自分で頑張り。」
「うん。」
「ほら、お客待たせたらあかん。あとネクタイせぇ。だらしない!………いや、ボタン数個あけてもええなぁ。」
「変な目で見ないで下さいね?お客様。」


友人の視線をしっしと払いつつ、裏口から入って予備のネクタイを取りに行く。店に行ったら多分あの子も居るんだろうな。怒ってるんだろうな…。

私にとっては初めての恋なんだと思う。この感情は。初めて自分から好きになった女の子だった。だから、出足は凄く悪いけど、これから挽回しようと思う。確かにあんなに純情そうな子に、いきなりキス(しかも激しい方)なんてかなり酷い話だ。

私は、持てるすべての力で彼女を振り向かせると決めた。全力で、優しくする。


「ふぅ。」


黒から、少し藍色を基調とした服に着替えて、深呼吸してから私は再びホールへと向かう扉を開けたのだった。


──────何が何でも、彼女を射止めて見せると、心に誓って。




















fin.





そして、フェイトちゃんの本気スキルにたじたじになるなのはちゃん。
本当はブラックフェイトちゃんにしようか迷ったけれど、初番で嫌われるようなことをして一生懸命王子スキルで名誉挽回をしようと図るフェイトちゃんに変更ww






テーマ : 魔法少女リリカルなのはStrikerS
ジャンル : アニメ・コミック

コメント

非公開コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
プロフィール

92

Author:92
なのフェイ信者ですw
初心者ですが宜しくお願いしますorz
あと、一応リンクフリーです(^^);

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2拍手記事別ランキング
FC2拍手記事別ランキング
FC2拍手記事別ランキング
twitter
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR